痛風と核酸代謝
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36 巻, 2 号
痛風と核酸代謝
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
総説
原著 1
  • 中村 真希子, 安西 尚彦, 細山田 真, 市田 公美
    2012 年 36 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    近位尿細管に発現する尿酸トランスポーターurate transporter 1(URAT1)は糸球体からろ過された尿酸を血中に再吸収し,血清尿酸値の維持に寄与している.よってURAT1は血清尿酸値異常に関連する種々の疾病の治療標的として有用である.現在主流の機能評価法は細胞破砕液中の放射標識基質を測定する方法であるが,この方法はRI実験設備を必要とし,作業が煩雑である.さらに生細胞における輸送評価が不可能であるため,取り込みの経時的変化を評価することができない.
    これらの背景から本研究では,簡便かつ生細胞を用いた評価も可能なトランスポーター機能評価法の開発を目的とした.今まで同定された尿酸トランスポーターの中からURAT1及び有機酸トランスポーターorganic anion transporter 1(OAT1)の2種をモデルとし,OAT1が認識することが知られる蛍光化合物fluorescein(FL)の輸送を指標として用いた.
    細胞内に取り込まれたFL蛍光を定量した結果,URAT1もFLを細胞内に取り込む可能性が示された.また,蛍光顕微鏡下で観察した結果,OAT1及びURAT1発現細胞では,取り込まれたFLの蛍光が確認できた.系に尿酸を添加すると尿酸添加量依存的に蛍光強度が低下したことから,URAT1のFL輸送は尿酸と競合し,URAT1の輸送能の指標としてFLを利用できる可能性が確認された.以上より,細胞内へ取り込まれたFLの蛍光を指標として簡便に尿酸トランスポーター機能を評価する手法の有用性が示された.
原著 2
  • 神原 彩, 三浦 芳助, 瀬山 一正
    2012 年 36 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    我々は「食物成分の操作による尿のアルカリ化が尿酸排泄を促進する」ということを発見した.この発見を生活の場で具体化するためには,献立をたてる段階で,食物が代謝された時に尿酸だけでなくH+の生成量を予測することが必要不可欠となる.Frassetto等(1998)は,食事に含まれるタンパク質(g)とK+(mEq)の比率であるP/K比は,腎による正味の酸排泄量([滴定酸]+[NH4+]-[HCO3-])と直線的相関関係があると報告している.我々は,この仮説が過去4年間に得られたデータと一致するか検証した.得られた結果は彼らのデータを支持するものであった.そこで,プリン体含有量とP/K比で分類した食物を選択するための簡単な参照表を作成した.プリン体はすでに金子氏によって報告されたデータを使用し,P/K比は五訂増補日本食品標準成分表を用いて算出した.高尿酸血症予防のためによいとする食事のP/K比の境界線は,日本痛風・核酸代謝学会の治療指針に尿路結石予防のために尿pHを6.0以上に維持することが示されているので,尿pH6.0に相当する一日当たりの食事のP/K比1.5とした.
原著 3
  • 小嶋 千明, 久保田 優, 豆本 公余, 東山 幸恵, 永井 亜矢子
    2012 年 36 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    小児白血病において発症時に高尿酸血症をきたす患者があることは良く知られている.しかし,治療中や治療終了後の血清尿酸値(以下:尿酸値)の変化の検討はほとんど無い.本研究では,京都大学附属病院及び神戸医療センター中央市民病院小児科にて治療を受けた急性リンパ性白血病(ALL)患者を主たる対象として,治療開始前(発症時),治療中,治療終了後の異なる3つの時期における尿酸値の変化につき比較検討した.治療開始前は,67名(男39名,女28名;年齢2カ月~15歳),治療中は,23名(男19名,女4名;年齢1~14歳),治療終了後経過観察中は,他の白血病を含め38名(男21名,女17名;年齢5~19歳)であった.尿酸値の小児基準値(久保田優;痛風と核酸代謝 33:37-40,2009)を基に各年齢の尿酸値のz-scoreを求め,score +2以上を高尿酸血症,score -2以下を低尿酸血症と定義した.発症時の高尿酸血症は23名(34.3%)で,その割合は男児に有意に高かった.種々の因子を用いた多変量解析では,尿酸値z-scoreはクレアチニン値,LDH値および末梢血白血球数と関連が見られた.治療中にはクール毎に,尿酸値は一時的に低下する傾向が見られた.特に,初回寛解導入中,低尿酸血症を10名(43.5%)が経験した.一方,高尿酸血症はわずか1名で,治療終了時には3名(13.0%)であった.治療終了後の経過観察中には,高尿酸血症4名(10.5%),低尿酸血症1名(2.6%)を認めた.今回の研究では対象患者群が治療の3つの時期で異なるため厳密な比較は困難である.しかし,治療の各時期での多彩な尿酸値の変化が明らかになり,今後,そのメカニズムの検討(特に治療法との関連)が課題である.
原著 4
  • 豆本 公余, 久保田 優, 小嶋 千明, 東山 幸恵, 永井 亜矢子
    2012 年 36 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    肥満児において血清尿酸値が上昇する傾向にあることは知られているが,メタボリックシンドローム(MetS)との関連に関しては報告がほとんど見られない.本研究では,各年齢のBMI z-score +2以上の肥満児を対象に血清尿酸値のMetSの関連とその診断における有用性を検討した.対象者は,2006~2009年にA市の小児肥満二次検診を受診したBMI z-score +2以上の6~15歳の肥満小児1,261名(男764名,女497名)である.血清尿酸値の小児基準値(久保田が本学会誌で2009年に報告)を基に各年齢の尿酸値のz-scoreを求め,z-score +2以上を高尿酸血症とした.MetSの診断基準は大関らの小児用基準を用いた.高尿酸血症は23.1%(291/1,261名)に見られ,その割合は男子に有意に高かった.MetSは高尿酸値群291名の37.1%(108名)に,正常尿酸値群970名の15.6%(151名)に見られ両者には有意差があった.血清尿酸値のz-scoreを4段階に層別化し各群のMetS罹患率を比較した所,z-score 1未満群に比べ3以上の群はリスクが7.2倍であった.高尿酸値群と正常尿酸値群におけるMetS 各項目の多変量解析では,腹囲,中性脂肪,HDL-コレステロールと有意の関連が見られ,年齢,性別や血糖値とは全く関連が無かった.ROC解析による小児MetS診断能の比較では,血清尿酸値 z-scoreのAUC (Area under the curve)は0.66でHDL-コレステロールや腹囲/身長とほぼ同等の値であった.本研究は対象が肥満者に限定されてはいるが,小児のMetS罹患と血清尿酸値の関連が多方面からの解析で明らかになった.今後,対象者を非肥満者に広げると共に,高尿酸血症と将来の生活習慣病罹患との関連を調査するコホート研究が重要である.
第45回日本痛風・核酸代謝学会記録
特別講演 1
特別講演 2
教育講演
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受賞講演 2
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シンポジウム 2
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