痛風と核酸代謝
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34 巻, 2 号
痛風と核酸代謝
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総説 1
  • 石川 勲
    2010 年 34 巻 2 号 p. 145-157
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    運動後急性腎不全とは,「短距離を全力疾走するなど無酸素運動後に,強い背腰痛を伴って発症する非ミオグロビン尿性の急性腎不全」をいう.したがって,従来から知られている,マラソンなど有酸素運動後に発生するミオグロビン尿性急性腎不全(Exertional rhabdomyolysis with acute renal failure)とは異なるものである.またこの「運動後急性腎不全」は症状の特徴から ALPE(Acute renal failure with severe Loin pain and Patchy renal ischemia after anaerobic Exercise)とも呼ばれるので,著者らは「運動後急性腎不全(ALPE)」と記載することを提唱している.
    運動後急性腎不全(ALPE)は患者の98%が男性で,年齢の中央値は19歳(IQR:16〜26)と,主に若い男性に発生する.典型例は,運動会や体育祭で200m走を複数回全力疾走し,その数時間後に,強い背腰痛,嘔気・嘔吐を訴えて,夜間救急外来を受診するというものである.しかし強い痛みから尿路結石と診断されることが多く,血清クレアチニンを測定しないと,急性腎不全の診断がつかない.また多くは非乏尿性急性腎不全で,尿の色に変化はなく,褐色尿も認めない.血清CK値は基準値内か高くても9倍以内である.221例の集計によると受診時の血清クレアチニン(中央値)4.0mg/dl,最高値(中央値)5.6mg/dlで,大部分は保存的治療で回復しているが,23%の症例では血液透析が必要になる.また報告例の58%が腎性低尿酸血症患者であり,腎性低尿酸血症は,この運動後急性腎不全(ALPE)の発生リスクとして最も重要なものである.発生機序についてはまだ解明されていない.しかし著者らは,delayed CT(造影24-48時後の単純CT)で,両腎に楔形の造影剤残存がみられることから,無酸素運動によって筋肉から何らかの腎血管攣縮因子が発生し作用するからという仮説を考えている.一方,腎性低尿酸血症患者に起こりやすい理由としては,急性尿酸腎症が起こるから,あるいは低尿酸血症で活性酸素消去系がうまく働かないから,さらには尿酸トランスポートの異常からなど,種々の説がある.
総説 2
原著 1
  • 塚田 愛, 木村 徹, Jutabha Promsuk, 安西 尚彦, 市田 公美, 櫻井 裕之
    2010 年 34 巻 2 号 p. 171-178
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    尿酸はヒトにおけるプリン体の最終代謝産物であり,主に腎臓から排泄される.腎臓での尿酸の排泄亢進や排泄低下によって腎性低尿酸血症や高尿酸血症が引き起こされるため,腎臓での尿酸輸送を理解することは臨床的に重要である.尿酸トランスポーターURAT1は,腎臓近位尿細管管腔側において尿酸再吸収を行う分子である.このURAT1は尿酸降下薬の作用点であり,また遺伝子変異により腎性低尿酸血症をきたす.よってURAT1は血中尿酸値に大きく影響を及ぼす因子であると考えられるが,その発現が尿酸値や他の尿酸トランスポーターにどのような影響を及ぼすのか明らかになっていない.そこで,URAT1トランスジェニック(Tg)マウスを用いて,尿酸値測定およびマイクロアレイと定量PCRによる遺伝子発現変化の解析を行った.
    RT-PCRの結果から,Urat1 mRNAが腎臓特異的に発現しており,Tgマウスでは野生型と比べて発現量の上昇が見られた.ウエスタンブロットおよび免疫組織染色により,導入したHA-mURAT1タンパク質が腎臓の近位尿細管管腔側に発現していることを確認した.以上の結果から,導入したHA-mURAT1がすでに報告されているmURAT1と同様の発現分布を示し,URAT1が過剰発現していることを確認できた.そこで,このマウスをモデルとして解析を行った.血中および尿中尿酸値を測定した結果,どちらの尿酸値にも変化が見られなかった.マイクロアレイおよび定量PCRにて検討した結果,Urat1遺伝子はTgマウスにおいて発現が有意に増加していたが,他の尿酸トランスポーターや尿酸代謝酵素の遺伝子の発現量に変化は見られなかった.以上の結果より,URAT1過剰発現は,マウス生体内での尿酸動態および他の尿酸トランスポーターや尿酸代謝酵素の遺伝子発現に大きな影響を及ぼさないことが示された.
原著 2
  • 高木 和貴, 稲井 邦博, 内木 宏延, 岩崎 博道, 上田 孝典
    2010 年 34 巻 2 号 p. 179-187
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    Interleukin-6 (IL-6), an inflammatory cytokine produced by various cells, regulates production of acute-phase proteins in liver, and induces proliferation in IL-6-dependent cells. After IL-6 binds to an IL-6 receptor (IL-6R) on the target cell, the signal activates gp-130-associated Janus tyrosine kinase (Jak), which then stimulates transcription, cell proliferation and cytokine production via signal transducers and activators of transcription 3 (STAT3). Monoclonal anti-IL-6R antibody therapy (tocilizumab®, humanized monoclonal antibody) has recently been found to be effective for rheumatoid arthritis (RA) and some IL-6-dependent cancers, and about 30% of RA patients have achieved remission by combination use with methotrexate. Flavopiridol, a semi-synthetic flavonoid isolated from Dysoxylum binectariferum, is known to be an inhibitor of pan-cyclin-dependent kinases (CDKs). In this paper, we demonstrate that Flavopiridol inhibits IL-6 production at concentrations below 100 nM in inflammatory cytokine-producing cells (ThyL-6) originally established from a 57year-old patient with thymus cancer. Moreover, Flavopiridol was able to inhibit RNA polymerase II phosphorylation, which is necessary for CDK-7 or CDK-9 activation, thus suggesting that this flavonoid drug can inhibit transcription activity at clinically achievable incubation times and concentrations.In conclusion, Flavopiridol is a novel therapeutic tool for IL-6-dependent cancer, and is an anti-inflammation agent for conventional therapy-resistant rheumatological diseases.
第43回日本痛風・核酸代謝学会記録
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シンポジウム 1 司会の言葉
シンポジウム 1-1
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シンポジウム 1-3
シンポジウム 1-4
シンポジウム 2 司会の言葉
シンポジウム 2-1
シンポジウム 2-2
シンポジウム 2-3
シンポジウム 2-4
シンポジウム 2-5
ワークショップ 司会の言葉
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