脱工業化都市における文化・芸術を社会的基盤とする再生過程を明らかにすることを目的としている。その方法は、サンフランシスコ市の文化志向型である Yerba Buena Center 再開発を事例にとりあげ、経済的背景と政策プロセスにおける歴史的変遷と芸術・文化志向型の再開発が都市に与える影響とその要因を考察している。そうすることによって、芸術・文化が都市を再生し、その状態を維持していく時の条件を導き出した。
ケインズが青年時代にG. E. ムーアから受けた影響の一つに「義務」の概念がある。ムーアによる「義務」概念は、「人間らしい情愛と美を解する楽しみ」という個人の「善」の最大化に至る手段に関わるものであり、必ずしも国家規模の芸術支援を含んでいるとは言えない。しかし、ケインズは、ムーアの「義務」概念を修正・拡張して発展的に継承した結果、さまざまな形態の芸術支援を自らの「義務」ととらえて実践したと言えよう。