本稿では公共事業における新たなCFであるガバメントクラウドファンディングを用いた文化遺産保護の事例を分析し、CFによる文化遺産の支援者創出は可能なのかという問いを立てた。その結果、寄付制度のコミュニケーション機能に着目することで、寄付を通じて文化遺産と人々がつながり合い、支援の輪が拡大する可能性が明らかとなった。
日本の美術業界におけるジェンダー不平等について問題提起された一方で、現代美術の業界構造から当該問題に取り組む調査分析は管見の限り見当たらない。そこで本稿ではプライマリー・ギャラリーを対象とした聴き取り調査を行った。調査分析から日本におけるギャラリーの活動を明らかにするとともに、Becker(1982=2016)を援用することで最終的に女性美術作家数の少なさという現代美術業界におけるジェンダー・ギャップについて考察する。
1960年代、宇部市や神戸市で野外彫刻展がはじまり全国に波及した。ここからパブリックアート設置がブームとなる。1980年代には「JAPAN牛窓国際芸術祭」(岡山県)や「白州アートキャンプ」(山梨県)など、アートに限らず幅広いジャンルのアートフェスティバルが始まる。2000年には「大地の芸術祭」、2001年には「横浜トリエンナーレ」がスタートし「トリエンナーレの時代」がやってきたと言われた。その後現在全国各地で多くのトリエンナーレ、ビエンナーレが開催されるようになった。本稿では、現在開催中のアートフェスティバルを中心に、実施主体、開催自治体の規模、開催会場等で分類し、これらがアートフェスティバルに果たす役割について考察する。
本研究は、特定工芸分野を地域発展の基盤とする瀬戸市の育成環境より、創造基盤となる工芸専門校がどのような人的属性と課題をもっているかを明らかにする。調査方法は、市内3校の専門校1)研修生へのアンケート調査と指導職員(工芸家)へのヒアリング調査を情報源とするパターン分析である。隣接する岐阜県多治見市などの同等調査とも比較した結果、起業工芸家と工芸産業従事者の2種と国内外からの移住者2)、ジェンダー、少子高齢化に対する育成環境の充実が課題と提起する。
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