日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2012年年会
選択された号の論文の253件中101~150を表示しています
R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物
  • 草野 展弘, 西戸 裕嗣, 槙尾 雅人, 蜷川 清隆
    セッションID: R2-P11
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    試料温度を制御しドロマイトのカソードルミネッセンス(CL)スペクトルの測定を行い、得られたスペクトルピークを波形分離しMn2+が占めるサイト(CA, Mg席)を特定して試料温度がこれら発光成分に及ぼす影響を評価した。二価のMnイオンがCaサイト(A site)とMgサイト(B site)において不純物中心として発光したものである。スペクトルを定量的に評価するため波長をエネルギー単位に変換しガウス関数を用いピークフィッティングを行った。-200℃から-100℃にかけては温度消光を示したが、-50℃以上において増感するものの、150℃にかけて再び温度消光に転じた。これら過程の活性化エネルギーはA siteとB siteで異なる値を示した。
  • 槙尾 雅人, 西戸 裕嗣, 草野 展弘, 蜷川 清隆
    セッションID: R2-P12
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    BarytocalciteからMn2+イオンによる強いカソードルミネッセンス(CL)発光を見出した。この発光中心の帰属ならびに温度依存性を検討した。室温でのCL測定において赤色領域に発光強度の高いブロードなバンドスペクトル(波長ピーク600nm)を観測した。この発光はMn2+イオンがCaイオンを置換しアクチベータとして作用したもので、4G→6S遷移による。ピーク波長はカルサイト型炭酸塩鉱物に比べ低波長側に位置し、発光中心と配位子との距離に依存する結晶場の影響を受ける。この発光ピークは試料温度上昇とともに強度の低下がみられ、温度消光を示すことが明らになった。
  • 山川 純次, 川瀬 雅也
    セッションID: R2-P13
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    緑簾石[Ca2Al2(Al,Fe)Si3O12OH]は低変成度の環境で見られる一般的な造岩鉱物で,複雑なゾーニングを形成し化学組成に大きな多様性を示す。結晶格子中のFe2+とFe3+の分配比率はメスバウアー分光法でも測定可能で,これにより緑簾石の秩序無秩序置換を推定することが可能であり,緑簾石の安定および準安定状態に関する情報を得ることができる。さらにいくつかの緑簾石はメスバウアー分光法の解析のみで同定可能なFeサイト(M3')を示す。M1サイトへの分配率はEpidoteの生成温度を反映していると考えられている。今回,いくつかの緑簾石のM1/M3/M3'サイト分配比を決定し,それらの生成温度を見積もったので報告する。
  • 富田 千尋, 篠田 圭司, 小林 康浩
    セッションID: R2-P14
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    マグネタイトは低温で酸化されると,六配位位置に空孔が導入され,空孔の増加につれてマグヘマイトへ変化していく.そのため試料中のマグネタイトの空孔量を調べることにより,そのマグネタイトがどれだけ低温酸化を受けているかを推定することが可能となる.また天然のマグネタイトには主としてTi4+が固溶原子として含まれ,ウルボスピネルとの間での固溶体はチタノマグネタイトと称される.空孔量の推定法としてメスバウアー分光法があるが,チタノマグネタイトに含まれる固溶原子はメスバウアー分光の測定に影響を与える.しかし空孔量算出時の固溶原子を考慮した補正法は確立されていない.そのため本研究ではメスバウアー分光法におけるチタノマグネタイト中の空孔量の精密測定を用い,補正式の作成と,その式の検証を目的とする.
  • 野口 直樹, 鍵 裕之
    セッションID: R2-P15
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    南極氷床や氷河の流動は氷Ih相の塑性流動によって支配されている。これまで氷Ih相の塑性流動則は低温ガス圧変形装置を用いて、歪み速度と応力の関係を直接調べることで研究されてきた(cf. Durham et al.1988 JGR)。しかし、ガス圧変形装置で実験できる応力の範囲は転位クリープが変形機構として卓越するような~100MPaという高応力条件である。実際の氷河の流動応力(~0.1MPa, Goldsy and Kohlstedt 2001)と比較すると大きな隔たりがある。それゆえ、実際の氷床と氷河の流動速度を決定するには拡散クリープが卓越するような低-中応力下での高圧氷の流動則を決定する必要がある。そこで本研究では、低-中応力下での流動則を確立するのに必要な氷Ih相の体拡散係数および、粒界拡散係数を決定するために、同位体トレーサーと顕微ラマン分光法を使った氷の拡散係数測定法を開発した.
  • 谷口 隆文, 篠田 圭司, 小林 康浩
    セッションID: R2-P16
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    Titanomagnetite Fe3+(Fe3+1-2x, Fe2+1+x,Ti4+x)O4(x,<0.5))は,強い磁性を持つ鉄酸化鉱物で,酸化されると六配位席に空孔を導入しながらTitanomaghemite (Fe3+(Fe3+1-2x+2z/3(1+x), Fe2+1+x(1-z),Ti4+x,(1+x)/3)O4{zは酸化度,□は空孔} )へと転移する.TitanomagnetiteからTitanomaghemiteへの転移は,酸化度と格子定数の変化で特徴づけられる.粉末X線回折法を用いることで格子定数を測定でき,メスバウアー分光法を用いることで,Fe2とFe3の量比の測定ができる.本研究では, 天然試料として,茨城県大洗海岸のMagnetiteを用い,粉末x線回折とメスバウアースペクトル測定を行った.それぞれのスペクトルを比較することで, Titanomaghemiteのメスバウアースペクトルから酸化度をどのようにして求めるか考察した実験の結果,メスバウアースペクトルから酸化度を求める式を2種類提案した.これらの式は,酸化度の大小に応じて使い分ける必要があり,この式から求めた酸化度と格子定数から求めた酸化度はほぼ一致した.これらの式を用いることで,天然Magnetiteの酸化度比較が行えると考えられる
  • 門馬 綱一, 草地 功, 小林 祥一, 武智 泰史, 中牟田 義博, 長瀬 敏郎, 横山 一己, 宮脇 律郎, 重岡 昌子, 松原 聰
    セッションID: R2-P17
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    島崎石は岡山県備中町布賀鉱山から産出したカルシウムホウ酸塩鉱物で、2011年に新鉱物として承認された。島崎石の単結晶X線構造解析を行ったところ、単斜晶系(島崎石-4M)と斜方晶系(島崎石-4O)の2種類のポリタイプが存在することが明らかになった。島崎石-4Mは、空間群P21/c, a = 3.5485(12), b = 6.352(2), c = 19.254(6) Å, β = 92.393(13)ºで、原記載のものとほぼ一致する。島崎石-4Oは、空間群P212121, a = 3.55645(8), b = 6.35194(15), c = 19.2534(5) Åであり、薄片中で双晶ラメラが見えない部分である。
  • 中塚 晃彦, 塚本 輝, 沖本 鉄八, 下川 真美, 中山 則昭, 吉朝 朗
    セッションID: R2-P18
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    低温および高温におけるNaSr2Mg2V3O12およびNa3Sc2V3O12ガーネットの単結晶X線構造解析を行い、両者で見られる4配位イオン(V)の原子変位挙動の相違に対する原因を検討した。その結果、前者において、Vの静的変位は[100]方向に存在するが、一方、後者において、Vの静的変位は存在しないことが示唆された。
  • 服部 研作, 藤 昇一, 上原 誠一郎, 海野 裕人, 菅原 潤, 松村 晶
    セッションID: R2-P19
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    コーディエライト(Crd)は鉱物の共存関係や相転移ならびに微細組織に着目した多くの地質学的鉱物学的研究が行われて来たが,その特徴の一つとして,特異な熱膨張特性を上げることが出来る.この特性は鉱物学のみならず,セラミックスの分野でも注目されてきた.黒崎播磨(株)は,室温付近での熱膨張係数,機械的特性においても極めて優れた特性を有するCrdを主成分とするセラミックス,NEXCERAを開発した.今回は,これらのセラミックスの主成分であるCrdの特徴を明らかにする事を目的として,透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡によって取得した新たなデータ,特にX線回折計を用いた結晶構造解析を行った結果について重点を置いて発表し,考察ならびに議論を行う.
  • 宮城 寛幸, 志村 玲子, 杉山 和正
    セッションID: R2-P20
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    非晶質物質の構造記述には、回折法から得られる動径分布関数(RDF: Radial Distribution Function)が有効である。本研究は、SiO2を主成分とする天然珪酸塩のRDF解析を行い、RDFで得られる一次元構造情報から、試料によって異なる結晶化プロセスやマクロ物性を議論することを目的とし、テクタイト、リビアンガラス、モルダバイト、オパールCT、オパーリンシリカ、珪化木およびラヂオライなどの天然試料を用い、局所構造単位の解析には、Pair Function法を用いて解析を行った。その結果、いずれもSiO4四面体の連結を基本構造とすることが明らかとなった。
  • 狩野 正裕, 山川 純次
    セッションID: R2-P21
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    シベリア石とパラシベリア石は武井の関係であり、岡山県布賀鉱山で武田石の変質作用の生成物として産出する。パラシベリア石の合成はSchafer(1968)などで、シベリア石の合成はSun他(2011)で報告されている。シベリア石とパラシベリア石の生成条件を決定するために、天然の武田石から吸い熱合成を行った。その結果、シベリア石とパラシベリア石が1000気圧、300度、7日間の合成で生成され、同条件下で14日間合成することでシベリア石のみが形成された。また、シベリア石とパラシベリア石の粉末混合試料を、温度と圧力を変えて水熱合成を行ったところ、シベリア石が安定である温度と圧力の上限が、1500気圧では350度から400度の間、500気圧では400度から450度の間にあり、それ以上では島崎石に変わることが分かった。
  • 大川 真紀雄, 吉田 友紀
    セッションID: R2-P22
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    マイエナイト(C12A7)は近年その活性酸素包接機能が再評価され,機能性材料として研究が進められている.本研究では、ハイドログロシュラーを大気中でか焼させることにより, Si4+がAl3+を置換したマイエナイト(C12A5S4)を生成させた.Si置換マイエナイトの生成後の経日変化による水和反応およびケージ中の陰イオン種の変化に着目し, X線粉末回折法による格子定数の精密化,ラマン分光法によるケージ中の陰イオン種の同定を行った.Si置換の無いマイエナイトには経日変化がほとんど認められなかったのに対し,Si 置換マイエナイトでは,日数の経過とともに格子定数が増大し,ラマンスペクトルではOHに帰属するピークの増大が認められた.1000℃まで再加熱すると,OHは消失し,O22−のピークの増大が認められた.
  • 古川 登
    セッションID: R2-P23
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    Na,Ca,Kを含む組成の溶液を用いてFe-菫青石合成実験を行った.溶液中にNa,Ca,Kのいずれのアルカリ元素が存在しても菫青石は合成された.しかし,Fe端に近い組成では,ごく少量ではあるが,石英もしくは石英+ムライトが生成された.液相出発物質にFeCl2を用いた場合に限られることから,石英およびムライトの生成は,Fe3+による菫青石中のSi,Alの置換の可能性が示唆される.
  • 上野 禎一, 福森 崇文, 狩谷 明子, 今井 茉理奈, 長澤 五十六
    セッションID: R2-P24
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    フラックス法にて、Crをドープしたイットリウムガーネット(YAG)を合成し、得られた結晶の実体顕微鏡及び走査型電子顕微鏡による結晶形態・表面構造等の観察結果と4軸回折計による結晶学的データを報告する。
  • 田邊 朋子, 阿部 利弥
    セッションID: R2-P25
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    比較的低温で結晶育成が可能なフラックス法を用いてコランダム結晶を合成し、不純物による結晶外形の変化を調べることを目的とした実験を行った。実験に使用したフラックスはLi2O-MoO3であり、フラックス組成をモル比でLi2O:MoO3=1:2とし、Al2O3をフラックスに対して5wt%、最高温度を1050℃とした時、結晶の量・質ともに良い結果が得られた。得られた結晶はc(0001)面、r(10-12)面、n(11-23)面が発達したものが多かった。不純物としてCr3+、Ti4+を加えた場合もc面、r面、n面の発達が見られ、本研究において不純物を加えなかった場合と大きな違いはなかった。
  • 大井 修吾
    セッションID: R2-P26
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、Al、Ca、Fe(3+)を含んだ斜方輝石単結晶を育成することができた。Caを含んだ斜方輝石を用いた高温その場粉末X線回折実験では、低温型斜方輝石から高温型斜方輝石への相転移が1150度で観察できた。また、Fe(3+)を含んだ実験では、プロト輝石と低温型斜方輝石が共存しており、それぞれ化学組成が異なっていた。これらのことは、Mg端成分の斜方輝石では観察が困難であり、MgSiO3近傍の複雑な相関系を考えるにあたり、flux法は有効な手段であると考えられる。
R3:高圧科学・地球深部
  • 松井 正典, 岡本 義広, 入舩 徹男, 肥後 祐司, 舟越 賢一
    セッションID: R3-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    我々は今回、SPring-8に設置の川井型大容量マルチアンビル高圧発生装置を用いて、NaCl結晶のP及びS波速度と密度を、室温下で圧力12 GPaまで、473及び673 Kの高温下で圧力8 GPaまで同時精密測定することにより、圧力の絶対測定を行い、それらの結果を用いてNaClのT-P-V 状態方程式(EOS)の導出を行ったのでその結果を報告する。解析は、体積弾性率と密度についての4次のBirch–Murnaghan有限歪み式とMie–Gruneisen–Debye型熱圧力関係式を組み合わせて行った。得られた状態方程式モデルが、今回測定された高温高圧下における体積弾性率と密度の関係のみならず、既存の、常圧下におけるNaClの体積熱膨張率とその温度依存を極めて高精度で再現できることを見出した。このことは、今回のNaCl(絶対)圧力スケールの高い信頼性を保証するものであろう。
  • 糀谷 浩, 大畑 円佳, 赤荻 正樹, 井上 徹
    セッションID: R3-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    (Mg,Fe)2SiO4リングウッダイトは、マントル遷移層における主要構成鉱物であると考えられている。Mg2SiO4リングウッダイトの高温熱容量は過去に測定がなされているが、理論計算による値と調和的ではなかった。そこで、本研究では、示差走査熱量測定を行うことにより300-850 Kの温度範囲での高温熱容量を再決定した。測定結果は、過去の報告値よりも3%-5%大きな値を示し、理論計算値と調和的であった。850 K以上での熱容量は、格子振動モデル計算により推定された。本研究による熱容量を用いると、高温下では従来よりも大きなエントロピーが与えられる。このため、Mg2SiO4リングウッダイトの高圧高温下での熱力学的安定性は再検討される必要があるだろう。
  • 出倉 春彦, 土屋 卓久, 土屋 旬
    セッションID: R3-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    高温高圧下における第一原理格子熱伝導率計算手法を開発し、MgSiO3 ペロブスカイト及びポストペロブスカイト構造の下部マントル条件下における格子熱伝導率を決定する。
  • 小野 重明
    セッションID: R3-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    第一原理分子動力学法[1]を用いて、300~6000K、60~400GPaの条件で計算を試みた。内核に相当する温度圧力条件において、FeSi相の状態方程式と地震波速度を見積もることができた。内核条件では、FeSiの密度は、hcp-Feよりも小さい。また、FeSiの地震波速度(VpとVs)は、hcp-Feよりも、かなり大きいことが示された。
  • 赤荻 正樹, 白子 雄一, 遊佐 斉, 糀谷 浩, 山浦 一成
    セッションID: R3-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    著者らの最近の研究で、CaRuO3, CaRhO3, NaNiF3, NaCoF3は高圧下でぺロブスカイト(Pv)-ポストぺロブスカイト(P-pv)転移を起こすことが見出された。これらを含め、多数のPv-P-pv転移を起こすABX3化合物の結晶化学的特徴について考察した。それに基づいて、NaNiF3は、P-Pv相が急冷回収でき、20GPa以下の圧力でPv-P-pv転移が起こるため、100GPa以上で起こるMgSiO3Pv-P-pv転移の低圧での良いモデルになることを議論した。
  • Miletich Ronald, Gatta Diego, Merlini Marco, Willi Thomas, Schmitt Mar ...
    セッションID: R3-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    The isostatic compression of cordierite revealed a displacive phase transition occuring at 7 GPa accompanied by a orthorhombic-to-triclinic symmetry breaking. The static elasticity of the orthorhombic low-P form of cordierite is evidences anomalous softening as indicated by the pressure derivative of the bulk modulus (dK/dP = -0.6) on approaching the critical transition pressure between 6.9 and 7.4 GPa. In-situ XRD and Raman spectroscopy reveal that the compression is independent on the pressure media, and molecular species in the structural channels remain unchanged. The study in the DAC shows that neither P-induced de- nor overhydration occurs under the given pressure conditions. 
  • 富岡 尚敬, 奥地 拓生, Purevjav Narangoo, Guo Xinzhuan
    セッションID: R3-07
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、ブルーサイトの格子定数の水素同位体比依存性と、高温高圧下での水素—重水素相互拡散係数の決定を試みた。ブルーサイトのa軸は水素同位体比に依存せずほぼ一定であるが、Mg(OD)2のc軸はMg(OH)2に比べて0.3%ほど小さい。ブルーサイトの水酸基はc軸に配向しており、OD基の換算質量はOH基より大きいため、OD振動のエネルギー固有値はOH基より小さい。このことが、c軸長の減少をもたらしていると考えられる。1.8 GPa,300°Cの実験の拡散プロファイルから得られたH-D相互拡散係数は10-15m2/sオーダーであった。また、Mg(OH)2中でのH-D相互拡散係数は、Mg(OD)2中のものより4倍ほど大きいことが明らかになった。これは換算質量やc軸の水素同位体比依存性から推測される、ODより大きなOH振動の固有値とも整合的である。
  • 川添 貴章, 西原 遊, 大内 智博, 西 真之, 丸山 玄太, 藤野 清志, 肥後 祐司, 舟越 賢一, 入舩 徹男
    セッションID: R3-08
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    ウォズリアイトのクリープ強度(粘性率)はマントル遷移層におけるダイナミクスを理解するために必要不可欠な物性である。ウォズリアイトの加水軟化が起きる場合、マントル中の水の不均質分布が粘性率の不均質を引き起こす可能性がある。高温高圧変形実験・クリープ強度測定は、SPring-8においてDIA型変形装置を用いて行った。応力および発生圧力は単色放射光X線を用いた二次元回折パターンによって、歪は歪マーカーのX線透過像によって測定した。含水量は赤外分光法によって定量した。15-16 GPa・1400-1700 K・歪速度3.2-14.5 × 10-5 s-1において210-1050 wt ppmの水を含むウォズリアイトのクリープ強度を測定した。クリープ強度は含水量の増加および温度の上昇にともない低下した。本実験結果によるとマントル遷移層上部には1-2桁に及ぶ粘性率の不均一性が存在すると考えられる。
  • 篠崎 彩子, 平井 寿子, 大藤 弘明, 大箸 和輝, 岡田 卓, 町田 真一, 鍵 裕之, 八木 健彦
    セッションID: R3-09
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では水素流体中へのケイ酸塩鉱物の溶解反応を明らかにすることを目的として、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧実験を行った。SEM, TEMを用いた相の同定、微小組織の観察から、2.5 GPaから15.0 GPa, 1500 K前後において、Mg2SiO4とH2を出発物質とした場合にはpericlase(MgO)が、MgSiO3とH2を出発物質とした場合にはpericlaseとforsterite(Mg2SiO4)が水素流体と共存する事が明らかになった。水素流体中にはSiO2に富むケイ酸塩が溶解すると考えられ、水流体中に溶解するケイ酸塩の組成と大きく異なることを示している。
  • 丸山 玄太, 西原 遊
    セッションID: R3-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    元素拡散は鉱物の流動特性や鉱物化学反応を支配する重要な素過程であり、地球マントルでの物質輸送を正しく理解する上で構成鉱物中の元素拡散の情報が欠かせない。そこで、かんらん石の端成分であるフォルステライトの反応帯成長実験を行った。実験条件を圧力7.4GPa,温度1673―1873Kとし、マルチアンビル型高圧発生装置を用いた。その結果、本研究の実験条件下では、フォルステライト中での主要元素(Mg, Si, O)の拡散速度は圧力・温度に依存せずSiが最も遅いことがわかった。このことから深さ約200kmまでのかんらん石のクリープはSiが律速すると考えられる。
  • 米田 明, 福井 宏之, 瀬戸 雄介, 筒井 智嗣, 内山 裕士, BARON Alfred
    セッションID: R3-11
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
      X線非弾性散乱法は不透明微小試料の弾性測定に最適の方法である。SPring-8のBL35XUで実施したX線非弾性散乱法によるCmcm-CaIrO3の結晶弾性測定の結果を報告する。
    今回の結果と、理論的計算やとDACによる圧縮実験の結果とを比較する。
  • 大谷 栄治, 境 毅, 柴崎 祐樹, 福井 裕史, 三部 賢治, 坂巻 竜也, 高橋 豪, 坂入 崇紀, 筒井 聡, Alfred B. ...
    セッションID: R3-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    X線非弾性散乱法を用いてhcp-Feの音速測定を室温および高温で行った。室温の測定は、167GPaまで測定し、高温での測定は62GPa, 1000 Kまで行われた。測定はSpring-8の精密非弾性散乱ビームラインBL35XUにおいてダイヤモンドアンビルを用いて行われた。hcp-FeのP波速度と密度の間には線形の関係(Birch’s law)が成り立ち、高温の測定結果は室温の結果と同じ線上にプロットされた。このことから、少なくとも1000 KまではBirch7s lawには温度依存性が存在しないことが明らかになった。
  • 鍵 裕之, 小竹 翔子, 石橋 秀巳, 三河内 岳, 佐竹 渉, 小豆川 勝見, 松尾 基之
    セッションID: R3-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    ダイヤモンド中の包有物に含まれる金属イオンの価数は、地球深部の酸化還元状態に関する直接的な情報を与えうる。本研究では、酸素フガシティを制御した条件でフェロペリクレースを合成し、酸素フガシティに対してCr2+/SCr比がどのように変化するかを調べた。Odake et al. (2008)で報告されたフェロペリクレース包有物と同様の化学組成をもつ酸化物混合物を出発試料とした。H2-CO2混合ガスで酸素フガシティを調整し大気圧条件下で48時間、出発試料のペレットを加熱した。Cr-XANESスペクトルは、ペリクレース中のCr2+/SCr比が酸素フガシティに依存せず、フェロペリクレースの結晶構造に規定されたものであることを示唆した。したがって、下部マントル起源のダイヤモンドに含まれるフェロペリクレース中で見いだされたCr2+は、下部マントルが極度に還元的であることの直接的な証拠にはならない。
  • 西原 遊, 川添 貴章, 西 真之, 大内 智博, 肥後 祐司, 舟越 賢一, 入舩 徹男
    セッションID: R3-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    マントルの660km 付近では沈み込むスラブから剥離する可能性がある。この剥離が起こるか否かは海洋地殻と周囲のマントルの塑性強度によって決まるが、マントル深部条件での関連物質の塑性強度は分かっていない。このため、海洋地殻の主要鉱物メージャライト(Mj)と周囲のマントルの主要鉱物リングウッダイト(Rw)の変形実験を圧力約17GPa、温度1473-1673K の条件下で行い、両鉱物の相対塑性強度を調べた。実験ではSPring-8、BL04B1 に設置のSPEED-MkII-D を用い、MjとRwを同一の温度、圧力、差応力条件下で変形した。その結果をもとに現実のマントルの歪速度に外挿すると、Mj の塑性強度はRw のそれと同程度かそれ以下であった。現実のマントルでも本実験での変形機構と同一の変形機構が働くと仮定すると海洋地殻成分の剥離は起こらないことが示唆される。
  • 大内 智博, 入舩 徹男
    セッションID: R3-15
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    上部マントル深部条件下(P = 7.2−9.6 GPa, T = 1400−1770 K)における、かんらん石の単純せん断変形実験を行った。9.6GPaの水に乏しい条件下においては、C-typeファブリックの発達が観察された。一方、やや水の多い条件下においては、B-typeファブリックの発達が観察された。さらに水の多い条件下においては、A-typeファブリックの発達が観察された。実験で得られたかんらん石ファブリックの地震波速度異方性と観測結果(1次元グローバルモデル)を比較した結果、水に乏しいかんらん石の水平方向の流れが観測結果の速度異方性を最も良く再現することが明らかとなった。一方、East Pacific Riseにて報告されている速度異方性の異常は、上部マントル深部におけるA-typeファブリックの発達(すなわち水に富んだ領域の分布)によって説明される。
  • 土屋  旬, 土屋 卓久
    セッションID: R3-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    In order to investigate the transportation process of water into the Earth’s interior, we investigated the elasticity of antigorite, chlorite, and talc by the first-principles calculation. We confirmed that trench parallel polarization anisotropy can be produced by the lattice preferred orientation of these hydrous minerals. We also found that the polarization direction is drastically changed by tilting the foliation plane and the trench normal fast polarization observed in the back-arc region can also be explained by the preferred orientation of these minerals.  
  • 則竹 史哉, 河村 雄行
    セッションID: R3-P01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では溶融珪酸塩における構造と物性の圧力変化、および塩基度の効果を明らかにするために分子動力学法(MD)を用いて、CaO-nSiO2系についてシミュレーションを行った。シミュレーションの結果から塩基性の液体では圧力とともにSiおよびOの自己拡散係数が単純に減少してくことが確認されたが、酸性の液体ではそれらの自己拡散係数がある圧力から増加していくことが確認された。塩基性の液体はCaイオン及びSiO4モノマー、ダイマーで主に構成されており、イオン性液体のように振舞うが、酸性の液体はCaイオン及び-Si-O-ネットワークで構成されており圧力に対して特異な挙動を見せる。酸性の液体では、ネットワークの発達によりSi原子およびO原子の拡散機構はネットワークの組み替えによるものになるが、その機構が圧力による構造の歪み、及びネットワークの変形の自由度の増加により起りやすくなっていることが推測される。
  • 浦川 啓, 小原 真司, 舟越 賢一, 三部 賢治, 亀卦川 卓美
    セッションID: R3-P02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    含水SiO2ガラスの構造を7GPaまでの圧力でX線回折実験から調べた。圧縮に伴い構造因子S(Q) に無水の石英ガラスと同様の変化が認められた。MD計算と動径分布関数から,S(Q)の変化はSi-Si距離の縮小と関連していることが分かった。これはSiO4四面体の連結した中距離構造の縮小化と対応している。室温圧縮に対する石英ガラスの構造の変化については無水も含水も大きな差異はないことが分かった。
  • 井上 徹, 有馬 寛, 服部 高典, 佐野 亜沙美
    セッションID: R3-P03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    昨年末にJ-PARC BL11 ”PLANET” ビームラインに(株)東芝製特注品の中性子カメラが導入された。その機構は、入力面には濃縮ホウ素B-10を反応膜として用い、10B(n, α)反応で発生したα線でCsI蛍光体を発光させるシステムになっている。この方式では、α線の飛程は約4 μmであるため、従来用いられてきたGdタイプ よりも高空間分解能で高精細なイメージングが可能とされている。また、パルス中性子である特徴を生かすため、エネルギー選別した画像も収集できるようにブランキング機能を搭載させている。画像の空間分解能をできるだけよくするためには、カメラの入力面は高圧装置に可能な限り近づける必要があり、そのためには従来の装置よりコンパクトなものにする必要があり、その工夫もなされている。本講演では、本中性子カメラの特徴について概説するとともに、J-PARC BL11 ”PLANET” ビームラインでのテスト実験結果について報告する。
  • 増野 いづみ, 大谷 栄治, 境 毅, 浜田 麻希, 中野 智志, 赤坂 正秀, 平尾 直久
    セッションID: R3-P04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では下部マントル圧力条件でのFe3+を含むMg-ペロブスカイトの状態方程式を求めることにより、鉄のスピン転移による影響の有無を調べることを目的とした。NaClおよびNe圧媒体を用いてX線回折実験を行った。NaCl圧媒体の実験では、各測定時にアニールはしていない。一方Ne圧媒体では各測定前にレーザーを用いて1800K程度で加熱アニールした。高圧でアニールをしていないNaCl圧媒体による測定は、Ne圧媒体を用いた測定とは一致せず、大きな格子体積を示した。この違いは、試料部の静水圧性の違い、アニーリングの有無によるFe2+/Fe3+の違いによる可能性もある。Ne圧媒体を用いたX線回折実験では、圧縮データは62GPaまでの圧力範囲では格子体積の圧縮挙動について不連続的な変化は見られなかったが、b/aについては、50GPa付近で不連続に見える変化が認められた。
  • 鈴木 昭夫
    セッションID: R3-P05
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    CO2が高圧下でのメルトの粘度に与える影響について報告する。研究対象にはDiopside (CaMgSi2O6)組成およびJadeite (NaAlSi2O6)組成のメルトにCO2を加えたものを選んだ。実験は2~6 GPaの圧力範囲で行った。
  • 岡田 卓, 八木 健彦
    セッションID: R3-P06
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    高圧H2O氷VII及びVIIIの10~15GPaにおける様々な異常報告の真偽を確かめるため、プロトン伝導率を40GPaまで測定した。それは圧力増加と共にはじめ上昇し、約10GPaで3GPaよりも1桁大きい極大値を取った後、圧力増加に伴って低下した。この圧力依存性の10GPaにおける逆転は、律速過程がプロトンのジャンプから回転に変化したことで解釈できる。これらの結果は氷の相図の再考を促す。また氷惑星深部での進化やダイナミクスの理解の助けとなるだろう。
  • 瀬戸 雄介
    セッションID: R3-P07
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    格子選択配向や格子歪みといった要素は岩石のバルク物性を考えるうえで重要である。本研究ではコンピュータ上で模擬的な多結晶体の二次元回折図形をシミュレーションし、撮影した図形と一致するようにモデルを逐次的に改良することで、配向性と応力場の同時解析を行う方法を開発した。すなわち、各逐次ステップについて、偏った方位分布を乱数的に発生させ、元の方位分布に加減算することで、任意の方位密度分布を再現する。また、各ステップで応力テンソル成分を微小量変化させることでデバイリングの歪み(=格子歪み)をフィッティングする。この解析手法を検証するため、Al2O3, CaIrO3, CaCO3, Feなどの多結晶体を用意し、SPring-8やPFでX線回折実験を行い、本手法の妥当性を検討した。
R4:地球表層・環境・生命
  • 市村 康治, 村上 隆, 実松 健造, 昆 慶明, 高木 哲一
    セッションID: R4-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    稲田の花崗岩の風化により産するラブドフェーンはハロイサイトと共に析出している産状が観察された。ラブドフェーンのSm/LaやEu異常はCe異常と負の相関をもつことがわかった。このことから、鉱物化までの移動量の大きさによるCe(III)の酸化分別とハロイサイトとの作用によるラブドフェーンへの中重希土類の濃集が同時に進行したと考えられた。したがって、よく分別したラブドフェーンのCe異常の値が古い時代の酸化還元状態の理解のために有効と考えられる。
  • 小暮 敏博, Drits Victor A, 森 潔史, 木村 吉秀, 高井 義造
    セッションID: R4-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    多角形構造のpolygonal halloysiteについて、HRTEM観察を含めた様々な手法で解析し、その詳細を明らかにした。試料はロシアバイカル湖Olkhon島産の斜長石の風化によって形成されたhalloysiteである。FE-SEMによる観察では、四角柱から始まり様々な多角形構造のチューブが確認できた。断面TEM観察では正18角形の結晶が見られ、ミニマムドーズシステムを用いた分散試料のHRTEM観察では、チューブを構成するkaolinite層のほとんどがその(110)面(これはkaolinite層の構造中の鏡面になっている)をチューブの軸に垂直にして積層しており、その層間はkaoliniteに見られるt2の層間のずれがほぼランダムに形成されていることが明らかになった。
  • 菅崎 良貴, 村上 隆
    セッションID: R4-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    初期原生代、特に25-20億年前における酸素濃度上昇は他の温室効果ガス(二酸化炭素・メタン)の変動と、さらにそれと関連した全球凍結事変と強く関連していると考えられているがこれらのガスの定量的見積もり・関係性はいまだ明らかにされていない。我々は初期原生代の大気、水と直接相互作用し形成した古土壌を用い、二酸化炭素・酸素分圧の推定を同時に行った。二酸化炭素は陽イオン溶脱の解析により推定できる。この際、風化時のpH、間隙水中の陽イオン濃度も見積もられる。これらの水質条件は、Fe解析による酸素分圧推定に影響を与えると考えられる。見積もられる水質条件下で、古土壌中のFe解析から見積もられる酸素分圧は二酸化炭素雰囲気に矛盾しないものである。得られた初期原生代を通じての二酸化炭素遷移は氷河期に対応した変動を示し、酸素遷移は漸増を示した。
  • 渕崎 円香, 矢部 太章, 阿部 仁美, 福士 圭介, 長谷部 徳子, 柏谷 健二
    セッションID: R4-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    大陸内部に位置するモンゴルダルハド盆地は、後期更新世の間幾度かの氷河作用により氷河湖を形成し、気候変動に伴って放水と貯水を繰り返していたことが報告されている (Gillespie et al., 2008)。また近接するバイカル湖やフブスグル湖では、気候変動の応答として水質の変化が起こったことが推測されている。本研究ではダルハド盆地から掘削された湖沼堆積物を対象とし、鉱物学的分析から古湖沼水位と水質の復元を試みることを目的とする。堆積物コアのXRD分析により、深度によって炭酸塩鉱物の含有量に違いが見られた。また、ジプサムが特定の深度にのみ見られた。また、流入・流出河川の溶存イオンを測定すると、場所によってカルシウムイオンと炭酸イオン量が異なることが分かった。これらの分析結果から、古ダルハド湖の水質・水位変動を推定していく。
  • 佐久間 博, 河村 雄行
    セッションID: R4-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    鉱物表面に吸着した水の安定性の評価は、断層を構成する鉱物の摩擦係数や地殻における流体の連結度を考える上で重要である。本研究では、白雲母表面間に挟まれた薄膜水を表面間から排出するのに必要な差応力を、第一原理電子状態計算と熱力学から算出することを試みた。
    結果として、白雲母表面に吸着した単分子層の水を排出するのに必要な差応力は約1 GPaとなった。この値の妥当性および計算方法について、発表において詳細に議論する。
  • 横山 正
    セッションID: R4-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    地表付近の岩石内部では,降水・乾燥・排水が断続的に起こるため,間隙が水で満たされていない不飽和状態になる。不飽和状態では,飽和状態と比べると鉱物表面の水の厚さが薄くなる。多孔質流紋岩を用いて,飽和・不飽和(水飽和率43%)両方の条件で溶解実験を行った結果,両条件下の溶解速度は9日経過後にはほぼ同じになった。したがって,空気が間隙の57%を占める状態でも,ほぼ全ての間隙表面が水で覆われて溶解が進むことが分かった。間隙表面の水の厚さは,BET比表面積値に基づき全体が同じ厚さの水で覆われているとすると,220 nmと計算される。一方,水銀圧入法の測定結果(平均間隙半径2.5 µm)を基にすると,水膜中の圧力(分離圧)の式と毛管圧の式とから,水膜厚さは約3 nmと計算される。これらのことから,約3–220 nmの厚さの水膜でも,ほぼ飽和の場合と同じ速度で風化を進める効果があることが分かる。
  • 西山 直毅, 横山 正
    セッションID: R4-07
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    地​球​表​層​に​お​け​る​地​質​媒​体​間​隙​中​は​、し​ば​し​ば​水​と​ガ​ス​が​混​在​す​る​水​不​飽​和​状​態​と​な​る​。​水​不​飽​和​状​態​で​は​、​鉱​物​表​面​の​水​膜​が​、​物​質​輸​送​や​溶​解​・​吸​着​等の鉱​物​-​水​相​互​作​用​に​対​し​て​重​要​な​役​割​を​もつ​。​し​た​が​っ​て​、​水​膜​の​有​無​や​厚​さ​を​予​測​し​、​ま​た​、​ど​の​よ​う​な​フ​ァ​ク​タ​ー​に​よ​っ​て​厚​さ​が​影​響​を​受​け​る​の​か​を​理​解​す​る​こ​と​は​重​要​で​あ​る​。​鉱​物​表​面​の​水​膜​は​、分​子​間​力​や​電​気​二​重​層​に​起​因​す​る​力​に​よ​っ​て​、​バ​ル​ク​の​水​を​引​き​付​け​て​厚​く​な​ろ​う​と​す​る​。​そ​の​吸​引​圧​(​分​離​圧​)​と​水​膜​厚​さ​の​関​係​は​、​D​L​V​O​理​論​に​基​づ​き​計​算​す​る​こ​と​が​で​き​る​。​​間​隙​​径​分​布​​が​異​な​る​岩​石​について、​間隙が水で飽和した状態から乾​燥​が進行していく​際​の​水​膜​厚​さ​の​変​化​を​予​測​し​た​​結​果​、​間​隙​径​分​布がシャープな場合は水膜厚さがほぼ一定であるのに対して、間隙径分布が​ブ​ロ​ー​ドな場合は​水膜厚さが大きく変化することが分かった。
  • 西山 理沙, 宗本 隆志, 福士 圭介
    セッションID: R4-08
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    モノハイドロカルサイト(CaCO3・H2O: MHC)は主に塩湖での産出が数例報告されている、天然での生成がきわめて稀な含水Ca炭酸塩鉱物である。MHCは天然では湖水のMg/Ca濃度比が10以上の湖で観察され、天然観察および室内合成実験から、MHCの生成にはMgが必要であることが指摘されているが、MHC生成におけるMgの効果はまだわかっていない。また、MHC生成におよぼすMg/Ca比の検討はよく行われているが、CO3濃度の影響を検討した研究はなく、MHCの生成に必要なCa、Mg、CO3濃度の詳細な条件は解明されていない。本研究では様々な濃度のCa、MgおよびCO3の初期溶液組成からの炭酸塩鉱物合成実験を行い、生成固体と溶液のキャラクタリゼーションからMHCの生成条件を明らかにし、MHC生成におけるMgの役割を解明した。
  • 白井 涼大, 北台 紀夫, 福士 圭介
    セッションID: R4-09
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    炭酸塩鉱物の準安定相であるモノハイドロカルサイト(MHC)は,室内実験では数時間から数日でアラゴナイトへと変質する一方(Munemoto and Fukushi, 2008),フブスグル湖等の湖底堆積物中では数10万年前に相当する深度においても存在することが知られている.MHCが長期間保存される原因の解明には,MHCの変質挙動についての詳細な理解が不可欠である.減衰全反射赤外分光法(ATR-IR)は水溶液中に鉱物が懸濁した状態で鉱物の変質過程をその場観察できる手法である.また測定時間がXRD等の他の分析法に比べて短く,高い時間分解能で変質過程を追跡できる.本研究ではATR-IR法を用いたその場観測により,水溶液中におけるMHCの変質挙動を明らかにすることを目的とし,実験を行った.
  • 宗本 隆志, 村上 隆
    セッションID: R4-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    地球表層環境における元素の挙動に影響を与える鉱物は熱力学的に安定とは限らず、準安定相が吸着体やトランスポーターとして重要な役割を果たしている。準安定相は時間の経過にしたがって安定相へと相変化するが、準安定相の相変化における収着元素の再固液分配についての検討はほとんどなされていない。モノハイドロカルサイトは古代湖や海水環境などといった地球表層環境で生成が確認される炭酸カルシウム鉱物の準安定相である。近年、有害無機イオンの有効な浄化材料として注目されている。本研究ではMHCの相変化に伴う鉛イオンの収着挙動の変化について検討を行った。
  • 金 惠眞, 小暮 敏博
    セッションID: R4-11
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    In the last year, we have reported that a travertine calcite from a hot spring near Yellow Stone National Park contains a considerable amount of sulfur (S/Ca atomic ratio ~ 0.06) and the calcite crystal shows c-type super-reflections in the electron diffraction patterns. The chemical species of sulfur was identified as SO42- by XPS analysis (Kim et al., 2011). In the present study, to find the model of SO42- incorporation in calcite, we have performed the synthetic experiments of calcite.
feedback
Top