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武内 美佑紀, 荒井 章司
セッションID: R7-09
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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東北日本弧、一の目潟から強く変形を受け、破砕された組織を有するかんらん岩捕獲岩を見出した。かんらん石が割れている様子や、輝石やスピネルが粉々になり引き伸ばされているような組織がみられ,このようなかんらん岩は今まで捕獲岩として報告のないものである。この捕獲岩はかんらん石と斜方輝石、単斜輝石、スピネルからなり、一ノ目潟のかんらん岩捕獲岩ではよくみられる角閃石や輝石-スピネルシンプレクタイトも含まれる。一ノ目潟から見出される一般的なレールゾライトと鉱物化学組成が変わらないこと、低温でできる二次的な鉱物を含んでいないことから、このかんらん岩捕獲岩は一ノ目潟深部のかんらん岩がマントル内で破砕されたものであると考えられる。
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Mohamed Zaki Khedr, Arai Shoji
セッションID: R7-10
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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Basal peridotites above the amphibolitic metamorphic sole outcropped around Wadi Sarami in central Oman ophiolite are the best example to understand the spatial extent of mantle heterogeneity and to examine peridotites-slab interactions. We recognized two types of lherzolites (A, B). The type-A lherzolites, being strongly foliated, lie directly above the sole and are overlain and/or surrounded by type B ones that are massive. Both lherzolites and harzburgites are similar in chemical properties to that observed for the abyssal peridotites. In type-A lherzolites, clinopyroxenes show higher contents in Al
2O
3 (up to 7.3 wt%), Na
2O (1.2 wt%),
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石丸 聡子, 荒井 章司
セッションID: R7-11
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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オマーンオフィオライトのマントルセクションに観察される岩脈はマグマ過程を検討する上で重要である.2011年度の現地調査で,オフィオライト最下部のレールゾライト中に,変形構造を切る白色の単斜輝岩脈を観察した.
この岩脈は,主に粗粒な単斜輝石 (CPX) からなり,かんらん石や斜方輝石,斜長石は観察されない.CPXのMg#は0.85程度(0.81-0.88)で,Al
2O
3,Cr
2O
3,TiO
2含有量はそれぞれ0.5-2.0 wt%,0.2-0.6 wt%,0.2-0.7 wt%である.変質相としてチタンに富むアンドラダイトやチタン石を含み,CPXは初生的にはよりTiに富んでいたことが示唆される.岩脈全体としてTiO
2に富み,Mg#が低いことから,分化した玄武岩質メルトからの結晶集積岩である可能性が考えられる.これらの結果に鉱物の微量元素などのデータを加え,更に詳細な議論をおこなう.
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秋澤 紀克, 荒井 章司, 田村 明弘
セッションID: R7-12
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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オマーンオフィオライトのマントルかんらん岩中で観察される調和的なダナイト脈は,中央海嶺下でマグマの通り道であったと考えられている.しかし,マグマがどのような化学的振る舞いをしながらマントル中を上昇していったのか明らかにされていない.そこで本研究では,セグメント構造がよく推定されている,北部オマーンオフィオライトで観察できる調和的なダナイトとその周辺のかんらん岩の記載・化学分析を通して,セグメント構造を反映したMORBの振る舞いを議論する.
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荒井 章司, 三浦 真, 山本 伸次, Vladimir R. Shmelev
セッションID: R7-13
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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超高圧ポディフォーム・クロミタイトに特徴的と思われる組織を見いだしたので報告する。チベットのルオブサ・オフィオライトの超高圧クロミタイトにはしばしば破砕したクロムスピネル粒子片の間隙をかんらん石が充填する組織が見いだされる。同様な組織は北極圏ウラルのライ・イズ地域の超高圧起源と思われるクロミタイトにも見いだされている。この様な組織は低圧クロミタイトには見いだされておらず,超高圧クロミタイトに特有のものである可能性がある。この組織は超高圧クロミタイトがマントル深部から固体状態で上昇したことを示している。
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松影 香子, 西原 遊, 辻野 典秀, 則竹 史哉, 櫻井 萌, 肥後 祐司, 高橋 栄一
セッションID: R7-14
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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本研究では地殻の代表的鉱物、斜長石の端成分、アノーサイト多結晶体のパルス法による弾性波速度測定を高温高圧その場観察の手法を用いて行った。その結果、常温常圧での弾性波速度は
VP = 7.01 km/s、
VS = 3.75 km/sとなった。アノーサイトの安定領域では、温度が上昇するとともに弾性波速度は急激に低下し、約240℃を境に上昇に転じ、およそ700℃でまた低下する。アノーサイトは常圧において237℃でP 格子から高温型I格子 に相転移することが知られており、速度変化はこの相転移に伴うものと考えられる。また、圧力を上げると
VSは低下し、
VP,
VΦは約3GPaまで変化しないかやや上昇するが、その後低下する。アノーサイトは準安定領域において2.5GPaで高圧型I格子に 相転移をするが、この速度低下は構造変化に伴うソフトニングによっていると考えられる。
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土屋 旬, 土屋 卓久
セッションID: R7-15
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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In the present study, the crystal structure, elasticity and vibrational properties of lizardite under pressure are determined using first principles techniques. At 10 GPa, very sudden elastic softening of elastic constants such as C
13 and C
33 was observed, associated with a slight change in the compressibility of
c axis. The calculated OH stretching frequencies remain almost constant up to 10 GPa, and then rapidly increase above 10 GPa. Compared with the experimental Raman spectra under pressure, there is a possibility that these anomalous elastic behaviors of lizardite may also be observed experimentally at about 5-8 GPa.
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星野 美保子, 渡辺 寧, 石原 舜三
セッションID: R7-16
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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モナズ石[(LREE)PO
4]は、火成岩や変成岩中の副成分鉱物として普遍的に産出する希土類リン酸塩鉱物である。近年、EPMAやLA-ICP-MSなどを用いて、モナズ石の化学ゾーニングに対応したU-Th-Pb同位体年代や母岩の生成履歴に関する研究が数多く行われている。一方、同様に産出する副成分鉱物としての褐レン石は、日本列島に産出する場合、Mn-richとMn-poorタイプに分けられ、それぞれ異なる希土類元素パターンを持つ。さらに、この2種類の褐レン石の母岩は、それぞれチタン鉄鉱系列と磁鉄鉱系列の花崗岩質岩石に対応しており、この鉱物の母石の起源の指標としての重要性も指摘された。そこで、希土類珪酸塩鉱物であるこの褐レン石と同様に、軽希土類元素(LREE)を主成分とするリン酸塩鉱物のモナズ石に対して正確な化学組成を決定して、モナズ石の生成機構とその母岩の起源の指標としての希土類リン酸塩鉱物の意義を解明することを研究目的とした。
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Khishgee Chinbat, 赤坂 正秀, 寛人 大平, Jargalan Sereenen
セッションID: R7-17
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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Gatsuurt deposit is one of gold deposits in the North Khentei metallogenic belt, the biggest gold productive province of Mongolia, and is located approximately 130 km north of Ulaanbaatar.This deposit consists of disseminated and vein type gold mineralization in early Devonian subvolcanic, early Paleozoic granitoid complex, and early Paleozoic meta-sedimentary rocks.
According to tectonic and geological setting, hydrothermal alteration, mineralogy and fluid inclusion study, Gatsuurt deposit is suggested as intrusion-related gold system.
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松本 晃, 米田 哲朗, 佐藤 努, 大竹 翼, 石山 大三, 高橋 亮平, 松葉谷 治
セッションID: R7-18
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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菱刈鉱山の鉱脈から広く産する脈石スメクタイトと鉱脈母岩中のものを比較し,生成環境を考察した.母岩スメクタイトはモンモリロナイト(Mt),脈石スメクタイトはモンモリロナイトとサポナイト(Sp)である.粒径解析の結果,平均層厚7~13nmの母岩Mtの中で粘土化の著しい変質岩中のものが大きい値を示し,脈石Spは11~14nmと大きいのに対し脈石Mtは7~9nmと小さいことが特徴的である.脈石Mtおよび母岩MtはδD=-73~-78‰,δ
18O=+11.0~+13.1‰,SpはδD=-82~-90‰,δ
18O=+4.1~+7.6‰の値を示す.母岩Mtは現在の湧出熱水と同様の温度・同位体組成を持つ天水起源の水から形成され,脈石Mtは鉱脈形成晩期から形成後の低温熱水活動期における溶解・再沈殿の産物であると示唆される.また,Spは脈石Mtとは異なった時期のより高温の熱水による生成物であると考えられる.
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佐藤 桂, 皆川 鉄雄, 加藤 丈典, 平田 岳史, 鈴木 和博
セッションID: R7-P01
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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本研究では,西南日本内帯の山陽帯に属する後期白亜紀花崗岩体〔広島花崗岩(複合)体〕内部の鉱床の形成条件・年代を調べる事を目的として,研究を開始した。今回は予察的研究として,岩体の南端である瀬戸内海 芸予諸島東部の大三島の大三島鉱山の花崗岩質岩2試料の記載およびその内の1試料の薄片から見出したモナズ石のCHIME年代測定を行なった。その結果,山陽帯の広島花崗岩の既報の年代と調和的な83.4 +/- 6.6 Ma(N = 51,2 sigma誤差表記)の年代が得られた。
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土屋 裕太, 鹿山 雅裕, 西戸 裕嗣, 能美 洋介
セッションID: R7-P02
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
会議録・要旨集
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放射線損傷をあまり受けていない若い年代のジルコンを対象に、CL発光の詳細を検証した。滝谷花崗閃緑岩(1.9-0.8Ma)Tm
3+に起因する青色領域の発光(365,460nm)を確認した。これは天然ジルコンからの初めての検出である。通常のジルコンにおいてみられる放射線損傷に伴う黄色領域の発光は確認できず、一方UV領域および青色領域にブロードで発光強度の高いピークを得た。年代が若い岩石のためUやThによる放射線損傷(メタミクト化)が進んでいないことによる。このCL発光は、線量応答を求められれば地質線量計へ活用できる可能性をもつ。
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福地 伸章, 木村 太郎, 松枝 大治
セッションID: R7-P03
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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本研究では東北日本白亜紀花崗岩類に伴う様々な産状の電気石を用いた.EPMA化学組成分析の結果,そのほとんどがアルカリグループに属し,schorl-draviteに分類される.花崗岩類中の電気石は各岩体により異なり,特にAl含有量は西南北海道,阿武隈帯,北上帯の順に高くなる.一方,ホルンフェルスに貫入するペグマタイト脈中の電気石は比較的Alに富むことから,電気石の組成が母岩の組成の影響を受けていると考えられる.また,流体包有物の検討結果によれば,流体包有物を含む電気石の組成はMgFe
-1置換や[Mg(OH)](AlO)
-1置換を示す傾向がある.このことは,電気石のMg含有量が流体の特性と活動に影響を受けている可能性があることを示唆する.
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佐藤 大介, 松本 一郎
セッションID: R7-P04
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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山陰地域中央部の地形は,北より島根半島,宍道低地帯および中国山地からなる。白亜紀~古第三紀基盤岩は中国山地側では広く露出しているが,島根半島および宍道低地帯では中新統~完新統に覆われ,露出が認められない。今回,宍道低地帯中央に位置し,後期中新世~鮮新世に活動した和久羅山デイサイト中から斑れい岩~閃緑岩質捕獲岩が見出されたので,岩石記載および鉱物化学組成分析を行い,捕獲岩について検討した。
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梅田 知幸, 松本 一郎
セッションID: R7-P05
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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西南日本中国地方中部地域の三郡帯の超マフィック岩体群は主にハルツバーガイトとダナイトで構成され、しばしばクロミタイトを伴っている。この地域では、ダナイトの存在比率が高い岩体ほど、クロミタイトが多く、ダナイト比率の高い岩体や場所を抽出した後に、クロムスピネルの化学組成を用いて鉱床賦存の有望地域の絞り込みが鉱床探査法として提案された(Matsumoto et al., 1997)。 本研究では、砕屑性のクロムスピネルの化学組成を調べ、多里−三坂岩体北部のクロム鉱山周辺では、45.4%という高いクロミタイト起源のスピネルの比率が明らかとなった。クロミタイト起源のスピネルの比率は、それぞれの岩体にて、0.0%~45.4%まで変化することがわかった。多里−三坂岩体北部以外で、ポテンシャリティが高い岩体として、持丸岩体(40.0%)、高瀬岩体(32.0%)、稲積山岩体(28.3%)が抽出された。
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山本 貴史, 安東 淳一, 大藤 弘明, 森下 知晃, 富岡 尚敬, 渡邉 克晃
セッションID: R7-P06
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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本研究の目的は、超低歪速度に起因する、オリビン中のFeのコットレル雰囲気を有する転位の存在が、マントル起源の変形オリビンにおいて普遍的な存在かどうかを明らかにする事である。化学組成分析の結果、Alpineタイプのペリドタイトにおいては、転位芯へのFeの濃集(Fo値として約0.4 % ~0.9 %の増加)が確認できたが、Xenolithsタイプのペリドタイトには転位芯への特定元素の濃集は認められなかった。Xenolithsタイプのペリドタイトの転位芯への特定元素の非濃集の原因は、微細組織観察の結果から以下の3つの可能性が考えられる。1)オリビンは上部マントル中でコットレル雰囲気を形成しない。2)高差応力(高歪速度)条件下ではコットレル雰囲気は形成されない。3)静的回復作用を受けた為に、一旦は形成されていたコットレル雰囲気が消失した。
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稲村 征之, 森下 知晃, 田村 明弘, Yildrim Dilek
セッションID: R7-P07
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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アルバニアに産するオフィオライト中の火山岩類の地球化学的特徴は東西で異なっており,東側は島弧的火山岩類,西側は中央海嶺的火山岩類の特徴を示すことがわかっている。ゴムシケ岩体は主にレールゾライトが卓越し,一部にダナイト,ガブロ,斜方輝岩脈が存在する.プーカ岩体は主に斜長石を含むかんらん岩とガブロ脈,トロクトライトから成り,大部分が強い変形を受けている.一部斜長石を含まないハルツバージャイトとダナイトが存在している.ゴムシケ岩体のレールゾライトの鉱物化学組成は中央海嶺かんらん岩に類似しており,中央海嶺下での5-13%の部分溶融で説明できる.プーカ岩体のかんらん岩は,岩石学的特徴、スピネル、単斜輝石の鉱物化学組成、枯渇したかんらん岩にMORBと平衡なメルトが付加して形成されたと考えられる.
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西脇 隆文, 安東 淳一, 大藤 弘明
セッションID: R7-P08
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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本研究では断層面に発達する組織である“鏡肌”の微細組織観察を行うことによって、それを形成する様な断層運動の素過程を考察する事を目的とした。試料はスイス東部に分布するGlarus衝上断層を構成する断層岩である。衝上断層は層厚1 m ~2 mの石灰岩層(Lochseiten石灰岩:LK層)中に発達し、断層面には鏡肌とそれに平行に伸びる条線が認められる。採取した試料に対し、鏡肌面に垂直、条線方向に平行な薄片を作成し、偏光顕微鏡、SEM、EBSD、TEMを用いた観察を行った結果、以下のようなことが考察された。1)LK層を構成する方解石粒子は断層運動の前段階において転位クリープによって塑性変形していた。その際の剪断応力方向は断層形成の応力方向と一致する。2)断層運動に伴う脆性破砕は初め断層面から約1cmの領域に集中し、段階的にサブナノスケールの領域に集中した。その結果、粒径数十nmの極細粒な方解石粒子からなる鏡肌が形成された。
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阿部 健康, 中村 美千彦, 佐々木 理, 小川 泰正, 山田 亮一
セッションID: R7-P09
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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スラブ由来のH
2O流体が周囲の岩石と起こす溶解析出反応は,H
2O流体に対する元素の溶解度によって支配されている.そこで本研究では,既存の溶解度測定方法を検討し,新しい実験手法を開発している.出発物質として割れ目の入った石英,蒸留水,LaPO
4組成の試薬粉末を用意し,ピストンシリンダーを用いて1GPa,700℃で1~3日間保持した.この実験により,石英中の割れ目がヒーリングし,H
2O流体が包有物として閉じこめられる.そのため,急冷後もH
2O流体の直接分析が可能になり,急冷結晶析出の影響をなくすことができる.また,回収した石英は,X線CTで体積を測定後,ICP-MSによる湿式分析を行うことで不一致溶解の評価も可能となる.今回,保持時間を変えて実験を行った結果,溶解度に桁で変化は見られなかった.今後は実験データを増やし,既存の実験結果との比較を行う予定である.
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森下 智弘, 松枝 大治
セッションID: R7-P10
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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西南北海道、館平に位置する館平マンガン鉱床は、先白亜紀堆積物起源の変成岩中に胚胎し、白亜紀石英閃緑岩の貫入による接触変成作用を被っている。本鉱床産鉱石中の主要な初生鉱石鉱物は、テフロ石、バラ輝石、満礬ザクロ石等であるが、二次的な鉱化作用に伴い菱マンガン鉱、黄銅鉱、輝コバルト鉱、ゲルスドルフ鉱の付加・再移動が見られる。 鉱石中のバラ輝石、鉱体上盤の塊状チャート中の石英、鉱体から離れた場所の縞状チャート中の石英中の初生包有物の検討した結果、それぞれ異なる塩濃度と均質化温度を示し、バラ輝石、縞状チャートの石英、塊状チャートの石英の順で高くなる傾向がある。一方、輝コバルト鉱-ゲルスドルフ鉱系固溶体組成の検討から、これらを含むバラ輝石の結晶化温度はおよそ450~550℃であったと推定される。 マンガン鉱石のREEパターンによれば、本鉱床は海底熱水活動に伴うマンガン化合物に由来する可能性が高い。
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髙橋 宏文, 中島 和夫
セッションID: R7-P11
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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北上山地には白亜紀花崗岩類が分布しており、その内部や周辺部には多くの金属鉱床が胚胎している。本研究では、北上山地の中でも南部に位置する5つの岩体を対象とし花崗岩の組織と鉱物化学に着目して花崗岩の貫入・固結と鉱床、熱水作用との関係を明らかにすることを目的とした。調査方法としては花崗岩組織や定量分析によって得られた温度・圧力に加え、Fe-Ti酸化鉱物の共生関係から離溶した時の温度と酸素分圧の推定を行った。地質圧力計やの地質温度計の結果から人首、千厩、内野、気仙川岩体は比較的浅所に貫入した花崗岩であると考えられ、Fe-Ti酸化物の分析結果から、これらの岩体中は酸素分圧が高いまま低温に推移したため、硫化物による鉱化作用を伴いやすかったと考えられる。
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小川 大貴, 中島 和夫, 村尾 智
セッションID: R7-P12
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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明延鉱山の持つ多金属性の原因を詳しく調べるために鉱石試料の再検討を行った。ここではインジウムの検討結果について報告する。本研究では白金脈・智恵門脈・銀星脈・竜星脈で各脈最低2つ以上のレベルから閃亜鉛鉱中のインジウム量とロケサイトの産状を検討することを目的とした。白金脈のの閃亜鉛鉱にはロケサイトの共生は見られなかった。智恵門脈の-12Lおよび-14L、銀星脈の-9L、-10Lの閃亜鉛鉱には最大20μmのロケサイトが多く含まれていた。竜盛脈の-9Lのサンプルの閃亜鉛鉱中には数μmのロケサイトが含まれていた。閃亜鉛鉱とロケサイトが共生部にはスズ石が入っていることが多く、インジウムとスズの鉱化作用は密接な関連があると思われる。インジウムが含まれているところは温度が高いとされており、延性破壊、脆性破壊が起こる要因の一つとして温度が考えられるので鉱脈の生成環境を明らかにすることができるかもしれない。
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渡邉 翔太, 林 謙一郎
セッションID: R7-P13
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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伊豆-小笠原弧の背弧リフト帯に位置するベヨネーズ海丘カルデラに形成された白嶺鉱床について鉱物学的,地球化学的にアプローチを行った.鉱石は閃亜鉛鉱を主とする塊状硫化鉱,鉱化火山岩,硬石膏帯の3つに区分した.鉱石組織については両面研磨薄片を作成しての透過光/反射光での観察に加え,SEM による観察を行った.硫黄同位体比では硫化鉱物は深度に依らず比較的均質で,硬石膏は海水に近くやや重く,重晶石はやや軽い値となった.流体包有物は鉱物によって均質化温度,塩濃度にばらつきが見られた.このような差異は変質した海水とマグマ起源の熱水および海水の混合率が鉛直/水平方向で異なるためであると考えられる.
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高須 晃, Kabir, Md Fazle, 中村 真祐子, 近藤 佑樹, 貝沼 雅亮
セッションID: R8-01
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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四国東部眉山地域三波川帯に分布するざくろ石藍閃石片岩の変成作用を明らかにした.斑状変晶ざくろ石核部の包有物の鉱物組み合わせより450-500℃,9-11 kbar(THERMOCALC)が得られる.また,斑状変晶がrの縁部の包有鉱物組み合わせは550-600℃,17-19 kbarを与え,エクロジャイト相変成条件を示す.粗粒の緑れん石と緑泥石は片理を構成する鉱物を包有し,これはエクロジャイト相変成作用の後の三波川変成作用に対応する可能性がある.
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坂野 靖行, 山田 滋夫
セッションID: R8-02
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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紀伊半島西部,飯盛地域の三波川帯石英片岩中よりセクターゾーニングを示すエジリンが見出された.セクターゾーニングを示すエジリン結晶は,X
Jdに富むエジリンマントルによって取り囲まれる.さらにこれらはX
Jdに乏しい最外縁部エジリンに取り囲まれる.この組織は急速な非平衡結晶作用の後にエジリンマントル(最外縁部エジリンも同様に)が周囲の鉱物と共に平衡条件下で形成されたことを示唆する.
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土谷 成輝, 平島 崇男
セッションID: R8-03
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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三波川帯高越地域に産する藍閃石(Gln)-緑簾石(Ep)-エクロジャイト(Ecl) に含まれるザクロ石(Grt)からローソン石(Lws)-Ecl相の鉱物共生を見出した.この母岩のMnに富む層には顕著なMn釣鐘型組成累帯構造を示すGrtが存在する.母岩のマトリクスの鉱物共生はGrt-Gln-Ep-オンファス輝石(Omp)-フェンジャイト-パラゴナイト(Pg)-石英である(土谷ほか,2010).Lws-Ecl相の鉱物共生はGrtに含まれるLws単結晶(約20μm)包有物とPg-Epから成る多相包有物(10-150μm)とOmp包有物(5-100μm)である.Omp包有物と隣接するGrtに地質温度計(Krogh 2000)を適用し,Lws-Ecl相の鉱物共生の安定領域と併せて考察した結果,この母岩は約530℃17kbarから約590℃20kbarへの累進的な
PT変化を記録していることが判明した.
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Orozbaev Rustam, Bakirov Apas, Yoshida Kenta, Hirajima Takao, Sakiev K ...
セッションID: R8-04
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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We describe the lawsonite decomposition textures found in garnets of the UHP Tlc-Grt-Cld schists, Makbal complex, northern Kyrgyz Tien-Shan. Garnet porphyroblast contains polyphase inclusions (PI) mainly consisting of Czo + Qtz + Ky ± Pg ± Mrg, Czo + Pg ± Chl and Czo + Cld ± Pg ± Chl. We suggest that these PI are products after lawsonite decomposition during isothermal decompression at lower pressure (16-22 kbar and 510-590 ºC).
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Setiawan Nugroho, Osanai Yasuhito, Nakano Nobuhiko, Adachi Tatsuro, Yo ...
セッションID: R8-05
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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Accretionary and metamorphic complex in South Sulawesi are recorded on the restricted area namely Bantimala and Barru Complex. Three types of eclogites are recognized in Bantimala Complex. The difference between each type is secondary phase minerals that present during retrogression.
P-T conditions of these eclogites were estimated using isochemical phase diagrams combined with garnet-clinopyroxene geothermometer yield 550-630 °C and 2.2-2.4 GPa. Garnet-biotite-muscovite schist from Barru area were estimated using same method combined with garnet-biotite geothermometer yield 580–640 °C and ~0.9 GPa. The U-Pb zircon geochronological data of metamorphic rocks from these complexes will be presented in the meeting.
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遠藤 俊祐, Wallis Simon, Solari Luigi
セッションID: R8-06
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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グァテマラ・モタグア断層帯に沿って分布する蛇紋岩メランジュ中には白亜紀の海洋沈み込みに伴う各種高圧変成岩ブロックを産する.これら高圧変成岩からはさまざまな年代値が報告されているが,変成履歴やテクトニクスとの関係は未解決の問題である.今回,モタグア断層帯北側の蛇紋岩メランジュから産したざくろ石角閃岩中に7段階成長を示すざくろ石を見出した.詳細な微細組織観察とシュードセクション解析により各ざくろ石の形成条件を見積もった.求められた複雑な変成履歴は,白亜紀カリブ地域における二回の海洋沈み込み帯の創生と熱的進化を記録したものと解釈される.
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Zhao Limin, Takasu Akira, Liu Yongjiang, Li Weimin
セッションID: R8-07
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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Blueschists accompanied by greenschists and pelitic schists occur along the Xiguitu-Tayuan fault in the Toudaoqiao area, northeastern China. The amphiboles in the blueschists are zoned from barroisite through winchite and magnesioriebeckite/glaucophane to winchite. The peak metamorphic conditions are defined by the mineral assemblages of magnesioriebeckite/glaucophane, epidote, high-Si phengite (Si<7.1), chlorite, albite, hematite and quartz. The
P-T conditions are estimated as
P = 400-450°C and
T = 12-13kbar. The occurrence of the blueschists along the Xiguitu-Tayuan fault strongly suggests the fault is the suture between the Ergun and the Xing`an blocks situated in the eastern portions of the CAOB.
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小畑 正明, 小澤 一仁, 苗村 康輔, 三宅 亮, 上田 匡将
セッションID: R8-08
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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昨年の連合大会の発表に続いて,チェコ産ざくろ石等化学組成ケリファイト(isochemical kelyphite)について報告する。この種のケリファイトはゼノリスでは知られているが,造山帯かんらん岩ではチェコのものが初産である。マントルかんらん岩の上昇減圧過程でまずざくろ石とかんらん石の反応により最初のケリファイトが形成し(kelyphite I),その後に残留ざくろ石の単独分解反応により等化学組成ケリファイト(kelyphite II)が形成した。最終ステージでAmp, Sp, Plからなる細粒のシンプレクタイト(kelyphite III)が形成して反応が止まったように見える。これら3種のケリファイトの鉱物学的な詳細と形成順序,形成条件について再検討した結果を報告する。
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纐纈 佑衣, 西山 忠男, 池田 剛, 榎並 正樹
セッションID: R8-09
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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ざくろ石中の石英が保持している残留圧力を,弾性体積変化モデルを用いて評価した.
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小林 記之, Simon Harley, 廣井 美邦, 平島 崇男
セッションID: R8-10
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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チェコ・ボヘミア山塊南部のLhenice shear zoneには、粗粒Grtを含む泥質片麻岩が産する。このGrtはリン(P)に乏しいコア(Stage 1)、Pに富むリム(Stage 2)、Pに乏しいoutermostリム(Stage 3)に区分され、Stage 1は700-900℃で1.5-2.3GPa、Stage 2 は730-830℃で1.0-1.3GPa、Stage 3は740-850℃で0.6-0.8Gpaの
P-T条件が見積もられる。CHIME年代測定から、Stage 1は337±4.3 Ma、Stage 2は335.4±7.2 Ma、Stage 3は334.9±3.9 Maが得られた。また、Grt中に“火山岩様包有物”が見出されることから、本岩体は、Stage 1~Stage 3の等温減圧後“火山岩様包有物”に再結晶・粗粒化をさせないほどの冷却過程が急速展開したと考えられる。
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中野 伸彦, 小山内 康人, 足立 達朗, M. Satish-Kumar, 大和田 正明, S. Jargalan, Ch. Boldba ...
セッションID: R8-11
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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モンゴル・アルタイ山脈に分布する高Al片麻岩にの形成過程検討した.
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Hafiz Ur REHMAN
セッションID: R8-12
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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We report multi-isotope geochemistry of the Himalayan HP and UHP eclogites. These eclogites were formed from the Permian Panjal Trap basalts. They were subdivided into Group-I and II. Group-I are HP and record P-T conditions at 704±92 ºC and 2.2±0.3 GPa. Group-II are UHP and record P-T conditions at 2.7-3.2 GPa and 757-786 ºC.
The
147Sm/
144Nd and
143Nd/
144Nd and
176Lu/
177Hf ratios and
176Hf/
177Hf ratios in Group-I yield isochrones from 38 to 42 Ma and 45 to 50 Ma, respectively. Whereas Group-II yield 45 to 53 Ma and 42 to 48 Ma, respectively.
The εNd vs. εHf plot indicates their protolith derived from ocean-island-basalts with a sediment component mixing.
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中村 文, 北村 雅夫, 河上 哲生
セッションID: R8-13
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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東南極リュツォ・ホルム岩体明るい岬に産する珪線石-黒雲母-ザクロ石片麻岩中のアルカリ長石(Akfs)とBtには、後退変成期に複数回にわたる流体流入があったことを示す特徴的な微細組織が存在する。1つめはzoned feldsparである。単結晶中にメソパーサイト、アンチパーサイト、ラメラのないPlが共存する。Btに接して見られ、Btに向かってOr成分に枯渇する。2つめはAkfsとBtの間に発達する鋸歯状境界である。鋸歯状Btは3-5 μm毎にAkfsのOr相の隣接部に選択的に発達する。これらの組織は、異なる温度条件下で、結晶粒間を含H
2O流体が通ったときにAkfs中のKを消費してBtを形成した際にできた。前者の組織は825-900
oCの条件下でラメラ形成前に、 後者の組織はラメラ形成後にできた。本発表では前者について詳述する。
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貝沼 雅亮, 高須 晃
セッションID: R8-P01
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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四国東部眉山地域の三波川変成帯は,点紋片岩と無点紋片岩が分布する.Faure(1983)は,高越‐眉山地域における三波川帯に,ダクタイル剪断帯が存在し,それが点紋帯と無点紋帯の境界に位置するとし,剪断帯中の蛇紋岩,変斑れい岩,ざくろ石角閃岩の存在を報告した.本研究では,ざくろ石と単斜輝石を含む泥質片岩または珪質片岩の薄層についての岩石記載を行う.これらは,点紋片岩分布域と無点紋片岩分布域の双方でみられる.点紋泥質片岩中の薄層は,珪質~泥質片岩であり,角閃石(コア:Na‐Ca角閃石,リム:Na角閃石),ざくろ石(Mnに富む),曹長石,単斜輝石(エジリン‐オージャイト),を含む.無点紋泥質片岩中の薄層は,珪質片岩であり,角閃石(コアとリム:Na‐Ca角閃石,マントル:Na角閃石),ざくろ石(Mnに富む),単斜輝石(エジリン‐オージャイト)を含む.後者に含まれるざくろ石は,前者のものよりCaに富む.
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松浦 弘明, 高須 晃
セッションID: R8-P02
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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四国中央部の三波川変成帯にはエクロジャイトを伴う,複数の異地性岩体が分布しており,東平岩体もその一つである.三波川変成帯における藍晶石は東平岩体のほかに石英エクロジャイト岩体,五良津東部岩体,肉淵岩体,瀬場泥質片岩からも確認されており、東平岩体では岩体の西部で含藍晶石角閃岩とし小女郎川沿いに分布している.藍晶石ざくろ石角閃岩は主にホルンブレンド,ざくろ石,ゾイサイト,藍晶石からなり、その他に,クリノゾイサイト(緑れん石),白色雲母(パラゴナイト,フェンジャイト),石英,不透明鉱物を含む.ホルンブレンド,ゾイサイトは定向配列する. ざくろ石本体は他の鉱物を包有していないため、平衡な関係といえるような鉱物は存在しないが周囲のFeに富む最外縁は角閃石や藍晶石,ゾイサイトとも接触しているため,ざくろ石最外縁は藍晶石を含むこれらの鉱物と平衡であると言える.
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吉本 紋, 小山内 康人, 中野 伸彦, 足立 達朗, 米村 和紘, 石塚 英男
セッションID: R8-P03
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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本発表では,黒瀬川帯に分布する青色片岩相の変成岩類に対して実施した年代学的な研究について報告する.五木地域の藍閃石フェンジャイト片岩から得られたジルコンのU-Pb年代値は,420-3300 Maであり,特に420-530 Maに年代が集中する.一方,阿南地域の珪岩からは,430-2500 MaのジルコンU-Pb年代が得られた.今回新たに得られた砕屑性ジルコンのU-Pb年代には,420 Ma以降の年代が認められない.このことから,420 Ma以前に存在した後背地から供給された堆積岩類が,海洋地殻起源の玄武岩と共に沈み込んだことが示唆される.また,円行寺の藍閃石岩に含まれる火成岩起源のジルコンからは,480-520 Maの原岩形成年代が得られ,この結果は砕屑性ジルコンの年代と矛盾しない.発表では,黒瀬川帯の他調査地域に分布する泥質片岩などのジルコンU-Pb年代も合わせて議論を行う.
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中村 大輔, 福井 康介, 苗村 康輔, 平島 崇男, Martin Svojtka
セッションID: R8-P04
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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チェコ共和国・ボヘミア山塊に産するNové Dvoryザクロ石橄欖岩体からスピネルを新たに発見した。そのスピネルを含む試料中では,楕円~円形のスピネル粒子がザクロ石もしくはケリファイト中の包有物として産している。そこで,スピネルが安定であった圧力をpyrope + forsterite = spinel + 2 enstatiteの反応とそれぞれの鉱物端成分の活動度補正を組み合わせて推定した。その結果,そのスピネルと斜方輝石が安定に共存していた圧力は3.0 GPa以下となった。 また,地質温度計-圧力計を用いて,最高温度圧力を推定したが,得られた温度圧力条件は,約800°C, 3.0 GPaから 1000°C, 4.5 GPaとなった。これらの観察と計算結果は,Nové Dvoryザクロ石橄欖岩体が3.0–4.5 GPaの最高圧力期の変成作用以前に沈み込みを経験していたことを示している
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石川 正弘, 河上 哲生, Satish- Kumar, 土屋 範芳, Grantham Geoff
セッションID: R8-P05
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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東アフリカ南極造山帯中央部のテクトニクスを解明するために,発表者らは2009年11月~2010年2月にかけて南極セールロンダーネ山地バルヒェン山において地質調査を実施した.今回新たに地質調査を行った結果,バルヒェン山には右横ずれ塑性剪断帯や巨大な塑性剪断帯(バルヒェンデタッチメント断層)が発達することが明らかとなった.これらの運動は東ゴンドワナ大陸と西ゴンドワナ大陸の衝突によって発達したと考えられ, escape tectonicsやextensional collapseが東アフリカ南極造山帯中央部(セールロンダーネ山地)でも起きていたと推測できる.
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宮崎 貴弘, 中村 大輔, 平島 崇男, Martin Svojtka
セッションID: R8-P06
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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ボヘミア山塊クフェールユニット東部のNové Dvoryに産するエクロジャイ中には稀に斜長石脈が存在する(試料ND110)。この斜長石脈はかつて部分溶融メルトでありその固結したものかどうかを検討した。まず、ザクロ石と単斜輝石の形状の比較や始原的マントルによって規格化したザクロ石と斜長石の微量元素組成のスパイダー図の比較によって議論した。その斜長石はRb、Ba、Srに富みザクロ石はそれらの元素に乏しい。また、斜長石脈中の単斜輝石は自形である。さらにザクロ石と単斜輝石の組成からの温度推定によりメルトの存在時期が最高変成期またはそれに近い時期であったことが示唆された。
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皆川 広太, 平島 崇男
セッションID: R8-P07
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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沈み込み帯の温度構造モデル計算によれば、一連の海洋地殻は高いP/T勾配を持ち、等深度においても海洋地殻の上部と下部で有意な温度差を持つとされている(Peacock & Wang, 1999)が、それが天然で確認された例はまだ少ない。北海道幌加内地域に産する神居古潭変成岩類は、低温で安定なローソン石青色片岩相当の地域と高温で安定な緑簾石青色片岩相当の地域に分帯され、後者は前者が累進的に変化したものと考えられていた(Shibakusa, 1989)。しかし本研究では、ローソン石が緑簾石青色片岩の鉱物共生を消費して成長している組織を発見し、更に変成鉱物の組合せや化学組成の比較により、ローソン石青色片岩相当の地域と緑簾石青色片岩相当の地域はそれぞれ独立した高いP/T勾配のもとで形成されたことが示唆された。これはモデル計算で指摘されている沈み込む海洋地殻内部の温度差を反映している可能性が高い。
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吉田 健太, 平島 崇男
セッションID: R8-P08
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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三波川変成帯四国中央部別子地域で採取した堆積岩由来の変成岩中に,二種類の異なる累帯構造を持つザクロ石を見いだした.Mnに富むコアを持つtype1ザクロ石とMnに乏しいコアを持つtype2はそれぞれ丸みを帯びた不定形のコアと,組成ギャップのある自形性の良いリムを持ち,昇温変成作用の際に融解イベントと流体の浸潤を被ったと考えられる.二種類のザクロ石の分布する領域は,片理面に調和的に並ぶ特にMnに富むザクロ石(type1’)によって境されているが,マトリクスの主要鉱物組み合わせと組成は二つの領域で同じである.本試料に観察されるザクロ石の二種類の異なる累帯構造は原岩堆積岩の組成不均質によって出来たものであると考えられる.
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田口 知樹, 榎並 正樹
セッションID: R8-P09
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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本発表では, 三波川変成帯に産する変泥質岩中のザクロ石の組成累帯構造の分類, その包有物, 特にパラゴナイトの産状, そして石英ーラマン圧力計の適用結果について報告する.
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米村 和紘, 小山内 康人, 中野 伸彦, 足立 達朗, Tun Naing Zaw, Punya Charusiri
セッションID: R8-P10
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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シャンタイ地塊/シブマス地塊境界に相当する可能性のある,中国南西部雲南省・ヌージャン地域,ミャンマー中央部–北部・モゴック帯およびタイ西部・インタノン帯に分布する変成岩の解析結果を報告する.各地域ともに低温高圧型の変成作用を被っていると考えられる.モナザイトEPMA年代より,ヌージャン地域およびインタノン帯は,200–210 Maに主要な変成作用を被っていると考えられる.一方,モゴック帯は,50 Maより若い年代を示し,インド亜大陸の衝突に関連する.変成年代測定の結果に基づくと,ヌージャン地域はインタノン帯に連続する可能性が高い.
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上村 謙一郎, 藤本 善航, 平島 崇男
セッションID: R8-P11
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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九州・八代地方の黒瀬川構造帯において,矢山岳石灰岩体の西方にはローソン石青色片岩(Lws-BS)が卓越する箱石サブユニットが分布することが知られているが,高圧変成作用を制約する正確な放射年代値については明らかになっていない. 箱石サブユニット中の変成泥質岩から白雲母K-Ar年代測定を行ったところ,280-299MaのK-Ar年代値を得た.試料中の白雲母の組成はSi=3.57-3.68(O=11) であり,片理を形成する白雲母中に低温高圧型の変成鉱物が普遍的に存在すること,並びに当該地域の最高変成条件(350℃,6-8kbar)から,得られた白雲母K-Ar年代値は,変成作用のピーク時の年代を示すと解釈できる.本研究で得られたK-Ar年代値は四国や和歌山の黒瀬川地域のBS相の変成岩の年代値とは異なるため,黒瀬川帯のLws-BSは地域により起源や形成時期が異なるのかもしれない.
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星出 隆志, 中村 美千彦
セッションID: R8-P12
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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プレートの沈み込み帯におけるマグマ発生や地震活動には、沈み込むスラブから放出される流体が重要な役割を果たしていると考えられている。従って、沈み込み帯の流体の分布を明らかにすることは、火山学や地震学における第一級の課題である。近年、地震波トモグラフィーやMT観測により、日本列島下の地殻やマントルの物性が詳細に明らかになってきている。そこで今回、地下深部での流体分布Geofluid Mapの作成に向け、地質学・岩石学の手法で得られている表層~地殻~マントルの地質・岩石データのコンパイルを行い、地質体スケールの平均岩相の組み合わせからなる「島弧岩相標準断面」を作成した。そして、各平均岩相について、実験的に得られている岩石の弾性波速度データを用いて平均弾性波速度を計算し、これを基にいくつかの典型的な「基本岩型」を提案する。
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野坂 俊夫
セッションID: R8-P13
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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前弧マントル起源と考えられる大江山オフィオライトのかんらん岩の岩石学的研究を行った結果,次のことが明らかになった:マイロナイトや脈における角閃石,フロゴパイト,緑泥石,かんらん石,斜方輝石などの高温交代鉱物の生成;産状と鉱物組み合わせに応じた角閃石組成の系統的変化;初生かんらん石を貫く細粒かんらん石脈の存在;細脈のホストかんらん石結晶内のMg-Fe拡散帯の存在。組織の観察,鉱物化学組成の分析,およびかんらん石拡散モデル計算に基づいて,岩体冷却期間における交代変質作用と変形作用の時系列と,流体浸透後の急速なexhumationが推定された。
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苗村 康輔, 平島 崇男, 小澤 一仁
セッションID: R8-P14
発行日: 2012年
公開日: 2014/06/10
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大陸衝突帯に産するマントル由来のザクロ石橄欖岩の起源として蛇紋岩や緑泥石橄欖岩が累進変成作用によって相転移したとする説が提案されてきた。本研究では新たに見いだした単斜輝石巨晶を用いてこの仮説を検証する。研究対象はチェコ共和国・ボヘミア山塊南部の小規模なザクロ石橄欖岩体であり、花崗岩質のグラニュライトに取り込まれて産する。ザクロ石橄欖岩の高圧鉱物共生はザクロ石+カンラン石 + 斜方輝石 + 単斜輝石 ± クロムスピネル ± 金雲母 ± 角閃石で構成され、その平衡条件はそれぞれ、約1000 ºC/3 GPaと推定されている。今回発見した単斜輝石巨晶は1-3 cmの直径をもち、周囲は比較的細粒なザクロ石橄欖岩共生に囲まれている。単斜輝石巨晶はカンラン石 + 斜方輝石 +Ca角閃石 + 金雲母 + アパタイト ± ferrite chromite ± ハットン石を包有し、コアからリムに向かってAl, Crが顕著に増大する:~ 2.0→3.0; Cr2O3:~ 0.5→~ 1.0 wt%。単斜輝石巨晶コアと包有物の形成条件をAl−Cr斜方輝石温度計で推定した結果、650−700 ℃を得た。単斜輝石巨晶リム部はマトリクスの輝石と同じ化学組成を示し、ザクロ石橄欖岩条件で再平衡されたと考えられる。以上の結果は、緑泥石橄欖岩が沈み込んでザクロ石橄欖岩に相転移した仮説を支持する。
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