日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2012年年会
選択された号の論文の253件中201~250を表示しています
R7:岩石・鉱物・鉱床一般
  • 武内 美佑紀, 荒井 章司
    セッションID: R7-09
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    東北日本弧、一の目潟から強く変形を受け、破砕された組織を有するかんらん岩捕獲岩を見出した。かんらん石が割れている様子や、輝石やスピネルが粉々になり引き伸ばされているような組織がみられ,このようなかんらん岩は今まで捕獲岩として報告のないものである。この捕獲岩はかんらん石と斜方輝石、単斜輝石、スピネルからなり、一ノ目潟のかんらん岩捕獲岩ではよくみられる角閃石や輝石-スピネルシンプレクタイトも含まれる。一ノ目潟から見出される一般的なレールゾライトと鉱物化学組成が変わらないこと、低温でできる二次的な鉱物を含んでいないことから、このかんらん岩捕獲岩は一ノ目潟深部のかんらん岩がマントル内で破砕されたものであると考えられる。
  • Mohamed Zaki Khedr, Arai Shoji
    セッションID: R7-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    Basal peridotites above the amphibolitic metamorphic sole outcropped around Wadi Sarami in central Oman ophiolite are the best example to understand the spatial extent of mantle heterogeneity and to examine peridotites-slab interactions. We recognized two types of lherzolites (A, B). The type-A lherzolites, being strongly foliated, lie directly above the sole and are overlain and/or surrounded by type B ones that are massive. Both lherzolites and harzburgites are similar in chemical properties to that observed for the abyssal peridotites. In type-A lherzolites, clinopyroxenes show higher contents in Al2O3 (up to 7.3 wt%), Na2O (1.2 wt%),
  • 石丸 聡子, 荒井 章司
    セッションID: R7-11
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    オマーンオフィオライトのマントルセクションに観察される岩脈はマグマ過程を検討する上で重要である.2011年度の現地調査で,オフィオライト最下部のレールゾライト中に,変形構造を切る白色の単斜輝岩脈を観察した.
    この岩脈は,主に粗粒な単斜輝石 (CPX) からなり,かんらん石や斜方輝石,斜長石は観察されない.CPXのMg#は0.85程度(0.81-0.88)で,Al2O3,Cr2O3,TiO2含有量はそれぞれ0.5-2.0 wt%,0.2-0.6 wt%,0.2-0.7 wt%である.変質相としてチタンに富むアンドラダイトやチタン石を含み,CPXは初生的にはよりTiに富んでいたことが示唆される.岩脈全体としてTiO2に富み,Mg#が低いことから,分化した玄武岩質メルトからの結晶集積岩である可能性が考えられる.これらの結果に鉱物の微量元素などのデータを加え,更に詳細な議論をおこなう.
  • 秋澤 紀克, 荒井 章司, 田村 明弘
    セッションID: R7-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    オマーンオフィオライトのマントルかんらん岩中で観察される調和的なダナイト脈は,中央海嶺下でマグマの通り道であったと考えられている.しかし,マグマがどのような化学的振る舞いをしながらマントル中を上昇していったのか明らかにされていない.そこで本研究では,セグメント構造がよく推定されている,北部オマーンオフィオライトで観察できる調和的なダナイトとその周辺のかんらん岩の記載・化学分析を通して,セグメント構造を反映したMORBの振る舞いを議論する.
  • 荒井 章司, 三浦 真, 山本 伸次, Vladimir R. Shmelev
    セッションID: R7-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    超高圧ポディフォーム・クロミタイトに特徴的と思われる組織を見いだしたので報告する。チベットのルオブサ・オフィオライトの超高圧クロミタイトにはしばしば破砕したクロムスピネル粒子片の間隙をかんらん石が充填する組織が見いだされる。同様な組織は北極圏ウラルのライ・イズ地域の超高圧起源と思われるクロミタイトにも見いだされている。この様な組織は低圧クロミタイトには見いだされておらず,超高圧クロミタイトに特有のものである可能性がある。この組織は超高圧クロミタイトがマントル深部から固体状態で上昇したことを示している。
  • 松影 香子, 西原 遊, 辻野 典秀, 則竹 史哉, 櫻井 萌, 肥後 祐司, 高橋 栄一
    セッションID: R7-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    本研究では地殻の代表的鉱物、斜長石の端成分、アノーサイト多結晶体のパルス法による弾性波速度測定を高温高圧その場観察の手法を用いて行った。その結果、常温常圧での弾性波速度はVP = 7.01 km/s、VS = 3.75 km/sとなった。アノーサイトの安定領域では、温度が上昇するとともに弾性波速度は急激に低下し、約240℃を境に上昇に転じ、およそ700℃でまた低下する。アノーサイトは常圧において237℃でP 格子から高温型I格子 に相転移することが知られており、速度変化はこの相転移に伴うものと考えられる。また、圧力を上げるとVSは低下し、VP, VΦは約3GPaまで変化しないかやや上昇するが、その後低下する。アノーサイトは準安定領域において2.5GPaで高圧型I格子に 相転移をするが、この速度低下は構造変化に伴うソフトニングによっていると考えられる。
  • 土屋 旬, 土屋 卓久
    セッションID: R7-15
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    In the present study, the crystal structure, elasticity and vibrational properties of lizardite under pressure are determined using first principles techniques. At 10 GPa, very sudden elastic softening of elastic constants such as C13 and C33 was observed, associated with a slight change in the compressibility of c axis. The calculated OH stretching frequencies remain almost constant up to 10 GPa, and then rapidly increase above 10 GPa. Compared with the experimental Raman spectra under pressure, there is a possibility that these anomalous elastic behaviors of lizardite may also be observed experimentally at about 5-8 GPa.
  • 星野 美保子, 渡辺 寧, 石原 舜三
    セッションID: R7-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    モナズ石[(LREE)PO4]は、火成岩や変成岩中の副成分鉱物として普遍的に産出する希土類リン酸塩鉱物である。近年、EPMAやLA-ICP-MSなどを用いて、モナズ石の化学ゾーニングに対応したU-Th-Pb同位体年代や母岩の生成履歴に関する研究が数多く行われている。一方、同様に産出する副成分鉱物としての褐レン石は、日本列島に産出する場合、Mn-richとMn-poorタイプに分けられ、それぞれ異なる希土類元素パターンを持つ。さらに、この2種類の褐レン石の母岩は、それぞれチタン鉄鉱系列と磁鉄鉱系列の花崗岩質岩石に対応しており、この鉱物の母石の起源の指標としての重要性も指摘された。そこで、希土類珪酸塩鉱物であるこの褐レン石と同様に、軽希土類元素(LREE)を主成分とするリン酸塩鉱物のモナズ石に対して正確な化学組成を決定して、モナズ石の生成機構とその母岩の起源の指標としての希土類リン酸塩鉱物の意義を解明することを研究目的とした。
  • Khishgee Chinbat, 赤坂 正秀, 寛人 大平, Jargalan Sereenen
    セッションID: R7-17
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    Gatsuurt deposit is one of gold deposits in the North Khentei metallogenic belt, the biggest gold productive province of Mongolia, and is located approximately 130 km north of Ulaanbaatar.This deposit consists of disseminated and vein type gold mineralization in early Devonian subvolcanic, early Paleozoic granitoid complex, and early Paleozoic meta-sedimentary rocks.
    According to tectonic and geological setting, hydrothermal alteration, mineralogy and fluid inclusion study, Gatsuurt deposit is suggested as intrusion-related gold system.
  • 松本 晃, 米田 哲朗, 佐藤 努, 大竹 翼, 石山 大三, 高橋 亮平, 松葉谷 治
    セッションID: R7-18
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    菱刈鉱山の鉱脈から広く産する脈石スメクタイトと鉱脈母岩中のものを比較し,生成環境を考察した.母岩スメクタイトはモンモリロナイト(Mt),脈石スメクタイトはモンモリロナイトとサポナイト(Sp)である.粒径解析の結果,平均層厚7~13nmの母岩Mtの中で粘土化の著しい変質岩中のものが大きい値を示し,脈石Spは11~14nmと大きいのに対し脈石Mtは7~9nmと小さいことが特徴的である.脈石Mtおよび母岩MtはδD=-73~-78‰,δ18O=+11.0~+13.1‰,SpはδD=-82~-90‰,δ18O=+4.1~+7.6‰の値を示す.母岩Mtは現在の湧出熱水と同様の温度・同位体組成を持つ天水起源の水から形成され,脈石Mtは鉱脈形成晩期から形成後の低温熱水活動期における溶解・再沈殿の産物であると示唆される.また,Spは脈石Mtとは異なった時期のより高温の熱水による生成物であると考えられる.
  • 佐藤 桂, 皆川 鉄雄, 加藤 丈典, 平田 岳史, 鈴木 和博
    セッションID: R7-P01
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    本研究では,西南日本内帯の山陽帯に属する後期白亜紀花崗岩体〔広島花崗岩(複合)体〕内部の鉱床の形成条件・年代を調べる事を目的として,研究を開始した。今回は予察的研究として,岩体の南端である瀬戸内海 芸予諸島東部の大三島の大三島鉱山の花崗岩質岩2試料の記載およびその内の1試料の薄片から見出したモナズ石のCHIME年代測定を行なった。その結果,山陽帯の広島花崗岩の既報の年代と調和的な83.4 +/- 6.6 Ma(N = 51,2 sigma誤差表記)の年代が得られた。
  • 土屋 裕太, 鹿山 雅裕, 西戸 裕嗣, 能美 洋介
    セッションID: R7-P02
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    放射線損傷をあまり受けていない若い年代のジルコンを対象に、CL発光の詳細を検証した。滝谷花崗閃緑岩(1.9-0.8Ma)Tm3+に起因する青色領域の発光(365,460nm)を確認した。これは天然ジルコンからの初めての検出である。通常のジルコンにおいてみられる放射線損傷に伴う黄色領域の発光は確認できず、一方UV領域および青色領域にブロードで発光強度の高いピークを得た。年代が若い岩石のためUやThによる放射線損傷(メタミクト化)が進んでいないことによる。このCL発光は、線量応答を求められれば地質線量計へ活用できる可能性をもつ。
  • 福地 伸章, 木村 太郎, 松枝 大治
    セッションID: R7-P03
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    本研究では東北日本白亜紀花崗岩類に伴う様々な産状の電気石を用いた.EPMA化学組成分析の結果,そのほとんどがアルカリグループに属し,schorl-draviteに分類される.花崗岩類中の電気石は各岩体により異なり,特にAl含有量は西南北海道,阿武隈帯,北上帯の順に高くなる.一方,ホルンフェルスに貫入するペグマタイト脈中の電気石は比較的Alに富むことから,電気石の組成が母岩の組成の影響を受けていると考えられる.また,流体包有物の検討結果によれば,流体包有物を含む電気石の組成はMgFe-1置換や[Mg(OH)](AlO)-1置換を示す傾向がある.このことは,電気石のMg含有量が流体の特性と活動に影響を受けている可能性があることを示唆する.
  • 佐藤 大介, 松本 一郎
    セッションID: R7-P04
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    山陰地域中央部の地形は,北より島根半島,宍道低地帯および中国山地からなる。白亜紀~古第三紀基盤岩は中国山地側では広く露出しているが,島根半島および宍道低地帯では中新統~完新統に覆われ,露出が認められない。今回,宍道低地帯中央に位置し,後期中新世~鮮新世に活動した和久羅山デイサイト中から斑れい岩~閃緑岩質捕獲岩が見出されたので,岩石記載および鉱物化学組成分析を行い,捕獲岩について検討した。
  • 梅田 知幸, 松本 一郎
    セッションID: R7-P05
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    西南日本中国地方中部地域の三郡帯の超マフィック岩体群は主にハルツバーガイトとダナイトで構成され、しばしばクロミタイトを伴っている。この地域では、ダナイトの存在比率が高い岩体ほど、クロミタイトが多く、ダナイト比率の高い岩体や場所を抽出した後に、クロムスピネルの化学組成を用いて鉱床賦存の有望地域の絞り込みが鉱床探査法として提案された(Matsumoto et al., 1997)。 本研究では、砕屑性のクロムスピネルの化学組成を調べ、多里−三坂岩体北部のクロム鉱山周辺では、45.4%という高いクロミタイト起源のスピネルの比率が明らかとなった。クロミタイト起源のスピネルの比率は、それぞれの岩体にて、0.0%~45.4%まで変化することがわかった。多里−三坂岩体北部以外で、ポテンシャリティが高い岩体として、持丸岩体(40.0%)、高瀬岩体(32.0%)、稲積山岩体(28.3%)が抽出された。
  • 山本 貴史, 安東 淳一, 大藤 弘明, 森下 知晃, 富岡 尚敬, 渡邉 克晃
    セッションID: R7-P06
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    本研究の目的は、超低歪速度に起因する、オリビン中のFeのコットレル雰囲気を有する転位の存在が、マントル起源の変形オリビンにおいて普遍的な存在かどうかを明らかにする事である。化学組成分析の結果、Alpineタイプのペリドタイトにおいては、転位芯へのFeの濃集(Fo値として約0.4 % ~0.9 %の増加)が確認できたが、Xenolithsタイプのペリドタイトには転位芯への特定元素の濃集は認められなかった。Xenolithsタイプのペリドタイトの転位芯への特定元素の非濃集の原因は、微細組織観察の結果から以下の3つの可能性が考えられる。1)オリビンは上部マントル中でコットレル雰囲気を形成しない。2)高差応力(高歪速度)条件下ではコットレル雰囲気は形成されない。3)静的回復作用を受けた為に、一旦は形成されていたコットレル雰囲気が消失した。
  • 稲村 征之, 森下 知晃, 田村 明弘, Yildrim Dilek
    セッションID: R7-P07
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    アルバニアに産するオフィオライト中の火山岩類の地球化学的特徴は東西で異なっており,東側は島弧的火山岩類,西側は中央海嶺的火山岩類の特徴を示すことがわかっている。ゴムシケ岩体は主にレールゾライトが卓越し,一部にダナイト,ガブロ,斜方輝岩脈が存在する.プーカ岩体は主に斜長石を含むかんらん岩とガブロ脈,トロクトライトから成り,大部分が強い変形を受けている.一部斜長石を含まないハルツバージャイトとダナイトが存在している.ゴムシケ岩体のレールゾライトの鉱物化学組成は中央海嶺かんらん岩に類似しており,中央海嶺下での5-13%の部分溶融で説明できる.プーカ岩体のかんらん岩は,岩石学的特徴、スピネル、単斜輝石の鉱物化学組成、枯渇したかんらん岩にMORBと平衡なメルトが付加して形成されたと考えられる.
  • 西脇 隆文, 安東 淳一, 大藤 弘明
    セッションID: R7-P08
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    本研究では断層面に発達する組織である“鏡肌”の微細組織観察を行うことによって、それを形成する様な断層運動の素過程を考察する事を目的とした。試料はスイス東部に分布するGlarus衝上断層を構成する断層岩である。衝上断層は層厚1 m ~2 mの石灰岩層(Lochseiten石灰岩:LK層)中に発達し、断層面には鏡肌とそれに平行に伸びる条線が認められる。採取した試料に対し、鏡肌面に垂直、条線方向に平行な薄片を作成し、偏光顕微鏡、SEM、EBSD、TEMを用いた観察を行った結果、以下のようなことが考察された。1)LK層を構成する方解石粒子は断層運動の前段階において転位クリープによって塑性変形していた。その際の剪断応力方向は断層形成の応力方向と一致する。2)断層運動に伴う脆性破砕は初め断層面から約1cmの領域に集中し、段階的にサブナノスケールの領域に集中した。その結果、粒径数十nmの極細粒な方解石粒子からなる鏡肌が形成された。
  • 阿部 健康, 中村 美千彦, 佐々木 理, 小川 泰正, 山田 亮一
    セッションID: R7-P09
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    スラブ由来のH2O流体が周囲の岩石と起こす溶解析出反応は,H2O流体に対する元素の溶解度によって支配されている.そこで本研究では,既存の溶解度測定方法を検討し,新しい実験手法を開発している.出発物質として割れ目の入った石英,蒸留水,LaPO4組成の試薬粉末を用意し,ピストンシリンダーを用いて1GPa,700℃で1~3日間保持した.この実験により,石英中の割れ目がヒーリングし,H2O流体が包有物として閉じこめられる.そのため,急冷後もH2O流体の直接分析が可能になり,急冷結晶析出の影響をなくすことができる.また,回収した石英は,X線CTで体積を測定後,ICP-MSによる湿式分析を行うことで不一致溶解の評価も可能となる.今回,保持時間を変えて実験を行った結果,溶解度に桁で変化は見られなかった.今後は実験データを増やし,既存の実験結果との比較を行う予定である.
  • 森下 智弘, 松枝 大治
    セッションID: R7-P10
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    西南北海道、館平に位置する館平マンガン鉱床は、先白亜紀堆積物起源の変成岩中に胚胎し、白亜紀石英閃緑岩の貫入による接触変成作用を被っている。本鉱床産鉱石中の主要な初生鉱石鉱物は、テフロ石、バラ輝石、満礬ザクロ石等であるが、二次的な鉱化作用に伴い菱マンガン鉱、黄銅鉱、輝コバルト鉱、ゲルスドルフ鉱の付加・再移動が見られる。 鉱石中のバラ輝石、鉱体上盤の塊状チャート中の石英、鉱体から離れた場所の縞状チャート中の石英中の初生包有物の検討した結果、それぞれ異なる塩濃度と均質化温度を示し、バラ輝石、縞状チャートの石英、塊状チャートの石英の順で高くなる傾向がある。一方、輝コバルト鉱-ゲルスドルフ鉱系固溶体組成の検討から、これらを含むバラ輝石の結晶化温度はおよそ450~550℃であったと推定される。  マンガン鉱石のREEパターンによれば、本鉱床は海底熱水活動に伴うマンガン化合物に由来する可能性が高い。
  • 髙橋 宏文, 中島 和夫
    セッションID: R7-P11
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    北上山地には白亜紀花崗岩類が分布しており、その内部や周辺部には多くの金属鉱床が胚胎している。本研究では、北上山地の中でも南部に位置する5つの岩体を対象とし花崗岩の組織と鉱物化学に着目して花崗岩の貫入・固結と鉱床、熱水作用との関係を明らかにすることを目的とした。調査方法としては花崗岩組織や定量分析によって得られた温度・圧力に加え、Fe-Ti酸化鉱物の共生関係から離溶した時の温度と酸素分圧の推定を行った。地質圧力計やの地質温度計の結果から人首、千厩、内野、気仙川岩体は比較的浅所に貫入した花崗岩であると考えられ、Fe-Ti酸化物の分析結果から、これらの岩体中は酸素分圧が高いまま低温に推移したため、硫化物による鉱化作用を伴いやすかったと考えられる。
  • 小川 大貴, 中島 和夫, 村尾 智
    セッションID: R7-P12
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    明延鉱山の持つ多金属性の原因を詳しく調べるために鉱石試料の再検討を行った。ここではインジウムの検討結果について報告する。本研究では白金脈・智恵門脈・銀星脈・竜星脈で各脈最低2つ以上のレベルから閃亜鉛鉱中のインジウム量とロケサイトの産状を検討することを目的とした。白金脈のの閃亜鉛鉱にはロケサイトの共生は見られなかった。智恵門脈の-12Lおよび-14L、銀星脈の-9L、-10Lの閃亜鉛鉱には最大20μmのロケサイトが多く含まれていた。竜盛脈の-9Lのサンプルの閃亜鉛鉱中には数μmのロケサイトが含まれていた。閃亜鉛鉱とロケサイトが共生部にはスズ石が入っていることが多く、インジウムとスズの鉱化作用は密接な関連があると思われる。インジウムが含まれているところは温度が高いとされており、延性破壊、脆性破壊が起こる要因の一つとして温度が考えられるので鉱脈の生成環境を明らかにすることができるかもしれない。
  • 渡邉 翔太, 林 謙一郎
    セッションID: R7-P13
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/06/10
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    伊豆-小笠原弧の背弧リフト帯に位置するベヨネーズ海丘カルデラに形成された白嶺鉱床について鉱物学的,地球化学的にアプローチを行った.鉱石は閃亜鉛鉱を主とする塊状硫化鉱,鉱化火山岩,硬石膏帯の3つに区分した.鉱石組織については両面研磨薄片を作成しての透過光/反射光での観察に加え,SEM による観察を行った.硫黄同位体比では硫化鉱物は深度に依らず比較的均質で,硬石膏は海水に近くやや重く,重晶石はやや軽い値となった.流体包有物は鉱物によって均質化温度,塩濃度にばらつきが見られた.このような差異は変質した海水とマグマ起源の熱水および海水の混合率が鉛直/水平方向で異なるためであると考えられる.
R8:変成岩とテクトニクス
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