以上見てきた如く,本地域の椎谷層中には北蒲原南部•新潟平野から五泉にかけての平野部にのみ分布する6層準(A~F)と,さらに新津丘陵にまで分布するこれより下位の2層準の砂がある。このうち,南阿賀油層を含むD層準はさらにI~VIに細分される。これらの砂について検討し以下のような結果を得た。
1) 連続コアの岩相と検層記録とを対照した結果,岩質の判定にマイクロログを併用し岩相の判読にディップメーターの4比抵抗曲線を利用する手法は有効である。
2) D層準は村松町南方早出川上流の供給源から五泉平野へ流れ込むfeeder channel (WALKER, 1978)を持ち,桑山•南阿賀付近でsubmarine fanを形成しさらに北方へ広がったタービダイトである。
3) 砂層の分布ならびに含まれる礫種からB, E, F層準はD層準と同様の供給源をもつタービダイトと考えられる。"古阿賀野川"ともいえるこれらタービダイトをもたらした流路は,椎谷層の厚く堆積した部分に位置する。C層準はその分布から異なる経路をもったタービダイトと考えられるが,その供給源についてはA層同様今後の問題として残される。
4) 桑山•南阿賀付近のD層準下部(I~V)は,岩相•分布形態からgrain flowにより運ばれ急速に沈積したchannel fillであり,側方へは急激な層厚変化により尖滅する。一方上部(VI)はfluid turbulenceにより運ばれ比較的緩やかに広く堆積した。この堆積機構の差から両者には貯留層としての性質に著しい差がある。
5) 椎谷期における堆積盆の分化ならびに差別沈降が顕著におこなわれたのは周知の事実であるが,この地域の椎谷層の砂の分布から見て新津•南阿賀背斜の隆起が顕著になったのはA層堆積後(椎谷期中期)と考察される。それ以後の砂層の分布もこれに大きく支配されている。
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