堆積有機物の熟成度の指標としてビトリニットの反射率がよく用いられるが,近年,エクジニットの螢光特性が注目されている。そこで,釧路炭田地域と石狩炭田空知地区から採取された試料を用いて,ビトリニットの反射率とエクジニットの螢光特性との相関を調べ,石炭化度の指標としてエクジニットの螢光特性の有効性を検討し,以下のような結果を得た。
1) 亜瀝青炭から高揮発分瀝青炭にいたる試料によって,反射率0.56~0.95%,スポリニットのλmax 497~536nm,スポリニットのQ
s 0.50~1.36,という測定値を得た。
2) スポリニットの螢光スペクトルの波形の変化は石炭化度の進行を顕著に表わす。
3) スポリニットの螢光特性値(λmax, Q
s)はビトリニットの反射率とよく相関し,スポリニットのλmaxとQ
sも良い相関を示す。
4) 釧路炭田地域内では,レジニットの螢光特性も石炭化度と良い相関を示し,石炭化度の有効な指標となりうる。
5) スポリニットの螢光特性は石炭化度の良い指標となることが判明し,さらにレジニットの螢光特性も有効な指標となりうる可能性がある。
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