道教は古代日本に影響を与える以前、すでに千年間の歴史があったと言われています。その間、道教を把握するために様々な流派がうまれていました。大和民族がどのような道教思想に影響を受けたのかを理解するため、この論文の最初にその千年間の歴史をまとめてみました。
さらに具体的にこの論文は、山城盆地が大和民族の社会、政治、文化の中心の地域になった時、道教の宇宙観が影響を与えたかどうかを考えてみます。換言すれば、道教の宇宙観の観点から山城盆地に設計した都市・建築と自然景観との関係を考察したものです。
本論文は3章から成ります。第一章は道教の基礎的な原理を分析して、道教について哲学的解釈と神秘的解釈からアプローチし、古代中国の伝承・伝説にみられる仙境と現実の地勢を融合された宇宙観の成立について。第二章は古代日本において中国伝来の道教がいかなる影響を与えたかについての研究。最後に、第三章は中国道教の宇宙観から見た山城盆地の形成の研究です。
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