日本庭園学会誌
Online ISSN : 2186-0025
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2009 巻, 21 号
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論文
  • 外村 中
    2009 年 2009 巻 21 号 p. 21_1-21_14
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    近年注目されている説によれば、飛鳥の須彌山石は、夷狄が当時の日本の朝廷に対して行う服属儀礼のための装置であったらしいとされる。そして、その儀礼は帝釋天や四天王に関連する神聖なあるいは呪術的なものであったらしいとされる。さらには、『倶舍論』にもとづきつつ、須彌山石と東大寺大仏蓮弁の須彌山図とには共通点が見られるので、須彌山石は意匠的にも須彌山を象徴したものであろうとされる。しかしながら、『日本書紀』や『倶舍論』などの内容を確認してみると、以上のように解釈することは適切ではなさそうである。須彌山石は、文化力誇示のための装置と見るほうがよいであろう。また、その意匠についても、さらに検討が必要であろう。
  • 高 傑, 章 俊華
    2009 年 2009 巻 21 号 p. 21_15-21_20
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    18世紀はじめの清朝最盛期に、中国北京における西北郊外の一帯の西山の峰々を背景にし、「三山五園」と称される大規模な御苑がつくられた。「三山五園」という名称の由来は、中国清時代の中末期に現れた説であり、暢春園、円明園、香山静宜園、玉泉山静明園、万寿山清猗園を指す。園林群地形の多様性により、さまざまな園林形態があり、人工山水園、天然山水園、天然山地園として営造されており、中国伝統的な造園手法及び思想が集まっている。2007年6月に「北京市文物修繕及び保護の長中期(2008-2015)計画」が公布された。その中で、頤和園を中心にする「三山五園」歴史風景区における基本的な空間構成及び歴史環境に関する回復計画が立てられ、歴史風景の再認識及び研究が求められる。本研究は「三山五園」における造山及び造水に関する空間構成及び営造の特徴を明らかにすることである。北京の西北郊外にある優れた自然山水の区域が選ばれ、皇家園林として利用されるだけではなく、生態機能も生かされる要因が分かった。山体と水体に関する空間構成関係は風水学に影響されたほか、礼制文化にも深く影響を与えられた。山体における園林建築の営造は政治意向が強く、水体の営造は自然に生かす特徴が見られる。自然の地形に基づき、園林施設の営造は自然山水を生かし、多様な借景の造園手法で設けられた。伝統的な歴史風景空間の修繕に対して、空間構成の物理要素だけではなく、豊かな人文景観要素も不可欠だと考えられる。
  • 白 志星, 徐 聖徹, 金 根鎬
    2009 年 2009 巻 21 号 p. 21_21-21_29
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    孤山尹善道の曲水堂庭園は敷地の中央を流れる自然の小川を庭園構成の端初として利用し、水景に重点を置いた統一感のある庭造りを見せている。曲水堂庭園の特徴的な水景の手法はまず川を堰き止めて水景空間を作り出していることである。さらに橋を堰き止として活用し、渓流の中に広い水面を持つ渓潭を造っていることは孤山ならではの特徴を見せるところと言える。
    曲水堂庭園は静的な水景が主となっている。それは隠遁と言う孤山の人文社会的な背景を土台にした観照の精神世界を見ることができ、これは水景に対する観賞においても眺めて楽しむことが主となる。
    曲水堂庭園は自然の中で直線が強調された護岸を成しており、単純明快な水景を見せている。
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