都道府県(47)と政令市・特別区(35)を対象に, 障害者雇用や就労支援に関する単独事業の実態調査を行なった(回収率100%)。結果, (1)雇用移行支援, 障害者雇用企業への支援, 障害者雇用に対する意識啓発の3領域が全実施件数の62.1%を占めた。(2)都道府県の方が政令市・特別区よりも実施率が高かったのは, 障害者の能力開発, 意識啓発, 雇用企業への支援の3事業であり, 双方のポイント差はそれぞれ, 10.0, 6.3, 5.0だった。(3)反対に, 障害者の雇用・就労機会の提供, 障害者の雇用移行支援, ネットワークつくりは政令市・特別区の実施率が高く, 都道府県とのポイント差はそれぞれ, 8.6, 7.1, 5.8だった。(4)実施内容として, 都道府県では, 障害者優良企業の表彰, 指導員・相談員・アドバイザーの配置, 雇用促進キャンペーンが全事業317件の31%に対し, 政令市・特別区では関連団体に直接/間接的に雇用, ネットワークつくり, 雇用移行支援拠点センターの整備が全事業130件の30%であった。地方公共団体の単独事業では, 広域の行政区域をもつ都道府県と, 障害者本人や事業主が直接享受できる支援を提供できる政令市町村が, 双方のバランスをどの様に取りながら就労支援を展開してゆくかが重要となることを指摘した。
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