看護師不足は医師不足と同様に日本の医療提供体制の大きな課題といえる。日本では,人口あたりの看護職員数はOECD諸国と大差がないものの病床あたりの看護職員配置は低い。本研究は,東京都における看護職員の需要をあるべき医療提供体制に基づいた病床数,介護施設利用者数,在宅療養者数から推計した。適正病床数は,78,830(急性期36,300,亜急性期20,000,療養10,300,精神科11,400,結核・感染症830)床,介護居住施設の定員は167,200人,訪問看護の利用者は211,800人と推計された。看護職員の需要は101,830人となり現在の107,761人を下回る値となった。推計における人口千人あたりの病床数は6.3床,看護職員数は8.7人,病床100床あたりの看護職員数は138.2人となり,病床数の削減により現在の2倍以上の看護職員を配置しても供給は可能であることが明らかになった。
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