本研究では, 在宅統合失調症者のデータを基礎に, 野津(2000)によって開発されたワークパーソナリティ(Work Personality : WP)障害評価表の構成概念妥当性を項目間の関係性(因子構造)および外的変数との関連性において検討することを目的とした。研究対象は, 統合失調症者550名(平均年齢43.7歳)とした。探索的因子分析の結果, ワークパーソナリティの理論的仮説とほぼ整合する3つの因子(「総合的作業遂行力」「対人関係」「役割認知」)が抽出された。また, 性, 年齢, 罹病期間, 総入院期間を調整した偏相関分析の結果, WP障害得点および3つの下位尺度得点と精神症状(陽性症状, 気分変調, 躁症状, 陰性症状), 仕事の有無のあいだには仮説とおおむね整合する関連性が確認できた。これらの結果は, WP障害評価表の構成概念妥当性をおおむね支持する結果といえる。今後, WP障害評価表を標準化していくためにも, さまざまな種類の信頼性や妥当性について検討を重ねていくことが望まれる。
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