Ni-Cu系合金のヤング彈性率の温度係數を,螺旋状試料を用ひ,静的方法に依つて測定した.その結果,温度係數は全系に亙つて常に負であることが見出された.即ちNiの温度係數は-250×10
-6であるが,これにCuを固溶させるとその絶對値は始め約10% Cuに於ける最初の極大値迄増加する.次いで逆に減少し,凡そ30% Cuの濃度に於ける最初の極小値(-143×10
-6) に達する.然しCuの量が約36%になり,合金の組成が強磁性範圍より常磁性範圍に移ると,その絶對値は飛躍的に増加して第二の極大値 (-370×10
-6) に達する.更にCuの含有量が増加すると,その絶對値は徐々に減少して約60% Cuに於ける極小値 (-270×10
-6) に達し,その後は漸次増加して遂にCuの値 (-380×10
-6) に達する.なほNi-Cu系合金の熱膨脹係數並にヤング彈性率をも測定した.その結果によると,膨脹係數-濃度曲線は強磁性から常磁性に移る濃度(約36% Cu) の附近に於て緩かな屈曲を示す又ヤング彈性率-濃度曲線も亦強磁性から常磁牲に移る濃度附近に於て急激なる變化を示す
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