異常組織の研究の第1報(1)に於て異常鋼の成因に報告しその成因を鋼が金屬的に純粹である異常組織を生ずる.そして一般に結晶粒度の小さい程異常組織の程度の強いことを明らかにした.本報に於ては純鐵炭素合金の異常組織に合金元素が如何に影響するかに就いて明らかにした.純鐵炭素合金の異常組織を正常組織化す擧動に從つて合金元素を次の4群に分類した. 第1群元素Si, Be, As, Al, Zr 第2群元素Ti, Cr, V 第3群元素Ni, Mn, Co, Mo 第4群元素W, Cu, S 第1群元素に屬する元素は鐵炭素合金に極めて少量合金されることによつて異常組織を正常組織化するもので例へば粒度5でSi 0.05~0.1%, Be 0.1%; As 0.1%, Al 0.2%, Zr 0.2%である.第2群に屬する元素は第1群元素より多く合金されねば正常組織化せぬもので例へば粒度5でTi 0.3%, Cr 0.4%, V 0.4%の合金量で正常組織化する.第3群に屬する元素は更に多く合金されねば正常組織にならぬもので例へば粒度2でNi 0.5%, Mn 0.8%, Go 0.9%, Mo 1.1%の合金量で正常組織になる.第4群に屬する元素はその合金量に拘らず正常組織化せぬ元素でCu, Wは5.0%の合金量でも異常組織である.各元素に就いてその徐冷組織に對する合金量と結晶粒度の關係に就いて詳述した.