日本金屬學會誌
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8 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 太郎良 績
    1944 年 8 巻 4 号 p. 143-157
    発行日: 1944/04/20
    公開日: 2008/11/13
    ジャーナル フリー
    β-アルミニウム青銅の共析分解變化は極めて阻止され易く,急冷されるときはβ→β1→β'なる不安定中間相變化が起る.この變化は可逆的でβ'状態のものを加熱してゆくと,逆にβ'→β1→βなる變化が起る.勿論このとき同時にβ1及びβの分解變化も進行する. Mnは共析分解を阻止する働きがありそれは添加量の増加と共に強くなる.共析組成の合金を徐冷するときは, Mn 2%以下では共析分解が一部進行するけれども, Mn量が多いと分解が起り得ず, Mn 4~6%では焼入れたものと同様な針状組織を呈し, Mn 8%以上では均一固溶體組織をなす不安定中間相變化はMn 2~6%ではβ〓β1〓β'a〓β'bで與へられ, Mn 8%以上ではβ〓β1で與へられる.β→β1變化温度はMn量の如何に拘らず殆ど一定 (520°) であるが, β1→β'或はβ1→β'a→β'b變化温度はMn量と共に低下し, Mn 8%以上では常温でβ1状態が得られる. β1はβの規則格子構造のものである. β', β'a及びβ'bはβ1とは全く異つた結晶構造を有するもので,顕微鏡下にはいづれも針状組織を示す.この3組織は極めて近似せるもので,その相違は恐らくは原子内的のものであらう.
  • 岡田 實, 島 博一
    1944 年 8 巻 4 号 p. 157-166
    発行日: 1944/04/20
    公開日: 2008/11/13
    ジャーナル フリー
    新組織は新相ではないが特殊の熱處理即ち最高加熱温度が限定された條件に於て急熱急冷をうけた炭素鋼のパーライト部たりし部分こ現れる組織である.本多先生は組織内容よりベイナイトをFerrito-Marterisiteと稱すれば著者の新組織はAusteno-Martensiteと稱して明らかに組織内容を現示し得べく特殊熱處理による對照的組織として説明し得ることを提案されてゐる.著者は本多先生の提案に從ひ新組織をAusteno-Martensite組織と稱することにする.新組織は數年前著者の一人が短時間鉛浴加熱水焼入試片の試驗中發見せるもので,ナーステナイトを相當多量に含有し且つオーステナイト殘留の要因は擴散の途中に於ける炭素の下均一分布にある點が通常の加熟と焼入に因る試片のオーステナイト殘留に比し特異性を有する處である.本研究は先づ顯微鏡組織, X線迥折寫眞,顯微鏡硬度等を調査しその特性,生成の機構,生成の條件等を明確にした.
    オーステナイトの存在はX線試獄により確認され,マルテソサイトの存在は顯微鏡硬度測定及び顯微鏡組織變化の連續性並に生成機構の理論的考察及び生成條件の實驗的研究から推定せるものである.
    本研究に於ては更にこの新阻織を有する低炭素鋼の機械的性質を試驗し,實地に活用する爲の資料を與へた.新組織はパーライト中のセメンタイトが分解し,炭素がパーライト中の地鐵(Ac1より或る温度以上に於てはオーステナイトになる)に擴散しつゝある途中より急冷することにより得られ,炭素量の不均一分布状態にあるオーステナイトの焼入により炭素量の多い部分が殘留オーステナイトとなり比較的炭素量の低い部分がマルテンサイトになる.生成の條件を實際方面から調査せるに温度と時間が適當であればよいのであるが,鉛浴或は錫浴加熟は最も簡單確實にして取扱ひも容易と思惟された.本實驗には特に試作の顯微鏡硬度試驗装置を利用した.この装置は構造が簡單で取扱ひも極めて容易であるが,測定値は相當信頼度高きものが得られる.この装置についても原理,機構,測定の要領を示した.
  • 今井 勇之進
    1944 年 8 巻 4 号 p. 166-175
    発行日: 1944/04/20
    公開日: 2008/11/13
    ジャーナル フリー
    0.3% C, 2~10% Crなる低炭素Cr鋼と0.9% C, 2~6% Crなる高炭素Cr鋼のS-曲線を決定して低炭素鋼及び高炭素鋼の恒温變態速度に及ぼすCrの影響研究した.恒温変態の測定には佐藤式焼入自記装置と新しい磁氣的測定装置とに依つた.CrのS-曲線は總てAr1, Ar'及びAr''の異なる變態範囲を有し3段彎曲を示す. CrはA1變態を遲らせるがAr', Ar''變態に及ぼす影薄はあまり大きくない.
  • 近藤 正男
    1944 年 8 巻 4 号 p. 175-184
    発行日: 1944/04/20
    公開日: 2008/11/13
    ジャーナル フリー
    異常鋼を加熱し冷却する際そのAr1點に於て,異常鋼の特徴たる地鐵層(過共析鋼に於て)或はセメンタイト層(亜共析鋼に於て)が生成する過程實驗的に吟味し,その生成機構について考察した.又Ar1點に於て球状セメンタイト組織の生成する機構をも同様の方法で研究した.その結果によれば兩者は根本的には同様であつてAr1共析變態の特別の場合であると考へて差支へない.
  • 石丸 三郎, 森 鎰男
    1944 年 8 巻 4 号 p. 184-193
    発行日: 1944/04/20
    公開日: 2008/11/13
    ジャーナル フリー
    鐵鋼中ヴァナヂンの定量が工業分析的見地よりして困難なる現状に鑑み,曩に,現行主要3種の分析方法即ち,日本標準規格法,米國規格法(A. S. T. M.) 及びラング法のそれぞれに就き據つて樹つ機構内容の検討を行ひ,各法の缺點を指摘して誤差導入の諸原因を闡明にし,惹いてこれ等實驗指計の合理的改變を圖り,更に著者の考案になる所謂綜合的新分析方法を提出した.この報告に於ては,第1及び第2報にて論じたる現行諸方法並に提案せる改良的諸方法中,ラング (B, 鹽酸溶液)法,綜合的方法,日本標準規格改良法,日本標準規格法及び米國規格法の5種を實際の鐵鋼試料に應用し,得たる結果を比較對照してこの種分析への參考に供する.
  • 大和久 重雄
    1944 年 8 巻 4 号 p. A55-A57
    発行日: 1944/04/20
    公開日: 2008/11/13
    ジャーナル フリー
  • 竹内 榮
    1944 年 8 巻 4 号 p. A58-A67
    発行日: 1944/04/20
    公開日: 2008/11/13
    ジャーナル フリー
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