応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
32 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 森崎 雅好
    2016 年32 巻2 号 p. 3-14
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー
    教育現場では,フラストレーション状況からは,なぜ生起したのかを理解することが困難な攻撃行動を表出する者がおり,表出者への対応に苦慮している。本研究は中学生を対象として,フラストレーション状況で表出される攻撃行動を反応的攻撃と捉え,その生起の理由を理解することが困難な攻撃行動を表出する者の内的特徴の一側面を明らかにすることを目的とした。内的特徴の測定には中学生用攻撃性質問紙(HAQ-S) を用い,状況設定にはP-F スタディの24 場面の内,反応的攻撃が表出され難いと考えられる欲求阻止者の意図が非敵意的と評定された場面を複数選定した。これらの場面群での反応的攻撃の表出者と不表出者のHAQ-S の各因子の尺度得点の平均値の差の検定を行った。その結果,男子の表出者は不表出者に比して「敵意」が高いことが示された。この状況での男子の表出者は,他者への否定的な信念が強く,他者の意図を敵意的に解釈しやすい特徴を有することが示唆された。
  • 龍 祐吉, 小川内 哲生, 浜崎 隆司
    2016 年32 巻2 号 p. 15-24
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー
    学業的延引行動は,児童期から成人期という広範囲に及ぶ問題行動である。これまでの研究報告は大学生を扱ったものが大多数であった。児童期の子どもを対象とした学業的延引行動の研究報告は乏しい。本研究では,児童期の子どもの学業的延引行動と愛着の内的作業モデル及び学業的内発的動機づけの関係を検討した。小学5 年生と6 年生の児童に質問紙による調査を実施し, 相関分析及び共分散構造分析によるデータ分析を行った。その結果,学業的延引行動に対してアンビヴァレント型は直接的に影響を及ぼし,安定型と回避型は内発的動機づけを媒介として学業的延引行動に影響を及ぼしていることが示唆された。これらの結果の理論的及び教育的意味と今後の課題について討論した。
  • 小川内 哲生, 龍 祐吉, 浜崎 隆司
    2016 年32 巻2 号 p. 25-35
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 小学生における学業的延引行動に及ぼす動機づけ要因の影響を明らかにすることであった。391 名の小学生に3 つの尺度について回答するよう求めた。その結果は以下の通りであった。(1)学業的延引行動は内発的価値・自己効力感, 学業的満足遅延との間に有意な負の相関がみられた。(2)学業的延引行動はテスト不安との間に有意な正の相関がみられた。(3)学業的延引行動高群は内発的価値・自己効力感, 学業的満足遅延が学業的延引行動低群よりも有意に低かった。(4)学業的延引行動高群はテスト不安が学業的延引行動低群よりも有意に高かった。先行研究との関係を検討しながら, これらの結果について考察を行った。
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