応用教育心理学研究
Online ISSN : 2436-6129
Print ISSN : 0910-8955
30 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 西山 修
    2013 年30 巻2 号 p. 3-13
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
     本研究では,免許状更新講習の場を活用した,領域「人間関係」に関わる保育者支援プログラム(西山,2009)の簡易実施の効果を検討した。本支援プログラムは,子どもの人とかかわる力を如何に育むかという緊切の課題に対して,尺度を活用した診断的評価,適切な目標設定,及び自己観察等により,「子どもの人とかかわる力の育ちに望ましい変化を与えることができる」という保育者の実現可能性の認知を肯定的な方向に変え,保育実践の質的向上を目指すものである。西山(2009;2012)では既に,本支援プログラムが領域「人間関係」に関わる保育者効力感の向上に有効であることが実証されているが,その効果は免許状更新講習のような一時的な集団における部分的実施によっても見られるか,様々な観点から検証した。その結果,研修を半分に割愛した簡易な実施にもかかわらず,本支援プログラムは,「人間関係」保育者効力感の向上に有効であることなどが明示された。最後に,本研究の結果を踏まえて,保育者支援の観点から,若干の考察と今後の課題を述べた。
  • 橋本 秀美, 村上 誠治
    2013 年30 巻2 号 p. 15-28
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,実際に阪神・淡路大震災で心理的援助を受けた人,または援助した人に対して調査を実施し,被災者にとってどのような援助が有効であり,求められているのかを知ることである。PAC 分析という構造化された面接手法を用いて検討した結果,体験の言語化において強制的な語りについては被災者は肯定的な感情を持たないことが示唆された。一方で,書くことについては強制的なものを含めて必ずしも否定的にならないことも示唆された。また、生活できる日常を取り戻すことや、援助者がそばにいることで孤独感を軽減することなどの大切さも示された。さらに,被災者のニーズと行われた援助の間にズレもみられたことなどから,援助者にとって,被災者のニーズや状況に応じた支援の方法や知識を身につけておくことも必要と考えられる。
  • 吉田 美奈, 浜崎 隆司
    2013 年30 巻2 号 p. 29-37
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
     本研究では,夜間の添い寝が子どもの親への愛着および自尊感情に及ぼす影響を探り,子どもが親への安定した愛着を形成し自尊感情を高めるには,添い寝がいつまでどのように行われるのが望ましいかについて検討した。大学生および大学院生424 名を対象に,添い寝経験の有無や添い寝の期間などの質問および愛着,自尊感情に関する質問を含む質問紙調査を実施した。  その結果,添い寝経験のある男性および母親の隣で添い寝をしていた者はアンビバレントな愛着 パターンを示しやすい傾向があること,他者に対しアンビバレントなイメージや自己不全感を持ちやすい傾向にあることが分かった。さらに,0 〜3 歳まで添い寝をしていた者および6 歳以上まで添い寝をしていた者は回避的な愛着パターンを示しやすく,他者とは距離を置いた対人関係をとり,安全感を脅かすような情報は遮断するような対人態度をとりやすいことが明らかになった。自尊感情については十分な結果が得られなかった。
  • 澁江 裕子
    2013 年30 巻2 号 p. 39-49
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
     幼少期には不安定な愛着スタイルを有していたにもかかわらず,安定した愛着スタイルを有するようになった者の存在が明らかにされてきた。本研究では,重要な人物から得られた安心感が愛着スタイルの変化やリジリエンスと関連すると推察した。そこで,幼少期には不安定な愛着スタイルを有していたと推察されるにもかかわらず,現在,適応的に生活できている女性のリジリエンス,愛着,及び,重要な人物から獲得された安心感を質問紙調査と面接調査によって検討した。そして,その女性は代理愛着対象から高い安心感を得ていたこと,その女性は強いリジリエンスを有していたことなどが示唆された。
  • 森川 友子, 本山 智敬, 友清 由希子, 平井 達也
    2013 年30 巻2 号 p. 51-64
    発行日: 2013/12/20
    公開日: 2023/04/24
    ジャーナル フリー
     本論文は,理不尽および理想的な責任認識指導の様相について探索的に調査するとともに,子どもの頃に体験した理不尽な責任認識指導が謝罪表現に及ぼす影響について検討したものである。まず大学生58 名に自由記述式調査を実施し,理不尽な責任認識指導の特徴として「誤解・決めつけによる叱責」等6 カテゴリー,理想的な責任認識指導の特徴として「明確な理由の提示」等8 カテゴリーを見出した。続いて理不尽な責任認識指導を体験した度合いを測定する理不尽責任認識指導尺度を作成し,謝罪表現の適切さを問う想定事例と共に,大学生112 名に回答を依頼した。その結果,理不尽責任認識指導尺度得点が高い群は,低い群に比べて,「自殺の決意」「退去の宣言」「責任の過小評価」を表明する謝罪表現への評価が有意に高く,「反省の経緯についての説明」に関する謝罪表現への評価が有意に低かった。理不尽な責任認識指導が内省を妨げる方向で個人の謝罪観に影響を及ぼす可能性について考察がなされた。
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