日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
30 巻 , 1 号
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巻頭言
学会賞受賞論文
  • 四十坊 典晴
    2010 年 30 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの臨床経過はきわめて多様な幅がある.診断時においても眼病変のみで診断に難渋する場合もある.豊富な症例を有するJR札幌病院の症例を中心に本症の1.診断,2.免疫反応の解析,3.転帰,臨床病型の解析を行った.516例の組織診断群を用い,各種検査所見(血清ACE,血清リゾチーム,血清免疫グロブリンG,ツベルクリン反応,気管支肺胞洗浄(BAL)検査,ガリウム・シンチグラフィー)を診断時に行い,胸部X線病期ごとの異常の陽性率を解析した.肺局所の免疫応答に関してBAL液細胞を用い,Th1反応におけるInterleukin-12(IL-12)とIL-18の重要性および転帰におけるClara cell 10-kDa蛋白質の重要性に関して検討を行った.臨床型に関して多施設共同研究(JR札幌病院,JR東京総合病院,日本赤十字社医療センターと京都大学)として,5年以上経過観察したサルコイドーシス症例を臨床型の判定に関するWASOG作業部会における取り決めに基づき分類し,検討した.
症例報告
  • 田中 健介, 山口 哲生, 在間 未佳, 山口 陽子, 一色 琢磨, 若林 義賢, 細木 敬祐, 鈴木 智史, 河野 千代子, 山田 嘉仁, ...
    2010 年 30 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例1は初診時39歳女性.2003年に眼所見と両側肺門リンパ節腫脹(BHL)で発症した.2009年に疼痛を伴う耳下腺と両鼠径リンパ節の腫脹が出現した.近医でミノサイクリンを使用されたが無効であり,当科に紹介されメトトレキサート(以下MTX)7.5 mg/週の単剤治療を開始したところBHLと表在リンパ節の改善が認められた.症例2は初診時51歳男性,以前より眼,皮膚,肺病変に対してプレドニゾロン(以下PSL)が投与されていた.PSLの中止後に肺病変の増悪と肺アスペルギルス症の合併を認め当科に紹介された.MTX 7.5 mg/週の単剤治療にて肺野陰影の改善が認められた.MTXはsteroid-sparing agentとして位置づけられ単剤治療での有効性を示した報告は少なく,今回2症例を報告した.
  • 土田 哲人, 長谷川 徹, 坂本 淳, 南場 雅章, 遠藤 利昭, 安藤 利昭
    2010 年 30 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの経過観察中,肺,眼および皮膚病変においては自然消退する例があることが知られている.しかし,心病変に自然改善例があるか否かは不明である.今回,心臓サルコイドーシスによる完全房室ブロック(CAVB)において,ペースメーカー植込み治療後,ステロイド剤未治療にもかかわらず数年を経て房室ブロックの自然改善を認めた2症例を経験した.いずれもペースメーカー植込み後1年以上心室ペーシングが必要な状態であったが,その後自然にCAVBが改善し,すべて自己脈となった.その後いずれも7年以上経過観察中であるがCAVBの再発を認めていない.心臓サルコイドーシスの病態の一つであるCAVBの自然消失を示す貴重な症例と考えられた.
  • 三浦 佳代, 加藤 元康, 高橋 和久
    2010 年 30 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性.21歳時にハワイに移住.1986年(39歳)に顔面,膝,肘関節に皮疹が出現し,左頬部より皮膚生検施行.1991年には経気管支肺生検を施行し,いずれもサルコイドーシスと診断された.この時点でプレドニゾロンの全身投与を受けたが改善を認めなかった.1997年頃より労作時息切れを自覚するようになり,徐々に肺病変が進行した.2006年9月よりプレドニゾロン40 mg/日+メトトレキサート10 mg/週を開始したが改善は認められず,2007年4月より在宅酸素療法導入となった.2008年5月肺移植目的でUCLA medical center受診し,同年6月両肺移植を施行された.現在は呼吸不全もなく,ハワイで日常生活を送っている.本邦でサルコイドーシス症例に対して肺移植を施行した例は未だなく,貴重な症例と考えられた.肺移植とサルコイドーシスに関して若干の文献的考察を加え報告する.
  • 能島 大輔, 谷本 安, 栗本 悦子, 早稲田 公一, 池田 元洋, 古賀 光, 宮原 信明, 金廣 有彦, 中田 安成, 谷本 光音, 片 ...
    2010 年 30 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスと原発性胆汁性肝硬変は,ともにPropionibacterium acnesの関与が考えられているが,両疾患の合併は稀である.我々は, サルコイドーシスと原発性胆汁性肝硬変を合併した3例を経験した.全例が中年女性であり,抗ミトコンドリア抗体が陽性であった.3例中2例に皮膚サルコイドーシスを認めた.発見時,全例でサルコイドーシスは胸部X線病期Ⅰであった.全例でウルソデオキシコール酸の内服を行い, サルコイドーシスの進行は認めないものの,1例で肝不全の進行が認められ,15年の経過で死亡した.
  • 杉野 圭史, 磯部 和順, 岩田 基秀, 伊藤 貴文, 和田 知博, 鏑木 教平, 後町 杏子, 石田 文昭, 山越 志保, 佐藤 大輔, ...
    2010 年 30 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.2002年に胃部不快感が出現.上部消化管内視鏡検査でびらんを伴う隆起性病変を認め,生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められた.胃サルコイドーシスが疑われたが,そのまま経過観察となっていた.2005年9月頃より労作時呼吸困難が出現したため,プレドニゾロン(PSL)40 mg/日が開始された.2006年5月に在宅酸素療法が導入され,2007年5月にPSL 10 mg/日まで減量された.しかし,徐々に呼吸困難ならびに胸部画像所見が悪化したため,PSL 10 mg/日に加えて,Nアセチルシステイン吸入およびシクロスポリンを併用投与した.2008年10月に亜急性の増悪をきたし,ステロイドパルス療法,アザチオプリン,シベレスタットを投与したが効果は得られず,呼吸不全で死亡した.剖検では,肺は通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia; UIP)パターンが主体であったが,小葉中心性および広義の間質の線維化も伴っていた.縦隔・肺門リンパ節および胃粘膜下に広範な硝子様結節を認めた.生前,胃生検で採取された非乾酪性類上皮細胞肉芽腫内ならびに剖検肺は抗Propionibacterium acnes抗体が陽性であった.膠原病を疑わせる所見ならびに明らかな粉塵,鳥類等の曝露歴はなかったことから,胃病変ならびに難治性肺線維症を合併したサルコイドーシスと診断した.
  • 松浦 駿, 黒石 重城, 橋本 大, 中村 祐太朗, 乾 直輝, 須田 隆文, 千田 金吾
    2010 年 30 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性.2003年にサルコイドーシス(肺,心,眼)と診断された.プレドニゾロン30mg(以下 PSL)内服を開始し,外来にて維持量まで漸減されていた.2008年11月上旬より発熱,呼吸困難が出現し,胸部X線写真にて,網状影の増強と全肺野にすりガラス状陰影,低酸素血症を認め入院となった.抗菌薬を投与するも改善に乏しく,気管支鏡検査の結果などから感染症は否定的であった.入院後も画像所見,呼吸状態が悪化し,肺サルコイドーシスの急性増悪と診断し,ステロイドパルス及び後療法,アザチオプリン(以下AZP)の投与を開始した.これらにより画像所見,呼吸状態の改善がみられた.肺サルコイドーシスにおいて急性増悪を来たすことは稀であり,文献的考察を加え報告する.
  • 阿部 恭子, 玉田 勉, 奈良 正之, 久田 修, 光石 陽一郎, 村上 康司, 村松 聡士, 五味 和紀, 小倉 健, 海老名 雅仁, 貫 ...
    2010 年 30 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症状を伴う骨サルコイドーシスは,サルコイドーシス症例の1~2%と比較的稀である.当科で経験した骨サルコイドーシス4例の特徴について検討した.4例とも多臓器に病変を有し,骨病変発症までの罹病期間が長い傾向にあった.骨病変部位は四肢末端に多かった.骨病変の分布を把握するには骨シンチグラフィーが有用であった.また診断にはMRIが有用であり,いずれの症例もT1強調画像にて低信号を示した.治療に関しては4例中3例がステロイド投与にてすみやかに症状の改善が認められた.真菌感染症のためにステロイドが使用できなかった1例では,イトラコナゾール投与後に感染症の改善とともに骨病変の改善が認められた.4例とも治療介入にて症状の改善が認められており,病的骨折予防のためにも早期診断,早期治療が重要であると考えられた.
  • 佐久間 一基, 橋本 直子, 陶山 佳子, 永野 秀和, 今田 映美, 間山 貴文, 吉田 知彦, 田中 知明, 龍野 一郎, 横手 幸太郎
    2010 年 30 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は33歳女性,2008年夏より全身の疼痛が出現した.2ヵ月後より口渇多飲が出現し,当科紹介受診した.MRI検査にて下垂体茎の腫大とガドリニウムでの一様な造影効果を認め,水制限AVP負荷試験より完全中枢型尿崩症と診断された.発熱や炎症反応の上昇,肺門リンパ節の腫脹等は認められなかったが,縦隔,頸部,腋窩リンパ節の腫脹を認め,リンパ節生検よりサルコイドーシスと診断された.サルコイドーシスは全身性の肉芽腫性疾患で多臓器の障害を呈するが,中枢神経病変を合併することは比較的少なく,約1~2%程度で中枢性尿崩症が認められる.一方,中枢性尿崩症の原因としてのサルコイドーシスは0.5%程度とされており,尿崩症の原因鑑別として忘れてはならない疾患である.今回,中枢性尿崩症を呈したサルコイドーシスの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 鳥羽 慶栄, 川村 亮英, 大橋 里奈, 小沼 恵美, 岩瀬 彰彦
    2010 年 30 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性.57歳時に若年性アルツハイマー病の診断を受け通院中.定期検査の胸部X線写真で両側全肺野にびまん性網状影を認め,経気管支肺生検でサルコイドーシスと診断された.前年の胸部X線では異常を認めず,比較的急性に発症したものと考えられた.脳MRIでは中枢神経系に異常は認めず,本症とアルツハイマー病との合併は偶発的なものと考えられた.自覚症状がなく無治療で経過観察していたが,6ヵ月後に右気胸が出現した.気胸は自然軽快し胸部CTで肺野の病変も改善傾向にあったが,胸膜直下の気腫性変化が出現しており,この破綻が気胸の原因と考えられた.サルコイドーシスに気胸を合併することは稀であるが,CTの経過観察から胸膜直下のブレブ形成が気胸の原因と推定された.
シンポジウム-心臓サルコイドーシスの新たな展開
  • 加藤 靖周, 森本 紳一郎
    2010 年 30 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスによる死亡の約半数は心病変によると言われ,早期診断と早期治療開始が重要である.しかし,心臓サルコイドーシスは,多彩な病態と低い生検診断率のため,診断に難渋することが多い.2006年に診断精度の向上と治療指針の明確化を目指し,心臓サルコイドーシス診断の手引きの改訂が行われた.今後,改訂された診断の手引きについて多施設での継続した検証が必要である.これまで,本症の臨床病態や治療の実状について多施設での調査はされておらず,不明な点も多い.現在,心臓サルコイドーシスの診断と治療の実際について多施設共同研究を行っており,これまでの途中経過を報告する.
  • 石田 良雄, 木曾 啓祐, 植田 初江
    2010 年 30 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
     心臓サルコイドーシスの診断において,心電図,X線,心エコー図,心筋血流シンチグラフィ,心臓カテーテル検査などで観察される異常所見は,心筋組織障害あるいは刺激伝導障害に由来するものであり,疾患特異性に欠けるため,確定診断には十分な精度を持たない.そこで,心筋生検を実施することになるが,心臓サルコイドーシスの病巣は限局性であるために組織採取に限界があり,診断能は極めて低い.本研究では,炎症イメージングとしてのF-18 FDG PETの本診断における有用性と限界について,「診断の手引き」(1992年と2006年)に基づいて診断された47症例(56±11歳,男性16例・女性31例)を対象として検討した.その結果,①空腹条件下での撮像,②心筋局所の高度集積像の観察,③血流画像との対比,④SUV値の利用に基づいて診断した場合,検出率は89%と極めて優れていた.また,副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)治療の効果判定や,長期フォローアップにおける疾患再燃の診断にも有用性が認められた.
  • 中島 崇智
    2010 年 30 巻 1 号 p. 81-82
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスにおける心臓病変の合併は全体の5%と少ないが,死因の2/ 3以上を占めると報告されている.当院を中心とした多施設共同研究では心臓サルコイドーシス確定症例15例の遅延造影像の特徴は,①斑状ないしは帯状の明瞭な遅延造影像,②心外膜側優位,③好発部位には有意差を認めないものの心基部よりの心室中隔,ついで側壁が多い,④貫壁性の遅延造影像を呈する症例では左室拡大と左心機能低下,BNPの上昇を認めることが示された.また当院で心臓MRI検査を施行して斑状ないしは帯状の明瞭な遅延造影像を呈した連続30症例の検討では,2006年の診断基準を満たした心臓サルコイドーシス確定診断症例が12例(40%),疑い症例(心筋にのみ肉芽腫性病変を認め,全身所見や他臓器に所見を認めない症例を含む)が9例(30%)であった.心臓サルコイドーシスにおける心臓MRI検査の有用性については更なる検討が必要である.
  • 草野 研吾, 伴場 主一, 高谷 陽一, 西井 伸洋, 永瀬 聡, 中村 一文, 森田 宏, 伊藤 浩, 大江 透
    2010 年 30 巻 1 号 p. 83-85
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    心臓サルコイドーシスに合併する不整脈について35例をレトロスペクティブに検討したところ,心室頻拍例に比べ新規房室ブロック例ではGaシンチ取込み陽性例が多く,副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)治療にてブロック改善例を多く認めた.一方心室頻拍例ではGaシンチ取込み陰性例が多く,左室駆出率が低下している症例を多く認めた.これらの結果から,房室ブロックは活動期に多く発生しステロイド治療に比較的反応するが,心室頻拍は非活動期が多く,ステロイドはあまり効かないことが示唆された.
  • 江石 義信
    2010 年 30 巻 1 号 p. 86-88
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
     2008年度から行われている森本班研究において,心臓サルコイドーシス病変部組織におけるアクネ菌成分のPAB抗体による検出とその組織内局在に関して,解剖症例・切除生検材料・心内膜生検材料を用いた免疫染色法による解析を行った.これまでの森本班研究でわかったことは,1.心内膜生検組織内に異常所見(炎症・線維化)がない場合,PAB抗体免疫染色を行っても診断には役立たない.2.肉芽腫がなくても,なんらかの炎症病変がある場合には,免疫染色は有用である(感度77%,特異度100%).3.炎症巣以外での陽性像は疾患特異性に乏しく,特に心筋細胞内の陽性像は潜伏感染の可能性がある.結論としては,心臓サルコイドーシスを疑う心内膜生検で,明らかな肉芽腫を確認できないときでも,なんらかの炎症病変が含まれている場合にはPAB抗体免疫染色法で本症診断を確定できる可能性がでてきた.
  • 矢崎 善一
    2010 年 30 巻 1 号 p. 89-91
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    【はじめに】心臓サルコイドーシスに対する免疫抑制療法の第一選択は副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)であるが,心病変の再燃や進展,副作用でQOLが大きく損なわれる症例も存在する.【目的】心臓サルコイドーシスに対するメトトレキサート(MTX)の有用性について自験例の分析と全国アンケート調査を行い明らかにすること.【対象と方法】免疫抑制療法を行った44例の自験例中,MTXを追加した5例の分析と,日本循環器学会指定の循環器研修施設940施設にアンケート調査を行った.【結果】自験例平均14 ヵ月の経過観察中,3例にステロイドの減量が可能となり,1例に左室駆出率の改善を,2例にBNPの有意な低下が見られた.過去10年間の間に心臓サルコイドーシスの治療を行った総症例数1060例中,MTX治療が行われた症例は11例(1%)であった.【考案】心臓サルコイドーシスに対するMTX追加投与の有効性と安全性を全国調査で詳細に検討し,確立する必要がある.
シンポジウム-肉芽腫性肺疾患の基礎と臨床
  • 内藤 眞
    2010 年 30 巻 1 号 p. 93-94
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    肉芽腫は刺激物質に対して生体防御機能を発揮するための新しい組織形成であり,マクロファージ,リンパ球,好酸球,形質細胞などから構成される.炎症巣には化学遊走因子によって多数の単球が動員されマクロファージに分化する.しばしば大型化したマクロファージである類上皮細胞や多核巨細胞の出現を伴う.肉芽腫の形成とその維持にはtumor necrosis factor α,interferon-γ,macrophage colony-stimulating factor,granulocyte macrophage colony-stimulating factor,interleukin-1などのサイトカインや増殖因子の作用が重要である.組織内に菌が侵入するとマクロファージがそれを取り込むが,菌が増殖するとマクロファージも集積して肉芽腫を作り,病変を押さえ込む.炎症が極期を過ぎるとマクロファージは炎症巣内の老廃・壊死物を除去し,種々増殖因子を介して線維芽細胞の増殖や血管新生を促し,肉芽組織で置き換え,さらに病変を縮小させる.このように肉芽腫中でマクロファージは炎症の発生から治癒,線維化の全過程に関与する.
  • 四十坊 典晴, 平賀 洋明
    2010 年 30 巻 1 号 p. 95-98
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの臨床経過はきわめて多様な幅がある.5年以上経過観察された症例を集積検討した多施設共同研究の結果では,肺病変が悪化する場合に副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)内服をおこなわれた割合は9%から25%であり,現在継続使用している症例は6%程度と低値であった.肺の線維化の進行も非常にゆっくりである場合が多く,ステロイド内服を行っていない症例が多く存在する.また,長期に臨床経過を観察した症例では,初期におけるステロイドに対する反応性と高度に線維化時期では反応性が明らかに異なる.慢性進行性の線維化を伴うサルコイドーシスに対する治療法の確立が望まれる.
  • 半田 知宏, 長井 苑子
    2010 年 30 巻 1 号 p. 99-101
    発行日: 2010/09/21
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    研究1では,87例のサルコイドーシス症例を対象に血清ACE,可溶性IL-2受容体,活性型ビタミンD,イオン化カルシウムと臨床所見の関連について検討した.血清ACEと可溶性IL-2受容体は正の相関を示し,肺機能との相関を認めたが,総じて血液マーカーと臨床所見の関連は弱いものであった.慢性期を含むサルコイドーシスにおいて,これら血液マーカーの有用性には限界があると考えられた.研究2では,心臓サルコイドーシス22例を含む150症例を対象に心臓超音波検査を施行し,サルコイドーシスの心病変および肺高血圧症の評価における血漿NT-proBNPの有用性について検討した.左室駆出率の低下,推定収縮期肺動脈圧の上昇はいずれも血漿NT-proBNPの独立寄与因子であった.血漿NT-proBNPは心病変の診断精度が高かったが,肺高血圧症の診断精度は低かった.血漿NT-proBNPは心臓サルコイドーシスの診断に有用である可能性が示唆された.
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