2009年にバングラデシュを直撃したサイクロンアイラは多くの被害をもたらし,人道的組織により,現地の住宅規定に基づいた住宅再建支援が大々的に行われた。本研究はサイクロンアイラの被災地コイラ郡において,NGO や現地被災者による住宅復興方法の特性を明らかにし,その結果を被災者の認識と専門家の意見に基づいて評価した。具体的には被災者とのグループ ディスカッション(Focus group discussion),専門家への聞き取りと,制度の調査を行った。その結果,NGOと被災者は高潮による洪水に配慮せず,暴風と通常の潮汐による洪水のみを考慮した安全対策をとっていたことが明らかとなった。また住宅再建にかける時間は短く,災害前の脆弱性を低度から中度ほど軽減する程度であった。被災者の認識に基づいて作成された住宅復興カーブは,災害前の脆弱性を引き継いでいることを示していた。これらのことより,本研究は現在の住宅復興のあり方に一石を投じ,土地利用を基にした住宅復興方法を提案する