自然災害科学
Online ISSN : 2434-1037
Print ISSN : 0286-6021
42 巻, 2 号
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巻頭言
報告
  • -ベトナム人技能実習生が参加した青森県弘前市の避難訓練の事例より-
    中村 智行
    2023 年42 巻2 号 p. 83-99
    発行日: 2023/08/31
    公開日: 2023/12/15
    ジャーナル フリー
    本報告では,青森県弘前市において,ベトナム人技能実習生を対象に,地震を想定した避難訓練を2 回実施した。その結果,今回の訓練に基づく方法は,他の外国人技能実習生が避難訓練に参加する場合でも有効である可能性が高い。また,避難誘導者に対して3 時間の「やさしい日本語」の事前教育を行い,「フリップボード」に英語やイラスト(ピクトグラム)を併記し,「フリップボード」のサイズをA 2 版,フォントサイズを100ポイント以上にすることで,より効果的に避難訓練に活用できる可能性がある。
  • -平成30年7月豪雨・広島県坂町の事例から-
    宮本 匠, 大迫 雅俊, 立部 知保里, 頼政 良太
    2023 年42 巻2 号 p. 101-112
    発行日: 2023/08/31
    公開日: 2023/12/15
    ジャーナル フリー
    本研究は平成30年7 月豪雨で被災した広島県坂町の災害対応から,近い将来に再び被災することが想定される災間の時代の災害復興における新たな課題について,特に住民組織のあり方から考察するものである。調査から明らかになったことは,坂町では伝統的な住民組織が既存の働きを超えて機能したこと,外部支援者の活動に刺激を受けて新たに設立されたNPO が活躍したことだった。災間の災害復興においては,伝統的な住民組織も含めて地域資源を徹底的に活用すること,地域住民と行政の新しい協働が重要だと考えられる。
  • -兵庫県尼崎市におけるアンケート結果から-
    近藤 誠司
    2023 年42 巻2 号 p. 113-125
    発行日: 2023/08/31
    公開日: 2023/12/15
    ジャーナル フリー
     災害対策基本法などによって災害対応の関係主体の一つとして位置づけられている民生委員に関しては,防災研究の領域において,これまでに定量的なデータを採取して課題を分析した研究が蓄積されてきていない。そこで,本研究では,兵庫県尼崎市を対象として質問紙による調査を行い,都市部の民生委員における災害時の対応行動や意識に関して課題を明らかにすることにした。その結果,民生委員の属性には偏りがあり,地震時や台風時に即応できていない人が1 ~ 3 割程度いることがわかった。また,担当地区内の要配慮者数を把握できていない人も多く,難病患者に関しては約7 割が「不明」(もしくは無回答)という回答だった。さらに,南海トラフ巨大地震時に要配慮者の支援ができるとポジティブに考えている人は2 割にも満たなかった。このような結果をふまえて,民生委員の機能を今後どのように充実化していけばよいか,インクルーシブ社会の観点から検討した。
  • 山本 晴彦, 古場 杏奈, 縞居 和哉, 坂本 京子, 岩谷 潔
    2023 年42 巻2 号 p. 127-157
    発行日: 2023/08/31
    公開日: 2023/12/15
    ジャーナル フリー
    2022年8月3日~ 4日にかけて,荒川中下流域では線状降水帯が停滞して集中豪雨に見舞われ,関川村の上関では日最大1 時間降水量が161 mm,村上市の坂町では最大6 時間降水量が508 mm を観測した。村上市の小岩内集落では,扇状地を流れる大沢川の上流で風化花崗岩の崩落により土石流が発生し,住宅等が全壊・一部損壊する被害が発生した。しかし,事前に公会堂から2 次避難を行ったため,人的被害は負傷者1 人に止まった。関川村の湯沢温泉では, 土石流が温泉街に流れ込んで150 cm 前後の浸水被害が発生したが,昭和42年の羽越水害時の浸水実績深の193 cm よりは低かった。村上市荒川地区のJR 坂町駅周辺では,集中豪雨と大沢川からの濁流により雨水が滞留する内水氾濫が発生し,最大浸水深が168 cm に上る浸水被害が生じた。
論文
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