2019年台風19号により,千曲川上流の佐久地方では10月12日の日降水量が300~400 mmの豪雨となり,中流の立ヶ花水位観測所では翌日の13日3 時20分に過去最高の12.46m の水位を観測した。これにより4 km 上流の長野市穂保地区では70m にわたり堤防が決壊して氾濫流が堤内地に流れ込み,住家が流失や全壊する被害が発生した。氾濫平野の低平地に開設された新幹線車両センターでは,氾濫流により10編成120車両が座席付近まで浸水して廃車となった。豊野地区では赤沼地区から千曲川支流の浅川の堤防を超えて流入してきた氾濫流により,旧町役場一帯や新興住宅地で100~400 cm の浸水被害が発生した。長野市北部(長沼,豊野,古里)の浸水面積は約934 haに及び,2 m以上の洪水浸水想定区域とほぼ一致し,全壊1,034棟,大規模半壊285棟,半壊360棟,一部損壊292棟の計1,971棟に達した。
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