オオムギ雲形病(病原;
Rhynchosporium secalis(Oud.)Davis)抵抗性オオムギ品種Brierと罹病性品種2品種との交配組合せに由来する後代の発病程度を調査し,遺伝解析を行うとともに,発病程度と生育特性,収量関連形質,精麦品質との関係について解析を行い,Brierを母本とした抵抗性品種の育成方法について検討した.北陸地域に優占する雲形病菌レースJ-4a(菌株NB1-1-1)を接種した罹病葉を伝染源として積雪前の分げつ初期に圃場に投入し,出穂30日後に発病程度を調査した.F
2集団の発病程度をもとに分離比の検定を行った結果,圃場におけるBrierの抵抗性は劣性3遺伝子によるものと考えた.抵抗性の遺伝率は比較的高く,初期世代から抵抗性個体の選抜が可能であるが,発病が抑制される条件下では選抜効果が小さいと推察され,圃場においては複数年の検定が必要であると考えた.また,抵抗性品種Brierとの交配によって得られる抵抗性の後代が少なく,優良形質を兼ね備えた抵抗性系統の出現率は低いと考えられるため,抵抗性品種育成のためには抵抗性を有し優良な形質を兼ね備えた系統間でさらに交配を行う必要がある. Brierとの交配によって成熟期が遅れたり,ハンター白度が低くなる傾向が認められることから,Brierを利用するに当たっては,早生で高白度の品種を交配親として用いる必要性が示唆された.
抄録全体を表示