胚珠培養による
Brassica oleraceaと
B.campestrisとの種間雑種の育成条件を検討した.胚珠培養の最適時期は交配後15-20日目で, 最適培地はCoconut milk 150ml/l, Kinetin 2.5mg/lおよびNAA2.5mg/lを添加したB5培地であった.この培地を用い,
B. oleraceaと
B. campestrisとの間で相互交雑を行い, 胚珠培養により種間雑種作出を試みた.葉を食用とする葉菜タイプでは12組合せの29胚珠から, また葉および茎を食用とする葉茎菜タイプでは15組合せの119胚珠から雑種植物を得た.これらの個体をコルヒチン処理し, 複二倍体を得た.複二倍体のF
1個体では, 花粉稔性の高い個体の出現頻度が非常に高かったにもかかわらず, 自殖種子稔性の高い個体の出現頻度は極めて低かった.F
1個体を選抜して得られたF
2個体では, 花粉稔性の高い個体の出現頻度がさらに高くなり, 同時に自殖種子稔性の高い個体の出現頻度も高くなった.しかも, 1莢当たり種子数が10粒以上の個体も得られ, 選抜による稔性の向上が認められた.また, 花粉稔性と種子稔性との間には有意な相関は認められなかったが, 葉菜タイプでは70%以下の, 葉茎菜タイプでは60%以下の花粉稔性を持つ個体はほとんど種子が得られず, 葉菜タイプと葉茎菜タイプともに, 種子稔性の高い個体を獲得するためには, 80%以上の花粉稔性を持つ個体の選抜が必要であることが分かった.
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