育種学研究
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3 巻, 1 号
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  • 平野 清, 杉山 智子, 小杉 明子, 仁王 以智夫, 浅井 辰夫, 中井 弘和
    2001 年 3 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
    本研究は, 自然農法および対照の慣行農法水田における在来系統を含むイネ4品種の生育と根面および根内の窒素固定菌の動態との関係について解析した. その結果, 自然および慣行農法における, イネ品種の生育にともなう根面および根内の窒素固定菌の推移は, イネ植物体の窒素含量増加および乾物重増加の推移と密接な関係があった. すなわち, 生育初期 (移植-最高分げつ) に窒素固定菌が多くなる品種は生育初期での窒素含量増加率および乾物重増加率が高く, 生育後期 (出穂-登熟) に窒素固定菌が多くなる品種は生育後期での窒素含量増加率および乾物重増加率が高くなる傾向を示した. また, 全体的に, 自然農法におけるイネ品種の窒素固定菌数が慣行農法より多い傾向が認められた. 特に, 自然農法において, 生育後期に相対的に窒素固定菌数が多くなる品種は, 慣行農法と同程度の籾収量が得られたことは注目に値する. このことは, 自然農法でより高い収量性を確保するためには, 生育後期に窒素固定菌数が多くなるタイプの品種を採用することが有効であることを示唆している. 本研究で用いた日本在来系統であるJ195は, 自然農法における生育後期の窒素固定菌数が多く, 収量も高かったことから, 自然農法あるいはこれに類する持続可能型農業で高収量を得る品種育成の有用な育種材料になり得ることが示唆された.
  • 佐藤 宏之, 鈴木 保宏, 奥野 員敏, 平野 博之, 井辺 時雄
    2001 年 3 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
    イネ (Oryza sativa L..) 品種コシヒカリの受精卵に, メチルニトロソウレア (MNU) 突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った. ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも, コシヒカリ/ミルキークイーン由来F1種子の方が高いアミロース含量を示した. 従って, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった. また, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF2集団のアミロース含量は, コシヒカリ型とミルキークイーン型が3: 1に分離し, さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が, 野生型と低アミロース型が1: 1に分離したことから, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた. 次に, イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子, wx並びにdu 1, 2, 3, 4及び5との対立性を検定した結果, ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は, wxの対立遺伝子であることが示唆された.
  • 八城 和敏, 大澤 良, 牛田 典孝, 生井 兵治
    2001 年 3 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
    カラシナ類 (Brassica juncea) の生殖様式は不完全自殖性であるとされている. しかし, 受粉に花粉媒介昆虫を必要としないという報告や必要とするという報告もあり, 見解が統一されていない. そこで, 日本・中国・タイのカラシナ類21品種について自家和合性程度と自動自家受粉能力の品種間変異を明らかにするとともに, これら21品種の中で両形質に特徴的な8品種について自動自家受粉能力と花器形質との関連を追究し, カラシナ類の生殖様式を明確にすることを試みた. その結果, 自家和合性程度を表す人工自家受粉結実率の品種ごとの平均は51.4%から88.4%, 自動自家受粉能力を表す一つの指標である自動自家受粉結実率の品種ごとの平均は32.4%から70.8%の範囲であり, 両形質とも幅広い品種間変異が認められた. 大部分の品種は自動自家受粉結実率が人工自家受粉結実率よりも低いことから, 十分な結実を得るためには花粉媒介昆虫による受粉の補助を必要とするが, 品種によっては必要としないことが明らかとなった. 自動自家受粉の時間的経緯を見ると, 自動自家受粉は開花直後の柱頭に接近した葯が開葯すると始まり, 葯は時間の経過とともに柱頭から離れるが, 2~3時間以上連続的になされていた. また, 開花後まもなく十分な受粉がなされる品種と, 開花後時間をかけて十分な受粉がなされる品種とがあった. 自動自家受粉粒数は開葯後の葯と柱頭の接触程度および位置関係に依存していた. また, 自殖性程度の低い品種は高い品種に比べ諸花器形質の品種内変異が大きかった. 以上の結果, カラシナ類では, 自家和合性程度に品種間変異があること, さらに葯と柱頭の接触程度や位置関係などの花器形質の変異が存在し, それに伴う自動自家受粉能力にも幅広い品種間変異があるため, 花粉媒介昆虫の必要度にも幅広い品種間変異があることが明らかとなった.
  • 張 斌, 本藤 加奈, 柿原 文香, 加藤 正弘
    2001 年 3 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
    胚珠培養によるBrassica oleraceaB.campestrisとの種間雑種の育成条件を検討した.胚珠培養の最適時期は交配後15-20日目で, 最適培地はCoconut milk 150ml/l, Kinetin 2.5mg/lおよびNAA2.5mg/lを添加したB5培地であった.この培地を用い, B. oleraceaB. campestrisとの間で相互交雑を行い, 胚珠培養により種間雑種作出を試みた.葉を食用とする葉菜タイプでは12組合せの29胚珠から, また葉および茎を食用とする葉茎菜タイプでは15組合せの119胚珠から雑種植物を得た.これらの個体をコルヒチン処理し, 複二倍体を得た.複二倍体のF1個体では, 花粉稔性の高い個体の出現頻度が非常に高かったにもかかわらず, 自殖種子稔性の高い個体の出現頻度は極めて低かった.F1個体を選抜して得られたF2個体では, 花粉稔性の高い個体の出現頻度がさらに高くなり, 同時に自殖種子稔性の高い個体の出現頻度も高くなった.しかも, 1莢当たり種子数が10粒以上の個体も得られ, 選抜による稔性の向上が認められた.また, 花粉稔性と種子稔性との間には有意な相関は認められなかったが, 葉菜タイプでは70%以下の, 葉茎菜タイプでは60%以下の花粉稔性を持つ個体はほとんど種子が得られず, 葉菜タイプと葉茎菜タイプともに, 種子稔性の高い個体を獲得するためには, 80%以上の花粉稔性を持つ個体の選抜が必要であることが分かった.
  • 田中 淳一, 山口 信雄, 中村 順行
    2001 年 3 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
    緑茶品種‘さやまかおり’は茶の重要害虫であるカンザワハダニ, クワシロカイガラムシに対して抵抗性を持ち, かつ寒害, 霜害にも強く緑茶育種の抵抗性育種素材として極めて重要な存在である.‘さやまかおり’は埼玉県茶業試験場において, 静岡県茶業試験場より取り寄せた茶品種‘やぶきた’の1947年産自然交雑種子中より選抜されている.‘さやまかおり’は極端な立葉, 際立って濃い葉色, 特徴的な鋸歯等々, 一般的な日本在来のチャにはほとんど見られない特徴的な形態形質を有している.これらはその後代の形態形質に大きな影響を与えることが再確認され, 優性効果の大きな遺伝子に支配されていることが推定された.従って‘やぶきた’がそのような形質を有していない以上, ‘さやまかおり’の花粉親に必須の条件と考えられた.これらの特徴的な形態形質を指標に静岡県茶業試験場内より‘さやまかおり’の花粉親としての可能性が多少なりとも疑われる栄養系を全てピックアップした.選ばれた78栄養系はいずれも海外, 特にそのほとんどが中国からの導入系統であり, 日本在来のチャは含まれなかった.これらを‘さやまかおり’の花粉親候補とし, ‘やぶきた’および‘さやまかおり’を用いてDNAマーカーによる親子鑑定を行った.その結果, ‘さやまかおり’の花粉親として合致するものはなく, ‘さやまかおり’の花粉親はすでに現存しない可能性が高いと判断された.
  • 山本 雅史, 松本 亮司, 國賀 武
    2001 年 3 巻 1 号 p. 49-51
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
  • 中川 裕子, 鳥山 欽哉
    2001 年 3 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
  • 中国黄河流域におけるケーススタディ
    武田 和義
    2001 年 3 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 3 巻 1 号 p. 69-70
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 3 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 3 巻 1 号 p. 75-75,77
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
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