土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
70 巻, 3 号
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和文論文
  • 田中 規夫, 八木澤 順治, 大塚 翔平
    2014 年 70 巻 3 号 p. 60-70
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/19
    ジャーナル フリー
     河道内砂礫州の樹林化し易さを評価する簡易指標として,植生破壊・流失評価指標に加え細粒成分の堆積に関する指標を導入し,その有効性について検討した.土砂堆積指標SLIは,低水路との比高差が大きい場合は,砂礫州の流下方向長さが大きい場合(タイプ1)でも小さい場合(タイプ2)でも,細粒分の堆積範囲を示せる可能性があるが、比高差も流下方向長さも小さな砂礫州(タイプ3)や,植生群落が過剰に存在する砂礫州(タイプ4)に対しては,堆積の有無を評価できない傾向が見られた.砂礫州の切下げが実際された本田地先の砂礫州(タイプ1)での検討より,砂礫州の切下げによるSLIの変化と実際の細粒成分の堆積および植生繁茂状況が対応していることから,切り下げ後の土砂堆積および植生動態状況をSLIによって把握できる可能性を示した.
  • 八木澤 順治, 田中 規夫
    2014 年 70 巻 3 号 p. 71-81
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/19
    ジャーナル フリー
     河道内砂礫州の植生繁茂状況の評価手法として,破断・倒伏後の木本の再生長・群落拡大特性,土砂堆積指標(SLI)を用いた細粒成分の堆積が遷移の早期化に及ぼす影響を考慮した植生動態モデルを開発した.荒川の熊谷大橋上流砂礫州(KU)にてモデルを構築し,荒川大橋上流砂礫州(AR)においてモデルの検証を行った.細粒成分の堆積が遷移の早期化に及ぼす影響を考慮したモデル化を加えた場合,KUでは,植物の破壊機構のモデル化のみでは再現できなかった河岸際の樹木群の侵入・定着を評価できた.本モデルをARに適用したところ,裸地域,シナダレスズメガヤ・ハリエンジュ群落の分布,繁茂面積を実測に近い形で評価できた.細粒成分の堆積とそれに伴う遷移速度の変化を考慮することが中長期の植生動態の評価に重要であることが示唆された.
  • 坂本 淳一, 松本 治彦, 羽田野 袈裟義, 朝位 孝二, 天野 卓三
    2014 年 70 巻 3 号 p. 82-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
     河川感潮部では,底質を構成する微細な粒子が有機物を多量に含んでヘドロ化し,貧酸素化や硫化水素の発生による悪臭などの問題が生じている.河川感潮部の水質浄化対策を検討するには,底質の移動に影響を及ぼす底面せん断応力の見積もりが必要になる.本研究では,現地観測により河川感潮部における塩水の挙動と濁度の分布の状況を調べると共に,密度効果を考慮した底面せん断応力の評価を試みている.評価された底面せん断応力と濁度の測定値との関係を考察した結果,一定以上の水深で評価された底面せん断応力は,上げ潮時に侵入する塩水の先端部で大きく,底質の巻き上げに寄与することが推論された.
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