土木学会論文集E1(舗装工学)
Online ISSN : 2185-6559
ISSN-L : 2185-6559
72 巻, 3 号
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舗装工学論文集第21巻
  • 田中 俊輔, 安倍 隆二, 武市 靖, 古田 智大, 木村 孝司
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_1-I_7
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     粗面系舗装は,粗い路面テクスチャによる走行安全性の機能を期待して,施工実績が増加している.特に近年,北海道開発局が管理する路線において施工が増加している北海道型SMAは,粗い路面テクスチャによる走行安全性の機能を有しており,施工における出来形として路面テクスチャに規格値を設定している.そのため,路面テクスチャと走行安全性の機能の関係について詳細な検討が必要である.そこで,本研究は,路面テクスチャと走行安全性の関係を検証した.その結果,1)路面テクスチャと水膜や氷膜が発生する水分供給量には関係があること,2)路面テクスチャと水膜や氷膜が発生する水分供給量の関係を用いて,実道における走行安全性評価を行うことができる可能性があることを示すことができた.
  • 白井 悠, 石垣 勉, 川上 篤史, 寺田 剛, 藪 雅行
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_9-I_17
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     本論文は,すべり抵抗測定車を用いたタイヤ/路面転がり抵抗(以下,転がり抵抗)の評価方法と,これより得られた転がり抵抗係数と自動車走行燃費との関係について検討した結果を報告するものである.転がり抵抗係数と自動車走行燃費は,国土技術政策総合研究所試験走路に施工した低燃費舗装を含む4種の試験路面で実測し,検討を行った.具体的な検討項目は,a)転がり抵抗測定時における影響要因の補正方法,b)転がり抵抗係数のタイヤ温度および車両の走行速度に対する補正方法,および c)転がり抵抗係数と自動車走行燃費との関係である.その結果,提案する評価方法から求めた転がり抵抗係数は走行燃費と相関が良いことが確認できた.
  • 川上 篤史, 石垣 勉, 白井 悠, 寺田 剛, 藪 雅行
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_19-I_25
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     タイヤ/路面転がり抵抗を低減する舗装技術は,自動車から排出されるCO2の削減が可能となるため,今後の低炭素社会に向けた新たな舗装技術であると考えられる.筆者らは,これまでに転がり抵抗を低減する舗装技術の開発やそのメカニズム解明に向けた研究を行っている.しかし,転がり抵抗と舗装の路面性状の関係は複雑であり,その評価手法も明らかになっていない点が多いのが現状である.本研究では,感圧紙によるタイヤと路面間の接地応力分布に着目し,その特性を把握するとともに,舗装路面の転がり抵抗の間接評価手法として適用性を検討した.その結果,接地応力分布は路面のテクスチャによって明らかな差異があること,ネガティブテクスチャ評価ができる可能性があること等が分かった.
  • 富山 和也, 川村 彰, 江口 利幸, 寺田 剛, 渡邉 一弘
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_27-I_35
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,プロファイル測定の実証試験に基づき,低速プロファイラに要求される精度およびその検証における視点と方法をまとめたものである.結果として,施工管理を想定した場合の目標として,基準プロファイルに対し,相互相関関数に基づくプロファイル一致度が全波長帯域で0.9および帯域1.6~25mで0.8以上かつIRI(国際ラフネス指数)誤差5%以下であり,プロファイル振幅比であるゲイン誤差が帯域1.6~50mで10%以下を提案した.また,これらの目標値を満たすため,移植性と反復性が同程度であると仮定した場合,プロファイラには,一致度0.95(全帯域)および0.9(帯域1.6~25m)以上かつIRI誤差2.5%以下であり,ゲイン誤差5%以下(帯域1.6~50m)の精度が必要であることを明らかにした.
  • 鬼塚 信弘, 平野 晴也, 多田 悟士, 沢口 義人
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_37-I_45
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     歩行者系舗装は安全かつ円滑な移動ができるものとされ,歩行感測定法などの研究が行われているが,体系化された定量的な評価法は確立されていない.本研究は筆者らの既往研究に新たな舗装種および無線測定装置を導入し,筋電図のノイズ除去と表面筋電図法の%MVC法で正規化の処理を施した.また,下腿が受ける影響を表面筋電図法により定量的に評価し,その関係性を明らかにし,体系化を試みた.その結果,下腿の筋活動は路面の硬さおよびすべり抵抗係数の違いによって一傾向をもって変化することが明らかになった.下腿の筋活動を測定することで,舗装の物理性状を定量的に評価できることから,人からみた歩行者系舗装の性能指標の一項目として導入できる可能性が示唆された.
  • 川村 和将, 神谷 恵三
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_47-I_52
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     東名高速道路は平成10年から全面的に高機能舗装を採用している.それにより基層以下への雨水の浸透が促進され,アスファルト層の損傷拡大が懸念されている.舗装の健全性を評価するために,東名高速道路では路面性状調査やFWD測定などを実施している.その結果,路面ひび割れ評価手法では,高機能舗装の損傷を評価できていないことや,路床の支持力は安定しており,雨水による影響が小さいことなど明らかにした.
  • 川島 陽子, 新田 弘之, 西崎 到
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_53-I_59
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     近年,各種インフラの維持管理の重要性が増す一方,点検診断の省力化も強く求められている.アスファルト舗装においてアスファルトの劣化度合いを診断する場合,実道からコアを採取し,アスファルトを抽出回収するまでの一連の工程が必要であり,手間と時間を要する.著者らは,これまでに赤外分光分析によるアスファルト混合物の簡易な劣化評価方法を検討し,微量なサンプルから簡便に劣化診断できる方法を開発している.本研究では,本手法の実道への適用を踏まえて,供用中のアスファルト混合物に対して赤外分光分析による劣化診断を試みた.特に,深さ方向でのアスファルト混合物の劣化進行度の違いを測定し,その上で劣化機構について推察した.その結果,アスファルトの物理性状や,酸化劣化の指標であるカルボニルインデックスから,劣化の進行が深さ方向で変化することを確認した.表層と基層のそれぞれの劣化機構を考察し,舗装表面,表層内部および基層とでは劣化を誘発する要因が異なる可能性が高いことを示した.
  • 加納 陽輔, 秋葉 正一, 赤津 健吾
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_61-I_68
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     アスファルト舗装発生材を再生利用するための技術開発は,1970年代から本格的に進められ,近年ではその98%以上が再材料化されている.しかし,現行技術においては繰り返しの再生利用に伴う品質確保はもとより,再生資材の多様化や長寿命化に対応する質的改善が課題であり,同時に複雑化・高度化するリサイクルフローの簡素化に向けて一考を要する現状にある.本研究では,再生骨材中の各粒径に被膜する旧アスファルトが再生混合物に及ぼす影響を把握したうえで,熱水すりもみ法による分別再材料化技術を提案し,発生材から回収した骨材と,これを配合した再生混合物を評価した.この結果,分別再材料化した13-1mm分の骨材は,新規骨材と同等の性状および品質を有し,混合物用素材として同様の取り扱いが可能であることを確認した.
  • 田中 敏弘, 鎌田 修, 丸山 陽
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_69-I_75
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     道路橋の床版のコンクリートに表面に水が介在すると,床版の劣化を著しく促進させることが明らかになっている.NEXCOでは,防水効果の持続性を規定した高性能床版防水を標準としているが,施工に多大な時間を要することから,供用中路線での適用が困難である.そこで,限られた時間で防水性を確保できるように,防水性能を有する舗装の開発に着手し,専用アスファルトの開発から,プロトタイプの混合物による実物大の供試体を用いた走行試験による耐久性試験を経て,供用中の高速道路で試験的に採用した結果,問題なく施工が可能であることが確認できた.
  • 渡邉 真一, 石垣 勉, 尾本 志展, 向後 憲一
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_77-I_85
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,理論的設計法を用いてアスファルト舗装の構造設計を行う際に,舗装の順解析の主要な材料パラメータとなるアスファルト混合物のスティフネスの実務的な設定方法の検討を今後の目的にしている.そこで,わが国において適用されている密粒度アスファルト混合物と粗粒度アスファルト混合物を対象として,Nottingham Asphalt Testerを使用したIndirect Tensile Stiffness Modulus試験方法(NAT-ITSM試験方法)による室内試験を実施した.本試験では,アスファルト混合物の締固め度の違いによる飽和度(以下,VFA),温度,およびバインダ種がスティフネスに及ぼす影響の把握を目的とした.本論文では,NAT-ITSM試験方法による一連のスティフネス室内試験結果を示すとともに,スティフネスとVFAの関係を表す実験式を検討した結果, Neves & Correia が提案する実験式1)は,筆者らの室内試験結果をよく表現できることがわかった.
  • 河村 直哉, 伊豆 太, 坪川 将丈
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_87-I_93
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     本論では,はく離の生じた空港の既設アスファルト混合物の判別方法として,修正ロットマン試験によるはく離抵抗性評価方法の適用性を検証した.その結果,はく離抵抗性の指標(残留圧裂強度比)が,はく離の生じたアスファルト混合物で低くなることを示し,本方法が判別に適用できることを確認した.その上で,空港舗装などから採取したコアを修正ロットマン試験により評価し,空港舗装の既設混合物に関する修正ロットマン試験の暫定規格値を提案した.
  • 上野 千草, 安倍 隆二, 井谷 雅司, 木村 孝司
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_95-I_103
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     積雪寒冷地におけるコンクリート舗装の実態調査を行い,損傷状況を把握した.この結果,既存の設計法で施工されたコンクリート舗装は,供用20~40年経過後においても概ね健全な状態を維持していた.ただし,一部の調査区間において,凍上が要因と考えられるコンクリート舗装版のひび割れを確認し,凍上対策における現設計法の課題を抽出した.そこで,凍上の影響を考慮したFEMモデルを作成し,凍上がコンクリート舗装に及ぼす影響について解析を行った.その結果,凍上により路盤面に不陸が生じると,コンクリート舗装版と路盤の間に生じる空間が影響し,舗装寿命が低下する懸念があることが明らかになった.
  • 西澤 辰男, 小梁川 雅, 竹内 康, 久保 和幸, 吉本 徹
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_105-I_113
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     コンクリート舗装の構造設計において重要な温度応力算定のために,1次元熱伝導方程式によりコンクリート版内の温度を予測し.それに基づいて3次元有限要素法(3DFEM)によって直接温度応力を計算する方法を開発した.温度予測法を検証するために,全国で計測されたコンクリート版内温度と予測された温度を比較し,良好な結果を得た.3DFEMによる温度応力予測法の検証には,試験舗装で計測された長期ひずみと計算結果を比較し,両者の対応を確認した.提案された方法によって1年間の温度応力を計算し,地域ごと,版厚ごとの温度応力頻度分布を得た.本方法により,多様な地域でのコンクリート舗装の構造設計が可能となる.
  • 橋爪 謙治, 橋本 和明, 全邦釘 , 中畑 和之, 石田 哲也
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_115-I_123
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     排水性舗装の損傷進行の把握を目的とし,四国地方の高速道路で高精度な路面性状車両により取得した定期測定データを分析した結果,局所的な沈下領域が発現すると短期間でひび割れ発生からポットホールへ進展する事象を確認した.この様な損傷は従来の評価(ひび割れ、わだち掘れ、平坦性)指標や調査頻度では早期発見が難しい.本研究は,生存時間解析を適用することで,排水性舗装に発現するポットホール発生リスクを増大させる劣化因子を特定し,劣化因子毎に分類した生存曲線を活用することで,ポットホール発生リスクの定量化を可能とした.本分析結果は,排水性舗装を延命化させる補修計画策定の基礎資料となり,分析結果に基づく定量評価フローを提案することで,ポットホール発生リスクの低減を図るものである.
  • 岩永 真和, 寺田 剛, 藪 雅行
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_125-I_131
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     占用工事における合理的な品質管理手法に関する研究の一環として,道路占有工事の仕様や同工事の実態に関するアンケート調査,ならびに実大供試体を用いた促進載荷による早期破損要因に関する実験的検証を行った.占用工事に関する実態調査の結果,仕様書に示されている要求事項,管理基準や検査方法は発注機関により異なることがわかった.また,実大供試体を用いた促進載荷による検討の結果,「狭小作業に伴う埋戻し材料の締固め不足」と「施工継目からの浸水による舗装支持力の低下」が,占用復旧箇所の早期破損要因である可能性が高いことがわかった.
  • 塚本 真也, 渡邉 一弘, 村山 雅人, 藪 雅行
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_133-I_140
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     本検討では,ひび割れの発生したアスファルト混合物への雨水浸透の影響,アスファルト混合物へフォグシールを塗布した場合の効果を明らかにするため,水滴を供給しながらのアスファルト混合物の曲げ疲労試験を実施した.また,その試験結果より,いくつかの仮定のもとでフォグシールによるアスファルト舗装の延命効果を定量的に算出し,フォグシールを適用した場合のライフサイクルコストの試算を行った.その結果,水滴を供給しながら曲げ疲労試験を実施するとアスファルト混合物は早期に応力低下すること,フォグシールを適切な時期に施すと疲労抵抗性を改善できること,定期的にフォグシールを行うと40年間のライフサイクルコストを2割縮減できる可能性を示した.
  • 谷川 光, 中村 貴久, 桃谷 尚嗣
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_141-I_149
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究では,小型FWDを用いて,細粒土混入率が高いバラスト軌道の支持剛性を検討した.まくらぎ1本および7本の実物大軌道模型を構築し,列車荷重に相当する荷重での載荷で得られる支持剛性と小型FWDで得られる支持剛性の違いを評価した.その結果,細粒土混入率が高いバラスト軌道の支持剛性は,高含水比の状態となると低下し,基準粒度範囲内のバラストより小さくなった.また列車荷重での載荷により,バラスト道床の粒度分布や繰返し載荷および散水の有無によらず,列車荷重付近では荷重-レール変位関係の傾きが変化しないことがわかった.そのため,バラスト道床の細粒土混入率が高い条件においても,載荷荷重が小さい小型FWD試験では,「浮きまくらぎ」が生じた場合には列車荷重が作用した場合よりバラスト軌道の支持剛性を小さく評価する可能性が高いことがわかった.
  • 石川 達也, 松谷 真吾, 所 哲也, 中村 貴久, 桃谷 尚嗣
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_151-I_158
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,バラスト道床の合理的な維持管理方法の確立に寄与するため,中型不飽和三軸試験機を用いて,新品道床バラストと経年劣化を想定した細粒土混入道床バラストの単調載荷・繰返し載荷三軸圧縮試験と保水性試験を実施し,含水状態の違いが細粒化した道床バラストの強度・変形特性に及ぼす影響について検討した.その結果,道床バラストは細粒化によりその保水性が著しく高まること,および細粒分の有無や含水状態の違いが道床バラストの強度特性・繰返し塑性変形特性に強い影響を及ぼすことが明らかとなった.したがって,列車荷重繰返し載荷時のバラスト道床の挙動予測や道床バラストの長期性能評価を精度よく行うには,道床バラストの力学特性に対する細粒分増加と含水比変化との相乗効果を十分考慮する必要がある.
  • 安倍 隆二, 上野 千草, 木村 孝司
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_159-I_167
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     積雪寒冷地において他産業再生資材であるガラスカレットの凍上抑制層材料への適用は,材料性状,凍上の抑制効果,融解期の支持力,環境安全性,供用性等が明確ではなく,利用が進んでいない.そこで,本研究ではガラスカレットを凍上抑制材料に用いた試験施工を行い,その適用性を確認した.その結果,ガラスカレットを凍上抑制層材料に用いると熱伝導率が粒状材料より小さいことから,最大凍結深さの抑制および路床の凍結期間を短縮する効果を有することや,融解期の舗装体支持力についても粒状材料を用いた箇所と比較し同程度の支持力を有することを明らかにした.さらに,ガラスカレットは環境安全性について問題がなく,製造時のCO2削減効果も粒状材料と比較し12%程度の削減効果を有することが確認された.
  • 寺田 剛, 岩永 真和, 近藤 益央, 山田 充, 藪 雅行
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_169-I_175
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     道路土工と舗装は独立した設計体系に基づき設計されている.道路土工と舗装を一体として設計することにより,より合理的かつ経済的な設計及び耐久性の向上が期待できるため,コスト縮減及び長寿命化に繋がる.現在,一般的に実施されている路床の施工管理は,締固め度の管理で行われており,詳細な締固め状態を確認する場合はCBR試験を実施することになっている.しかし,原位置でのCBR測定は反力装置の用意など測定が煩雑であることから,転圧回数による管理を行い現場密度試験により確認している.
     そこで本検討は,輪荷重走行試験機を用いた耐久性試験と舗装走行実験場で路床の締固め度を変えて施工した後,荷重車を走行させて耐久性試験を実施し,路床の締固め状態がアスファルト舗装の耐久性に与える影響を確認するとともに,支持力測定装置が締固め度の代替の可能性があるかの検討を行った。その結果,衝撃加速度試験機と小型FWDが締固め度の代替となり得る可能性があることが分かった.
  • 渡邉 一弘, 増戸 洋幸, 篠塚 政則, 上島 壯
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_177-I_185
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     舗装の構造評価手法の一つにFWDたわみ量調査があり,非破壊調査であることから実務面での普及が進んできている.しかし,FWDたわみ量の平均値の信頼範囲が不明なこと,実道において既設舗装の損傷状況は一様ではないことから,測定間隔の設定に苦慮する場合もある.本稿では,実道において短い測定間隔で修繕前後のFWDたわみ量調査及び路面性状調査を実施し,FWDたわみ量が2m程度ずれるだけで2倍以上となりうること,同様の修繕工事内容でも既設舗装の状況や補修履歴により,舗装の構造的健全度の回復度は大きく異なること,供用年数が長い舗装区間においてはひび割れの発生状況と構造的健全度の関係について相関が確認され,ひび割れの長さや交点に着目することでより的確に構造的健全度を評価しうる等の知見を得た.
  • 青木 政樹, 竹内 康, 城本 政一, 川名 太
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_187-I_193
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     利用者の快適性や安全性を考慮した歩行者系舗装の理論的設計法に関する過去の研究成果から,舗装路面の硬さ試験で求まる衝撃加速度と小型FWDにより求まる路面弾性係数EPFWD(表層以下を単層とみなした場合の弾性係数)には関係性があり,表層より下の層(以下,下層という)の弾性係数と表層自体の弾性係数が分かれば,Burmisterの2層系弾性地盤モデルを用いることで,衝撃吸収性を考慮した表層の厚さを理論的に設計することが可能であることが示された.本研究では,当該構造設計法の適用性を検証することを目的に,表層の種類や厚さおよび下層の条件を変えた26種類の試験舗装を構築し,理論設計法と実測により求まる路面弾性係数を比較した結果,当該構造設計法の適用可能性が確認できた.
  • 上浦 正樹, 三浦 康夫
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_195-I_201
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     JR貨物では多層弾性理論に基づく理論設計法を取り入れた独自の設計マニュアルを作成し,全国のコンテナホームの新設を行ってきた.これらのコンテナホームでは主にフォークリフトにより舗装の供用性が低下する.そこでJR貨物では全国のコンテナホームで継続的にFWD試験と平坦性測定によりデータを蓄積している.本研究ではこれらのデータからCAE路盤で施工された8コンテナホームを対象に多層弾性理論による逆解析により舗装各層の弾性係数を推定した.次にこれらの結果とCAE路盤の層厚及びフォークリフトの累積交通とで重回帰分析を行い,これらの関係式を得た.これに基づき各コンテナホームで累積交通量が設計交通量と等しくなる段階について信頼性理論に基づく破壊確率を推定した.これから推定した破壊確率の有用性を検討した.
  • 平戸 利明, 姫野 賢治, 村山 雅人, 高橋 将人, 高橋 修
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_203-I_210
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究では,アスファルト舗装の表面に生じる縦ひび割れに着目し,ホイールトラッキング試験を改良して,供試体表面に縦ひび割れを再現することで,そのメカニズムについて検討した.試験の結果,ある条件下で,タイヤ直下の表面にひび割れが生じることが分かった.この要因を明らかにするため,アスファルトコンクリートに圧縮作用と引張作用をそれぞれ繰り返して与え,応力の変化を評価した.試験の結果,弾性体に近いセメントコンクリートでは,圧縮作用時には圧縮応力,引張作用時には引張応力がそれぞれ生じるが,アスファルトコンクリートでは,応力緩和するため,作用方向に関わらず圧縮応力と引張応力が交互に生じる.このことから,アスファルトコンクリートでは,繰返し圧縮作用を受ける車両走行位置の舗装表面において,ひび割れが生じる可能性があることが明らかとなった.
  • 尾谷 力, 柳井 悠也, 木村 清和, 高橋 修, 清水 忠昭
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_211-I_218
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     応力制御による4点曲げ疲労試験(B018T)を実施して,アスファルト混合物のき裂伝播特性について検討した.B018T試験において,応力低下より推定されるき裂長さと実際に測定したき裂長さには同じ傾向があること,および試験より求めた破壊回数後におけるS-N曲線の傾きとき裂長さの傾きには一定の関係があることが判明した.温度によるき裂伝播特性への影響については,10℃以下の弾性挙動が顕著な温度域においては破壊力学パラメータΔKとき裂進展速度にParis則が成立することが確認された.また,アスファルトバインダの違いによるき裂伝播特性の差異についても検討し,考察を加えた.
  • 戸田 圭彦, 久利 良夫, 鎌田 修, 横田 慎也, 谷口 惺
    2016 年 72 巻 3 号 p. I_219-I_227
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/01/31
    ジャーナル フリー
     橋梁上のアスファルト舗装では様々な損傷が発生しており,特に鋼床版舗装での損傷が多い.しかし,交通荷重載荷時の橋梁上のアスファルト舗装の挙動は十分に把握されているとはいえない.筆者らはこれまで,線形粘弾性解析を用いてアスファルト舗装の挙動に関する研究を実施しており,弾性解析では表現できない鋼床版舗装特有の挙動を再現することに成功している.本研究では,鋼床版舗装を対象とした詳細な有限要素法モデルによる線形粘弾性解析を実施し,アスファルト舗装の損傷発生原因に着目した舗装体の挙動を検討した.その結果,鋼床版舗装におけるタイヤ近傍の粘弾性挙動を明らかにした.さらに,輪荷重の連行の影響,舗装下面の付着強さの影響について検討を行い,損傷の原因となり得るひずみ挙動について考察した.
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