土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
71 巻, 1 号
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和文論文
  • 佐藤 淳, 楠本 太, 土門 剛, 西村 和夫
    2015 年 71 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
     掘削機械の大型化および支保構造の早期閉合による変位抑制効果から全断面掘削の施工が増大している.全断面掘削では切羽の安定が重要であり,自然形成的な曲面切羽を用いる安定化工法は有効と考えられる.本論文では,曲面切羽の形状の違いによる安定効果を数値解析により,鏡吹付けコンクリート等の鏡面補強工の支保効果を模型実験により検証した.また,実トンネルの試験施工で曲面切羽の安定性,施工性の検証を行った.その結果,曲面切羽形状の優位性および鏡吹付けコンクリート等による簡易な補強で切羽安定性が大きく向上することが確認された.試験施工からは曲面切羽の安定性,施工性の良さが確認された.また,掘削目標曲面形状および曲面切羽の安定化挙動を示し,切羽安定化工法の考え方も提案する.
  • 佐藤 博, 大嶋 義隆, 大川 尚哉
    2015 年 71 巻 1 号 p. 14-28
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,開削トンネル上床版に作用する地震時周面せん断力を低減させることによる側壁直土圧への影響と免震効果を述べるものである.地中構造物は地震に対して変形性能とじん性を高める設計がなされているが,地盤変位や周面せん断力などの地震外力を低減させる技術も提案されている. その一つとして,主要地震外力である上載地盤から上床版に作用する周面せん断力を,上床版上に敷設したせん断力低減材により低減させる技術を考案した.せん断土槽中の砂層に埋設した構造物模型の地盤-構造物の動的相互作用に着目した振動実験を行い,せん断力低減材による側壁直土圧への影響と免震効果を把握した.また,2次元動的FEM非線形解析により実験結果の再現性の検討を行い,免震効果のメカニズムを明らかにした.
  • 仲山 貴司, 津野 究, 牛田 貴士, 焼田 真司, 室谷 耕輔
    2015 年 71 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
     既設の開削トンネルの側壁に開口を設ける場合を対象に,三次元FEMを用いた検討を行った.まず,開口が無い場合について三次元FEMと二次元フレーム解析による従来の設計計算との比較を行い,三次元FEMが設計計算と整合していることを確認した.つぎに,側壁に開口を設けた場合を対象に三次元FEMによる解析を行い,開口を設けることによる三次元的な応力の変化や開口の幅が及ぼす影響について把握するとともに,開口補強梁を設けた場合の効果を把握した.最後には,実務の設計計算における簡便な検討手法を提案するため,三次元FEMの解析結果を表現できる二次元フレーム解析や二方向スラブの理論を用いた方法を構築した.
  • 牛田 貴士, 仲山 貴司, 津野 究, 嶋本 敬介, 焼田 真司, 寺田 賢二郎, 京谷 孝史
    2015 年 71 巻 1 号 p. 41-53
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
     昨今,高度経済成長期に集中して整備された社会インフラの維持管理や更新が重要視されている.公共交通を支えてきた開削トンネルも40~80年の経年を迎えて,それらの維持管理に対する関心が高まっている.そこで本研究では,この際の補修数量を計画する指標となることを期待して,全国規模の将来予測シミュレーションを実施し,変状原因ごとに,経年とひび割れ発生割合の関係をまとめた.まず,現場調査データの統計分析から,開削トンネルにおける材料劣化の特徴を明らかにした.次に,室内試験から,腐食生成物に応じた丸鋼のひび割れ発生時の腐食量の算定手法を提案した.最後に,これらを用いた将来予測手法を構築して,それによるシミュレーション結果をまとめるとともに使用方法を示した.
  • 杉山 博一, 奥野 哲夫, 西村 和夫
    2015 年 71 巻 1 号 p. 54-65
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
     大深度トンネルに適用される建築物荷重の合理的な評価方法の確立と検証を目的として遠心模型実験を行った.実験ではトンネルの曲げ剛性や,トンネルと地盤の境界条件をパラメータとして,上載荷重作用時にトンネルに発生するひずみや変形,周辺地盤の土圧を計測した.その結果,曲げ剛性が低いトンネル模型の場合や,トンネル剛性が同じ条件ではトンネルと地盤が一体となって挙動する場合に断面力変化量が小さくなる傾向が確認できた.また,建築物荷重の評価方法として既往の弾性解の適用性を検討した.その結果,実験結果を一部再現できたものの,弾性体ではない砂地盤を使用した実験結果とは完全には一致しなかった.一方,現行の断面力算定方法では,曲げ剛性の小さいケースで上載荷重を過大に評価する可能性があることを確認した.
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