関東東山病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-2879
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2010 巻 , 57 号
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報文
病害の部
  • 仲川 晃生, 越智 直, 清水 繁夫
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 1-4
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ疫病防除に散布した亜リン酸液肥が,そうか病の発生に及ぼす影響を明らかにするため,疫病防除にあわせた液肥散布後にジャガイモを掘り取り,塊茎のそうか病発生程度を調査した。製造元の異なる2種類の亜リン酸液肥を用い,3濃度(250, 500および1000倍)で疫病の発病前から毎週合計4回散布(200L/10a/回)し,収穫時に塊茎のそうか病発生程度から発病度を求め,防除価を算出した。その結果,効果は低いもののそうか病の発生は低減して20 程度の防除価を示し,この効果は液肥の種類や散布濃度には関係なかった。また,亜リン酸粉末肥料(日本医薬品開発研究所試作,亜リン酸液肥10または20%含)をジャガイモ植付時に250kg/10aの割合で植溝施用し,同様にそうか病の発病調査を行った。その結果,そうか病に対して30以上の防除価を示し,成分濃度の違いによる効果の差は明確ではなかった。これらのことから,疫病防除に亜リン酸肥料を散布することで,ジャガイモそうか病の発病も軽減できると考えられた。さらに,亜リン酸液肥を用いてジャガイモそうか病の種いも消毒(50~250倍)効果を調べた結果,両液肥とも対照のオキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン水和剤(40倍)と同等の高い消毒効果を示した。以上のことから亜リン酸肥料の利用は,ジャガイモそうか病に対し,農薬に頼らない防除技術を開発する上で有効であると考えられた。
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  • 仲川 晃生, 越智 直, 清水 繁夫
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 5-9
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    亜リン酸液肥(ホスプラス:大塚化学製液肥,アリンサンデス2号:日本医薬品開発研究所製液肥)を使い,ジャガイモ疫病に対する防除効果について試験した。各液肥を250倍,500倍および1000倍の3濃度に希釈し,疫病初発前から1週間毎に合計4回(各200L/10a)散布して最終散布7日後に発病程度を調べた。この結果,2008年春作試験では,多発生条件の中においても両液肥250倍液散布区の防除価はそれぞれ66.9, 77.9を示し,対照としたマンゼブ・メタラキシル剤の防除価92.3には劣るものの,有効性が認められた。防除効果は希釈倍数が高まるにつれて低下し,このことは2009年春作でも同様であった。一方,植付時の1回処理を目的に,粉末資材化した亜リン酸肥料(亜リン酸10%および20%含量,日本医薬品開発研究所試作)を250kg/10aの割合で植溝施用した。この結果,甚発生条件下の2009 年春作では両濃度とも効果は低かったが,中発生となった同年秋作試験では,マンゼブ・メタラキシル剤の防除価が79.6であったのに対し,10%粉末資材では94.8, 20%粉末資材では97.1となり,ジャガイモ疫病に対する防除効果が認められた。しかし,亜リン酸肥料処理は,ジャガイモの生育や収量を抑制する傾向を示し,特に粉末肥料の植え付時処理で顕著に現れた。このため,今後は生育抑制等の軽減のため,有効な処理量や回数および適正品種や密植等の栽培法について検討が必要である。
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  • 三木 静恵, 桑原 克也, 大堀 智也, 池田 健太郎, 酒井 宏
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 11-13
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    2009年8月下旬,群馬県内のレタス栽培2圃場において,生育不良や萎凋症状を呈する病害が発生した。発病株は,外葉数枚が黄化・萎凋するとともに生育遅延が認められ,症状の激しい場合には,株全体が萎凋・枯死した。また,主根および茎部の維管束は褐変していた。維管束の褐変部から常法に従い菌を分離したところ,Fusarium属菌が高率に分離された。2圃場から分離された菌株は,いずれも小型分生子が単胞で短い単一フィアライドに擬頭状に形成された。大型分生子は鎌形~新月形で1~5隔壁,多くは3隔壁のものが観察された。分離菌株の生育適温は28~30℃であった。これらの特徴から分離菌株をF. oxysporumと同定した。分離菌株を接種したレタスには原病徴が再現され,同菌が再分離されたことから,本病は本県未発生のFusarium oxysporum f. sp. lactucaeによるレタス根腐病であることが判明した。さらにレース判別品種である‘晩抽レッドファイヤー’,‘コスタリカ4号’,‘パトリオット’を用いた検定法およびrDNAのIGS領域における塩基配列の相同性解析を行ったところ,本菌はレース2であることが明らかになった。
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  • 舟久保 太一, 景山 幸二
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 15-17
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    2009年6月,山梨県の未成熟トウモロコシ(スイートコーン)産地でトウモロコシ根腐病と同様の症状が多発した。分離菌の病原性を確認し,同定の結果Pythium arrhenomanes Drechsler であることが判明した。国内におけるトウモロコシ根腐病の病原菌としてPythium graminicola Subramaniam の報告はあるが,P. arrhenomanesの報告はない。よって,トウモロコシ根腐病の病原として,Pythium arrhenomanes Drechslerの追加を提案する。
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  • 斉藤 千温, 内山 徹, 土井 誠
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 19-21
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    静岡県浜松市沿岸地域で栽培されるネギ属作物におけるIYSVの感染実態を明らかにした。夏期に採集した全作物の全圃場でIYSVが検出され,検出されたIYSVはすべてオランダ系統だった。作物別では,根深ネギ,生食用ラッキョウおよびニラでは全ての株で発病しており,IYSVも90%以上の株から検出され,高率で感染していることが確認された。しかし,葉ネギは発病率が低く,検出率も67%と他作物に比べて低かった。秋冬期の採集でも,検出されたIYSVはすべてオランダ系統だった。タマネギ,根深ネギ,生食用ラッキョウおよびニラは全ての株が発病しており,IYSVも80%以上の株から検出されたが,葉ネギでは発病,感染ともに確認されなかった。
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  • 斉藤 千温, 塚本 剛弘, 森脇 久晃, 内山 徹, 多々良 明夫, 土井 誠
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 23-25
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    静岡県において,タマネギ収穫残渣におけるネギアザミウマの寄生状況,収穫20日後残渣のIYSV感染率とそこから採集したネギアザミウマのIYSV媒介率を調査した。ネギアザミウマは,収穫20日後まで継続して成虫・幼虫の発生が確認された。花柄は,倒伏時は認められなかったが,収穫当日残渣では20.0%,7日後では10.0%,14日後では30.0%,20日後では15.6%の割合で花柄が認められた。収穫後日数に関わらず花柄の有無によりネギアザミウマの個体数は,花柄のある株では平均24.9頭認められたのに対し,花柄のない株では6.4頭と,花柄がある株のほうが花柄のない株に比べ,有意に多くの個体数が観察された。収穫20日後のタマネギ残渣からは,葉身100%,花柄基部85.7%,花44.4%からIYSVが検出され,すべてオランダ系統だった。収穫20日後残渣に寄生していたネギアザミウマは雌雄ともに認められ,IYSV媒介率は29.6%であった。寄生部位別では,葉身40.0%,花柄基部34.2%,花9.1%,雌雄別では,メス22.2%,オス44.4%だったが,寄生部位別・雌雄別ともに有意差は認められなかった。
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  • 福田 充, 森島 正二, 和氣 貴光, 廣田 知記, 夏秋 知英
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 27-29
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    栃木県内の越冬・冬春トマト,夏秋・抑制トマトにおけるトマトクロロシスウイルス (Tomato chlorosis virus, ToCV) の発生状況は,発生圃場率でそれぞれ35.4%,46.7%で,県内の主要なトマト産地でToCVが広く発生していた。本ウイルスをトマト各品種に接種したところ,供試した20品種すべてで感染が認められた。なお,穂木品種の麗夏,TY12,台木品種のサポートは本ウイルスに対する感受性が低い傾向が認められた。
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  • 鈴木 健, 田中 千華, 吉田 菜々子, 植松 清次
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 31-34
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    イチゴ小葉にイチゴ炭疽病菌を接種し,病斑形成の有無から炭疽病菌の病原性を判定する方法の開発のために,分生子の接種による葉位別の発病程度と接種源滴下後の風乾処理による病斑形成促進効果を検討した。病原菌を接種したイチゴ小葉の反応は,葉位の違いが大きく影響した。若い葉を使用した場合は弱病原性菌にも反応し,古葉を使用した場合は葉の黄化や黒変腐敗が激しく検査が困難であった。これに対し,展開葉第3葉を用いた場合に安定した結果が得られた。また,接種源滴下後の風乾処理により,小葉の病斑形成は促進され,判定に要する日数が7~12日程度短縮できた。以上のことから,イチゴ小葉を使用した簡易病原性検定には,生育の揃ったイチゴ苗の第3葉前後の充実した展開葉を使用すること,接種源を滴下後に風乾処理を行うことで,病原性を簡易に判定することができる。
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  • 小野 剛, 河野 章, 宗 芳光, 星 秀男
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 35-36
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Gray mold of celery, Apium graveolens L., occurred on Chichijima in Ogasawara(Bonin) Islands in 2007. The pathogen isolated from the diseased plants was identified as Botrytis cinerea Persoon: Fries. An inoculation test confirmed that this fungus was the causal agent of this disease. This is the first report of this disease in Japan.
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  • 竹内 純, 小野 剛, 鍵和田 聡, 西尾 健, 堀江 博道
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 37-39
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Anthracnose of Cacalia delphiniifolia Siebold et Zucc. occurred on Toshima Island of Tokyo Metropolis in 2009. The causal fungi isolated from the diseased plants were identified as Colletotrichum dematium (Persoon:Fries) Grove and Colletotrichum gloeosporioides (Penzig) Penzig & Saccardo. Inoculation tests showed that these fungi were the causal agents of the disease. This is the first report of the disease in Japan.
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  • 舟久保 太一, 綿打 享子, 村上 芳照, 瀧川 雄一
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 41-43
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    2001年,山梨県のモモ園で収穫期を終えたモモが9月~10月頃に赤褐色の樹液を噴出し急激に枯死する症状が発生した。樹液噴出部位から分離した細菌は休眠枝と健全なモモの樹幹や主枝の一部も腐敗させたが樹体枯死までは再現できなかった。分離菌の細菌学的性質等を調査した結果,分離菌はErwinia chrysanthemiと同定された。4月~10月の当年枝を用いて休眠枝と同様の接種試験を行ったところ,4月および8月以降に採取した枝では腐敗が認められたが,5月~7月の枝では腐敗は起こらなかった。
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  • 小野 剛, 松浦 里江, 河野 章, 宗 芳光, 星 秀男
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 45-46
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Rhizopus rot of passion fruit, Passiflora edulis × P. edulis f. flavicarpa, occurred on Chichijima in Ogasawara(Bonin) Islands in 2005. The pathogen isolated from the diseased plants was identified as Rhizopus sp. An inoculation test confirmed that this fungus was the causal agent of this disease. This is the first report of this disease in Japan.
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  • 佐藤 衛, 築尾 嘉章, 松下 陽介
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 47-48
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Leaf spot of coneflower (Rudbeckia spp.) and morning glory (Pharbitis nil) occurred in Ibaraki Prefecture in July and November 2007, respectively. Both causal agents were identified as Alternaria alternata. This is the first report on coneflower and morning glory in Japan.
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  • 小野 剛, 河野 章, 星 秀男
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 49-50
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Leaf spot of air plant, Kalanchoe pinnata (Lam.) Pers., occurred on Chichijima in Ogasawara (Bonin) Islands in 2003. The pathogen isolated from the diseased plants was identified as Phoma exigua. An inoculation test confirmed that this fungus was the causal agent of this disease. This is the first report of this disease in Japan.
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  • 佐藤 豊三, 窪田 昌春, 富岡 啓介
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 51-53
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Two fungal isolates from blighted oregano seedlings in Tsukuba, Japan, in November 2007 were identified as the leaf blight pathogen, Rhizoctonia solani AG-1 IB based on their morphology, anastomosis tests with the reference strain and PCR with the specific primer. Inoculations with the isolates to Origanum vulgare, two cultivars of O. vulgare, O. vulgare subsp. hirtum and O. majorana seedlings, showed that both attacked all cultivars and species, though O. vulgare and O. vulgare subsp. hirtum were relatively tolerant to the pathogen.
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  • 池田 健太郎, 桑原 克也, 古屋 修, 三木 静恵, 柴田 聡, 田島 明美
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 55-57
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Stem rot disease of potted hydrangea (Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser.) occurred in Gunma Prefecture. Two of four isolates from affected hydrangea plants were identified as Phoma exigua Desmaz., a pathogen of leaf spot disease of hydrangea, and the others were identified as Phoma spp. by investigating mycological properties and analyzing DNA sequence of ITS-rDNA region.
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  • 舟久保 太一, 景山 幸二
    2010 巻 (2010) 57 号 p. 59-60
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    スズランエリカ根腐病はPythium helicoides Drechslerによる病害であるが,それとは異なる菌が分離される場合があった。そこで,本菌による接種試験を行ったところ,病原性が確認され,同定の結果P.spinosum Sawadaであることが判明した。本菌はスズランエリカ根腐病の病原としては未記載であるため,スズランエリカ根腐病の病原として追加することを提案する。
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虫害の部
農薬の部
研究発表会講演要旨
新たに発生が確認された病害虫
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