関東東山病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-2879
Print ISSN : 1347-1899
2010 巻 , 57 号
選択された号の論文の41件中1~41を表示しています
報文
病害の部
  • 仲川 晃生, 越智 直, 清水 繁夫
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 1-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ疫病防除に散布した亜リン酸液肥が,そうか病の発生に及ぼす影響を明らかにするため,疫病防除にあわせた液肥散布後にジャガイモを掘り取り,塊茎のそうか病発生程度を調査した。製造元の異なる2種類の亜リン酸液肥を用い,3濃度(250, 500および1000倍)で疫病の発病前から毎週合計4回散布(200L/10a/回)し,収穫時に塊茎のそうか病発生程度から発病度を求め,防除価を算出した。その結果,効果は低いもののそうか病の発生は低減して20 程度の防除価を示し,この効果は液肥の種類や散布濃度には関係なかった。また,亜リン酸粉末肥料(日本医薬品開発研究所試作,亜リン酸液肥10または20%含)をジャガイモ植付時に250kg/10aの割合で植溝施用し,同様にそうか病の発病調査を行った。その結果,そうか病に対して30以上の防除価を示し,成分濃度の違いによる効果の差は明確ではなかった。これらのことから,疫病防除に亜リン酸肥料を散布することで,ジャガイモそうか病の発病も軽減できると考えられた。さらに,亜リン酸液肥を用いてジャガイモそうか病の種いも消毒(50~250倍)効果を調べた結果,両液肥とも対照のオキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン水和剤(40倍)と同等の高い消毒効果を示した。以上のことから亜リン酸肥料の利用は,ジャガイモそうか病に対し,農薬に頼らない防除技術を開発する上で有効であると考えられた。
  • 仲川 晃生, 越智 直, 清水 繁夫
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 5-9
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    亜リン酸液肥(ホスプラス:大塚化学製液肥,アリンサンデス2号:日本医薬品開発研究所製液肥)を使い,ジャガイモ疫病に対する防除効果について試験した。各液肥を250倍,500倍および1000倍の3濃度に希釈し,疫病初発前から1週間毎に合計4回(各200L/10a)散布して最終散布7日後に発病程度を調べた。この結果,2008年春作試験では,多発生条件の中においても両液肥250倍液散布区の防除価はそれぞれ66.9, 77.9を示し,対照としたマンゼブ・メタラキシル剤の防除価92.3には劣るものの,有効性が認められた。防除効果は希釈倍数が高まるにつれて低下し,このことは2009年春作でも同様であった。一方,植付時の1回処理を目的に,粉末資材化した亜リン酸肥料(亜リン酸10%および20%含量,日本医薬品開発研究所試作)を250kg/10aの割合で植溝施用した。この結果,甚発生条件下の2009 年春作では両濃度とも効果は低かったが,中発生となった同年秋作試験では,マンゼブ・メタラキシル剤の防除価が79.6であったのに対し,10%粉末資材では94.8, 20%粉末資材では97.1となり,ジャガイモ疫病に対する防除効果が認められた。しかし,亜リン酸肥料処理は,ジャガイモの生育や収量を抑制する傾向を示し,特に粉末肥料の植え付時処理で顕著に現れた。このため,今後は生育抑制等の軽減のため,有効な処理量や回数および適正品種や密植等の栽培法について検討が必要である。
  • 三木 静恵, 桑原 克也, 大堀 智也, 池田 健太郎, 酒井 宏
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 11-13
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    2009年8月下旬,群馬県内のレタス栽培2圃場において,生育不良や萎凋症状を呈する病害が発生した。発病株は,外葉数枚が黄化・萎凋するとともに生育遅延が認められ,症状の激しい場合には,株全体が萎凋・枯死した。また,主根および茎部の維管束は褐変していた。維管束の褐変部から常法に従い菌を分離したところ,Fusarium属菌が高率に分離された。2圃場から分離された菌株は,いずれも小型分生子が単胞で短い単一フィアライドに擬頭状に形成された。大型分生子は鎌形~新月形で1~5隔壁,多くは3隔壁のものが観察された。分離菌株の生育適温は28~30℃であった。これらの特徴から分離菌株をF. oxysporumと同定した。分離菌株を接種したレタスには原病徴が再現され,同菌が再分離されたことから,本病は本県未発生のFusarium oxysporum f. sp. lactucaeによるレタス根腐病であることが判明した。さらにレース判別品種である‘晩抽レッドファイヤー’,‘コスタリカ4号’,‘パトリオット’を用いた検定法およびrDNAのIGS領域における塩基配列の相同性解析を行ったところ,本菌はレース2であることが明らかになった。
  • 舟久保 太一, 景山 幸二
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 15-17
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    2009年6月,山梨県の未成熟トウモロコシ(スイートコーン)産地でトウモロコシ根腐病と同様の症状が多発した。分離菌の病原性を確認し,同定の結果Pythium arrhenomanes Drechsler であることが判明した。国内におけるトウモロコシ根腐病の病原菌としてPythium graminicola Subramaniam の報告はあるが,P. arrhenomanesの報告はない。よって,トウモロコシ根腐病の病原として,Pythium arrhenomanes Drechslerの追加を提案する。
  • 斉藤 千温, 内山 徹, 土井 誠
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 19-21
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    静岡県浜松市沿岸地域で栽培されるネギ属作物におけるIYSVの感染実態を明らかにした。夏期に採集した全作物の全圃場でIYSVが検出され,検出されたIYSVはすべてオランダ系統だった。作物別では,根深ネギ,生食用ラッキョウおよびニラでは全ての株で発病しており,IYSVも90%以上の株から検出され,高率で感染していることが確認された。しかし,葉ネギは発病率が低く,検出率も67%と他作物に比べて低かった。秋冬期の採集でも,検出されたIYSVはすべてオランダ系統だった。タマネギ,根深ネギ,生食用ラッキョウおよびニラは全ての株が発病しており,IYSVも80%以上の株から検出されたが,葉ネギでは発病,感染ともに確認されなかった。
  • 斉藤 千温, 塚本 剛弘, 森脇 久晃, 内山 徹, 多々良 明夫, 土井 誠
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 23-25
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    静岡県において,タマネギ収穫残渣におけるネギアザミウマの寄生状況,収穫20日後残渣のIYSV感染率とそこから採集したネギアザミウマのIYSV媒介率を調査した。ネギアザミウマは,収穫20日後まで継続して成虫・幼虫の発生が確認された。花柄は,倒伏時は認められなかったが,収穫当日残渣では20.0%,7日後では10.0%,14日後では30.0%,20日後では15.6%の割合で花柄が認められた。収穫後日数に関わらず花柄の有無によりネギアザミウマの個体数は,花柄のある株では平均24.9頭認められたのに対し,花柄のない株では6.4頭と,花柄がある株のほうが花柄のない株に比べ,有意に多くの個体数が観察された。収穫20日後のタマネギ残渣からは,葉身100%,花柄基部85.7%,花44.4%からIYSVが検出され,すべてオランダ系統だった。収穫20日後残渣に寄生していたネギアザミウマは雌雄ともに認められ,IYSV媒介率は29.6%であった。寄生部位別では,葉身40.0%,花柄基部34.2%,花9.1%,雌雄別では,メス22.2%,オス44.4%だったが,寄生部位別・雌雄別ともに有意差は認められなかった。
  • 福田 充, 森島 正二, 和氣 貴光, 廣田 知記, 夏秋 知英
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 27-29
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    栃木県内の越冬・冬春トマト,夏秋・抑制トマトにおけるトマトクロロシスウイルス (Tomato chlorosis virus, ToCV) の発生状況は,発生圃場率でそれぞれ35.4%,46.7%で,県内の主要なトマト産地でToCVが広く発生していた。本ウイルスをトマト各品種に接種したところ,供試した20品種すべてで感染が認められた。なお,穂木品種の麗夏,TY12,台木品種のサポートは本ウイルスに対する感受性が低い傾向が認められた。
  • 鈴木 健, 田中 千華, 吉田 菜々子, 植松 清次
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 31-34
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    イチゴ小葉にイチゴ炭疽病菌を接種し,病斑形成の有無から炭疽病菌の病原性を判定する方法の開発のために,分生子の接種による葉位別の発病程度と接種源滴下後の風乾処理による病斑形成促進効果を検討した。病原菌を接種したイチゴ小葉の反応は,葉位の違いが大きく影響した。若い葉を使用した場合は弱病原性菌にも反応し,古葉を使用した場合は葉の黄化や黒変腐敗が激しく検査が困難であった。これに対し,展開葉第3葉を用いた場合に安定した結果が得られた。また,接種源滴下後の風乾処理により,小葉の病斑形成は促進され,判定に要する日数が7~12日程度短縮できた。以上のことから,イチゴ小葉を使用した簡易病原性検定には,生育の揃ったイチゴ苗の第3葉前後の充実した展開葉を使用すること,接種源を滴下後に風乾処理を行うことで,病原性を簡易に判定することができる。
  • 小野 剛, 河野 章, 宗 芳光, 星 秀男
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 35-36
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Gray mold of celery, Apium graveolens L., occurred on Chichijima in Ogasawara(Bonin) Islands in 2007. The pathogen isolated from the diseased plants was identified as Botrytis cinerea Persoon: Fries. An inoculation test confirmed that this fungus was the causal agent of this disease. This is the first report of this disease in Japan.
  • 竹内 純, 小野 剛, 鍵和田 聡, 西尾 健, 堀江 博道
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 37-39
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Anthracnose of Cacalia delphiniifolia Siebold et Zucc. occurred on Toshima Island of Tokyo Metropolis in 2009. The causal fungi isolated from the diseased plants were identified as Colletotrichum dematium (Persoon:Fries) Grove and Colletotrichum gloeosporioides (Penzig) Penzig & Saccardo. Inoculation tests showed that these fungi were the causal agents of the disease. This is the first report of the disease in Japan.
  • 舟久保 太一, 綿打 享子, 村上 芳照, 瀧川 雄一
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 41-43
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    2001年,山梨県のモモ園で収穫期を終えたモモが9月~10月頃に赤褐色の樹液を噴出し急激に枯死する症状が発生した。樹液噴出部位から分離した細菌は休眠枝と健全なモモの樹幹や主枝の一部も腐敗させたが樹体枯死までは再現できなかった。分離菌の細菌学的性質等を調査した結果,分離菌はErwinia chrysanthemiと同定された。4月~10月の当年枝を用いて休眠枝と同様の接種試験を行ったところ,4月および8月以降に採取した枝では腐敗が認められたが,5月~7月の枝では腐敗は起こらなかった。
  • 小野 剛, 松浦 里江, 河野 章, 宗 芳光, 星 秀男
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 45-46
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Rhizopus rot of passion fruit, Passiflora edulis × P. edulis f. flavicarpa, occurred on Chichijima in Ogasawara(Bonin) Islands in 2005. The pathogen isolated from the diseased plants was identified as Rhizopus sp. An inoculation test confirmed that this fungus was the causal agent of this disease. This is the first report of this disease in Japan.
  • 佐藤 衛, 築尾 嘉章, 松下 陽介
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 47-48
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Leaf spot of coneflower (Rudbeckia spp.) and morning glory (Pharbitis nil) occurred in Ibaraki Prefecture in July and November 2007, respectively. Both causal agents were identified as Alternaria alternata. This is the first report on coneflower and morning glory in Japan.
  • 小野 剛, 河野 章, 星 秀男
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 49-50
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Leaf spot of air plant, Kalanchoe pinnata (Lam.) Pers., occurred on Chichijima in Ogasawara (Bonin) Islands in 2003. The pathogen isolated from the diseased plants was identified as Phoma exigua. An inoculation test confirmed that this fungus was the causal agent of this disease. This is the first report of this disease in Japan.
  • 佐藤 豊三, 窪田 昌春, 富岡 啓介
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 51-53
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Two fungal isolates from blighted oregano seedlings in Tsukuba, Japan, in November 2007 were identified as the leaf blight pathogen, Rhizoctonia solani AG-1 IB based on their morphology, anastomosis tests with the reference strain and PCR with the specific primer. Inoculations with the isolates to Origanum vulgare, two cultivars of O. vulgare, O. vulgare subsp. hirtum and O. majorana seedlings, showed that both attacked all cultivars and species, though O. vulgare and O. vulgare subsp. hirtum were relatively tolerant to the pathogen.
  • 池田 健太郎, 桑原 克也, 古屋 修, 三木 静恵, 柴田 聡, 田島 明美
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 55-57
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Stem rot disease of potted hydrangea (Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser.) occurred in Gunma Prefecture. Two of four isolates from affected hydrangea plants were identified as Phoma exigua Desmaz., a pathogen of leaf spot disease of hydrangea, and the others were identified as Phoma spp. by investigating mycological properties and analyzing DNA sequence of ITS-rDNA region.
  • 舟久保 太一, 景山 幸二
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 59-60
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    スズランエリカ根腐病はPythium helicoides Drechslerによる病害であるが,それとは異なる菌が分離される場合があった。そこで,本菌による接種試験を行ったところ,病原性が確認され,同定の結果P.spinosum Sawadaであることが判明した。本菌はスズランエリカ根腐病の病原としては未記載であるため,スズランエリカ根腐病の病原として追加することを提案する。
虫害の部
  • 小澤 朗人, 牧野 秋雄
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 61-62
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    The apple snail, Pomacea canaliculata (Lamarck), is an important exotic pest in paddy fields in Japan. In Shizuoka Prefecture after the first occurrence in 1983, the distribution area of the snails has been increasing year by year. We conducted a mark-release-recapture study of the snails in paddy fields with plot-to-plot irrigation to investigate their dispersal ability. The recapture rates were about 60% at two weeks after the release. About 30% to 60% of the snails moved from a released field to the adjoining fields through water inlets. After the invasion to the adjoining fields, they dispersed widely over the paddy fields. The maximum movement distance was 68m, although most of the snails moved less than 30m.
  • 伊藤 綾, 沼尻 勝人, 西村 修一, 竹内 浩二
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 63-66
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    東京都の三宅島で栽培されるサヤエンドウに, 近年ナモグリバエなどの害虫による被害が多発し, 生産阻害要因となっている。そこで防虫網と近紫外線除去フィルムを展張した施設において栽培を行った。その結果, 従来の露地栽培と比較して, 防虫網 (目合い0.8mm) あるいは防虫網+近紫外線除去フィルムではナモグリバエの発生は3~1割以下に抑えることができ, 葉の被害も6~4割以下と, 大幅に軽減することができた。
  • 福田 充, 森島 正二, 和氣 貴光
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 67-69
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    ニラのネギアザミウマに対する薬剤による防除は,一部薬剤において殺虫効果の低下が認められるが,スピノサド水和剤,ベンフラカルブマイクロカプセル剤, ジメトエート乳剤のネギアザミウマに対する補正死虫率がそれぞれ96%,86%,94%以上であり,高い殺虫効果が認められた。ニラのネギアザミウマに対する高温処理は成虫で45℃20分以上,卵で50℃25分以上の処理時間が必要であった。しかし,50℃30分処理ではニラ葉縁の枯れが認められた。
  • 大木 浩, 牛尾 進吾, 川城 英夫, 武田 藍
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 71-74
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    ネコブセンチュウが発生している温室で,エタノールを用いた土壌還元消毒によるネコブセンチュウの防除効果を検討した。試験は気温35℃の加温区と無加温区の2棟で行い,それぞれにエタノール濃度0.25,0.5および1.0%(容積比)の3水準を設定した。処理は2009年6月18日から15日間行い,処理後にキュウリを栽培して根こぶの着生程度と線虫密度を調査した。その結果,1.0%処理では,加温の有無にかかわらず高い防除効果が得られた。0.5%処理では,加温区のみで防除効果が高かった。0.25%処理では,加温区および無加温区とも十分な防除効果が得られなかった。したがって,千葉県のキュウリ栽培におけるネコブセンチュウ防除には,処理期間の平均地温が30℃以下となることがある6月には1.0%,これより高い地温となる7~8月には0.5%でのエタノール処理が適当であると考えられた。
  • 西村 浩志
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 75-78
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    栃木県のイチゴ栽培施設で普及可能なワタアブラムシ防除のためのバンカープラント法を検討する中で,代替寄主を生産者自ら採取して利用する場合を想定した試験を行った。代替寄主としてはムギクビレアブラムシとトウモロコシアブラムシが候補となるが,それらの有性世代の出現率を調査したところ,短日条件下において,ムギクビレアブラムシは産雌虫および雄虫を産子したのに対して,トウモロコシアブラムシは胎生雌虫のみを産子し,有性世代が出現しなかった。よって,本県において生産者が代替寄主を野外採取する場合はトウモロコシアブラムシのほうがより安定してバンカープラント法に用いることができると考えられた。また,実験圃場において,オオムギ上で代替寄主トウモロコシアブラムシを維持するバンカープラントを設置して天敵コレマンアブラバチを放飼したところ,天敵を長期間維持することができ,このバンカープラント法により防除効果を高められる可能性が示唆された。
  • 増井 伸一, 芳賀 一
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 79-81
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    メロンの定植を4週間間隔でずらしながら4作を栽培するビニールハウスの定植時にジノテフラン粒剤またはベンフラカルブ粒剤を施用する条件で,定植直後およびその4週間後の放飼スケジュールでスワルスキーカブリダニによるミナミキイロアザミウマの密度抑制効果をククメリスカブリダニ放飼とともに検討した。その結果,スワルスキーカブリダニの定着はククメリスカブリダニよりも良く,ベンフラカルブ粒剤を施用した区よりもジノテフラン粒剤を施用した区で定着が良い傾向が見られた。ミナミキイロアザミウマの成虫密度は両種のカブリダニ放飼によって低下しなかった。一方,幼虫密度はスワルスキーカブリダニ放飼によって低く維持された。以上の結果から,周年栽培されるメロンにおいてスワルスキーカブリダニ放飼によりミナミキイロアザミウマ幼虫の密度を抑制できる可能性が示唆された。
  • 斉藤 公作, 鎌田 由美子, 宇井 浩之, 片瀬 雅彦, 宮井 俊一
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 83-84
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    ナシ園におけるニセナシサビダニの密度調査を簡便化するために,存在頻度法を検討した。葉あたり発生密度と存在葉率を調査し,両者の関係を河野・杉野(1958)の式に当てはめて解析した結果,その適合性は高かった。そこで,久野(1986)の式により,相対標準誤差を0.3として,調査に必要な葉数を推定したところ,存在葉率0.1以上0.2未満では300枚以下,0.2以上で約150枚以下と推定された。
  • 高橋 真秀, 齋藤 俊一, 内野 憲
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 85-86
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    千葉県市原市のナシ園では,全域でハマキムシ類に対して交信撹乱剤(オリフルア・トートリルア・ピーチフルア剤)100本/10aを年2回,設置している(計200本/10a)が,同様に交信撹乱剤を設置した町田地区のナシ園内にフェロモントラップを設置し,リンゴコカクモンハマキの発生消長を調査したところ,5月中旬から10月中旬まで継続してトラップへの誘殺が確認され,5月中~下旬,6月下旬~7月中旬および9月下旬~10月上旬に明瞭なピークが認められた。そのため,リンゴコカクモンハマキが発生する要因のひとつとして推察された薬剤抵抗性獲得の有無を調査したところ,町田地区から採取,飼育した個体群の幼虫はDEP乳剤,クロマフェノジド水和剤に対して若干の感受性低下が認められたが,これまで使用されてきた主な薬剤(フルベンジアミド水和剤,チオジカルブ水和剤,フェンプロパトリン水和剤,クロルピリホス水和剤,BT水和剤)に対する感受性の低下は認められなかった。
  • 清水 喜一
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 87-90
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    生ラッカセイを飼料とし,水挿しにしたヤマモモの葉付きの小枝を給水源として下記3種の果樹カメムシ類の飼育を行った。チャバネアオカメムシ,ツヤアオカメムシ,クサギカメムシとも水の代わりにヤマモモの小枝を用いた場合には,幼虫期間の短縮化,生存率の上昇,体サイズの大型化,産卵数の増加が見られた。生ラッカセイを与えずに,ヤマモモの小枝だけで飼育した場合には,3種のカメムシとも2齢幼虫期に全て死亡してしまう。これらのことから,ヤマモモの枝葉に含まれる主要栄養素ではない何らかの物質が果樹カメムシ類の発育や産卵に影響を与えたのではないかと考えられた。
  • 久保田 栄
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 91-95
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    Salt-preserved cherry leaves are used as an indispensable material for traditional Japanese sweets. The leaves are harvested from cherry trees (Prunus lannesiana var. speciosa) grown mainly in Southern Izu Peninsula, central Japan, where cherry tree growing is one of the most important industries. Until today there have been few reports on the pest insects infesting these cherry trees. The author surveyed the pest insect fauna on the cherry trees, resulting in 50 species including two spider mite species. It was clarified that peculiar elongated holes on the cherry leaves were caused by feeding behavior of Frankliniella intonsa (Trybom) (Thysanoptera Thripidae) before leaf unfolding.
  • 池田 二三高
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 97-99
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    ウスモンミドリカスミカメTaylorilygus apicalis (Fieber)の成虫は,キク科植物の筒状花と筒状花の間に1粒ずつ産卵する。稀にホウの内側にも産卵する。産卵対象となる花は,筒状花を有する小ギク以下の小さな花に限られ,園芸種や雑草でも同様である。特にセイタカアワダチソウ,ヨモギ,アチノギク類など筒状花の小さい花を好む傾向が強かった。
  • 河名 利幸, 安田 清作, 鎌田 由美子, 斉藤 明子, 尾崎 煙雄, 盛口 満, 平井 良明, 小林 洋生
    2010 年 2010 巻 57 号 p. 101-103
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    2009年8月に千葉県館山市で,県内では初めてクロマダラソテツシジミの発生が確認された。その後,約2か月間で初発生地点から半径約20kmの範囲にまで拡大し,侵入後の分布拡大は非常に早いことが明らかになった。同年10月~翌年4月に発生している個体の生育ステージを調査した結果,11月中旬以降の産卵は確認されず,11月上旬に産卵された個体は多くが蛹化するものの,そのほとんどが蛹のまま死亡あるいは羽化不完全となった。したがって,千葉県の露地では,クロマダラソテツシジミは冬季に蛹態で死亡するか,越冬しても羽化できないと考えられる。
農薬の部
研究発表会講演要旨
新たに発生が確認された病害虫
feedback
Top