脳血管内治療
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3 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 栗原 伴佳, 原口 浩一, 大瀧 隼也, 清水 匡一, 松浦 伸樹, 尾金 一民, 伊藤 丈雄
    2018 年 3 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/05
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】平均寿命の延びに伴い高齢者のsubarachnoid hemorrhage(SAH)の治療ケースは増加している.コイル塞栓術第一選択の施設における治療成績について検討した.【方法】2010 年 4 月から2017 年6 月に治療した80 歳以上の破裂脳動脈瘤によるSAH 33 例(女性30 例, 80–93 歳,平均年齢84.6)を対象として,コイル塞栓術群とクリッピング術群の間で患者背景因子,転帰を比較,検討した.また治療困難例に関しても考察した.【結果】コイル塞栓術群が22 例(66.7%),クリッピング術群が11 例(33.3%)であった.退院時または3 カ月後のmodified Rankin Scale(mRS)が0–2 の群は,コイル塞栓術群が22 例中6 例(27.3%),クリッピング術群が11 例中2 例(18.2%)であり,有意差はないがコイル塞栓術群で予後良好例を多く認めた.しかしながら,mass effect のある血腫を伴う症例がクリッピング術群に4 例(36.4%)含まれていた.また,高齢を理由とする治療困難例が少なからず認められた.【結論】高齢SAH 患者に対するコイル塞栓術第一選択施設の治療成績は,若年と比較すると転帰良好となる率は低かったものの,手技に関係した合併症は少なかった.しかしながら,症例に応じたクリッピング術の選択と,高齢ゆえの種々の留意点が存在するため,治療時の工夫,治療後の全身管理が重要と考えられた.

  • 毛利 正直, 内山 尚之, 見崎 孝一, 中田 光俊
    2018 年 3 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    [早期公開] 公開日: 2018/09/05
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】破裂脳動脈瘤の治療後に再発し部分血栓化脳動脈瘤(partially thrombosed intracranial aneurysm: PTIA)となった症例について検討した.【方法】2009 年4 月〜2017 年6 月の間に瘤内コイル塞栓術を行ったPTIA の3 例を対象とした.【結果】発症形式は初回に瘤内コイル塞栓術を行い再発時にPTIA となったもの1 例,初回にクリッピング術を行い再発時に瘤内コイル塞栓術を行い再々発時にPTIA となったもの1 例,初回にクリッピング術を行い再発時にPTIA となったもの1 例であった.治療手技はマイクロカテーテルを1 本のみ使用したシングルマイクロカテーテル法1 例,ダブルマイクロカテーテル法2 例であった.塞栓結果は,完全閉塞1 例,ネック残存2 例で,合併症は1 例に無症候性脳梗塞が出現した.フォローを3〜98 カ月に行い全例で再開通の出現が無く経過している.【結論】破裂脳動脈瘤の治療後に再発しPTIA となった症例に対する瘤内コイル塞栓術は,選択肢のひとつとなりうる治療法と考えられた.

症例報告
  • 小野 健一郎, 大石 英則, 井中 康史, 矢富 謙治, 谷口 尭彦
    2018 年 3 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】Non-bifurcating cervical carotid artery を伴う頚動脈狭窄にcarotid artery stenting (CAS)を施行した1 例を報告する.【症例】54 歳男性.右前頭葉皮質梗塞を発症し,右側non-bifurcating cervical carotid artery を伴った第2–3 頚椎椎間と第4–5 頚椎椎間レベルにそれぞれthe North American Symptomatic Carotid Endarterectomy Trial (NASCET) 54%, 40%の狭窄を認めた.総頚動脈と遠位頚動脈のバルーン閉塞下にステント留置を実施し,周術期合併症なく,8 カ月時点で再発を認めていない.【結論】本変異を伴う頚動脈狭窄は上甲状腺動脈近傍に認められ,遠位塞栓防止デバイスの適切な選択で,通常の手技同様安全に施行できるものと考えられた.

  • 神保 康志, 阿部 博史, 高橋 陽彦
    2018 年 3 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    [早期公開] 公開日: 2018/10/02
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】脳底動脈窓形成部破裂脳動脈瘤に対して,窓形成部から同側椎骨動脈に並列してステントを 留置する double-barrel stent-assisted technique を用いてコイル塞栓術を施行した症例を報 告する.【症例】68 歳,女性.Hunt & Kosnik grade Ⅲのクモ膜下出血で発症した.小型脳底動 脈先端部動脈瘤を伴う,破裂大型脳底動脈窓形成部動脈瘤に対して,脳底動脈先端部動脈瘤のコイ ル塞栓術後に両側の窓形成部から同側椎骨動脈にかけて 2 本のステントを平行に留置した後,コ イル塞栓術を行った.術後経過良好にて独歩自宅退院した.【結論】脳底動脈窓形成部破裂脳動脈瘤 に対する double-barrel stent-assisted technique は,窓形成を温存しながらの治療が可能で あり有用であった.

テクニカルノート
  • 山田 雅亘, 千田 浩一, 佐藤 徹, 横山 博典, 土井 祥平, 平瀬 義則, 佐藤 竜也, 森川 進, 村川 圭三, 春本 一人, 福田 ...
    2018 年 3 巻 2 号 p. 72-79
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    [早期公開] 公開日: 2018/09/12
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】患者の被曝線量低減には透視パルスレートを低くすることが容易な方法の一つである.2014 年の脳血管撮影装置の更新時,血管撮影用透視パルスレートは毎秒12.5 パルス(pulse per second: pps)のみであったがpps を低減しても臨床上有用な画質を担保し患者の被曝低減になる可能性があると考え装置メーカーに6.25 pps を依頼した.そこで透視pps 低減における患者被曝線量の低減を目的とし回転ワイヤーファントムと低コントラス分解能ファントムを使用し検討した.【症例】脳底動脈先端部動脈瘤に対し両pps の透視による画像の視認性は同等であった.【結論】6.25 pps の基準線量は最大51%,平均42%減少した.6.25 pps の透視は脳血管内治療において被曝低減と臨床に有用な方法の一つである.

  • 天野 達雄, 松本 淑恵, 本田 有子, 中西 郁, 笹森 寛生, 佐藤 栄志, 塩川 芳昭, 平野 照之
    2018 年 3 巻 2 号 p. 80-86
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    [早期公開] 公開日: 2018/09/26
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】経上腕動脈アプローチによるguiding cathete(r GC)を用いない血栓回収療法の手技について報告する.【症例】95 歳女性.脳底動脈閉塞による意識障害で搬送された.右椎骨動脈のみ閉塞部へアクセス可能であり,胸部CT でType Ⅲ arch であったため,経大腿動脈アプローチではアクセス困難と予想された.順行性血流温存のため右上腕動脈からGC を用いず直接,吸引カテーテルを右椎骨動脈に留置した.閉塞部にstent retriever を展開後,吸引カテーテルを閉塞近位部に誘導し吸引をかけつつ一体として体外に抜去し完全再開通がえられた.【結論】経大腿動脈アプローチではアクセス困難と予測される脳底動脈閉塞例においては,経上腕動脈アプローチによる血栓回収療法は選択肢の1 つとなる.

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