人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第35回 (2021)
選択された号の論文の514件中451~500を表示しています
  • 水野 貴之, 土井 翔平, 土屋 貴裕, 栗崎 周平
    セッションID: 4H2-GS-11c-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    約6600万ノード(企業とその株主)で構成されるグローバルな株所有ネットワークに,約80万種の投資ファンドを結合する.投資運用会社は,投資家の投資ファンドを運用することにより多くの企業の直接的または間接的な株主になり,収益を得る.そして,株主として企業を支配する.我々は,複雑でグローバルな株所有ネットワークを紐解き,社会的責任を伴うESGの投資ファンドとヴァイス企業(たばこ,軍需産業など)とを繋げる経路が存在することを指摘する.投資をやめれば,ヴァイス企業からの収益はなくなるが,支配することができず野放しになる.一方で,投資をおこなえば,ヴァイス企業からの収益を受け取ることになる.このジレンマは,グローバル株所有ネットワークで線形におこなわれる収益の配分と,多数決を通じて非線形におこなわれる支配力の配分を定量化し,収益と支配力とのバランスで投資の可否を決断することにより解決できる.

  • 鈴木 かの子, 松井 孝典, 川久保 俊, 増原 直樹, 岩見 麻子, 町村 尚
    セッションID: 4H3-GS-11d-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    幅広いステークホルダーがSDGs(持続可能な開発目標)に取り組み,成功事例を共有することは重要である.そこで本研究は深層学習型の自然言語処理モデルBERTで,①活動事例や課題をSDGsに写像する分類器を構築すること,② SDGs間の連環関係 (nexus) を可視化すること,③地域課題とそれを解決しうる取り組み事例とのマッチングシステムを構築することを目的とした.まず,国連関連文書,日本の政府関連文書,内閣府が収集するSDGsの課題解決等に関する提案文書を収集し,各文書とそれに対応する複数のSDGsが対になったマルチラベルデータフレームを構築し,WordNetを用いたデータオーグメンテーションを行った.次に,訓練済み日本語BERTモデルをマルチラベルテキスト分類タスクでファインチューニングし,nested cross-validationでハイパーパラメータの最適化と交差検証精度の推定を行った.最後に,学習後のBERTモデルでSDGs間の共起ネットワークを可視化するとともに,地域課題と取り組み事例のベクトル埋め込みを行ってコサイン類似度を取得することで,マッチングシステムの開発を行った.

  • 大葉 大輔, 吉永 直樹, 豊田 正史
    セッションID: 4H3-GS-11d-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,ニューラル自然言語処理モデルをより深く理解するためのアプローチとして,モデルの最小構成要素であるニューロンの役割を,個々のニューロンを強く活性化させる文章に基づいて明らかにする方法論を提案する.提案手法は,大規模コーパスから各ニューロンを活性化させる文集合を抽出し,データマイニング技術を用いて抽出した文集合を抽象化することで,個々のニューロンが捉える言語現象を明らかにする.実験では,我々の手法を使用することで,与えられたモデルの各ニューロンが具体的にどのような言語的側面を捉えているのか,また複数のニューロンがどのように相互に関係しているのかという点について深い洞察を与えることを示す.

  • 廣瀬 喜貴
    セッションID: 4H3-GS-11d-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,世界主要都市が開示する公会計情報の言語的特徴を明らかにすることを目的としている.都市が開示している年次報告書の公会計言語情報を,形態素解析,TF-IDF,N-gram,Fogインデックスなどのリーダビリティ指標の分析にもとづき,次のような結果を得た.第一に,都市の年次報告書を分析した結果,資産,収益,現金などの伝統的に使用されてきた会計の専門用語が代表的な単語となっていることが明らかになった.第二に,重要単語を都市間比較した結果,都市によって強調する説明項目が異なるということが明らかになった.第三に,都市の年次報告書の読みやすさのレベルは,平均して大学3年生程度の読みやすさであることが明らかになった.本研究は,世界主要都市における年次報告書の公会計言語情報の実態を初めて明らかにした点と,会計分野において数値情報のみではなく文字情報を分析するという研究方法を用いている点に意義がある.

  • 城崎 渉吾, 松井 嗣夢, 金澤 威朋, 伊藤 有由, 坂原 沙月
    セッションID: 4H3-GS-11d-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,新型コロナウイルス感染症による影響がある以前の2019年中にテレワークやフレックスタイム制度といった,柔軟な勤務形態を導入していることを有価証券報告書で明記していた企業の当該部分を抽出し,テキストマイニングを行うことで,柔軟な勤務形態導入企業にどのような背景があるかの分析と企業の傾向の調査・分析を行った.形態素解析後にKWICでターゲットとなる単語の前後の100単語を抽出し,それをコーパスとして頻出単語を特定し,さらに二単語共起ネットワーク図を作成することで可視化をした.結果として,「生産性向上」や「効率化」,「改革」といった変化や業務に対してポジティブな影響を与えることに関するキーワードが頻出していることが分かった.また,柔軟な勤務形態導入企業の業種では「情報・通信業」,企業大分類では「エレクトロニクス・情報通信」に偏る結果が得られた.

  • 高岡 昂太, 本村 陽一, 佐藤 健, 西貝 吉晃
    セッションID: 4H3-GS-11d-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    専門的な判断が求められる裁判官は、法的判断の前提として,正確な事実認定が必要である。そのためには、高度な判断補助を行う情報技術の利活用が不可欠となる。本研究では、正確な事実認定を行うために、家庭で起きた児童虐待事案をユースケースとし、証拠推論を用いた事実認定過程支援システムの構想を述べる。本研究では、自治体から使用許可を得て産総研が構築した児童虐待対応におけるベイジアンネットワークの学習済みモデルを用い、事実認定に必要な項目をダミー変数化する。検察官が作成した調書において事実認定に必要な自然言語情報をベイジアンネットワークの単語ノードにエビデンスとして与えることで、事実認定に必要な確率推論を行える仕組みを設計し構築する。本研究のシステムが完成すると、これまでの検察から提出された証拠を裁判官が事後確認して事実認定してきた過程において、より重要な証拠をリアルタイムに推論し、裁判官から正確な事実認定のために検察にさらなる証拠提出を提案・依頼できるようになるなど、不確実性が高い事件でもデータに基づいた正確な事実認定を支援することができるようになると期待される。

  • 横関 茉衣, 村上 夏輝, 鈴木 莉子, 谷中 瞳, 峯島 宏次, 戸次 大介
    セッションID: 4I1-GS-7b-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本論文では、動画像に写る人物のアクション情報を(人物,動作,対象)の三つ組の形式で付与した、動画像テキスト間推論のためのデータセットを提案する。動画に対して157種類のアクション情報を付与した大規模データセットCharadesから200件の動画をランダムに選択し、1つあたり30秒程度の動画に対して約28件のアクション情報を人手でアノテーションする。アノテーション作業は2名で行い、第三者によるアノテーション結果の統合・確認作業を行うことで、アクション情報を多様な表現で記述でき、かつ質の高いデータセットの構築を試みた。今回作成したデータセットは、動画200本に対して総アクション数が5554となり、アクションラベルは1942種類となった。アクションラベルには既存のデータセットや静止画には現れないような「食べ続ける」「閉めようとする」といった動画特有の様々な表現が含まれている。本データセットは、否定や数量といった意味的に複雑な文と動画間の推論システムの評価や動画のシーン検索への応用が期待される。

  • 大熊 拓海, 中山 英樹
    セッションID: 4I1-GS-7b-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    One-class Image Classification (OCIC) は入力画像が特定のクラスに属するか否かを識別する機械学習タスクであり,本タスクは視覚的な概念認識の為に重要である. 人間は少数データのみを用いて概念認識を高い精度で行うことができ,先行研究で提案されているFew-shot Learning手法の性能は人間と比較すると大きく劣っている. この性能を高めるために,我々は「Multi-modal Belongingness Network (MMBeNet)」を提案する. MMBeNetは「Belongingness Network」と呼ばれるFew-shot OCIC手法を、少数の画像データに加えて「属性」や「Word Vector」といった意味情報を用いる目的で拡張した手法である. このように少数画像と意味情報からOCICを解くタスクを我々は「Multi-modal Few-shot One-class Image Classification」と呼ぶ. 我々は意味情報を視覚的概念認識能力に対する重要な要素とみなし,実際に意味情報を用いることで精度を高めることが可能であることを実験によって確かめた.

  • 平田 結愛, 笠松 雅史, 村上 幸一, 脇坂 颯
    セッションID: 4I1-GS-7b-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年,日本の農業では,労働人口の減少と高齢化により,少子高齢化の傾向にあり,この傾向は今後も悪化することが懸念されている.持続可能な農業を実現させるためには,熟練営農者の技術を新規就農者に継承していく必要がある.しかし,新規就農者が熟練営農者から直接指導を受ける機会は減少している.そこで,農作業マニュアルの整備がより一層重要となっている.しかし,従来の農作業マニュアルは,文章や画像のみで構成されるものが多く,経験の少ない新規就農者にとって直感的に理解することが難しいという問題がある.これを受けて,本研究では,熟練営農者が見ているものをアイカメラとインスタンスセグメンテーションアルゴリズムの1つであるMask R-CNNを用いて、熟練者と新規就農者の視線の動きの違いをもとにWEBベースの農作業継承マニュアルを作成することを提案する。本研究ではイチゴ農作業のWEBマニュアルを作成した。作業工程として育苗、刈り取り、冠水、定植、収穫、パック詰めの視線をとり、熟練者と新規就農者の視線の違いからヒアリングを行い、マニュアルを作成した。

  • Shin ASAKAWA, Jun MUTO
    セッションID: 4I1-GS-7b-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    Various attempts to explain the task performances of aphasic patients have been made in practice. These models have often based on explanatory models that originated in the 1980s. We attempted to update these models by using deep learning models to process visual features of the picture naming tasks and the semantic features. The representation including penultimate layers converting visual inputs such as line drawings into language responses can be explained by using convolutional neural network models, while the semantic impaired patients' task performance can be explained by word embedding models. The real images frequently elicited to assess patients in aphasia were used as visual stimuli. We advocated ResNet and VGG16 for the recognition processes of the line drawing stimuli, while employed the word2vec for the semantic representation as a lexical representation. It made them possible to provide a more detailed explanation for the empirical data. It is expected to contribute to the interpretation and implementation of neuroscience tests in the following ways: 1) clarification of the meaning of stimulus pictures and words in aphasia tests, and 2) provision of selection criteria for training materials in rehabilitation.

  • 孫 延君, 小林 一郎
    セッションID: 4I1-GS-7b-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,潜在空間における各モダリティの変数間の関係を明らかにすることで,マルチモーダル情報が単一モーダル情報の理解を向上させることができるかどうかを検討することを目的としている.ここでは,特に画像と自然言語という2つのモダリティに着目し,同義文への共通画像が潜在空間を介したそれら2つの文間の変換に有用かどうかを検討した.実験の結果,文の内容を反映した画像を用いて入力文を再構成する場合,画像を用いない場合に比べて精度と効率が高いことを確認した.

  • 阪本 翔紀, 谷口 彰, 谷口 忠大, 亀岡 弘和
    セッションID: 4I2-GS-7c-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    Star generative adversarial network for voice conversion (StarGAN-VC) はノンパラレルなデータを扱え,多対多の音声変換を可能とした手法である。音声変換タスクにおいて,言語情報を元通り保持することは非常に重要である.しかし,StarGAN-VCによって変換された音声はしばしば言語情報が崩れるといった問題が見られる.これはStarGAN-VCが音声変換の学習を行う際に言語情報を一切用いず,音響特徴量のみに注視して学習していることが理由として考えられる.よって,本稿ではStarGAN-VCの生成器の学習に音声認識装置 (automatic speech recognition:ASR) によって推定された音声認識結果を活用する手法StarGAN-VC+ASRを提案する.実験では,提案手法がStarGAN-VCよりも言語情報の保持を可能とすることを明らかにした.

  • 小村 漱一朗, 林 楓, 谷口 彰, 谷口 忠大, 亀岡 弘和
    セッションID: 4I2-GS-7c-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    教師なし学習によって連続的音声から音素および語彙の獲得を行う手法の一つに二重分節構造解析器 (Nonparametric Bayesian double articulation analyzer: NPB-DAA) がある.NPB-DAAでは音響特徴量の話者依存性は複数話者からなる音声データセットの学習において問題とされる.本研究の目的はStar generative adversarial network for voice conversion (StarGAN-VC) を話者非依存音響特徴量の抽出を行うモデルとして活用し,Neuro-SERKERTを用いたNPB-DAAとStarGAN-VCの相互学習による最適化が可能な統合モデルの構築を行うことである.NPB-DAAとStarGAN-VCの統合モデルにおける相互学習の有効性について実験を通して検証を行った.

  • 更田 裕司, 森田 行則
    セッションID: 4I2-GS-7c-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年高精度のキーワード音声認識(キーワードスポッティング)を実現する為に、ニューラルネットワークを用いる手法が多数提案されている。キーワードスポッティングはスマートスピーカーなどエッジデバイスで実行される事が通常で、ネットワークのパラメータ数や計算量の削減が求められる。そこで本稿では、ニューラルネットワークのパラメータ数を削減する手法として、常微分方程式に基づくニューラルネットワークであるNeural ODEを適用することを提案する。本技術を用いることで、キーワードスポッティングの精度を維持しつつパラメータ数を68%削減できることを示す。一方で、Neural ODEは、実行の際に常微分方程式を解く必要がある為、計算量が多いという課題がある。そこで、推論時の計算量を削減する手法も併せて提案する。

  • 石川 慎太朗, 杉浦 孔明
    セッションID: 4I2-GS-7c-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    高齢化が進行する現代社会において,在宅介護者の不足が問題となっている.生活支援ロボットはその有望な解であり,スムーズな対話に基づいて生活支援タスクを実行できることが望ましい.しかし,人間の発する命令文には規則が存在せず,しばしば曖昧性が含まれるため、正確な内容の理解は容易ではない.既存研究では,命令文に加え,命令の対象物体を含む全体画像を入力しているが,それだけでは物体間の関係性の学習が難しく,命令文が参照表現を含む場合に対象物体の特定が困難になる.そこで本研究では,対象物体候補の画像・位置情報を扱うように構造を変更した,Target-dependent UNITERモデルを提案する.対象物体候補が対象物体であるか否かに関する分類精度について,標準データセットを使用し,ベースライン手法と比較を行った結果について報告する.

  • 高橋 舜, サクリアニ サクティ, 中村 哲
    セッションID: 4I2-GS-7c-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    ゼロ資源音声技術は限られた量の音声データから教師ラベルを利用せずに離散的な音響単位や言語学的記号を獲得することを目的とする.現在,ベクトル量子化に基づく離散オートエンコーダーによる手法が著しい性能を見せている.一方でこれらの手法は固定長の時間単位(タイムフレーム)における音響特徴量の離散的表現の学習に重きが置かれているため,獲得される表現はビットレートが非常に高いという問題がある.そこで本研究ではより抽象的な表現単位を獲得するため,VQVAEをベースとしたGNNによる新たな手法を提案する.VQVAEは音声データを予め決められた数の離散単位からなる系列データに変換する.われわれはVQ-VAEによって離散化された各音響単位をグラフにおけるノードとし,それらの遷移を辺として考える.そしてGNNsを利用して各ノードについて近傍の特徴量を畳み込み,ノードの特徴量に基づくスペクトラルクラスタリングを行う.本稿ではこの手法によって獲得される表現をABX誤り率及びビットレートの観点から評価し,その結果ABX誤り率を抑えつつ,ビットレートを半減させることに成功したことを報告する.

  • 向後 ジェフリー, 渡邊 敬之, 大和 淳司, 平 博順, 成松 宏美, 杉山 弘晃
    セッションID: 4I3-GS-7d-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    英語試験問題の選択肢等で使用されるイラスト画像は、CNNなどによる物体認識では写真に比べて認識率が低くなりやすい。CNNは物体認識にあたってテクスチャ情報を形状情報以上に学習することが指摘されており、これがイラスト画像の認識率向上の障害となっていることが推定される。 本研究では、同一形状の物体画像に対してスタイル転移により様々なテクスチャを合成することでテクスチャ情報の学習を阻害し、結果的に形状情報の学習を阻害する手法を試み、イラスト画像の認識率向上を評価した。

  • 池田 勇輝, 崔 龍雲
    セッションID: 4I3-GS-7d-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究の目的は,画像の取得に用いるカメラ自体を動かし,静的な物体に対して差分を作ることで,人が正解を与えることなく,Image Segmentationを行う手法を提案することである.Deep Learningを用いた手法により,Image Segmentationにおける速度や精度の大幅な向上が見られ,様々な分野での活躍が進んでいる.しかし,学習に必要な多量のデータは人が作成しており,その工程に多くの時間と労力を費やしている.また,結果や精度は学習データに依存するため,これらに含まれていない正解に対しては出力を予測することができない.そのため,人が正解を与えることなく,Image Segmentationを行うことが求められる.そこで,画像の取得に用いるカメラ自体を動かし,静的な物体に対して差分を作ることで物体領域を検出する.このとき,カメラの動きによって検出結果が変化するため,最適な行動を求める深層強化学習を導入する.Mean IoUを用いた検証実験の結果,人が正解を与えることなく,Image Segmentationが可能であることを示した.

  • 鵜尾 厚佑, 伊藤 寛祥, 松原 正樹, 森嶋 厚行, 馬場 雪乃
    セッションID: 4I3-GS-7d-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年の深層学習の成功により,セマンティックセグメンテーションの精度は大きく向上したが,訓練データをを作成する人間のアノテーションコストが大きくかかる.能動学習は,データの中から最も情報利得の多いものを選択することにより,人間のアノテーションコストを削減することができる.従来の能動学習の多くはモデルにとって不確実なデータを選択しており,人間のアノテーションコストは一定であると仮定している.しかしながら,実際にはそれらは一定ではなく,データによって大きく異なる.本論文では,モデルの情報利得が多く,かつ人間のアノテーションコストが低いような画像領域を選択していく能動学習戦略を提案する.ここでは,不確実性だけではなく,クラウドソーシングで得られたデータを用いて人間のアノテーション時間を予測し,領域のスコアを算出する.予備実験の結果,提案手法は学習の初期の段階で,アノテーションコストを削減可能であることを確認した.

  • 加藤 聡太, 堀田 一弘
    セッションID: 4I3-GS-7d-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    画像内の全画素に対してラベル付けを行うセマンティックセグメンテーションでは, CNNが高精度な結果を出すことが知られており, 自動運転等の技術に応用されている. セマンティックセグメンテーションの学習にはSoftmax Cross Entropy Lossをよく用いるが, その評価指標にはIntersection over Union (IoU)を用いることが多い. より高精度な予測を達成するため, 近年ではIoUを直接最適化する損失関数の研究が行われている. しかし,従来研究のほとんどは2クラスセグメンテーションの場合のみ有効性が示されており, 多クラスセグメンテーションにおいての有効性を確認できている研究は少ない. 本研究ではクラス確率で構成される行列を最適化することによりIoUの精度を向上させる新しい損失関数を提案する. IoUを求める際に用いられる混合行列とクラス確率行列の最適化の条件が似ていることを利用することによって,多クラスセマンティックセグメンテーションのIoUを向上させる.2クラス及び多クラスセグメンテーションの実験により提案手法の有効性を確認した.

  • 吉田 龍人, 藤井 純一郎, 大久保 順一, 天方 匡純
    セッションID: 4I3-GS-7d-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    深層学習において,データクレンジングはモデルの学習に大きく影響することが知られている.一方で,データ数も精度向上の要因となるため,安易なクレンジングは,かえって精度低下を招く恐れがある.そこで,本研究では筆者らがこれまでに取り組んできた,河川の護岸のひび割れセグメンテーションの画像データに対して,種々のデータクレンジングを実施し,効果の検証を行った.検証にあたっては,教師画像のあらゆる特徴量を算出し,対象データの特性を明らかにした.さらに,その特性に基づいて作成した様々なデータセットによって学習を行い,その結果を比較した.

  • 岩田 あきほ, 川島 寛乃, 河野 慎, 中澤 仁
    セッションID: 4I4-GS-7e-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究ではフィギュアスケートの動画からステップシークエンスのエレメントの自動判別に取り組む.フィギュアスケートにおいて,全ての演技の採点は一つ一つのエレメントの判定と出来栄えの評価によって構成されており,審判の目視によってすべて行われている.しかし,エレメントの判定と評価を同時に行うことは審判にとって負担となっている.そこでエレメントの判別を自動で行うことで審判の負担が軽減し,審判は出来栄えの判定に注力できる.本研究ではエレメントの判別を動画の分類問題として定式化し取り組む.そのためにデータセットを作成する必要があるが,フィギュアスケートの特性上,望ましくない性質をもってしまう.そこで、この性質を扱う手法を適用した畳み込みニューラルネットワークを用い,エレメント認識を行う.実験では,フィギュアスケートデータセットにおける手法の有効性を検証し,その結果を報告する.

  • 開 航平, 鈴木 雅大, 松尾 豊
    セッションID: 4I4-GS-7e-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,テニスにおけるサーブの落下地点を選手の骨格情報から予測することを目的とする.テニスは他のラケット競技である卓球やバトミントンに比べ,サーブの球速が速くコートの範囲も広いため,サーブを返す難易度が高くなる.そのため,サーブのコースを予測してリターンすることは,ポイント獲得率や勝敗に大きく関わってくると考えられる. 先行研究としては,卓球におけるサーブの落下地点を予測する手法がある.しかし,テニスの動画に移る選手は卓球に比べて小さいため,この手法をテニスに適用すると,骨格検出の性能が落ちてしまい,落下地点予測に失敗するという問題が生じる.本研究では,骨格検出を,選手領域の認識と認識した領域内での骨格の検出という2段階に分けることで,検出性能を改善させることを提案する. 提案手法の性能を評価実験を用いて定量的に評価し,提案手法の有効性を示す.

  • 北山 晃太郎, 鈴木 潤, 清水 伸幸
    セッションID: 4I4-GS-7e-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    動画の自動要約は,開発者やエンドユーザーが動画の内容を確認するためのコストを軽減するための重要な技術の一つである.また,非常に多くの消費者が生成した動画の中から必要な動画のみを取得するための動画検索の手がかりとしても機能する.本論文では,特に動画の要約タスク(動画キーフレーム物語生成と呼ぶ)に焦点を当てている.このタスクでは,あらかじめ定義された数のキーフレームを抽出すると同時に,抽出された一連のキーフレームの説明文を生成することが要求される.最初に,この新しいタスクの定義を紹介する.また,人間が注釈を付けたキーフレームや説明文と比較して,キーフレームのマッチングと説明文の品質の両方の観点から,タスクの性能を評価するための2つの適切な評価尺度を定義する.次に,動画キーフレーム物語生成タスクの訓練と評価のために構築されたデータセットを紹介する.

  • 西本 聡
    セッションID: 4I4-GS-7e-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    【目的】頭蓋顔面部の状態把握、診断、治療において同部のエックス線CT画像は日常的に撮影されるようになった。3次元再構築が可能であり、特徴点間距離や基準面間角度を3次元的に計測することができる。そのためには特徴点をまずプロットしてゆく必要があるが、時間と経験を要する。3次元画像をディープラーニングで処理するためには多くの計算量が必要である。画像を圧縮することも一つの方法ではあるが、その過程で正確な情報が失われる可能性がある。予測精度を高めるため2段階のディープラーニングを試みた。 【方法】CTデータベース:Head-Neck-Radiomics-HN1から骨部分を抽出、3次元STLファイルを作成した。12の特徴点をプロットし、その3次元座標を得た。第1相ではDICOM画像セットを96x96x81に圧縮し、3dresnet50で回帰モデルを作成、学習させ検証した。第2相では各特徴点座標周辺の3次元立体を切り出し、学習させた。検証立体から第1相で推定した座標を中心に切り出したものを第2相ネットワークで検証した。 【結果】2段階で推定した方が、第1相だけで推定した場合よりも推定誤差が小さかった。

  • 會下 拓実, 寺田 卓馬, 永吉 洋登
    セッションID: 4I4-GS-7e-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    作業映像から一連の作業動作を認識する方式の検討を行った。提案方式は、人姿勢推定を採用して作業映像から作業者の姿勢を検出し、動作認識モデルを用いて推定された姿勢情報から一連の作業動作を認識する。模擬データセットで実験を行い、一連の作業動作の高精度な認識が可能であることを確認した。

  • 石嶋 美咲, 戸次 大介
    セッションID: 4J1-GS-6d-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    CCGパーザの開発はCCGツリーバンクを必要とするが、それは一般的に高価である。その理由は、木構造の整合性チェックは、線形構造や係り受け構造の整合性チェックと比べて複雑な作業であるためである。このコストを削減するには、文法の知識を持ち合わせた開発環境が必要である。例えば、構文木の一部を修正したら、自動的にその修正を反映して再パーズしたり、修正された内容について文法性のチェックを行うようなシステムである。本研究では、そのような文法開発環境をGUIシステムとして構築する。Haskellで書かれたWebアプリケーションフレームワークであるYesodと、日本語CCGパーザであるlightblueを用いて、GUIでCCG構文木の画面表示と操作を行うことが可能なシステムを実装する。

  • 田上 青空, 戸次 大介
    セッションID: 4J1-GS-6d-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は、知識蒸留を用いて日本語形態素解析器rakkyoをさらに圧縮する手法を提案する. 日本語形態素解析器は現在非常に高い精度となっている.しかし、実用化においてはモデルサイズの大きさという課題が残されている. そこでArsenyらによるrakkyoモデルでは、Juman++によって作成された5億文のシルバーデータを学習し、文字ユニグラムのみを用いることでモデルサイズを大幅に圧縮した. 本研究では、深層学習モデルの圧縮手法の1つである知識蒸留をすることで、rakkyoをさらに圧縮し大規模なデータを必要としない形態素解析器を構築し、小規模なデータでrakkyoの精度に近づけるかを評価した.

  • 矢野 太郎, 竹岡 邦紘, 小山田 昌史
    セッションID: 4J1-GS-6d-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    教師データのない未知クラスを含むクラス階層に文書を分類するタスクである階層的な一般化ゼロショットテキスト分類はニュース記事の推薦や商品分類のような広い応用を持つ.階層的なゼロショットテキスト分類に対する既存の(1)マッチングアプローチ,と(2)階層分類アプローチは既知クラスと未知クラスに対して異なる特性を持つ.マッチングアプローチは未知クラスに対して高い性能を発揮する一方で,既知クラスに対しては性能が低い.階層分類アプローチはマッチングアプローチとは逆に,既知クラスに対して高い性能を発揮する一方で,未知クラスに対しては性能が低い.本稿では,これらの2つのアプローチを組み合わせることで一般化し,既知クラスと未知クラスの両方に対して性能を改善する.また,実データによる実験を通じて提案手法のベースラインに対する優位性を示す.

  • 門谷 宙, 梶原 智之, 荒瀬 由紀, 鬼塚 真
    セッションID: 4J1-GS-6d-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    スタイル変換とは、入力文の意味を保持したまま表現を変更した文を生成する自然言語処理タスクである。本研究では、スタイル変換にカリキュラム学習を適用し、スタイル変換の性能を向上させる。カリキュラム学習とは、簡単な訓練サンプルから徐々に難しい訓練サンプルへと学習が進むように計画する手法である。提案手法では、スタイル変換における難易度の指標として、編集距離を提案する。評価実験の結果、提案手法によるスタイル変換の性能改善を確認した。

  • 神原 元就, 杉浦 孔明
    セッションID: 4J1-GS-6d-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は、クロスモーダル言語生成モデルによりデータセットを拡張することである.本論文では,"Move the blue flip-flop to the lower left box"等,画像から物体移動指示文を生成するCase Relation Transformer(CRT)を提案する.既存手法とは異なり,CRTはTransformerを使用して画像特徴量及び幾何的特徴量を統合する.また,CRTはCase Relation Blockの導入により,対象物体及び目標領域を扱うことができる.実験ではベースライン手法との比較実験及び人間による評価を行った. 結果より,CRTがベースライン手法を主要尺度で上回ることが示された.

  • 衣川 和尭, 伊藤 均, 美野 秀弥, 後藤 功雄, 山田 一郎
    セッションID: 4J2-GS-6e-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    テキスト中の時間表現の認識は自然言語処理の分野において長年取り組まれてきた課題である。このタスク中の重要な処理の1つとして、時間表現を日付や期間など様々な意味クラスに分類する必要がある。多くの場合これは単純なルールで分類可能だが、日本語の「1日」という表現が文脈によって「ついたち」(日付)なのか「いちにち」(期間)なのか意味が変わるように、語義曖昧性を含む一部の表現は容易には分類できない。さらに、このような分類問題を教師有り学習のアプローチで解くためには、学習、評価いずれのためにも多くの正解ラベル付きデータが必要となる。こうした日本語の特定の時間表現を分類するモデルを構築するため、我々は時間表現を豊富に含むNHKニュースの日英対訳コーパスに対して、日本語-英語間の語義曖昧性の違いを利用して、日本語の日付表現に自動でラベル付けしてデータセットを作成した。人手評価によってこのラベリング手法の精度を確認すると共に、実験としていくつかのベースラインモデルで分類精度を評価した。

  • 小谷野 華那, 鈴木 莉子, 春田 和泉, 谷中 瞳, 戸次 大介
    セッションID: 4J2-GS-6e-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    実テキストを対象とした意味解析において、複数文書における記述の差分を自動で計算するタスクには一定の社会的ニーズがある。近年では、このタスクに対して、含意関係認識器ccg2lambda [Mineshima 2015]を用いたアプローチが試みられている。二つの文書について構文解析・意味解析・定理自動証明を行い、双方向の含意関係を判定することによって、証明されずに残った項の情報を差分計算に利用する。本研究では、数量表現を含む文の差分計算に着目し、たとえば「3回」が「2,3回」を含意するといった推論を可能にすることで、より解像度の高い差分計算の実現を目指す。具体的には、ccg2lambdaのパイプラインにおいて、1) Tsurgeonを用いて、数量表現を含む文の構文木を正しく書き換え、2) 書き換えた構文木に合わせて意味テンプレートの加筆修正を行う等の修正を行った。

  • 田中 健斗, 西村 太一, 白井 圭佑, 亀甲 博貴, 森 信介
    セッションID: 4J2-GS-6e-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    語学学習において,「話す」,「書く」といった言語の産出能力の訓練は学習した知識を定着させる上で重視されている.しかし,記述式問題の人手による採点には多大なコストを要するため,機械による自動採点技術が注目を集めている.本研究では,写真描画問題を対象として,自動採点技術の実現を試みる.具体的には,(i)まず学習者の誤り傾向を調査・分析し,(ii)次にそれを基に疑似誤りデータを生成し, (iii)最後に写真と解答文の関連性を評価する正誤判定モデルを考案する.実験は疑似誤りデータを用いて学習し,実際の学習者の解答を用いて評価した.実験結果から,ランダムに出力を行う判別器と比較して,提案モデルは高い識別性能を実現することがわかった.

  • 須田 真太郎, 辻 晶弘, 鈴木 彰人, 鈴木 徳馬, 伊藤 諒
    セッションID: 4J2-GS-6e-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    金融市場では日々リリースされるニュースが原因で資産価格が大きく変動することがあるため、ニュースと資産価格に関する研究が活発に行われている。特にニュースがどれだけ資産価格に影響を与えるか、そのインパクトの推計は重要な研究課題であり、実務でも関心が高い。本稿ではこの問題に対してentityの埋め込み表現を利用した新しい手法について議論を行う。第1に、ニュースの内容を表す3種類のentity(イベント・国・アセット)を定義し、その埋め込み表現を獲得する手法を提案する。次に金融市場への応用として、ニュースバーストが発生した国やそのイベント、アセットのentity埋め込み表現を特徴量として、ニュースバースト発生時の為替ボラティリティ予測モデルを構築する。実験の結果、entity埋め込み表現は先行研究と比較して精度の良い表現を獲得できることが示された。また為替ボラティリティ予測も既存手法を上回る結果が得られ、entity埋め込み表現のファイナンス諸問題への応用可能性が示唆された。

  • 指田 晋吾, 中川 慧
    セッションID: 4J2-GS-6e-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    近年、ファイナンス分野において様々なテキスト情報が分析・利用されている。例えば、決算短信のテキスト情報を用いた分析では、各企業の業績に関わる因果関係を抽出し、因果の類似性から企業間の経済的因果チェーンを構築する手法が提案されており、そのノード(企業)間に株価のリードラグ効果が存在することが確認されている。一方で、企業間の経済的な因果関係には、ある企業のポジティブな効果が因果関係にある別の企業にポジティブな影響を与える場合とネガティブな影響を与える場合がある。つまり、因果関係に極性を付与することが必要である。株式リターン予測に特化したセンチメント分析としてSSESTMモデルが提案されており、米国株式市場において有効性が確認されている。そこで本研究では、決算短信から構築した因果チェーンに対してSSESTMモデルを適用し、企業間のセンチメントを考慮したリードラグを収益機会とする投資戦略の提案と実証分析を行う。分析の結果、センチメントを考慮することでより高いリターンが獲得できることを確認した。

  • 神戸 隆志, 横井 祥, 吉川 将司, 乾 健太郎
    セッションID: 4J3-GS-6f-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    類似テキスト検索や生成されたテキストの自動評価など,自然言語処理・テキストマイニングの広範なアプリケーションにおいて文の類似度の計算が重要な役割を果たす.しかし文類似度に関する研究の多くは,自然言語における重要な要素である複単語表現 (Multi-Word Expression; MWE) を考慮していない.複単語表現とは “hot dog” のように句を構成する各単語の意味から句全体の意味を自然に推定できないような句である.言うまでもなく,文全体の意味計算のためには各文に含まれる単語単位での意味計算だけでなく複単語表現の意味計算が必要となる.複単語表現に頑健な文類似度尺度の研究開発を後押しするため,複単語表現の意味計算を要する文類似度評価データを構築する.具体的には,逆翻訳と制約付き文生成を組み合わせた文ペアの生成手法と,BERT によるマスクの予測に基づく文ペアの生成手法を用いる.提案手法によって,類似した文ペアとそうでない文ペアのバランスの取れたデータを作ることが可能であることを示した.

  • 谷中 瞳, 峯島 宏次
    セッションID: 4J3-GS-6f-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    単語と文の構造に基づいて新しい文を構成的に理解し,文間の意味的関係を認識することは,より人間らしい自然言語理解をコンピュータによって実現するための基本的な課題の一つである.本研究では,英語の構成的推論・類似度データセットSICKを人手で日本語に翻訳することで日本語の含意関係認識・文間類似度データセットJSICKを構築し,JSICKを学習した汎用言語モデルBERTが否定表現や量化表現といった多様な意味現象を構成的に捉えられているかについて,意味現象のタイプごとに評価を行う.さらに,語順を変えても意味内容が変わらないという日本語独自の性質を考慮して,モデルが意味現象を構成的に捉えているかについて分析を行う.実験の結果,現行の汎用言語モデルは数量表現や語順の入れ替えの扱いにおいて,改善の余地があることが示唆された.

  • 白 書霆, 李 廷軒, 鈴木 勢至, 宇津呂 武仁, 河田 容英
    セッションID: 4J3-GS-6f-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    TF-IDF法によるコンテキスト検索手法,および,ノウハウ機械読解タスク用に fine-tuning済みのBERTを連結した大規模ノウハウ機械読解の手法を提案する. そして,その実現のための,ノウハウ機械読解用コンテキストデータセットの作 成方法を提案する.先行研究により,インターネット上のノウハウサイトに掲載 されているコラムページは,ノウハウ質問回答事例の作成において有効な情報源 として使用できるという分析結果が報告された.この結果を踏まえ,先行研究で は,ノウハウサイトを選定し,ノウハウサイトに掲載されているコラムページを 収集し,ノウハウ質問回答事例集を作成した.そこで,本論文では,先行研究に おいて作成されたノウハウ質問回答事例に加えて,コラムページ上で未使用の段 落を収集し,これを用いて大規模ノウハウ読解タスクにおける検索用コンテキス ト集合を作成する.そして,大規模ノウハウコンテキスト集合に対して,大規模 ノウハウ機械読解タスクを適用し,一定以上の性能のもとで,大規模ノウハウ読 解が行えることを示す.

  • 西山 朋貴, 安藤 一秋
    セッションID: 4J3-GS-6f-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    近年,新聞を教材として活用する取り組みであるNIE(Newspaper in Education)が小学校を中心に実践されている.しかし,一般の新聞記事は,小学生にとって理解が難しいため,自動でニュース記事を平易に言い換えることができれば,問題を改善できる.しかし,日本語においては,子供向けの言い換えに活用できるコーパスは,十分整備されているとはいえない.そこで本研究では,NHKが提供する子ども向けニュース提供サービス「NEWS WEB EASY(NWE)」に注目する.NWEでは,一般向けに書かれたWebニュース記事の一部を子どもに適した記事に修正して公開している.NWEの記事と一般向けのニュース記事を,それぞれ平易文と難解文とみなして対応づけることで,換言コーパスの構築を目指す.本稿では,NWEの記事群と一般向けのニュース記事群を用いて,英語の文間類似度計算手法の日本語における有効性を検証する.評価実験の結果,単語の分散表現を用いた類似度計算手法において,単語の品詞制約による精度の向上を確認した.

  • 石田 真捺, 谷中 瞳, 馬目 華奈, 戸次 大介
    セッションID: 4J3-GS-6f-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    医療分野には,臨床テキストや医療関係SNSテキストといった,様々なテキスト情報が膨大に存在しており,これらを有効活用する方法の一つとして,時系列を考慮した症例検索が考えられる.このような高度な症例検索を実現するためには,時間関係認識を含む高度な意味解析が求められる.本研究では,高度な意味解析システムであるccg2lambdaを用いた時系列症例検索の実現を目指しているが,現行のccg2lambdaでは,症例テキストにおける複合語の意味表示が必ずしも正しく導出されない,という問題がある.そこで本論文では,ccg2lambdaに複合語解析モジュールを追加することで,症例報告のテキストについて正しい意味表示を導出可能にする手法を提案する.症例テキスト中の複合語の意味関係をアノテーションしたデータセットを構築し,BiLSTMを用いた系列ラベリングモデル,および形式意味論に基づく複合語解析モデルを実装することで,症例テキスト中の複合語について正しい意味表示を導出することができた.

  • 立花 伸一, 原田 智彦, 津田 和彦
    セッションID: 4J4-GS-6g-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    食べ物のおいしさには様々な要素があり,そのおいしさを表現する言葉は多くある。例えば,「甘み」のように,“砂糖の味”と明確に伝えられるものと,「コク」や「旨み」のように,“これの味”と明確にできないものがある。本研究では,明確に定義のできない味覚表現の意図解明を目的に,その一つであるコクに注目し,料理レシピ共有サイトにおける口コミ情報を用いて,一般生活者がコクを感じる際の特徴の解明を目指すものである。 本実験では,コクとサッパリ表現を含む口コミ情報をデータセットとして,機械学習モデルによるテキスト分類器を作成し,本分類予測結果をLIMEに適用した結果,コクに寄与する特徴語として食材が多いことを明らかにした。そして,コクとサッパリの各特徴語として確認された食材の成分データの比較から,脂質等に関して統計的に有意に差があることを確認し,コクが持つ特徴的な成分を明らかにした。

  • 金子 淳, 大槻 恭士, 坂口 隆之
    セッションID: 4J4-GS-6g-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    善と悪の悪は悪いことであるが、英米文学の作家スタインベックは、若干異なる意味で使っている。必ずしもネガティブなものとして捉えていないのである。海洋生物学への関心から、生物にとって重要なのは生き延びることであり、そのためにはずる賢いことも重要だと考えているからである。このように作家が使う言葉が持つ意味の含意と、私たちが使う言葉のそれとでは差異が生じている。その差異を見つけ、作家固有のイメージ世界を再構築することが、作品解釈の手がかりの一つとなる。これまでの文学研究では、文献でそれを論証してきたが、ここではテキスト情報の数値化を援用することで試みる。具体的には、ハーマン・メルヴィルの『タイピー』を取り上げる。これまでの英米文学研究から明らかにされたキーワードと、テキストマイニングによって抽出された重要度の高い単語に、Word2vecを発展させたfastTextにより単語ベクトルを付与、それをfastTextの学習済みモデルにおける同単語の単語ベクトルとの類似度の差をもとに総合的に解釈を行った。その結果、このアプローチは、作品解釈の方法論の一つとして、有効であることが検証できた。

  • 田邉 豊, 神代 裕人, 的場 成紀, 菱沼 宏祐, 小林 一郎, 平 博順
    セッションID: 4J4-GS-6g-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    これまで我々は、与えられた文があらかじめ与えられた規則に適合するか否かを自動的に判定する規則適合判定技術の1つの例として、普通自動車免許学科試験問題の自動解答技術について研究を行っている。本研究では、与えられた文について、自動的に状況説明部と質問部を分割し、含意関係認識の問題として解く方法について検討した。なお、状況説明部は「状況や前提条件としているもの」、質問部は「動作や性質を説明しているもの」とした。大規模汎用言語表現モデルの一つであるBERTを使った含意関係認識タスクとして問題を解いたところ、我々が設定したルールベース分割手法により,自動解答精度が向上することが分かった。

  • 信末 竜空, 秋吉 政徳
    セッションID: 4J4-GS-6g-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    意外性を創出する俳句の自動生成方式を検討する。人間が俳句を詠む際、月並みでない単語の取り合わせをしながら、俳句全体としてはまとまりのある単語選びをすることで意外性を生み出している。トピックモデルを用いて俳句の主題明瞭性と取り合わせの予想外性を算出し、これらをGANの学習の中に組み込むことで意外性のある俳句を生成する。アンケートによる調査で、他の生成方式と比較して有意に高い意外性があることが示された。

  • 日笠 敬大, 川野 陽慈, 栗原 聡
    セッションID: 4J4-GS-6g-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    近年、コンテンツ生成の市場が拡大しており、コンテンツの基盤となるストーリーやシナリオの需要が高まっています。しかし、シナリオライターの不足や創作できるストーリーのパターンの限界などにより、シナリオ生成において人の創造力を掻き立てるようなシステムの開発が求められている。本研究では、13フェイズ理論を利用し、登場人物の役割に着目することでプロットと呼ばれるシナリオの大筋が記述されたものの生成を行った。登場人物を考慮してプロットを生成することで,ランダムに生成するよりも一貫性のあるプロットが生成できることを確認した。

  • Rui YOSHINAGA, Natsuki OKA, Kazuaki TANAKA
    セッションID: 4N1-IS-3a-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    Our goal is to build an agent that listens to music with people. We believe that the agent can interact with people more naturally if it has music preferences. Madison and Schiolde (2017) found that repeated listening increases music liking through music listening experiments. The purpose of this study is to build an agent that likes songs it hears repeatedly. We consider the degree of prediction accuracy as the degree of familiarity with a song. The agent listens to a song as raw audio, predicts the song's continuation with a generative model, compares the prediction with the actual input, and judges the music's familiarity. We implemented the agent and investigated its possibility.

  • Keisuke MORITA, Natsuki OKA, Kazuaki TANAKA, Masahiro MIYATA, Takashi ...
    セッションID: 4N1-IS-3a-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    It is believed that non-cognitive abilities grow significantly during childhood, and the Japanese early childhood education community has begun to focus on the education of non-cognitive abilities. However, measurement and estimation methods of non-cognitive abilities have challenges in quantitative and objective aspects. Besides, there is still little research on the active use of AI technology in education. In this study, we proposed a method for quantitatively estimating "motivation for class," which is one of the children's non-cognitive abilities. Specifically, we examined the number and distribution of intersections between children's gazes using the information on the direction of their faces and their gazes during class and determined whether all children should focus their gazes on a single point. We also quantitatively examined whether each child behaved according to the scene by measuring the distance between each child's gaze and the center of gravity of the intersection of the other children's gazes. As a result, we found that we could capture the characteristics of each child's behavior. In the future, we plan to use inverse reinforcement learning to estimate intrinsic motivation from children's gaze information.

  • Yuki KUBO, Natsuki OKA, Subaru HANADA, Kazuaki TANAKA, Tomomi TAKAHASH ...
    セッションID: 4N1-IS-3a-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    There is a growing need for dialogue systems that can interact appropriately with children. Pechat is a button-shaped speaker that is attached to a stuffed animal. Caregivers can have a voice dialogue with children through the stuffed animal by selecting speech on their smartphones. Our goal is to automate speech selection so that Pechat can interact with children without parental intervention. The system learned to select an appropriate response from a given set of candidates. The information available for the learning process was the caregiver's utterance selection history and the evaluation of the system utterance, which was judged by the prosodic features of the child's response. Prosody was used as a reward for reinforcement learning and defined the states of reinforcement learning. The experimental results revealed the difference in learning with and without the use of prosody.

  • Ahmed MOUSTAFA, Daiki SETOGUCHI
    セッションID: 4N1-IS-3a-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    In the field of automated negotiation, there has been a growing interest in models that can explain the rational decisions of automated negotiating agents in order to gain the trust of users. Those models enable humans to trust agents by understanding their behavioral principles. In specific, in automated negotiation, appropriate compromises need to be made during the negotiation to match the other negotiating party in order to reach an agreement that is mutually beneficial. However, the negotiating agents currently use simple negotiation models. In this paper, we propose an automated negotiation model based on Q-learning. This enables the negotiating agent to make appropriate compromises to match the other negotiating party, which results in greater mutual benefit. The experimental evaluations show that the proposed agent is faster and has better results than the existing agents.

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