人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第38回 (2024)
選択された号の論文の939件中51~100を表示しています
  • 政廣 蓮, 土岐 佳輝
    セッションID: 1F5-GS-10-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    インターネットの普及に伴い,電子商取引(EC)は著しく進展し,巨大な市場を開拓した.総務省によると,世界中でのECの売上金額は4.25兆ドルに達し,今後も増加することが予想される.EC関連の企業は顧客獲得のために施策を講じてきた.割引クーポンは顧客獲得のための有効的な手段である.従来の研究により,クーポンがユーザーの購買意欲を高めることが確認された.しかし,クーポンの配布には有益なことだけではない.クーポンの使用により生じる割引額は,クーポンの提供者側が補填する必要があり,収益を減少させる.さらに,クーポンの配布の仕方は予算により制限される.こうした理由から,我々は費用対効果の高いクーポンの配布方法を考案することを目的とした.本論文では,アップリフトモデリングに基づく費用対効果の高いクーポンの配布方法を提案した.提案手法は機械学習により推定された費用対効果の指標をもとに,クーポン配布対象者を決定する.クーポン配布のシミュレーションを行い,既存の配布方法と比較することで,我々の提案手法が有効であることを示した.

  • 秋信 有花, 切貫 弘之, 丹野 治門
    セッションID: 1F5-GS-10-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    大規模言語モデル (LLM) の優れた点の一つは,人間が入力したわずかな指示文からその意図に沿った文書やコード等を正確に出力できる高い生成力である.今後の社会では人間が思いついたアイディアはLLMによって即座に形になることが想定されるため,人間は継続的かつ迅速にアイディアを出すことが求められるようになる.しかし,ビジネス戦略やユーザビリティなどの様々な観点からプロダクト改善案を高速に出し続けることは,人間の能力だけでは困難である. 本研究では,主にソフトウェアプロダクトを対象とし,既存のプロダクトに対して「次に何を作るべきか」という改善案をデータに基づいて自動で推薦する技術の創出を目指す.提案する自動推薦技術は,要求定義の運用方法を定義したプロセスモデルに従って作成されたプロンプトテンプレートを使用し,LLMによるデータ分析と改善案の作成を繰り返すことで,複数の入力データから改善案を生成する.ChatGPTを比較対象とした被験者実験からは提案技術の優位性を示す結果が得られなかったが,LLMを活用した有用な改善案の生成における新たな課題が明らかになった.

  • 新美 潤一郎
    セッションID: 1F5-GS-10-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    近年では、マーケティング分野の顧客関係管理におけるパーソナライゼーションの一環として、さまざまなモバイルアプリ上で顧客の嗜好に合わせたレコメンデーションを行うことが試行されている。しかしながら、そのような消費者理解にあたっては、行動ログからは識別不可能な消費者の異質性の問題が長らく指摘されてきた。一方、近年ではオンラインレビュー等のテキストデータの投稿により、顧客自らが製品等の評価にあたりその理由を表明するとともに、大規模言語モデル等の事前学習モデルの組み込みによりそのようなテキストデータを比較的容易に解析可能となっている。そこで、本研究ではそのようなレビューテキストと従来的な顧客情報および店舗情報のマルチモーダルな深層学習の概念モデルを提示し、実データの解析例として従来的な深層学習手法に消費者の異質性を理解するためのテキストデータ解析を組み込んだ店舗評価モデルを構築する。網羅的な探索と複数モデルの比較により、提案モデルを用いた場合に予測精度が最も改善する結果となることを示すとともに、従来的な顧客情報のみを用いた解析の限界と、今後の購買予測モデル等への発展の可能性についても述べる。

  • 中村 暢佑, 藤内 亮, 松下 亮祐, 梅垣 優, 関口 智樹
    セッションID: 1F5-GS-10-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    近年,環境への影響,経済的損失,そして食料供給の持続可能性という観点から,フードロスへの対策の重要性が高まっている.特に小売店舗では大量のフードロスが発生しており,その削減が求められている.本研究では,これらの課題に対して,需要予測に基づく離散時間陳列数最適化アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは過去の販売データから需要の傾向を学習し,過剰な仕入れによるフードロスと販売機会の損失を最小限に抑えるような,最適な陳列数を自動的に提案する.最適な陳列数は単位時間毎に単一の値として出力されるため,運用時に各時間の詳細な陳列状態を把握する必要がなく,実用性に優れたものである.さらに,店舗の運営における最適化要件や制約条件を考慮に入れた定式化を行い,その有効性を数値実験と実業務への試験適用により検証した.

  • 曽 傑, 中野 有紀子, 坂戸 達陽
    セッションID: 1G3-GS-6-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    ユーザの好みを考慮するといったパーソナライズされたサービスの提供を行うために,対話の中でユーザの嗜好情報を取得することが望ましい.我々はすでにインタビュアー役と客役の二者による食に関する嗜好獲得を目指したインタビュー対話を収集し,インタビュアー役の発話内容である意図と意味内容に基づいた応答生成モデルを,GPT-3のファインチューニングにより作成した.本稿では,Zero-shot設定のChatGPT,対話履歴から応答文のみを直接生成するファインチューニング済みのGPT-3モデル,対話で実際に使用された応答を,作成したモデルからの出力と比較することにより,提案手法を評価する.ユーザの主観評価の結果,提案モデルの応答はChatGPT,応答文のみを直接生成するファインチューニング済みのGPT-3モデルに比べて,ユーザの情報を引き出そうとしている印象を被験者に与えた.また,応答文の特徴を分析した結果,提案手法は,(1) 多くの対話場面で質問を高頻度で生成すること,(2) ChatGPTに比べ,ユーザの応答の詳細を尋ねたり,応答から連想されることについて尋ねる質問を多く生成することが明らかになった.

  • 本村 駿乃介, 久保 裕貴, 野崎 裕二, 坂本 真樹
    セッションID: 1G3-GS-6-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    日本語のオノマトペには,語頭の有声子音と無声子音(いわゆる清濁)の意味的な対立関係(例:ギラギラ-キラキラ)を多く持つことが知られている.我々はWord2Vec等の静的単語埋め込みにおける,有声・無声子音オノマトペの差異について分析を行った.有声・無声子音オノマトペを埋め込み空間上で分類する実験では,最大で0.84の分類精度を示し,埋め込み空間が有声・無声子音の音象徴性の情報を有している可能性が示された.形容詞対の対立関係との比較の実験では,特定の形容詞対(例:「美しい-醜い」「明るい-暗い」)との関連を示し,先行研究で示された有声・無声の対立関係との一貫性も見られる結果となった.

  • 船蔵 颯, 飯田 雛乃
    セッションID: 1G3-GS-6-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    本稿では「ニューラル言語モデルは自然言語の類像性をどのように学習するか?」という問いに答えるための実験とその結果について報告する。我々は、英語BERTをベースとした回帰モデルによって英語の類像性評定値を予測する回帰タスクの学習を実施した。実験の結果、モデルは各語がどの語類(名詞、動詞、オノマトペなど)に属するかを明示的に与えられていないにも関わらず、語類によって予測値の傾向が異なるという振る舞いを見せた。今回の結果に繋がった要因の探索や、他言語のモデルによる実験が今後必要なタスクである。

  • 中畔 彪雅, 河野 誠也, CONTRERAS Angel, 吉野 幸一郎
    セッションID: 1G3-GS-6-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    大規模言語モデルは柔軟性が高く,多種多様な自然言語タスクを処理できる.大規模言語モデルを用いて構築した対話モデルと音声認識システムや音声合成システムなどの他モジュールを連結することで,音声による対話が可能となった.しかし,このような複数モジュールを連結したカスケード型のモデルは複雑で,前モジュールからの誤差を蓄積しやすいという問題がある.また,音声を離散的な表現に変換して大規模言語モデルに入力しているため,本来は連続的な表現である音声が持つパラ言語などの情報が欠落している可能性がある.本研究では,入力音声を連続的な表現のベクトルに変換して対話モデルに連結することで,これらの問題を解決することを目指した.実験結果として,生成文は対話コンテキストが十分に考慮されておらず,改善の余地が見られたが,自然な文章の生成は学習されていることから,連続表現を用いた対話モデルが実現可能であることを示唆していると考える.

  • 森本 賢次郎, 藤田 桂英
    セッションID: 1G3-GS-6-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    近年, 自動的に人間と交渉する対話エージェントに関する研究が盛んに行われている. 先行研究にダイアログアクトという対話の行為を表す構造モデルを用いて, 交渉戦略と対話生成を分離させる手法がある. この手法は, 文生成の過程にダイアログアクトを用いて, タスク達成率や発話の人間らしさを向上させた. 一方で, 入力文に対応するダイアログアクトを推論するパーサーをルールベースで実装しているため, 対応できる文に限界があるなど, 改善の余地も見られた. 以上の背景を踏まえ, 本研究では深層学習に基づくパーサーを提案する. 深層学習を導入するにあたり, 交渉対話とそれに対応するダイアログアクトからなる教師データのアノテーションを行う. アノテーションした教師データを用いて複数の事前学習済みモデルをファインチューンイングし, パーサーの精度の比較実験を行う. 深層学習を用いたパーサーは約83%のダイアログアクトの分類精度示した. さらに, ルールベースパーサーにおいて, 全体の発話の内, 約25%を占めていた分類不可を示すunknownのダイアログアクトを, 深層学習に基づくパーサーを使用することで約0.8%まで減らすことに成功した.

  • 穴口 史将, 森田 武史
    セッションID: 1G4-OS-26a-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    近年の文章生成AIへの関心の高まりに伴い,今後,様々な社会システムに文章生成AIが利用されることが予想される.このような社会システムを安全・安心に活用するためには,システムが判断に至った理由とその根拠を,文献を引用しながら説明することが必要である.以上より,本研究では,ナレッジグラフ推論チャレンジ【実社会版】が提供するデータセットを対象として,文章生成AIが生成した家庭内危険行動の理由に対する根拠を提示可能なシステムを提案する.まず,このデータセットから高齢者の家庭内危険行動を抽出する.次に,高齢者の家庭内行動が危険である理由を文章生成AIが出力する.最後に,高齢者の家庭内事故に関する文献から,この理由に類似する文を検索拡張生成(RAG)を用いて検索し,ユーザに根拠として提示する.文章生成AIが家庭内危険行動の理由を適切に生成できるか,また,この理由に対して提案システムが提示する根拠が適切であるかを評価するためにアンケートを実施した.アンケートの5段階評価の平均値は,それぞれ3.6と2.6となった.結果として,提案システムは家庭内危険行動の理由に対する一般的な根拠を示すことができた.

  • 栗原 和大, 宮田 なつき, 前田 雄介
    セッションID: 1G4-OS-26a-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    子どもの不慮の事故を工学的取り組みで予防する取り組みの中で,子どもの手の届く範囲や登れる高さといった行動寸法を実測で調査した統計的データが公開されている.こうしたデータは,計測時と同様の単純環境でのリスク検討には有効であるが,対策用部品を設置するなどの環境変化の効果や,具体的な形状や寸法変更を検討するには十分でない.これに対し,子どもの身体性や行動戦略などを反映し製品との三次元的なインタラクションを評価可能なデジタルヒューマンモデルを活用することで,環境変化に応じた挙動を予測でき,より詳細で定量的な検討が期待できる.不慮の事故のうち熱傷や誤飲については,ポットやボタン電池等が子どもの手の届く範囲に置かれている場合に発生するものであり,そのリスクはデジタルヒューマンモデルを用いた可到達性という幾何的な指標を計算することを評価可能と考えられる.本発表では,低年齢の子どもを模したデジタルヒューマンモデルのリーチ姿勢を,全身のバランスなど力学的な指標を考慮して生成し,環境モデル上で提示するシステムについて報告する.

  • 高齢者の行動分析および福祉用具の導入前後比較への応用
    島田 夏希, 能登 公太, 北村 光司, 大野 美喜子, 西田 佳史
    セッションID: 1G4-OS-26a-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    介護施設や在宅環境において、高齢者の生活機能の変化に対応した適切な居室環境を設計するために、介護者のための高齢者の生活状況理解を支援するシステムが求められている。本論文では居室内の物とのインタラクションに着目し、高齢者の日常動作を自動的に要約するシステムを開発した。本システムは姿勢データとデプス画像を用いて、居室内の物との接触検出機能、日常動作をセグメントする機能、および姿勢の類似度に基づいて動作を分類する機能からなる。介護施設および在宅環境での検証を通じて、特定の個人や特性に合わせた動作分類が可能であることを確認した。また、本システムの応用として、身体保持を容易にするための手すり付きの机の導入により、高齢者の日常動作にどのような変化が見られるのかの把握を行った。検証の結果、頻繁に接触する場所や机使用時の動作に変化が見られることが示唆された。

  • 鵜飼 孝典, 江上 周作, 川村 隆浩, 古崎 晃司, 森田 武史, 松下 京群, 小川 智広, 吉岡 寛悟, 平野 司, 尾﨑 健吾, 福 ...
    セッションID: 1G4-OS-26a-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    我々は、2024年2月8日に第2回国際ナレッジグラフ推論チャレンジの最終発表会をInternational Conference on Semantic Computing の併設ワークショップとして開催した。本チャレンジでは、日常生活の一部を3Dシミュレータを使って生成した動画とナレッジグラフから動作、対象物、場所に関する統計値を求めることをメインタスクとした。 本チャレンジの特徴は、ナレッジグラフの一部を欠損させたデータを提供することで、動画からの情報抽出、ナレッジグラフに対する機械学習を用いた予測により、欠損した情報を補うことが必要になる点である。 本発表では、今回の推論チャレンジのデータセットとタスクの概要を示し、4つの応募作品を紹介する。応募作品においては、マルチモーダルLLMを用いたものが複数あったため、これらを比較して、今回のタスクにおける現在のマルチモーダルLLMに対する課題と期待についても述べる。

  • 田中 智可良, 高村 大也, 市瀬 龍太郎
    セッションID: 1G4-OS-26a-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    スポーツサイト等で目にすることができる,テキスト速報の作成は,データ会社が手入力で行っており,直接そのスポーツの試合の観戦はできずとも,試合をリアルタイムタイムで追いたい人にとっては大変便利である.殊にサッカーにおいては,選手の自由度の高さから,多様なプレーが90分の間で展開されるため,テキスト速報の入力には大変な労力が伴う.これに対する省力化のための手段として,プレーデータを用いたテキスト速報の自動生成システムを提案する.プレー内容を時系列で数値データとして纏めているプレーデータは,テキスト速報の自動生成システムの入力データとして利用できる.したがって,数値データからテキストを生成するタスクに取り組む先行研究を参考に,既存手法であるNNベースによるシステムと,新手法であるルールベースによるシステムの2つを構築し,機械的評価と人手による評価でそれぞれ精度を比較した.結果として,ルールベース手法の精度がコンテンツ選択や,文法の正確さ,固有名詞の出力の点でNNベース手法よりも大きく上回ったことから,テキスト速報を自動生成するシステムとして,ルールベースによる手法が有効であることが示された.

  • 青山 仁, 森田 武史, 鵜飼 孝典, 江上 周作, 福田 賢一郎
    セッションID: 1G5-OS-26b-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    高齢者の家庭内における危険な状況を検出して説明するシステムを募集するナレッジグラフ推論チャレンジ実社会版(KGRC4SI)2022が日本で開催された.KGRC4SIでは,日常的な行動をVirualHome(VH)でシミュレートした動画データと,この動画をVirualHome2KGで変換した知識グラフが提供される.主なタスクは提供された動画と知識グラフから危険な状況を検出することであるが,すべての動画や知識グラフに危険な状況が含まれてはいないため,数多くの日常生活を表現したデータを作成することが課題となっている.VHでは,アクションとその対象オブジェクトから構成されるアクションスクリプトに基づいてエージェントを三次元仮想空間内で行動させることができる.アクションスクリプトを手作業で作成することは直感的ではなく,自然言語文であればユーザの意図や要求をより容易に記述することができる.我々は,LLMを用いて日常的な行動の記述からアクションスクリプトを生成する手法を提案してきた.本研究では,異なる種類のLLMを用いた評価と比較を行う.なお,評価実験では,正解データとの類似性と実行率を評価する.

  • 内山 響, 青山 仁, 森田 武史
    セッションID: 1G5-OS-26b-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    家庭シミュレータVirtualHomeを対象として,常識的および家庭環境知識グラフに基づいて,ユーザ発話からユーザの潜在的要求を推論し,ユーザが必要とする部屋や物に案内する対話型ナビゲーションシステムが提案されている.先行研究では,知識グラフおよび対話システム構築コストが高い課題があった.本研究では,GPTに基づく上記と同等のシステムを提案する.提案システムでは,仮想家庭環境から部屋と物の包含関係などを抽出し,ユーザの潜在的要求の推論とナビゲーションを行うためのプロンプトを設計した.また,発話文から案内タイミングを判断するためのプロンプトを設計した.さらに,発話文から仮想家庭環境内にある部屋や物を抽出するプロンプトを設計した.これらのプロンプトをGPT-3.5およびGPT-4に与えることにより,ユーザの潜在的要求の推論,応答生成,ナビゲーションなど,提案システムにおける主要モジュールを実現した.評価用データセットを用いて,先行研究と提案システムを比較評価したところ,提案システムは先行研究システムの精度を上回る結果となった.

  • 三辻 史哉, 澤村 勇輝, 森田 武史
    セッションID: 1G5-OS-26b-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    テキスト内の固有表現(エンティティ名)を知識ベース内のエンティティと関連付けるタスクであるエンティティリンキング(EL)は,質問応答などの基盤技術として注目されている.既存のEL手法の多くは英語を対象としており,他言語に対応していない場合やリソース不足により性能が低下することがある.本研究では,高度な言語理解と汎化能力を持つGPTに基づく日本語と英語を対象としたEL手法を提案する.提案手法はGPT-3.5-TurboおよびGPT-4にプロンプトを与えて,EL対象文からエンティティ名の抽出とそれに対応するWikipedia URLを生成する.次に,WikidataのSPARQLエンドポイントに問い合わせをして,Wikipedia URLからWikidata IDを取得し,エンティティ名とそのWikidata IDのセットを出力する.LC-QuAD2.0,SimpleQuestions,WebQSPの日本語と英語のデータセットを対象に,提案手法と先行研究手法(PNEL)を比較評価した.その結果,日本語SimpleQuestions以外のデータセットにおいて提案手法はPNELの精度を上回った.

  • 米谷 颯人, 木村 慧, 孫 兆鴻, 横尾 真
    セッションID: 1I3-GS-5-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    本論文では,時間の経過に伴い選好が変化する状況を捉えることのできる,2 期間を通じた両方向マッチングを考察する.このようなモデルでは,各期間で異なるエージェントとマッチングすることが可能である.従来の研究では,いずれの期間においても,エージェント一人,あるいはエージェントのペアが結託することで得をするようなことがないマッチングを動的安定なマッチングとして定義している. 本論文では,2 期間マッチングにおける新たな公平性および非浪費性,個人合理性を定義し,動的安定性との関係性について考察する.また,定義した公平性と非浪費性を同時に満たすマッチングの存在性について議論する.

  • 太田 健介, 櫻井 祐子
    セッションID: 1I3-GS-5-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    本論文では,学生と学校間のマッチング問題において新たなメカニズムを提案する.学生と学校間のマッチング問題では,従来の既定の上下限制約ではなく,学生の選好に応じて決定するFlexibleな上下限制約が求められている.我々は,配属状況に応じて相対的制約を決めながら,逐次独裁者メカニズムによって割当てを決定するマッチングメカニズムの提案を行う.計算機実験により,既存の相対的制約付きマッチングと比べ,公平性を犠牲にする一方で,学生満足度が向上する場合が存在することを示す.

  • 丸尾 亮太, 鹿島 久嗣
    セッションID: 1I3-GS-5-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    組合せオークションとは,入札者が財の部分集合 (バンドル) それぞれに対して入札すなわち評価額を付けることができる種類のオークションである. 組合せオークションの抱える問題の一つとして,財の数に対し可能な部分集合の個数が指数的に大きくなることが挙げられる. 古典的な方法では,入札者はすべての財部分集合への入札を行うことを前提としているが,財の数が多い場合これは現実的ではない. この問題を解決する一つの方法として,近年,機械学習を用いた反復的組合せオークションを設計するという手法が発展している.それは,バンドルへの評価額を入札者に尋ねることで各入札者の評価関数を機械学習モデルで推定しつつ,より効率的な割り当てを順次求めていくというものである. しかし,既存研究ではモデルは入札者毎に個別に学習しており,場合によっては非効率となる. そこで我々は,マルチタスク学習によりモデル間の情報共有を行うことで,より効率的な反復的組合せオークションを設計することを試みた. 実験では,入札者が多い場合や,類似した評価関数を持つ入札者が複数いる場合に既存研究より効率的に良い割り当てを求められた.

  • 浜崎 真之亮, 東藤 大樹, 横尾 真
    セッションID: 1I3-GS-5-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    情報伝播付きの両方向マッチングに関しては,いくつかの自然な仮定のもとで,安定なアルゴリズムが耐戦略性を満足できないことが知られている.本研究では,耐戦略性の緩和による,安定なアルゴリズムの設計可能性を吟味する.具体的には,耐戦略性を操作の非自明性に緩和しても,依然安定なアルゴリズムが存在しないことを示す.

  • 酒井 洸星, 段 裕之, 松下 旦, 岩崎 敦, 斎藤 麗
    セッションID: 1I3-GS-5-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    本論文では、花卉市場の売買データを用いてリンギクの需要の可視化をするためのデータ整備と需給の推定方法について議論する。(株)オークネットはインターネット上で花卉市場を運営しており、売り手(生産者)と買い手(買参人)を仲介している。花卉は作付けをしてから収穫までに時間がかかるため、作付け時点での需給と、収穫時点での需給が異なりうるため、その価格は安定しにくい。実際、2022年にリンギクの価格が高騰した結果、2023年に売り手がその作付けを増やしたことで価格の暴落が起こった。そこで、取引価格が安定するような作付け量といった情報を提供することを目指して取引データを整備し、需給を推定する手法について議論する。

  • 宮本 茂則, 高橋 力斗, 馬淵 浩希, 山田 暉, 松原 卓二, 森川 幸人
    セッションID: 1I4-OS-31a-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    テキスト・画像生成モデルの台頭に伴いデジタルゲーム制作に生成モデルを活用する取り組みが盛んであるが、その多くは人間が行うテキスト・画像データ制作工程の一部を効率化するという取り組みに留まる。本研究では生成モデルを用いたゲームコンテンツの全自動作成の可能性を検証するために、ミステリーアドベンチャーゲームをオンデマンドに生成するシステム Red Ram を構築する。Red Ram はストーリーに関するユーザーの簡単な指示に基づき、ストーリー・人物画像・会話シナリオを含むほぼ全てのゲームコンテンツを自動生成する。Red Ram がテキスト・画像生成モデルを用いてゲームコンテンツを生成する流れとそのシステム構築手順を説明する。加えて、ゲームコンテンツを生成した結果発見した、Red Ram が現状抱える課題を述べる。

  • 大柳 裕士, 田中 良磨, 森 正樹, 中村 慶琉, 村岡 広海, 松下 瑚南, 山崎 雄太, 関谷 天希, 佐藤 玲, 時永 空侑, 西口 ...
    セッションID: 1I4-OS-31a-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    AIによる自動生成は類似の出力を低コストで大量に得られる点に大きな利点がある.また近年流行のループ型の構造をもつ作品は類似の展開を繰り返すという特徴を持つ.そこで本研究では,類似の出力を大量に行うことができるAIを最大限に活用するゲームシステムを開発するために,複数のAI自動生成技術を組み合わせてループ型 2Dアドベンチャーゲームのシステム開発する試みを行った.具体的には,マップデザイン,キャラクターアニメーション,音響,シナリオを自動生成したものと,敵の行動パターンを変動させる強化学習を統合したシステム開発を行った.これらの各要素を組み合わせて,ループ型2Dアドベンチャーゲームのシステム構築を行った.その結果,例えばシナリオの自動生成では類似した展開だが細部の異なる出力を生成することによって,ループ各回のシナリオ候補を大量に製作することで効率化を実現した.また,上記の複数のAI自動生成技術を用いた生成結果を統合したゲーム製作が可能であることを示した.

  • 大規模言語モデルによる行動評価と評価関数の学習
    加納 基晴, 濱田 直希, 下斗米 貴之
    セッションID: 1I4-OS-31a-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    エンタテインメント用途のゲームにおいて、ノン・プレイヤー・キャラクター(NPC)のAI(キャラクターAI)には、ゲームルール上の最善手を追及するだけではなく、開発者が定めたキャラクター性を表現するように振る舞うこと(アライメント)が求められる。よって現在は、開発者が振る舞いを理解し制御しやすいように、ビヘイビアツリーなどのシンボリックAI手法を使用することが主流である。もしゲームに強化学習を導入したとすると、アライメントの難しさ、開発時に発生するゲーム環境の変化が課題となり得る。本研究では、この課題を解決するために、シンボリックAIとLLMを融合した新たな行動制御手法を提案する。まず、NPCの仕様、ゲーム内の状況、行動を文章で表現し、これらをLLMで評価することで行動評価データを生成する。生成した評価データをアノテーションデータとして用いて、リアルタイムで作動する小規模の機械学習モデルを構築する。実験では実際のゲームでキャラクターAIの行動ルール・ポリシーを用意し、この手法によるモデルを作成し、ゲーム内で定めた要件に基づいて AI がアクションを選択することが可能であることを検証する。

  • 稲葉 通将
    セッションID: 1I5-OS-31b-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    キャラクターのペルソナに基づく対話システムはシステムの応答の一貫性を向上させられることに加え,システムへの信頼感の向上,およびエンターテイメントの用途で重要である. そのような対話システムの構築において,発話がそのペルソナに適合しているかどうかを自動で判定できることは重要である. 本研究では,与えられた発話のペルソナ性を評価するためのニューラルネットワークモデルであるPersonaCLRを提案する. 提案モデルは,評価対象の発話と目的のペルソナを持つ話者によるサンプル発話の集合を入力とし,評価対象の発話のペルソナ性をスコアとして返す. モデルの学習は1つの発話と同一話者によるセリフの集合のペアを用いた対照学習により行う. 対照学習により,PersonaCLR は追加の学習を行うことなく,新しいペルソナの発話評価をゼロショットで行うこと可能である. 実験では,オンライン小説100作品から収集した約2000発話からなるデータセットを新たに構築し,これを用いて評価を行った. 実験の結果,提案モデルは既存の手法およびChatGPTを用いた手法を含む複数の手法と比較し,高い性能を示した.

  • 佐竹 空良, 服部 壮一郎, 岩倉 宏介
    セッションID: 1I5-OS-31b-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    強化学習の社会的応用を探るためには,現実世界の複雑さを模擬したゲームをプレイできるAIの研究開発が有益である.しかしながらそういった複雑なゲームを学習対象とできる機会は少ない.今回,ワールドワイドに幅広い層に遊ばれていて,かつ,相当な複雑さをもつビデオゲームのAI学習用のインターフェースを整備する.該当ゲームがこのインターフェースを経由して強化学習が可能であることを示すことを目的として実際に学習を行った.結果として、ゲームが持つ複雑性を扱えるAIの学習を行うことを示し,また,このような試みがAIと一般の人々の架け橋となる可能性があることを示す.

  • 小林 篤史
    セッションID: 1I5-OS-31b-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年様々なデジタルゲームにおいて、人間あるいはそれ以上の性能を有する人工知能手法が登場している。このような手法としては画像認識、時系列処理あるいは自然言語処理等で利用されて成果を得ている深層学習がある。特にその中でもゲーム分野では, 深層強化学習が成果を得ている. しかし, 深層強化学習は人間が不適切と判断する結果を出力してしまったり, 思考プロセスの解釈が困難な場合がある. 他方, 言語モデルをデジタルゲーム分野に適用して成果を得ている事例がある. そのようなことから言語モデルを利用することで, 高性能化を図りかつ解釈性を増すことができると考えられる. そこで本研究ではシミュレーション空間上に登場するモデルへ、汎用的に適用可能な機械学習モデルの実現を目標とする. 本報告では、初期評価として言語モデルのような時系列処理が可能な手法を利用した機械学習モデルを提案して, エージェントへ適用することを目指す。

  • 荻野 宏実, 松隈 浩之
    セッションID: 1I5-OS-31b-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    多くの自治体や健康保険組合が健康増進を目的にウォーキングイベントを実施している。そして、それらのイベントの多くでインセンティブが提供されている。近年、NFTが注目されているが、二次流通による売却益が魅力となっている場合が多く、公共団体での活用事例は少ない。売却益を目的としないNFTのインセンティブとしての有効性が明らかになれば、公共団体のウォーキングイベントでも活用できる。そこで本研究では、売却益を目的としないNFTをインセンティブとしたスタンプラリーを実施し、受容性を調査した。その結果、二次流通による売却益を目的としないNFTが、世代を問わずインセンティブとして受け入れられると考えられるデータが得られた。本稿では、久留米市の事例を紹介する。

  • コード生成大規模言語モデルとBehavior Branchを用いた行動生成手法の考案と実証
    伊藤 黎, 高橋 淳一郎
    セッションID: 1I5-OS-31b-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    ゲームエージェントに対するテキスト命令による操作を実現する試みはこれまでなされてきたが、これらは未だ予め定義された形式のコマンドの処理に限られている。本論文では、自由形式で表現されたテキスト命令をゲームエージェントが理解し実行するための操作システムを提案する。提案システムは、コード生成のための大規模言語モデル(LLM)を用いて、テキストコマンドをBehavior Treeをベースとした知識表現Behavior Branchに変換し、ゲームエージェントによる実行を可能にする。本研究では、「ポケットモンスター」シリーズのゲームをシミュレーションしたゲーム環境において、複数の被験者の協力のもと実証実験を行った。その結果、本システムが自然言語コマンドを理解し、実行できることが確認され、リアルタイム言語理解ゲームAIの領域において特筆すべき進展となった。

  • 徳武 悠, 岡本 一志
    セッションID: 1J3-OS-10a-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    推薦システムにおいてユーザの嗜好に過剰に専門化することを防ぐために,セレンディピティ指向推薦システムが提案されている.しかし,セレンディピティの判断はユーザの感情に起因するため,正確な評価が困難であるという課題がある.そこで,様々なタスクを実行できる大規模言語モデル(LLM)が持つ豊富な知識を用いてこの問題の解決を試みる.本研究では,その初歩段階としてLLMによるセレンディピティの判断が人間の判断とどの程度一致するかを検証する.具体的には,GPT-3.5を用いてユーザの評価履歴に基づいて推薦されたアイテムがセレンディピティか否かを判断する.アノテーションが行われたベンチマークデータセットを用いてLLMによる判断精度を評価している.実験結果より,提案法はベースライン手法と比べてAccuracy, Precision, Macro-F1値でそれぞれ最大0.6,4.9,1.5ポイントの性能向上を確認している.

  • 板井 孝樹, 柴田 祐樹, 高間 康史
    セッションID: 1J3-OS-10a-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    本発表では,レビュー文に大規模言語モデルを適用して価値観モデリングを行う手法を提案する.ユーザがアイテムを選択する際の,アイテム属性に対するこだわりの強さを定量的に評価する指標として評価一致率が提案されており,情報推薦におけるユーザの価値観モデリングに適用されている.評価一致率は,アイテムの属性に対する評価極性と総合評価の極性が一致する割合として定義され,高い値を持つ属性をユーザがこだわりを持つ属性と判断する.情報推薦における有効性が示されているが,既存手法では明示的に属性評価が与えられる必要があった.この問題に対し提案手法では,大規模言語モデルを利用し,レビューで言及されているアイテム属性の評価極性をプロンプティングにより抽出し,評価一致率を求める.本発表では,映画を対象アイテムとして既存手法との比較実験を行い,評価極性の抽出精度や推薦システムに適用した場合の有効性を示す.

  • Travel sentiments and risk awareness of conservative and open-minded authors during the Covid-19 crisis
    Gluckstad Kano FUMIKO, Daniel HARDT
    セッションID: 1J3-OS-10a-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    In this presentation, we highlight the methodological aspects of our latest work published in Tourism Management (https://doi.org/10.1016/j.tourman.2023.104821). In this work, we used over 1 million Reddit postings from January 2018 to January 2021, selected 3093 authors in three periods: 1. Before Covid 1, 2. Before Covid-2, 3. During Covid, and classified the authors based on psychological attributes for their posts in the first period. We created word vectors describing two psychographic characteristics: “openness to change" and "conservative" based on the Basic Human Values theory. By use of the word embedding technique, we classified these authors into the two groups by calculating semantic similarities between their postings during the first period and the two respective word vectors. Our results showed that open-minded authors had more positive travel sentiment in the third period than conservative authors, while conservative authors increased risk awareness in the third period compared to open authors. Our study emphasizes that by classifying the authors of large-scale data based on psychological attributes, it is possible to predict the attitudes and behaviors that authors will express in the future, and that the application of theories in psychology and social sciences can deepen the insights obtained from large-scale data.

  • 大澤 幸生, 関口 海良, 木村 莉子
    セッションID: 1J3-OS-10a-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    観光地に関する情報は通常、その地域の住民によって発信される。しかし、この情報と訪問者が感じる魅力との間にはしばしばギャップが存在する。このギャップの原因となる要因を理解し、解決策を見つけることは重要である。観光地の情報発信におけるこのギャップをどのように縮小または解消するか、具体的な改善方法は未だ明確でない。本研究の目的は、公式の観光情報と訪問者の口コミに見られる魅力の相違を特定し、その差異を明らかにする方法を提案することである。該当データに対してはTransformerモデルで類似度を計算する。類似している公式情報群との差分はTransformerモデルで説明される。具体的な方法としては、文書のベクトルを正規化し、内積で類似度を計算する。類似度が高い上位10の文書を選出し、これらの共通点と特定のクチコミとの差異を生成する文章を作成する。これらの文章は観光業界の専門家によって評価される。観光情報発信の改善ツールを開発し、その精度を評価した。これにより、対象の観光地における情報発信の改善点を特定することができた。

  • 谷口 拓紀, 砂山 渡, 服部 峻
    セッションID: 1J3-OS-10a-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年データ分析の需要が増加し,それに伴って分析を行う環境も求められている.データ分析の基本は比較であり,テキスト分析でも複数のテキストデータの比較に注目した研究は多くなされている.その際,テキスト中の特徴的な単語を抽出して比較に用いるという手法が用いられるが,この手法では抽出した単語の観点が一致しないことがあり,観点が異なる特徴どうしを比較に用いることは困難である.そこで本研究では,ChatGPTのAPIを用いて観点と同時に差分点と共通点を出力するシステムを構築し,観点を一致させた比較を可能にすることを目的とする.システムの評価実験として,用意した複数のペアをシステムに入力し,その結果の妥当性を被験者へのアンケート等から複数の観点で評価した.

  • 水谷 優香, 後藤 千颯, 笹嶋 宗彦
    セッションID: 1J4-OS-10b-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    PBL演習は,学生がデータサイエンティストになるための素養を学ぶための授業である.企業と連携して生の実データを用いてグループで課題発見から提案まで考えていく.学生はPBL演習を通してデータの分析力や,グループ内でのコミュニケーション力などを身に付けることができるとされている.他方で,教育工学の分野では長年にわたって教授・学習理論が様々に提案されており,それらのオントロジーを構築する試みもなされている.本研究では,兵庫県立大学社会情報科学部で行われているPBL演習Ⅰをモチーフとして, PBL演習Ⅰの授業を構成する各学習ステップを明らかにして,学習・教授理論のどの理論に当てはまるかを検討する.さらに各教授理論ではKPIを想定しており,実際に各学習ステップがそれぞれのKPIを向上させていることを確認する.これにより,実践的側面や効果が強調されがちであるPBL演習Ⅰに理論的な裏付けを与えることをねらいとする.

  • 後藤 千颯, 水谷 優香, 笹嶋 宗彦
    セッションID: 1J4-OS-10b-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    日本の大学では, 数学的思考力とデータ分析能力を持つデータサイエンティスト人材の育成が求められている. しかし, データサイエンティスト人材を育成するための指導法は確立されていないほか, 教職免許を持つことが必須ではない大学教員が授業を評価し改善に繋げることは困難な状態である. 本研究では, オントロジー工学で用いられる機能分解木を用い, 教育分野で過去に研究された教授理論や学習理論を組み合わせることで, 授業のモデル化をするための方法論を提案する. また, 提案した方法論に基づき, 兵庫県立大学で行われているPBL形式の演習型授業を実際にモデリングし,理論と実践の関係性を可視化することで,提案方式の利点や問題点についても考察する.

  • 長谷川 遼, 銭本 友樹, 宇津呂 武仁, 西崎 博光, 吉岡 真治, 神門 典子
    セッションID: 1J4-OS-10b-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    自由記述回答を用いたアンケート調査は,調査対象における新たな価値や意見の 発見に貢献する重要な手法である.この自由記述回答の分析においては,回答中 の意見抽出や類似意見のクラスタリングなどの複数の人手作業が必要であり,一 般に大規模な回答データを対象とした分析には大きなコストがかかる.そこで本 論文では,大規模言語モデルを用いた自由記述回答中の意見抽出と類似意見のク ラスタリングの自動化手法を提案する.提案手法においては,特に,大規模言語 モデルにより生成した自由記述回答の疑似データに対して,大規模言語モデル自 身によってアノテーションを行った疑似訓練事例を利用することにより,人手に よるアノテーションを介さずに自由記述回答中の意見抽出と類似意見のクラスタ リングを行う手法を提案する.実際に「新型コロナ不満アンケートデータ」の自 由記述回答を利用した実験の結果,提案手法によって,人手による分析を近似す るに足る精度の分析を低コストかつ短時間で行えることを明らかに した.

  • 小森 敦也, 砂山 渡, 服部 峻
    セッションID: 1J4-OS-10b-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年、YouTubeは、世界中の人々が情報を共有し、多様なコンテンツと広範なユーザーの意見が集まるプラットフォームとして広く利用されている。しかしながら、動画に対するコメントは膨大な量に上り、重要な意見や傾向を手動で分析するのは非効率的で時間がかかる。そこで本研究では、ChatGPTを用いてYouTubeコメントを解析し、主要な意見や感情の傾向を自動的に抽出する方法を提案する。これにより、視聴者は、動画に対する反応や感想を迅速かつ効率的に理解でき、その動画を視聴するかどうかの判断に役立てることができる。

  • 伊東 達希, 砂山 渡, 服部 峻
    セッションID: 1J4-OS-10b-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年,データ分析の機会が増加し,多様な情報を統合するために膨大な時間と労力が必要とされている.また,大規模言語モデルの出現により,自動化が困難と思われていた高度な作業においてもシステムによる自動化が可能となっている.しかし,自動意見集約においては,従来の手法である意見の抽出が主流であり,意見の自動抽象化はあまり行われていない.そこで本研究ではChatGPTを利用し,集約を行いたい複数コメントを抽象化することで,ユーザが,一般化した知識を簡単に獲得できるシステムの構築を目指す.予備実験を通じて,提案システムによって自動生成されたまとめと,人間によるまとめを比較し,まとめの質に関する評価を行った.

  • 小谷 空舞, 砂山 渡, 服部 峻
    セッションID: 1J5-OS-10c-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年,生成AIが注目されており,利用方法の一つとして,チャットボットやスマートスピーカがあり,利用する機会も増えている.チャットボットには,あらかじめ人格が決められており,ユーザは変更できない.ある人物のセリフや関連情報を入力として与える事で,喋り方や考え方を反映した出力を得られれば,ユーザ好みの対話ができる.人物の再現に関しては,多くの対話情報を用いて話し方に焦点を当てた研究がされている.しかし,人物像の生成には重きを置いてなく,学習された人物像の内容を確認できない.そこで本研究では,ChatGPTを用いて,人物の特徴を反映したセリフを抽出し,どういう状況でのセリフかの説明を追加する事により,より少ないセリフから人物の行動やセリフのもとになる「物事の考え方」「ポリシー」「行動方針」で構成する人物像を生成するシステムを提案する.実験を通じて,セリフの抽出方法を変えた推定結果を比較し,推定結果の質に関する評価を行った.

  • 野呂 悠斗, 砂山 渡, 服部 峻
    セッションID: 1J5-OS-10c-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年,SNSの利用者が増加しており,それに伴い,他者とのコミュニケーションの機会が増加している.他者と容易にコミュニケーションが取れる良い面があるが,他者を傷つけたり不快にさせるようなメッセージや書き込みが増えている.不快に感じる内容には,誹謗中傷などの客観的に分かる内容だけでなく,二者の関係や状況によって,相手が不快に感じる内容も考えられる.既存のコミュニケーション支援ツールで,入力コメントを直接修正するものは少ない.そこで本研究では,客観的な基準に加え,ChatGPTを用いて,ユーザと対話相手の対話履歴から,相手が好感あるいは不快感を示す文章の特徴を抽出する.そして必要に応じて,その特徴から対話相手に合わせた文章の修正案を提示するシステムを構築することで,より良いコミュニケーションの実現を目指す.

  • 藤川 雄翔, 畑 玲音, 松下 光範
    セッションID: 1J5-OS-10c-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,物語作品のコンセプトに着目した情報アクセス手法の実現である.物語作品のコンセプトとは「お互いが敵対する組織に属する男女が恋に落ちる話」のように,その物語の中核をなす内容を端的に要約したものである.我々はこれまでの研究で,物語作品を人が要約した短文を収集・分析し,短文がコンセプトとして利用可能であることを明らかにした.本研究では,この短文をコンセプト文として扱い,物語作品の内容を説明しているあらすじ文と比較することで,その特徴を明らかにする.コンセプト文とあらすじ文から文章ベクトルを作成し,作品間の類似度を測定する際の差異を観察することで,あらすじ文からコンセプト文を生成できるかについてを検討する.

  • NI YANGDI, SHAN Junjie, 西原 陽子
    セッションID: 1J5-OS-10c-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    Zero-shot分類は,同じテキストに対しても,ラベルセットの選択により異なる分類結果が得られる可能性がある. 本論文では,対義語置換やWordNetを用いた同義語への変換によって,同じ分類目標に対して大量のラベルセット候補を生成し,適切なラベルセットを抽出する手法を提案する. 分類手法として,1.BERTによるテキストのcos類似度を用いる手法,2. OpenAIのEmbeddingモデルを用いる手法,3. MoritzLauerモデルを用いる手法の合計3種類を用意した. 評価実験では,日本語能力試験の過去問から,N1からN5の各レベル50件ずつの聴解テスト対話文を収集し,合計250件に対して分類を行った. 分類された対話文の属性は,対話場所(6分類),話者の人間関係(2分類,4分類),対話形式(2分類)の3つであった. 212個のラベルセット候補を作成し,精度をRMSE(二条平均誤差)で算出したところ,提案手法によりZero-shot分類の精度が高いラベルセットが得られることを確認した.

  • 「対北朝鮮外交」を題材とした実装の検討
    原田 武夫
    セッションID: 1J5-OS-10c-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    人口減少を踏まえ、我が国行政の効率化が叫ばれる中、2023年初夏以降、国会審議における政府答弁案の作成に際し、生成AIを用いるべきであると議論されつつも、その検討状況は不透明なままである。国会会議録検索システムが一般公開されており、答弁案作成システムに実装すべきコーパスの欠如・不足は課題ではない。国会答弁案作成システムに関する先行論文は存在しない中、AI研究者と国会答弁案作成の実務経験者による共同研究も管見の限り存在しない。本論文では、12年間にわたり外務公務I種職員であった経験を持つ筆者自身が実際に答弁作成の一翼を担った我が国外務省による「対北朝鮮外交」関連の政府側答弁(2003年1月~2005年3月)と、同一の質問につき国会会議録検索システム検索用APIとLangChain、並びにgpt-3.5-turboを用いて作成した生成文とを比較した。BERTScore(f1)は0.7未満に止まり、目視によっても対北朝鮮外交に特有な微細なニュアンスを表現出来ていないことが判明した。これらは生成AIの構造に基づく問題と考えられ、行政の効率化に対し大きな課題を投げかけている。

  • 立松 大機, 中村 直俊, 小池 進介, 岩見 真吾
    セッションID: 1K3-GS-10-01
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    コロナ禍で生活様式は変化した。それに伴い、抑うつ状態の変化も起きたと予想される。本研究では、コロナ禍期間の前中後の約2年間に毎月、東京在住の高校生へと抑うつ状態を問いた質問紙を利用し、エネルギー地形解析(ELA)で抑うつ状態変動の集団特性の検出を行った。結果として、抑うつ状態変動の起こりやすさをエネルギー障壁として定量的に確認できた。また、そのエネルギー障壁がコロナ禍で変化していく様子も検出でき、コロナ禍ではエネルギー障壁が高く、抑うつ状態へ変化しにくいとわかった。これらの結果は先行研究での結果とも一致し、精神医学分野の質問紙に対して、ELAが活用可能であることを示した。さらに、クラスタリングを行うことで、抑うつ変動が大きいグループと小さいグループで分けてELAを行なった。両グループ間で同様のエネルギー障壁変化の傾向が見られる一方、抑うつ状態変化の違いがあることが示唆される結果を得られた。その他付随して本研究を進めるにあたって、データ駆動的な3Dエネルギー地形描画手法やPythonパッケージを開発した。

  • 中西 俊之, 藤原 幸一, 上村 友二, 祖父江 和哉
    セッションID: 1K3-GS-10-02
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    全身麻酔中に用いられる気道確保器具として、主に気管挿管と声門上器具の2つがある。声門上器具は気管挿管に比べて患者の回復が早く合併症が少ないが、本邦での使用率は低い。声門上器具使用中の喉頭痙攣は、痛みや刺激に対して麻酔が不十分な場合に生じる稀だが重大な合併症で、換気困難から低酸素血症を生じうる。喉頭痙攣のリスク因子として、小児患者や麻酔科医の経験不足が報告されている。誰にでも換気困難の発生を予知できれば、声門上器具を用いた安全な麻酔管理が可能となり、患者の利益につながる。我々は、麻酔記録のバイタルサインおよび人工呼吸器の時系列データを用いることで、換気困難の発生を予測できると考えた。時系列性を考慮した異常検知アルゴリズムを採用し、バイタルサインおよび人工呼吸器データを入力特徴量とする換気困難の予測AIを構築した。579人の小児患者を対象とし、2018〜2022年の換気困難がない正常データでモデルを学習し、2023年のデータで性能を評価した。換気困難発生の5分前から1分前の間に感度57%、偽陽性率0.65回/時間の精度で予測できた。今後、より有用な特徴量を探索してモデルの性能を改善する。

  • 三谷 孟司, 岡本 有司, 糀谷 泰彦, 相澤 卓範, 牧山 武, 大野 聖子, 堀江 稔, 奥野 恭史
    セッションID: 1K3-GS-10-03
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,遺伝性不整脈疾患であるLong QT Syndrome Type2(LQT2)の予後予測における複数の特徴抽出方法を比較した.具体的には、多重配列アラインメント(MSA)を使用した方法と,MSAを使用せずに大規模なデータセットで事前学習されたFoundationモデル(ProtBert)のについて,予後予測の精度,得られる潜在空間について比較した.その結果,ProtBertを再構成誤差及び予後予測誤差の両方の最小化で学習する方法が最も高い予後予測精度を示し、LQT2の予後予測に効果的であることが示唆されました。また,本研究で提案したフレームワークは他の遺伝子変異分析にも適用可能であり,ラベリングコストが高くラベル付きデータセットが小さい場合において本フレームワークが特に有用である可能性が示唆された.

  • 吉村 雷輝, 岩見 真吾
    セッションID: 1K3-GS-10-04
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
    会議録・要旨集 フリー

    急性肝不全(ALF)は、急激な悪化と凝固障害を特徴とする重篤な病態であり、一部は急性肝障害(ALI)から進展する。その重症度にもかかわらず、ALFに対する有効な治療法は限られており、肝移植がほとんど唯一の治療法となっている。本研究では、九州大学病院のALI患者320例を用いて、プロトロンビン時間活性化率(PT%)が個々のALFの状態を示す重要な指標となることを見出した。さらに、入院後7日間のPT%値の時間経過パターンに教師なしクラスタリングを適応することで、パターンの異なる6つの層別グループを同定した。さらに、数理モデルと機械学習を組み合わせることで、入院時に入院後7日間のPT%動態を個人レベルで予測可能であることを実証した。このモデルは、個別化医療と最適な医療資源配分のための重要な知見をもたらすとともに、ALFの治療と理解に新たな視点を提供するものである。

  • 堀越 健司, 綾塚 祐二, 安川 力
    セッションID: 1K3-GS-10-05
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/11
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    機械学習を用いて眼底画像から実年齢を推定することができることが知られているが、臨床的にどこを見て判断すれば良いかは不明確である。また、機械学習モデルがどの部分のどのような特徴から実年齢を推定しているかも明らかになっていない。機械学習がどの部分から推論を行っているかを解釈するための手法として、我々は DiDA という手法を開発している。本研究では、2種の眼底画像からの年齢推定モデルに対してDiDAを適用し、その反応領域と推定年齢の誤差や正答率との関係を明らかにする。検証方法は、それぞれのモデルに対し入力する眼底画像を3つの領域に区分し、それぞれの領域で、一定量以上の反応がある領域を反応領域として、その領域の数を集計した。結果、実年齢と推定年齢との誤差が少ないほど反応領域数が増えることが分かった。また、反応領域数が増えるほど推定年齢の正答率が向上することが分かった。これらの結果から、眼底画像に対するDiDAの反応領域数を見ることで年齢推定モデルの確信度を推定できることが示唆される。

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