PLANT MORPHOLOGY
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22 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
特集
  • 東山 哲也
    2010 年22 巻1 号 p. 1-2
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    植物形態学において,高等植物(被子植物)の生殖および発生の研究は,古くから中心的な課題の一つであった.組織に包まれた状態で進行する生殖や発生を解析するには,形態学的に熟練した技術に頼るしかなかったとも言える.しかし, 形態学的な観察以上の進展が長いあいだ得られず, その分子機構の解明は, 植物科学の他の研究分野に比べて遅れていた.近年,植物の生殖や初期発生において利用できる蛍光タンパク質マーカーの整備や,大規模遺伝子解析などの技術の進展,in vitro 技術の開発などに伴い, ようやく分子機構が解明され始めた. その進展には, 日本人の若手研究者も大きく貢献している. こうした背景をうけて,2009 年度日本植物学会において, 日本植物形態学会共催シンポジウムとして, 本特集のタイトルの通りのシンポジウムを行った. 高等植物の生殖および初期発生の研究分野で活躍する若手研究者の皆様を, シンポジストとしてお招きした. 本特集では, それらのシンポジストを中心に寄稿して頂き,高等植物の生殖および初期発生研究の最前線について紹介する.
  • 柴 博史, 樽谷 芳明, 磯貝 彰, 高山 誠司
    2010 年22 巻1 号 p. 3-8
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    自家不和合性は,自家受精を抑制するシステムの一つで,雌ずい,花粉双方に存在する自他識別因子のS遺伝子型が一致した場合に不和合となる.雌雄両因子をコードする遺伝子は強く連鎖し,かつ集団中に多数の対立遺伝子を有することが知られているが,筆者らはS遺伝子をヘテロに持つアブラナ株において,花粉側因子であるSP11がいずれのアレルも機能的なSP11をコードしているにもかかわらず,片方の認識物質の形質が完全に消失してしまう現象を見出した.そしてこの自他識別因子のアレル間で認められる優劣性は,劣性側のSP11のプロモーター領域が,この自他識別因子が発現する葯タペート組織において特異的にメチル化され,発現が抑制されることに起因することを明らかにした.本総説では,自家不和合性という植物が持つ自殖を抑制する現象を通じて,対立遺伝子間の優劣性発現調節にDNAメチル化というエピジェネティックな遺伝子発現制御機構が関与することを紹介する.
  • Toshiyuki Mori
    2010 年22 巻1 号 p. 9-13
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    Fertilization is one of the most exciting phases in all organisms possessing sex. Understanding fertilization in plants is essential for the resolution of food problems that are dependent on agricultural products. Although plant researchers have had difficulties with analyses of gamete fusion process in angiosperm fertilization for several years, recent reports are showing remarkable findings important for understanding molecular mechanics during double fertilization. In this review, I would like to discuss the nature of angiosperm gamete fusion, based on my recent study findings.
  • 大西 孝幸, 木下 哲
    2010 年22 巻1 号 p. 15-22
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    イネの胚乳組織は可食部であり,重要な研究対象である.イネ胚乳の初期発生は,多核体期と細胞分裂期からなり,これらの転換期には細胞化と呼ばれる現象が観察できる.この間のイネの胚乳発生は形態的にも複雑であり,さらに短時間のうちに活発に変化する.このことは,イネ胚乳の初期発生が複雑な分子機構によって制御されていることを予想させる.しかしながら,胚乳発生の機構については,形態的な観察こそ詳細になされているものの,分子遺伝学的な解析はこれまでほとんど明らかにされていない.また,胚乳の初期発生は,種間交雑時に,しばしば発生異常を示し,生殖的隔離の要因となっている.種間交雑時の胚乳発生異常の原因については,ゲノムインプリンティングの関与が示唆されている.ゲノムインプリンティングは,父親と母親由来の遺伝子が識別され,異なる発現レベルを示す現象である.胚乳におけるインプリント遺伝子には,Polycomb Group (PcG) 遺伝子が多く含まれ,シロイヌナズナではこれらの遺伝子産物によって構成されるPolycomb Repressive Complex 2 (PRC2)が胚乳発生に関与していることが分かってきた.このように,胚乳におけるゲノムインプリンティングが胚乳発生の分子機構や生殖的隔離に関与していることが徐々に明らかになりつつある.しかしながら,植物のゲノムインプリンティング研究は急速に進んでいるものの,シロイヌナズナにおける知見がほとんどでイネなどの作物については,ほとんど明らかにされていない.本総説では,シロイヌナズナで明らかとなったゲノムインプリンティング研究の成果とともに,イネやトウモロコシにおける研究状況を紹介する.
  • 植田 美那子, 東山 哲也
    2010 年22 巻1 号 p. 23-31
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    多細胞生物は複雑な構造をもつが、それらは全て受精卵という単細胞に由来する。被子植物の受精卵は顕著な細胞極性をもち、その不等分裂によって、植物体の地上部の元となる頂端細胞と、根端や胚外組織になる基部細胞が生み出される。つまり、受精卵の非対称性が成熟植物の頂端-基部軸に変換されるわけだが、どのように受精卵が極性化して不等分裂へと至るのか、また、どのような分子基盤によって頂端と基部とで異なる発生運命が生じるのか、いまだ解明されていないことばかりである。しかし近年、これらのメカニズムを理解するための端緒がようやく見え始めてきた。そこで本稿では、主に被子植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いた分子生物学研究によって得られた最新の知見を概説し、今後の体軸研究の展開について考えたい。
学会賞受賞者ミニレビュー
  • 黒岩 晴子
    2010 年22 巻1 号 p. 33-46
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    高等植物の胚嚢内の卵細胞ミトコンドリアとその核(核様体)の変異について,Pelargonium zonale (ゼラニウム)を材料として,大胞子形成から胚嚢形成, 更に重複受精前後を通じて,テクノビット-DAPI法と電子顕微鏡法,及びVIMPICS (video-intensified microscope photon counting system),画像三次元構築法を用いて調べた.胚嚢母細胞から減数分裂を経て大胞子が形成される過程において,これら生殖細胞内のミトコンドリアは均一の小さい球形の顆粒状(0.3μm)を示し,そのDNA 量は約0.3Mbp である.7 細胞8 核の胚嚢が形成され,次第に各細胞の特徴が明確になるにつれて,卵細胞のミトコンドリアのみがその形態を変化させ,小さいリング状,紐状になり,これらは胚嚢の成熟につれて体積を増し,開花期には太く長い棒状または半円,全円のリングが積み重なった構造,mt-complex を形成する.これは3 次元構築によると,直径7 ~10μm のカップを最大10 個積み重ねた形をしていた.1 個のmt-complex の全DNA 量を測定したところ337Mbp となり,これは大胞子細胞のそれの約1000 倍に相当した.次に,受精後接合子の第一分裂までのmt-complex の変動と分配を追跡したところ,核の融合が終了する頃から複層したmt-complex のリングは単リングになり,さらに細かく分断され,2 細胞期には両細胞に小さい棒状, リング状の沢山のミトコンドリアが分配される.個々のミトコンドリアDNA 量は3-4Mbp に減少していた.このような卵細胞ミトコンドリアとその核の,受精前後におけるdrasticな変異の意味について考察する.
  • 唐原 一郎, 峰雪 芳宣
    2010 年22 巻1 号 p. 47-55
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    分裂準備帯(プレプロフェーズバンド,PPB )は,植物細胞の細胞表層における将来の細胞分裂面の位置を決定する構造である.細胞表層に存在するPPB 微小管は前中期には消失するが,その消失後も何らかの位置情報がPPB の位置に残ると考えられている.最近の研究から,PPB が完成すると,特定の細胞骨格関連タンパク質がPPB の位置から排除され,その位置のネガティブ・メモリーとして残ることが報告されている.しかしこれらの細胞骨格タンパク質の排除域が形成されるしくみはまだわかっていない.私達は最近の論文において,加圧凍結法と二軸電子線トモグラフィー法を組み合わせ,タマネギ子葉表皮細胞のPPB の形成時における,クラスリンで被覆されたピットおよび小胞の分布を定量的に解析した.その結果,PPB 領域においてクラスリンの関わるエンドサイトーシスの頻度が高まっていることが示された.この事実に基づき,エンドサイトーシスによって何らかの膜タンパク質が除去されることによりPPB のネガティブ・メモリーが形成される,という仮説を提唱した.
  • 東山 哲也
    2010 年22 巻1 号 p. 57-64
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    花粉管ガイダンス分子(誘引物質)の存在が19 世紀後半に提唱され始めて以来,多くの植物学者がその同定を目指してきた.今回我々のグループは,胚嚢が胚珠組織の外に裸出するユニークな植物トレニアを用いて,助細胞特異的に高発現するシステインに富むペプチド(ポリぺプチド)が花粉管誘引物質であることを発見した(Okuda et al. 2009 ).そのペプチドは,少なくとも2 つ存在し,LURE1 およびLURE2 と名付けた.LURE は,ディフェンシン類似のペプチドであり,助細胞の基部側(花粉管が進入する側)に分泌される.適切に折りたたまれた組換えタンパク質は強い花粉管誘引活性をもつ.その誘引活性の特徴は,花柱を通過していない花粉管は誘引しない,異種の花粉管は誘引しないなど,助細胞で見られる誘引活性の特徴と一致した.また,独自に開発したレーザーインジェクター装置により,遺伝子発現を抑えるモルフォリノアンチセンスを胚嚢に導入すると,花粉管の誘引が阻害された.これらの結果は,LURE が花粉管誘引物質であることを示している.本総説では,LURE の発見の経緯と,その発見がもたらすインパクトについて概説する.
  • Ali Ferjani, Gorou Horiguchi, Hirokazu Tsukaya
    2010 年22 巻1 号 p. 65-71
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/08
    ジャーナル フリー
    Growth within plant aerial lateral organs, such as leaves and flowers, occurs for a given period of time and stops when the organs reach their final size and shape, which are highly reproducible for genetically identical organisms grown under equivalent environments. Although leaf size is at one level simply a function of cell number and size, accumulating evidence suggests that an organ-wide integration system underlies leaf organogenesis and controls leaf size. This system, which integrates cell proliferation and expansion, has been a topic of vigorous research in recent years. In our research, we have focused on the intriguing phenomenon known as "compensation." In mutants that have a severe decrease in cell number, excessive cell enlargement is induced post-mitotically; therefore, compensation itself underscores the link between cell number and size-control systems at the level of the entire organ. In a recent large-scale histologic study of mutants of the model plant Arabidopsis thaliana, we identified a large number of leaf-size mutants with various combinations of cell-number and cell-size phenotypes. Five of these mutants, fugu1-fugu5, exhibited compensation phenotypes. Here, we highlight the recent advances in our understanding of size control and the possible mechanisms of compensated cell enlargement based on our analysis of compensation-exhibiting mutants.
原著論文
日本植物形態学会第21回大会(山形)ポスター発表要旨
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