PLANT MORPHOLOGY
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11 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 相田 光宏
    1999 年 11 巻 1 号 p. 2-13
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    要旨:高等植物のシュートの発生は、頂端部に存在する未分化な細胞集団である茎頂分裂組織に大きく依存する。胚発生における茎頂分裂組織の形成は、その後の地上部の器官形成を継続しておこなっていくために重要なステップである。近年のモデル植物を用いた分子遺伝学的解析から、茎頂分裂組織形成に関わる遺伝子が多く同定され、それらの間の相互関係もわかりつつある。これらの解析から、茎頂分裂組織の形成を制御する分子プログラムは形態的な特徴が明らかになるよりかなり早くはじまり、いくつかのステップを経て進行していく過程であることがわかってきた。
  • Shinichiro Sawa, Keiro Watanaba, Kiotaka Okada
    1999 年 11 巻 1 号 p. 14-23
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    Summary: filamentous flower(fil)mutant of Arabidopsis thaliana generates clusters of filamentous structures and of flowers with floral organs of altered number and shape. The FIL gene is involved in the fate determination of the floral meristem, because a homeotic conversion from a flower to an inflorescence was observed in fil ap1double mutants. In double mutants with leafy(lfy), filamentous structures are formed, but very few or no flowers with floral organs are formed, showing that FIL gene is required for the formation and development of the floral meristem. The enhanced phenotype in the fil ap1and the fil lfy double mutants suggests that FIL protein may work coordinately with AP1and LFY proteins. We cloned a gene, FIL, that regulates the maintenance and growth of inflorescence and floral meristems, and of floral organs of Arabidopsis thaliana. FIL encodes a protein that carries a HMG-related domain and is localized in the nucleus. Expression of FIL was detected in the abaxial side of young primordia of leaves and floral organs. The spatially-controlled expression indicates that cells at the abaxial side of the lateral organs may be responsible for the normal development of the organs as well as for maintaining the activity of the meristems.
  • 竹能 清俊
    1999 年 11 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    要旨:古くから保存されてきた変化アサガオと呼ばれるアサガオの突然変異群を花形態形成の新しい研究材料として用いることを提案する。アサガオの花形態変異の多くが生じたのは江戸時代後期の頃で、当時の変異花が彩色木版画として記録されている。これらの記録を基に、後の遺伝学的解析の報告と新たな解剖結果を加味して、変化アサガオの花形態変異を7つのグループに分類した。これらの変異はABCモデルだけでは説明できないと推測される。アサガオの花形態遺伝子は多面発現するものが多く、采咲き・獅子咲きと呼ばれる花は、矮性で、頂芽優勢が抑制され、葉が細くなったりカールする変異を伴う。ABCモデルだけでは説明不能ということは、花形態形成に関して未知の機能を持つ遺伝子が見つかる可能性を示唆するし、多面発現という特徴を利用すれば、花・葉・茎の形態発生に共通する細胞の挙動から基本的な形作りの仕組みを見いだせることが期待できる。
  • 菅井 道三
    1999 年 11 巻 1 号 p. 32-41
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    要旨:シダの配偶体はその形態が単純でありながら、植物の生活環において見られる基本的現象である発芽、細胞の伸長、分裂をともなう成長軸の転換、生殖器官の分化、精子の運動、受精等が細胞レベルで容易に観察できるため古くから形態形成の研究材料としてしばしば用いられてきた。このシダ配偶体を用いて行われた実験の中には日本人によるものが多く見られる。特にそれぞれの現象に関して、その発展のきっかけを作ったものも少なくない。本論では私の周辺で行われた仕事を中心に、これらの業績のいくつかを紹介すると共にその意義について私見を交えて考察してみる。
  • 鮫島 正純
    1999 年 11 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    要旨:細胞性粘菌Dictyostelium discoideumの休眠胞子においては、アクチンの約50%がチロシン燐酸化されているとともに、アクチンロッドが存在する。燐酸化は胞子の小胞輸送をはじめとする細胞運動を低下させることを通じて休眠の維持に関与しており、一方、脱燐酸化は胞子の発芽に関するシグナル伝達の上流に位置すると予測された。またアクチン脱燐酸化にはグルコースの取り込みとその代謝を介したATP合成が必要であったため、胞子発芽に必要な小胞輸送はグルコースに依存していると推定された。これは膵ベータ細胞におけるインシュリン分泌機構に類似している。アクチンロッドはアクチン繊維の約二倍の太さの小管が束化したものであった。アクチンを含む管状構造は初めての知見である。ロッドは胞子の形態を維持するとともに、発芽時にアクチンが再構築される際のリザーバーとして機能していると推定される。このようにD.diseoideum胞子の休眠はアクチン細胞骨格によって積極的に制御されている。
  • 本村 泰三
    1999 年 11 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    要旨:褐藻植物細胞には動物細胞と同様に1組の中心子(セントリオール)とその周辺物質からなる中心体(セントロゾーム)が存在している。中心体は中間期細胞では微小管形成中心(MTOC)として微小管細胞骨格の中核をなし、核分裂期では複製した後に両極に移動し、紡錘体形成に関与している。我々は褐藻植物の生活環においてキーとなる有性生殖(受精)と無性生殖(遊走子形成過程)の過程における中心子の挙動を形態学的に追跡してきた。褐藻植物の有性生殖には、同形・異形配偶子接合、卵生殖が観察できるが、すべてのパターンで接合子の中心子は雄性配偶子由来であり、雌性配偶子由来の中心子は受精後選択的に消失することを明らかにした。遊走子形成過程においては、減数分裂後に核と葉緑体が協調的に分裂しており、その過程で核と葉緑体は中心子(中心体)を介して一つのユニットをとることを明らかにした。
  • Tetsuya HIGASHIYAMA
    1999 年 11 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    Summary: Although100years have passed since the discovery of double fertilization, details of the fertilization processes of flowering plants still remain unclear. This is mostly because thick layers of ovular sporophytic tissues hide the embryo sac(haploid female gametophyte)of most angiosperms. We established an in vitro fertilization system using Torenia fournieri, in which the embryo sac protrudes from the ovule. It was revealed that pollen tubes are directly guided to the embryo sac in vitro. Moreover, we succeeded in directly observing the discharge of the pollen tube contents into the embryo sac for the first time. Pollen tubes discharged their contents into the embryo sac explosively resulting in almost instantaneous breakdown of the synergid cell adjacent to the egg cell. The T. fournieri in vitro system revealed the covert sexual intercourse of flowering plants.
  • 松山 崇
    1999 年 11 巻 1 号 p. 68-75
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    要旨:筆者はトウモロコシ初生根の根冠からcDNAサブトラクション法を用いたデファレンシャルスクリーニング法により、根冠で特異的に発現する遺伝子を単離し、その詳細な解析を行なった。単離した遺伝子の1つは新規のグリシン・リッチ・プロテインであるzmGRP4(Zea mays glycine-rich protein4)であった。in situハイブリダイゼーション解析により、zmGRP4mRNAは側部根冠組織で強く、根の表皮細胞で弱く発現することが示された。ZmGRP4タンパク質に対するポリクローナル抗体を用いたイムノブロット解析及び免疫組織化学的解析の結果、zmGRP4タンパク質は修飾を受けて根端を覆う粘液に蓄積することが示された。また互いに相同で新規な遺伝子であるzmRCP1とzmRCP2(Zea mays root cap-periphery gene)は根冠の周縁部の細胞で特異的に発現しており、根冠細胞の細胞死と関係している可能性が示唆された。
  • 1999 年 11 巻 1 号 p. 78-86
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
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