宗教と社会
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21 巻
選択された号の論文の73件中1~50を表示しています
論文
  • 近代日本仏教のアジア布教とインド
    外川 昌彦
    2015 年 21 巻 p. 1-15
    発行日: 2015/06/13
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    本稿は、戦前の日本仏教のアジア布教において独自の足跡を残した日本山妙法寺山主・藤井日達のガンディー思想との結び付きを検証する。それによって、これまでその矛盾が指摘されてきた日本山妙法寺による日本軍の大陸進出への協力と、ガンディーとの交流から生まれた非暴力思想という2つの観点を、整合的に理解する視点を明らかにする。特に、藤井日達のインド布教に向けた思想的総括とされる1930年の日本橋・白木屋での辻説法を取り上げ、そこに引用されるガンディーの著作『ヒンド・スワラージ』(インドの自立)での近代文明批判への思想的な共鳴が指摘される。これらの分析を通して、辻説法に表明されたガンディー思想との共鳴が、藤井を大陸布教から西天開教へと導く思想的転機を与え、また、日本の仏教をインドに還すという仏典上の命題が、ガンディーの植民地主義批判の視点を通して、現実のインドへの布教という実践的な命題へと結びつけられてゆく経緯が明らかにされる。

  • 渡部 奈々
    2015 年 21 巻 p. 17-31
    発行日: 2015/06/13
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    建国から20世紀後半まで、アルゼンチンカトリック教会は政府と密接な関係を保持しながら、国家宗教としてアルゼンチン社会において絶大な権力を握っていた。しかし、軍政(1976–83年)による大規模な人権侵害を黙認したことから、教会は国民の信頼を喪失し、民政移管後の市民社会構築プロセスからも取り残された。孤立したカトリック教会が市民社会における新たな役割を担う契機となったのは、2001年経済危機の際に行われた「アルゼンチンの対話」であった。本稿では、カサノヴァの公共宗教論を検討しながら、国家宗教であったアルゼンチンカトリック教会がどのような歴史的経緯によって、市民社会志向に変容したかを考察する。そして、近年カトリック教会が「アルゼンチンの対話」で果たした役割と、カサノヴァの支持する討議モデルを比較することにより、公共宗教としてのアルゼンチンカトリック教会の特異性を明らかにする。

  • 神本 秀爾
    2015 年 21 巻 p. 33-47
    発行日: 2015/06/13
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、文化人類学的見地から、日本人ラスタのラスタファーライへの参入経緯と、彼らの解釈および実践の傾向を明らかにし、日本におけるラスタファーライの受容のされ方について考察することである。第2節では、日本におけるラスタファーライの概略を記述する。第3節では、日本におけるラスタファーライの展開を3期に分け、それぞれの時期における日本人ラスタたちの参入と探求の過程を論じる。第4節では、日本における解釈の特徴を、「『自然』の重視」「セラシエ崇敬の弱さ」「外見の重視」の3つの視点から分析する。以上を通じて、本稿では、日本人ラスタの多くは、それぞれの時代に流行しているレゲエを介してジャマイカのラスタファーライに接近しながらも、その受容に際しては、ラスタファーライそのものや、ラスタファーライの拠って立つ、聖書に根ざした救済観を相対化し、地球への愛着とも呼ぶべき思想につくりかえていると結論づけた。

  • 福持 昌之
    2015 年 21 巻 p. 49-63
    発行日: 2015/06/13
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    真如堂は、正しくは鈴聲山眞正極楽寺といい、京都市左京区にある天台宗の古刹である。ここで11月5日から15日にかけて行なわれる十夜法要は、全国の十夜法要の元祖とされている。本稿では、まずその由緒を検討し、伊勢貞国だけでなく伊勢貞経に由緒を求める説があったことを示した。次に、十夜の歴史的展開として、16世紀後半には京都で十夜法要はよく知られており、17世紀後半には十夜法要の元祖が真如堂であると知られていたことを示した。そして、真如堂の十夜法要では、17世紀には僧侶が導師となって鉦を叩き、聴衆が共に念仏をする形式であったこと、18世紀初頭から様々な講が組織され、18世紀後半には鉦講が成立して十夜法要で演奏をするようになったと示した。これまでの研究では、楽器の双盤の記年銘によって民俗芸能としての双盤念仏があったとする傾向が強かった。しかし、鉦講の組織化や芸態を示す史料を重要視する場合もあり、本稿でも鉦講の組織化と演奏の記録を重要視した。

研究ノート
書評とリプライ
テーマセッション
1 『宗教と社会』誌からみた「宗教と社会」学会の20年
2 21世紀のスピリチュアリティ研究
3 天理教研究の現在―歴史から問う―
4 異文化伝道と天理教
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