Review of Polarography
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12 巻, 3 号
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  • 神原 富民, 林謙 次郎, 神谷 義紀
    1964 年12 巻3 号 p. 71-75
    発行日: 1964年
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     ポーラログラフによるリン酸イオンの間接定量は, 既にUhl(1)その他(2)-(4)によってなされている,その方法は,リン酸イオンを含む水溶液に濃度既知の過剰Mo(VI)イオンを加え,リンモリブデン酸錯体を生成させ,沈澱除去後,水溶液中に残ったMo(VI)イオンをボーラログラブィーで定量し,Mo(VI)イオンの二減少量からリン酸でオン濃度を求めるのである.これらの方法は,直流ポーラログラフ法によるものであり,定量感度や不純物による影響,定量時間などの点で,比色あるいは吸光光度法による定量法に比較して劣っている. 本研究は,これらの欠点を除くために,リン酸イオンをリンモリブデン酸錯体としてメチル・イソブチルケトン、(MIBK)中に抽出し,その(MIBK)に電解質水溶液(2NHClO4,2N LiClなど,Table 1参照)とメチルセロソルブ(MCS)とを加え,単一相とし,その液を直接ポーラログラフ電解液として,その中のMo(VI)イオンをAGボーラログラフ法で定量し,間接的にリン酸イオンを定量する方法について検討した. クロロホルム-塩酸-メチルセロソルブの三元混合液ポーラログラフ電解液とした例は,先に藤永らによって報告されているが,MIBK-電解質水溶液- MCS(体積比で4:5:11,:Fig.1の0点)の単一三元混合液もまた,ポーラログラフ電解液として使用可能である(Fig.4参照).この液に於けるMo(VI)イオンのポーラログラムはFig.2-3に示す通りである.図から明らかなように,Mo(VI)イオンの直流ポーラログラムは、だらだらとした不明瞭な波であるのに反して,交流ピークは極めて理想的な波形を示す. 支持電解質として,ClO4-,PO43-,NO4-,SO42-などを用いた場合は,3っの交流ピークを生ずるが,Cl-イオンを含む塩を用いると,その濃度により,1つまたは2つの波が消える. これらいずれの波高も,水相中のリン酸イオンの絶対量ときれいな直線関係がある(Fig.5-.7).従って,この三元混合溶液を用いて,PO43-イオンの間接定量が可能である
  • 斎藤 節
    1964 年12 巻3 号 p. 76-85
    発行日: 1964年
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     従来の浸漬型微小電極の液と接する部分の形態を改良した浸漬型モリブデン微小電極による水溶液のポーラログラフィーについて基礎的な検討を行ない,本電極による水溶液のポーラログラフ的研究への可能性を確かめた. (1)電解液中の溶存酸素のポーラログラム:室温で酸素を飽和した電解液では、-0.77VvsS.C.E.付近から電流が増大して,なだらかな波を生じ,ポーラログラムを妨害する.それに対して高純度窒素ガスで溶存酸素を追い出した電解液では-1.3Vvs.S.C.E.付近まで電流の増大がなかった. (2)種々のイオン,ポーラログラフ波:0.1NKCl中のT1+,ZN2+,Pb2+,Co2+,H+およびOH-イオンについて,再現性あるポーラログラムが得られた.OH-イオンを除く上記の諸イオンは,陰極還元波を与え,OH-イオンは陽極酸化波を与えた.また,これらのポーラログラムは,滴下水銀電極によって得られる波形に相似したS字形であった. (3)陰極表面への窒素ガスの通気速度とポープログラムめ関係:通気速度が1.75-6.2秒/気泡の間では,波高および波形に影響を及ぼさないが,1.75秒/気泡以上となると波高が次第に増大し,波形も悪くなるため,一定の限界電流が得られなくなる.この理由を調べるために着色した水溶液を電極付近へ静かに流し込み,通気速度を種々に変えた場合電極付近の液の流動状態を観察したところ,通気速度が3.0-5.0秒/気泡では不規則なカキマゼが起っていないことが確かめられた. (4)復極剤濃度と波高の関係:ポーラログラムの波高と復極剤濃度の関係をCo2+およびCd2+について調べた.波高は濃度に比例することが確かめられた.すなわち,Go2+およびCd2+のid/Cはそれぞれ1.08×104および1.00×104μA/Mであった.またE1/2は復極剤の濃度変化および加電圧走査速度の変化によっで変化せず,つねに一定値を与えた. (5)種々の金属イオンのポーラログラムの電流- 電圧の関係:E-log(id-i)/iの関係は直線となるのに対してE-log(id-i)の関係は直線とならない.しかしE-log(id-i)/iの直線の傾斜は,電極反応が可逆的であるとした場合の理論値(2.3RT/nF)より大きい値を与えた.さらに本電極は交流ポーラログラフによるピークを与えない(本文図8)したがって,本電極反応は非可逆的に進行するものと推定される。
  • 斎藤 節
    1964 年12 巻3 号 p. 86-99
    発行日: 1964年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     溶融塩化カリウム-塩化リチウム共融体(mp352℃)でのポーラログラフィーについて,基礎的な検討を行ない,本電極による溶融塩のポーラログラフ的研究への可能性を確かめた. (1)陰極表面へのアルゴンガスの通気速度と限界電流の関係:限界電流は通気速度が0.5~3.5秒/気泡の間では影響されないで,ほとんど一定値を与えた。 (2)陰極表面積と限界電流の関係:陰極表面積が4.70および7.85mm2のものを用いて,限界電流と陰極表面積の関係について調べた。その結果,限界電流は陰極表面積Aに比例することを確かめた. (3)復極剤濃度と限界電信の関係:復極剤として1.1~5.4mM/10009のZn2+および0.6~2.0mM/1000gのL4+について検討した結果,いずれも限界電流は復極剤濃度に比例することを確かめた.またEl/2は上述の濃度範囲において,加電圧走査速度の変化により変化せず,一定値を与えた.以上のことからid=K・A・Cの関係がなり立つことがわかった.ここにKは限界電流定数である. (4)限界電信におよぼす温度の影響:復極剤としてZn2+を用い,400~490℃ の温度・範囲において検討した.その結果Iogidと1/Tの蘭に直線関係がなり立ち,その直線の傾斜は-1.095×103deg-であった。この実験結果から限界電流を示す電圧における拡散過程の活性化エネルギーを求めたところ4.6kcalを得た. (5)電極によって得られるポーラログラムは滴下水銀電極によって得られるそれに相似しており,S字形である.そしてE~log(id-i)/iは直線関係がある.しかし,その直線の傾斜は,その電極反応が可逆的であるとした場合の理論値(2・3RT/nF)より大きい値であった.このことは水溶液の場合と同様に,本電極反応は完全に非可逆であると推論される.
  • Taitiro FUJINAGA, Satoshi OKAZAKI
    1964 年12 巻3 号 p. 100-101
    発行日: 1964年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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