Review of Polarography
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9 巻, 5-6 号
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  • 井本 英二
    1961 年9 巻5-6 号 p. 185-193
    発行日: 1961年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1940年にハメット則が樹立されて以来極めて多くの有機化学反応に対してこの法則は適用されて来た.ポーラログラフィーにハメット則が適用されたのは1952年頃からであるが,その後,二三年の閥にほとんどすべてのボーラログラフ還元反応にハメット則は適川され,また小出らにより量子力学的解釈も加えられ,一応の結論に到達している.本綜説においては,主としてわが国で最近行なわれたこの方面の研究の紹介を口的として反応定数ρに関する問題,および核定数σnについて述べる. 一般にハメット則はベンゼン系のみならずその他の共役系,および非共役系についても適川されるが,特に複素環に反応基と置換基とが結合するとき,その反応定数ρHはベンゼン系の同条件下の同反応の反応定数pBとほぼ等しくなる傾向が実験的に確証された.ただし,交差共役効果の大きい場合はこの条件は成立しない. 反応基の性質はその反応基の結合する母核の種類によって異なることは当然であるが,この関係をハメット式に類似の式で統一し,母核に特有な定数(核定数)を求めようとする試みはしばしば多くの人によって行なわれて来た.しかし,一般的に反応性には立体効果が関係するので,すべての反応に共通な核定数を定めることは困難である.そこで電了効果のみを含み,立体効果を含まないアリル値を求めることが行なわれた.しかし,ポーラログラフ還元に対しては,多くの場合について有効な核定数が求められた.
  • 中川 元吉
    1961 年9 巻5-6 号 p. 194-202
    発行日: 1961年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Application of solvent extraction to the polarographic method of analysis is reviewed. In the polarographic method of analysis, in general, the interference of other elements which do not concern to the analysis is avoided in the way of selecting suitable electrolytes, appling .A.C. polarographic method and so on. There are, however, a few cases in which these procedures are not enough to get fine steps in waves. In such cases chemical seperation method must be applied. For the chemical separation method, the solvent extraction is a good one, especially of its high selectivity and its quickness. And combining this solvent extraction and the polarographic method in suitable ways, the extent of the polarographic method of analysis becomes much wider. Solvent extraction may be classified into chetate-and ion association-extraction. Tne former is used mainly for the separation and condensation procedure of elements which are to be determined, for the amount of metal extracted by this method is limited to low degree. The typical solvents for it are dithizone, cupferron and so on, which can be easily decomposed. On the contrary, in the latter, ion association system, a large amount of metal can be extracted, so that it can be applied not only to condensation of trace components but also to removal of principal components, thus it has a large extent of application. For instance, iron is separated and removed away from hydrochloric acid solution by ether extraction, while, in order to determine impurities in indium metal, indium is extracted from hydrobromic acid solution and removed out of the system. For other examples, to determine zinc in cadmium and tin in lead cadmium and zinc are extracted from thiocyanic acid solutions. Recently, amines having hlgn molecular weignn-a liquid anion cxchanger-are marked as a new type of extracting solvents. Extraction procedure with them will be utilized broadly in the case of determination of zinc in copper and in uranium, indium in cadmium and so on. As being applied to the determination of uranium, it seems a very interesting method to determine metal quantities in non-aqueous solution by polarograph. The procedures are as follows; metals are extracted to organic phase and the solution containing metals is diluted with other organic solvent of high polarity. And then, the metals are determined with the polarographic method in this diluted non-aqueous medium. (translated by S. Shibabe)
  • 真木 伸文
    1961 年9 巻5-6 号 p. 203-213
    発行日: 1961年
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
    The bond-types of the complexes are reviewed in relation with their nature in solution. The complexes are classified into two groups. One is the complexes of ionic bond and the other the complexes of covalent one (the penetrating complexes). About these two types of the complexes are referred to the following subjects. (1) The difference of the stabilities between them was emphasized and explained neatly from a view-point of the ligand field theory and of the hybridization orbital method. (2) The absorption spectra of the six-coordinated dG complexes (Oh) were described simply, with regards to the bonding in the complexes. (3) The two mechanisms of the electrode reactions were tentatively proposed for the ionic and the covalent complexes. Namely, the dropping mercury electrode can be regarded as a kind of donor (the ligand), of which coordinating ability becomes stronger the applied potential increases gradually. On this consideration, the electrode process for the ionic complexes is considered to take place through SN1 reaction and the process for the covalent complexes proceeds through SN2 reaction, respectively. As an example of the former, the mechanism for the electrode processes of amminenickel(ll) system is given schematically (Fig. 5). The mechanism of the latter case is considered as being most rprobable for the polarographic reduction of dicyano-bis-ethylenediamine cobalt (lll) ion, judging from the thermodynamic data of the electrode reaction (Fig.7). The mechanism of SN2 reaction for the covalent complexes is generally supported by the facts that most penetrating complexes are not suffered from any change of the structure through net electrode reaction and the value of activation energy is not so large, compared with that of a bond energy. For the mixed liganded complexes the choice of the two mechanisms (SN1 or SN2) depends upon the weakness of the bond in its coordination sphere, since the weakest bond is naturally expected to be attacked with “a donor atom of mercury”.
  • 斎加 実彦, 西野 一雄
    1961 年9 巻5-6 号 p. 214-221
    発行日: 1961年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     交流ブリッジ方式の交流ポーラログラフ装置は既に相当広く実用化されているが,本文では本装置を用いて行ったポーラログラフ条件についての実験結果を報告することとした.対象とした試料は非鉄金属鉱業の分析面で利用される支持電解質ならびに復極剤を用いた.すなわち 1N塩酸支持電解質中のビスマス,銅,鉛; 1N塩酸,1M硫酸ナトリウム支持電解質中のアンチモン; 1.5N水酸化ナトリウム,1Mシアン化カリウム支持電解質中の鉛,ニッケル;0.45N過塩素酸支持電解質中の銅,鉛;1M塩化アンモニウム1Mアンモニア溶液中の銅,亜鉛; 1M塩化カリウム支持電解質中の亜鉛を試料溶液とした.溶存酸素の影響,重星査電圧の人いさの影響,平衡容量の大いさの影響,電極間距離の影響,電解液温度の影響,水銀滴下時周の影響について検討し,大略つぎの結論を得た. 1.溶存酸素の影響は小さく工業分析上酸素除去の必要は少ないこと. 2.平衡容量2μF以下ではその大いさの波高への影響は小さい場合が多いこと. 3.重畳鴬圧については5mVの場合,波高は一般に低く,10mV.,20mV.において高く,30mV.の場合は低い.ただし直流ポーラログラフ法の場合に極大を生ずる試料については交流ポーラログラムでは5mV.の場合が最も高い.検量線の直線性は重畳電圧が大の場合がよい.実際上重畳電圧の大いさは20mV.程度が無難である. 4.電極間距離5~20mm.範囲内では電極間離の差は波高に影響を与えない. 5.電解液温度の波高への影響は直流ポーラログラフ法の場合に比較して小さかった. 6.ポーラログラムの波高と水銀滴下時間,水銀流出量との関係は理論的結論ど一致,波高はm2/3t2/3に比例した.
  • 塩化アンモニウム-アンモニヤ性Co(III)溶液中のシスチンのポーラログラフィー
    砂原 広志
    1961 年9 巻5-6 号 p. 222-232
    発行日: 1961年
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
    Brdicka接触水素波の機構解明のためには簡単な化合物としてシスティン,シスチンがえらばれる.しかしCo(II)の塩化アンモニウムーアンモニヤ性溶液ではシスチン及びシスティンのいずれも類似の接触波を示すがCO(III)の塩化アンモニウムーアンモニヤ性溶液中ではその挙動は異なる.Kalousは高濃度のシスチン(10-3M)を用い,Co(III)中での挙動について報告し,更に最近Kalousek Commutatorを使用してその複雑な電極反応の解明を試みている. 著者はCO(II)又はCO(III)中での異なる接触水素波の起因に興味をもち,直流交流ポーラログラフ法によりCo(III)中でのシスチンの示す挙動を詳細に検討した所Kalousの結果と二,三の相異点を知り更にこの電極反応より接触水素波の機構に関して研究した.第1図にはコバルトの存在しない0.LMNH3+0.1MNH4Cl中でシスチン還元波(ポーラログラムC)と,シスチンを含まない0.1.MNH3+0.1MNH4Cl溶液中のCo(III)の還元波を示し,更にシスチン(0.6mM)を含むCo(III)(1mM)の0.1,MNH3+0.1MNH4Cl溶液中での還元波(ポーラログラムA)と比較した所,第II,第III波の点において非常に複雑な還元波を示した.シスチンの濃度変化によるそれらの還元波の変化を第2,第2図に示してある.交流ポーラログラムでは直流ポープログラフ波に相当するピーク波が現われ第1図に示したと同じく,0.1MNH3+0.1MNH4G1溶液中でシスチンのみの波,Co(III)のみの波更にシスチンとコバルト共存の場合の還元波を第4図に示している. 以上に示した結果より,第1波は(コバルト第1還元波)1シスチン濃度の増加により負側に移行しWaveII-1の波高は増加してシスチン1mM以上では変化をみなく,NaveII-2は一段より二段波となる.各波高の変化が第5図Aに示してある.シスチン一定濃度下でCo(III)の濃度を変化さすとWaveII-1は直線的に増加してWaveII-2は減少した.√hcorrに対してはWaveII-1,WaveII-2共にKinctic characterを示さなかつた.以上の結果より次の如く電極反応を考えた.RSSR+2Hg→2RSHg2RSHg+Co(H2O)62+→2RS+Co(H22O)63++2HgこのCo(H2O)63+は再びシスチンと錯化合物を形成してその還元波がWave II-1である,i.e.,Co(H2O)63++2RS→Co(RSSR)3+ Co(RSSR)3++e-→Co(RSSR)2+となる.又WaveII-2に対しては水銀面に吸着したシスチンの一部がシスティンに還元される波と推定した. 第3図IとIIに示すごとくシスチン濃度の増加に伴ないコバルト第2波の極大は減少して二重波が現われてくる.更にコバルト第2還元波は二段波となり(WaveIII)そのうちの第1波(WaveIII-1)は極大波を伴なつている.Co(III)の一定濃度下において,シスチン濃度を変化させた場合のWaveIII-1,WaveIII-2の波高やシスチンの一定濃度下においてコバルトの濃度を変化させた場合のそれらの波高,又√hcorrに対する波高の変化等が第6図A,B,Cに示してある.この結果よりWaveIII-1は[Co\RSSR]2++2-→Co°+2RSによるものであり,更にRSが水銀電極面に吸着して水銀と反応する結果,Wave III-2が生じると推定された. Wave IIIの波高はコバルト一定濃度下でシスチン濃度の増加により非直線性を示し,又シスチンの一定濃度下でコバルトの濃度増加により非直線性を示している.この結果が第7図に示してある.以上の結果よりWave IV-2は接触波としての性格を有するがWave IV-1は完全な接触波の挙動を示さなかつた.
  • [IV]接触水素波における-NH2,-COOH基の役割
    砂原 広志
    1961 年9 巻5-6 号 p. 233-242
    発行日: 1961年
    公開日: 2011/10/21
    ジャーナル フリー
     接触水素波を生じさせる化合物はその殆んどがSH-,-S-S-基をもち,その重要な役割は既知の如くである.しかしそれらの化合物とコバルトにより錯化合物が形成される場合の中心的役割を果す他の基については接触波出現との関係において詳しく論じられていない. 著者は-S-S-基以外の-NH2,-COOH基の役割を明らかにするためにシスチンをえらび,-S-S-基はそのままにして-NH2を-NHCOGH3にしたアセチル・シスチン,-COOHを-COOC2H5にしたシスチンエステルを合成し,CO(II)又はCO(III)の塩化アンモニウム-アンモニヤ性溶液中でシスチン及びその誘導体の直流及び交流ポーラログラフ波を検討した結果を報告する. 上記三種の化合物は-S-S-基をもつ点は共通しており,0.1MNH3+0.1MNH4Cl溶液中での水銀電極面への反応を考慮して実験をすすめた.直流及び交流ポーラログラフ波が第1図に示してある.シスチン及びその誘導体の0.2mMの同濃度を用いた所,特に交流ポーラログラフ波では水銀面への吸着による特異性がみられる.之れは-S-S-基のみならず-NH2,-COOH基の影響も考慮される.第2図は上記三種の化合物の濃度増加と波高の関係で吸着的性格を示している.特にシスチンエステルは濃度増加により還元波も変化し第3図の如く極大波が生じる.上記三種化合物の還元波に対してアンモニヤの濃度を変化さした場合,第4図にその結果が示してある.シスチン及びその誘導体の第1波のE1/2はいずれもアンモニヤ濃度増加により負電位側に移行し,その波高は減じている. CO(II)の塩化アンモニウム-アンモニヤ性溶液中ではシスチン及びその誘導体の直流及び交流0ラログラフ波が第5図I,IIに示してある.シスチン及びシスチンエチルエステルは接触波を示すがアセチルシスチンは示さない.又交流ポーラログラムにおいてもアセチルシスチンは-1.0V. - -1.2V.あたりに1つのピーク波を示すのみであり,-0.4V.--0.5V.あたりの水銀面への吸着がみられる.更にアセチルシスチン高濃度の場合が第6図に示してある.コバルトの極大波高が減少し図中D'にみられる様に一段波から二段波となつてくることが交流ポーラログラムよりわかる.以上シスチン及びその誘導体の濃度変化による各波高の変化がまとめて第7図に示してある. Co(III)の塩化アンモニウム-アンモニヤ性溶液中でのシスチン及びその誘導体の直流ポーラログラフ波が第9図に示してある.アセチルシスチンのみはやはり接触波を示さない.シスチンエチルエステルは,シスチンの場合よりも更に複雑な挙動を示している.又それら化合物の濃度変化による接触波波高の変化が第10図に示してあるごとく,シスチンエチルエステルはTroppの報告したごとく蛋白波にみられた“Crossing Effect”を示した.以上の結果によりシスチンの場合の接触水素波の起因の1つとして-S-S-基と-NH2基のコバルトに対する錯化学的役割が注目された.
  • Taitiro FUJINAGA, Syotaro OKA
    1961 年9 巻5-6 号 p. 243-245
    発行日: 1961年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • Yoshio TAKEMORI
    1961 年9 巻5-6 号 p. 246
    発行日: 1961年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • Reiji TAKAHASHI
    1961 年9 巻5-6 号 p. 247-248
    発行日: 1961年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
  • 1961 年9 巻5-6 号 p. 248
    発行日: 1961年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
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