Review of Polarography
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15 巻, 6 号
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  • 朝日 豊, 永岡 道代
    1968 年15 巻6 号 p. 145-153
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     クロモマイシンA3の構造研究に関連し,そのポーラログラフィーを行った.その構造が宮本らによって決定された後,還元反応と構造との関係を究明した.A3,クロモマイシノン(CHR),ジヒドロCHR,イソCHR,CHRの6,9-ジメチルエーテル,CHRのヘキサアセテイトなどはいずれも2電子還元波を示すが,1-デオキソCHRはそれを示さないので,A3などの還元波は1-共役ケトンからアルコールへの還元によることがわかった.クロモマイシキノンは可逆的2電子2プロトン還元波を示し,ホウ砂と錯体をつくることから,polyhydroxynaphthoquinone構造を予想した.A3とDNAとの相互作用は生化学的およびUV吸収法で証明されているが,ポーラログラフおよび電子スピン共鳴では証明し得なかった.A3と銅イオンとは錯塩をつくり,銅の還元電位がずれる.
  • 岡崎 敏
    1968 年15 巻6 号 p. 154-167
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     グラッシーカーボン粒状電極の使用により,非常に大きなセル定数(λ=lsec-1)を有する高性能フローセルが得られた.本カラム電極を用いて定電位電解を行なえば,セルに流入する被電解物質,例えば鉛イオンは10秒以内に定量的に電解されることがわかった. GCカラム電極による鉛イオンのフpクーロメトリー定量における最適条件は,電極:φ7×20mmカラム,80~100メッシュGC粒,電位:-0.8V対銀―塩化銀電極キャリヤー溶液:酸性酒石酸溶液(pH435),流速:1ml/minであり,この条件で0.1~80μgの鉛について定量的な結果が得られた. GC粒状電極は比較的大きな抵抗値(長さ50mmのカラム両端間で約100Ω)を有していることを利用してこれを電解クロマトグラフィーに応用した. まず除酸素した0.5N塩酸溶液を流しながら,カラム電極(長さ160mm)の流出口電位(E2)を-0.7V対SSEに規制する.同時に外部ポテンシオメーターを用いてカラム両端間に0.3Vの電圧降下を与えると,流入口電位(E1)は-0.4Vに規制される.ついで塩酸キャリヤー中に鉛ビスマス混合試料を注入するとビスマスは流入口近傍に,鉛は流出口近傍にそれぞれ分布析出する.次に両端電位をE2=-0.4V,E1=0.0Vに移動させると析出していた鉛は溶出する.この間にビスマスも溶出移動するがカラム流出口近傍に再析出する. 最後に電位をE1=E2=0.0Vにすればビスマスも溶出する.溶出液は0.5m1ずつ分散し各フラクション中の金属イオンをキシレノールオレンジを万能発色試薬として比色定量を行なっだ本法により約40μg量の鉛,ビスマスが定量的に分離できた.さらに溶出金属イオンの定量法に前述のフロークロメトリー法を併用して銅,鉛の連続溶離クロマトグラムが得られた.
  • 呉 紹起, 葉 錫溶, 品川 睦明
    1968 年15 巻6 号 p. 168-176
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     太い白金線端をガラス管にシールし,3.9cm2の面積上に,ヨウ化カリウムの硫酸酸性溶液からヨウ素が吸着する様子をしらべた。白金表面は,まつ一定の陰性,陽性の分極化によつて清浄にしたのち,なお所定の酸化,還元及び部分的還元処理を施した。酸化には,薬品による酸化処理の場合も比較の対象とした。 吸着後の白金表面のヨウ素の分析は,131Iのガンマ線を用いシンチレーシヨン計数によつて行つた。 一定時間,溶液中に浸漬してのち白金表面を水洗したとして,一般にヨウ素の吸着は酸化前処理白金においてては,還元処理のものよりも多いことがわかつた。そして,吸着時の液温を上げると,吸着容量及び吸着速度は共に上るが,その程度も,酸化処理白金の場合に著しく,還元処理のものや部分的還元処理のものでは,ほとんど効果が見受けられなかつた。 なお吸着試験溶液に窒素を通じ,溶液酸素を追出したものについての試験も行つた。還元処理白金では脱気しない場合に比して著しく吸着量が減少し,酸化処理のものでは,さほどもなかつた。このことから,溶液酸素は吸着途上でもその酸化力によつて吸着を助けるものと考えられる。
  • 斉藤 友紀雄
    1968 年15 巻6 号 p. 177-187
    発行日: 1968年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
     従来,生物学的なO2の定量にはポーラログラフ法を用いた被覆Pt電極が用いられているが,電極の較正曲線が試料の物理的性質や状態によって変化するので,十分な精度が得られなかった.ここで蒸着Pt薄膜をガラス中に封じ,その帯状の断端でO2の還元を行うと電極面上に生成する拡散層の大きさが円形の断端を持った従来のPt線電極の場合に比較して小さくなり,上記の欠点が改善されることが判って来た. この報告では上記円形および帯状の両静止固体電極面上でのO2の拡散についての理論式を各々について求め,またそれら電極の実験値と比較した. 第1図に示すような円形電極面上へのO2の拡散は第7式のようになり,電極周辺のO2の濃度分布を示すと第3図のようになる.電極面の軸(Z)上でのO2濃度と電極面からの距離との関係を表lに,O2の濃度勾配との関係を表llに示す.円形電極に流れる02の拡散電流は第11式のようになり,これは電極の円の面積でなく,その半径に比例するが,従来Caterによって報告されている電流値の1/πとなった. Pt線を用いた円形電極の直径とO2の拡散電流との関係を実験的に求めたのが第6図で,拡散電流は電極の直径に比例し,電流値も理論値と一致した. 一方,第2図に示すような帯状電極面へのO2の拡散を求めると,第17式のようになり,電極周辺の濃度分布は第4図,第5図のようになる.帯状電極面に垂直な軸(Z)上でのO2濃度の分布は表lに示すようになり,O2の濃度勾配の分布は表llのようになる,帯状電極に流れるO2の拡散電流は第28式のようになり,電極の帯の幅には無関係となった. Pt板をガラスに封じた帯状電極の帯の幅とO2の拡散電流との関係とを実験的に求めた結果が第7図で,―〇―は実測値,―●―は帯状電極の長さ方向の末端に流れる電流の影響を補正した値を示したもので,電極の帯の幅とO2の拡散電流の大きさとは無関係であることが実験的にも証明できた. この結果,試料の物理的性質や状態で電極の較正曲線が変化するのを防ぐには,Pt線の断端を用いた従来の電極よりも,非常に狭い幅の帯状電極の方が有利であることを理論的に証明した.
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