理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
4 巻, 2 号
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  • 木村 朗, 米田 稔彦, 小柳 磨毅, 井上 悟, 河村 広幸, 林 義孝, 久保田 稔, 河盛 隆造
    1989 年4 巻2 号 p. 55-60
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    合併症を有する非インスリン依存性糖尿病患者5名に対し低強度運動療法を実施した。低強度負荷は、最大心拍数の40%を目標心拍数とし、1秒1ステップの歩行運動によってなされた。低強度運動が血糖のコントロールにどのような影響を与えるかを調べた。網膜症を合併する症例1名においては食事療法7日目より運動療法を実施した結果、空腹時血糖値の低下を認めた。脳血管障害による右片麻痺(Brs.6)の症例2名において食事療法14日目より運動療法を実施した結果、空腹時血糖値は3日後、正常値範囲に到った。狭心症、高血圧を合併する症例においては食事療法と経口血糖降下剤によって空腹時血糖値は正常化していたが、運動療法によって経口血糖降下剤より離脱することに成功した。また、これらの症例において運動の拒否および合併症の増悪はなかった。これらの結果から低強度運動療法はこれらの合併症を有する糖尿病患者にとって有効であることが示された。
  • 岩月 宏泰, 中條 茂伯
    1989 年4 巻2 号 p. 61-64
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    パーキンソニズム7例に対して、直立時に抗重力筋へ振動刺激を与えた後の重心動揺距離を測定した。結果を以下に示す。(1)刺激停止後の重心動揺距離はパーキンソニズムと対照群の間で差がみられなかった。(2)振動停止後の振幅は健常群より小さかったが、安定するまでの時間は延長した。本研究の結果、本症の姿勢保持障害は、抹消感覚系の障害より大脳基底核を中心とする高次中枢に起因することが示唆された。
  • 山口 光国, 入谷 誠, 大野 範夫, 永井 聡, 山嵜 勉, 福井 勉
    1989 年4 巻2 号 p. 65-69
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    下肢に既往のない健常な成人12名について足趾屈筋群筋力及び足関節底屈筋群筋力が、片脚起立時の重心動揺にどのような影響を与えるか検討した。各筋力、重心動揺は身体的特徴及び生活環境により異なる可能性を考慮し、それぞれ左右の比に換算し検討した。
    その結果、足関節底屈筋群と重心動揺との間には有意な関係は認められなかった。足趾屈筋群と重心動揺との間では有意な関係を認め、特に前後方向との関係が有意であった。
    今回我々の研究は、片脚起立という静的場面ではあるものの、歩行中の一相であると考えると、足趾屈筋群役割は、歩行時の安定化、特に前後方向への安定化に関与すると思われる。
  • 国光 美代, 篠原 豊, 野地 吾希夫, 永堀 造男, 河元 岩男, 飯塚 早苗, 野町 昭三郎
    1989 年4 巻2 号 p. 71-74
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    大学サッカー部員を対象に運動負荷試験を実施し、併せて競技中の心電図をチェックした。
    1.練習中の心拍数変動については、運動と休息が適切に組み合わされたインターバルトレーニングが実施されており、強度としても適当であると考えられる。
    2.試合中の心拍数は練習中よりも高値を示し、平均値よりさらに急激に上昇する場合が認められた。また、この上昇パターンはコンビネーションを中心とした練習中の上昇パターンに類似しており、その変動の幅を考えるとハイリスクであると考えられる。
    3.変動様式については選手のポジションにより違いが認められた。
  • 斎藤 功
    1989 年4 巻2 号 p. 75-80
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    脳卒中後遺症による片麻痺患者23名を対象として、患者各個人の快適速度にて、5分間の平地歩行を行なわせた。動作能力の指標として、下肢運動年齢を用い、運動強度の指標として酸素消費量を用いた。歩行時の装具、補装具の使用は、患者各個人に選択させた。測定項目は、酸素消費量、歩行速度、歩行率、エネルギー効率であった。歩行時平均酸素消費量は、歩行速度、歩行率、下肢運動年齢の程度に関わらず同程度を示した。また、METSに換算すると3.00±0.85ml/kg/minとなり、一般成人が快適な速度にて歩行をしたときのMETSと同程度となった。よって、対象患者は、快適速度歩行をしたと思われる。エネルギー効率を単位酸素消費量当りの移動距離として求めると、5.20±3.27m/ml/kgとなり、下肢運動年齢と高い正の相関を示した。ADL上行なわれている快適速度歩行を運動負荷とする場合、エネルギー効率が歩行能力の評価の一つとなりうると思われる。
  • 前田 哲男, 小坂 健二, 溜池 修, 村木 宏行
    1989 年4 巻2 号 p. 81-84
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は健常者と脳卒中片麻痺患者の非麻痺側大腿四頭筋筋力を比較し、脳卒中片麻痺患者の非麻痺側大腿四頭筋筋力低下に関係する要因について検討することである。脳卒中片麻痺患者の非麻痩側大腿四頭筋筋力は健常者に比較し、統計的に有意(p<0.05)な低値を示した。脳卒中片麻痩患者の非麻痺側大腿四頭筋筋力低下に関係する要因について検討した結果、基本動作レベルが高く、日常の活動性が高レベルにある程、非麻痺側大腿四頭筋筋力低下は軽度であった。また、発症後の期間が長期である程非麻痺側大腿四頭筋筋力低下が著明であったが、その原因は今回の研究では明らかにできなかった。それを明らかにするためには、今後、非麻痺側大腿四頭筋筋力低下の経過を継時的に測定する研究が必要である。
  • 秋山 純和, 渡辺 好孝, 根立 千秋, 加納 郁子, 館山 祐子
    1989 年4 巻2 号 p. 85-88
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    糖尿病および糖尿病を持つ患者の運動療法、運動負荷訓練中の低血糖を防止することを目的に基礎的実験を行った。被験者は女子13名、平均年齢は20歳であった。被験者には運動負荷前に100gの水に砂糖8g(A群)と16g(B群)をそれぞれ溶かした砂糖水を摂取させ、自転車エルゴメータを用いて負荷量50watts、負荷時間20分の運動負荷を行い血糖値の変化を観察した。
    結果としてA群、B群ともに運動負荷に対しては、血糖値は平均値で若干増加していたがt検定において有意差を認めなかった(P<0.01)。A群とB群の血糖値の変化の比較においても有意差は認められなかった(P<0.01)。今回の結果では8gの糖分の摂取で、血糖値の低下は認められず、同程度の運動量の運動療法では低血糖の防止に有効であろうと考えられた。
  • 野田 秀明
    1989 年4 巻2 号 p. 89-92
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    当院の糖尿病診療システムの紹介とPTの関わりについて述べた。糖尿病治療に当たり、PTの役割として(1)患者教育方法、臨床指導方法の検討、(2)糖尿病に対する知識、技術の向上、(3)運動の効果の研究、(4)健康に対する啓蒙がある。糖尿病における運動療法のこれからの課題として、若年糖尿病のスポーツのあり方、肥満、高血圧をもつ糖尿病、小児糖尿病の運動療法、退院後のフォローアップの充実、合併症の重度に進んだ患者の運動指導がある。
  • 谷 浩明
    1989 年4 巻2 号 p. 93-97
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
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