線虫密度の異なる枠ほ場でサツマイモを栽培し, 生育および根系形成に及ぼす線虫の影響を検討した. ほ場の優占線虫はサツマイモネコブセンチュウ (
Meloidogyne incognita) であった. 高密度区では8月中旬までに被害発生密度に達しており, 地上部, 地下部の生育は著しく抑制され, 10月下旬収穫時の塊根収量も大きく減少した. また, 高密度区の根系は低密度区に比べて, 8月中旬 (生育最盛期), 10月下旬 (収穫期) ともに直径1mm以下の根の量が顕著に少なかった. サツマイモネコブセンチュウによる根系への被害の実態は, 根量の減少とともに, 高次分枝根の形成・生長が阻害されることによる吸収根の減少を引き起こすものであることが明らかとなった. このような根系構造の変化が地上部の生育不良を生じ, さらには収量低下につながったと考えられる.
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