ソバは我が国においては主に麺として食されるポピュラーな作物であるが,2014年度の平均収量は520 kg ha
-1と低い.低収の要因のひとつに倒伏があり,この改善が重要な育種課題となっている.これを受けて農研機構東北農業研究センターは耐倒伏性に優れる品種の育成を行い,2011年に「にじゆたか」を品種登録した.しかし,耐倒伏性と根の形質の関係については十分に調べられていない.そこで,標準品種の「階上早生」を対照に3カ所の圃場で,播種密度を変えて栽培し,根形質を中心に生育ステージを追って調査を行った.その結果「にじゆたか」は「階上早生」に比べて,主根から出た一次側根の数が多く,側根の硬い部分の張り出し長が長く,開帳角度がより水平方向に向き,全長が長くなっており,これらが地上部を支え,倒れにくくしていると考えられた.また,両品種とも播種密度が低いほど,これらの形質が耐倒伏の方向に強化された.この情報は今後の品種育成や栽培技術開発に役立つと思われる.
抄録全体を表示