本研究は、中国地方北部域を対象として,改良されたMoving-Window Poisson (MWP) 法を適用することで水平方向の密度構造境界を推定し,その結果を踏まえた上で重力データに基づく3次元基盤構造モデルを構築することを目的に行った。対象地域では,過去に1943年鳥取地震(M
j=7.2)や2000年鳥取県西部地震(M
j=7.3)等の被害地震を経験していることからも,地下構造を詳細に評価・把握しておくことは重要であると考えられる。同地域における既存の3次元地下構造モデルの深部地盤部分は,重力データに基づいた構造解析の結果に大きく依存したものとなっているため,重力探査により推定されるモデルの高精度化が求められる。しかし,重力データのみを用いた解析では,水平方向に密度構造が変化するような広い地域を対象とした際に,構造を一意的に推定することが難しい場合がある。そこで,本研究では従来の解析手順とは異なり,構造解析の前段階において重力データおよび磁気データを用いたMWP法を適用することにより,水平方向の密度構造境界を検出する。これによって,構造解析時に与える仮定モデルをはじめとする設定パラメータを区域毎に適切に設定することができ,結果的に,より実地盤を反映した高精度なモデルの推定が可能となることを確認した。
抄録全体を表示