物理探査
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67 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
小特集:無人航空機を用いた空中計測
論文
  • 石田 勇介, 野口 竜也, 香川 敬生, 盛川 仁
    2014 年 67 巻 3 号 p. 157-170
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/03/02
    ジャーナル フリー
      本研究は、中国地方北部域を対象として,改良されたMoving-Window Poisson (MWP) 法を適用することで水平方向の密度構造境界を推定し,その結果を踏まえた上で重力データに基づく3次元基盤構造モデルを構築することを目的に行った。対象地域では,過去に1943年鳥取地震(Mj=7.2)や2000年鳥取県西部地震(Mj=7.3)等の被害地震を経験していることからも,地下構造を詳細に評価・把握しておくことは重要であると考えられる。同地域における既存の3次元地下構造モデルの深部地盤部分は,重力データに基づいた構造解析の結果に大きく依存したものとなっているため,重力探査により推定されるモデルの高精度化が求められる。しかし,重力データのみを用いた解析では,水平方向に密度構造が変化するような広い地域を対象とした際に,構造を一意的に推定することが難しい場合がある。そこで,本研究では従来の解析手順とは異なり,構造解析の前段階において重力データおよび磁気データを用いたMWP法を適用することにより,水平方向の密度構造境界を検出する。これによって,構造解析時に与える仮定モデルをはじめとする設定パラメータを区域毎に適切に設定することができ,結果的に,より実地盤を反映した高精度なモデルの推定が可能となることを確認した。
技術報告
  • 鈴木 拓也, 西宏 治郎, 佐伯 昌之, 盛川 仁
    2014 年 67 巻 3 号 p. 171-179
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/03/02
    ジャーナル フリー
      本報告は,1周波GPS (Global Positioning System) とMEMS (Micro Electronic Mechanical Systems) IMU (Inertial Measurement Unit) を用いて小型・軽量の姿勢計測システムを開発し,その推定精度を検証したことを記述するものである。検証実験では,まず開発した試作機をラジコンヘリコプターまたは船舶に搭載し,搬送波位相などのGPS データ,加速度3成分,ジャイロ3成分のデータを取得した。これを既存のINS/GPS複合航法アルゴリズムを基に作成した姿勢計測プログラムで解析し,装置の位置・姿勢を推定できることを確認した。また,この様なフィールド実験では,姿勢の真値を知ることができないため,別途,姿勢角を既知と扱える条件下で実験を行い,推定結果と既知の傾斜角とを比較することで姿勢角の推定精度を検証した。その結果,本実験条件においては,低速運動のときに0.1°程度の精度で傾斜角を推定できることを確認した。
通常論文
技術報告
  • 内藤 和也, 朴 進午
    2014 年 67 巻 3 号 p. 181-194
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/03/02
    ジャーナル フリー
      南海トラフは西南日本の太平洋岸沖に位置するプレート沈み込み境界である。本研究ではこのうち熊野沖に位置する樫野埼海丘周辺において,過去に行われたIODP(統合国際深海掘削計画)による掘削調査並びにJAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)による3次元反射法地震波探査のデータを用い,海底下堆積物の物性解析を行った。まず掘削サイト上のP波速度と密度データより初期音響インピーダンスプロファイルを作成し,これに反射法地震波探査データから抽出したウェーブレットを合成して地震波プロファイル初期モデルを作成した。次にこのモデルが地震波探査断面と合致するように音響インピーダンスプロファイルのインバージョンを行い,その結果を3次元反射法地震波探査データ全体に適用し3次元音響インピーダンスデータを得た。更にこの音響インピーダンスデータを空隙率データに変換する事で,樫野埼海丘周辺における海底下の空隙率分布を得た。空隙率は概ね海底面から深度を増すに従い低下する傾向を示したが,一部において空隙率の逆転を伴う空隙率異常域が見られ,この異常域は陸側に向かって発達する傾向を示した。また,掘削サイト上の空隙率異常域中に見られる低空隙率層と,比抵抗並びに自然ガンマ線の検層値とを対比した結果,樫野埼海丘周辺に限定的に分布するチャネル堆積物が存在する可能性が示唆された。
講座
  • 高倉 伸一
    2014 年 67 巻 3 号 p. 195-203
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/03/02
    ジャーナル フリー
      地熱調査では電磁探査が中心的な役割を果たしてきた。これは,電磁探査が求める物性である比抵抗が温度や流体の状態に敏感であるという理由と,MT法,CSAMT法,TEM法などの電磁探査法が深度数 kmを対象とする地熱探査にも適用可能であるという理由が大きい。地熱調査では,地熱貯留層,熱源,熱水を含む広域的な地熱系の構造を推定することが必要とされる。電磁探査データから計算される比抵抗構造は,比抵抗値の分布を示しているだけである。地熱系の構造を推定するためには,比抵抗構造から地質構造を正しく解釈する必要がある。この講座では,電磁探査による広域的な地熱系の推定方法について述べる。広域的な地熱系の比抵抗構造をどのように解釈するかについて焦点を当て,鹿児島県大霧地熱地域と北海道豊羽地域における電磁探査のケーススタディを紹介する。
英文誌要約
  • 物理探査学会会誌編集委員会
    2014 年 67 巻 3 号 p. 205-208
    発行日: 2014年
    公開日: 2017/03/02
    ジャーナル フリー
     英文誌「Exploration Geophysics」の内容を広く会員に紹介するために,掲載論文の要旨の翻訳を本誌に掲載する。今回は,英文誌のVol. 45 No. 2の要旨を紹介する。著者による原著という注釈があるもの以外,要旨の翻訳は会誌編集委員会にて実施した。興味をもたれた論文に関しては,是非とも電子出版されたオリジナル版をチェックいただきたい。なお,英文誌に掲載された論文は,本学会のホームページ経由で閲覧可能である。具体的には,本学会トップページ右側のバナー一覧のうち「Exploration Geophysics download site」を選択し,ウェブページ上の指示に従い,会員認証後PDFダウンロード可能となる。
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