北海道のように寒冷環境にある地域では,土は冬の寒気で凍結し,春の暖気で融解して消失するのを,永久凍土と区別して季節凍土と呼ぶ。凍結時には地上の構造物などに凍上害を,融解時には路面では陥没やひび割れなどの発生,裸地斜面では斜面崩壊の促進,農地では融雪水の排水の妨げや地温上昇の遅延などを発生させる。凍結・融解による被害が発生する恐れがある地域では,保守・設計・防災の観点から,凍土の凍結・融解による分布や厚さ等の変化を把握することは重要である。
日本では比較的土壌凍結深が深い帯広において,気温,地温,凍結深,および二極法を用いた比抵抗の測定を長期間に実施した。そのうち1995年11月1日から1996年5月31日までの測定データと比抵抗二次元解析による比抵抗構造から凍土の凍結・融解の面的かつ時間的な変化の把握を試みた。
凍結過程では,未凍土時の数百倍の高比抵抗域は,浅部にほぼ水平に点在し,その深度は,地温の0℃(凍結線)の等温線とともに深くなることから,凍結領域と解釈できる。融解過程開始直後では,凍結深がほぼ同じであっても地温は0℃近くまで急上昇するため,比抵抗の急減に伴い比抵抗構造は大きく異なることから,最大凍結深に達したかどうかの判定に利用できる。凍結過程でほぼ水平に点在していた高比抵抗域は,融解過程では値を下げながら水平方向につながり,その後,その中心深度は徐々に未凍結深度まで達する。最終的に地下に向かって高比抵抗域が拡散するように消滅し,凍結前の状態になる様子を捉えることができた。
二次元比抵抗構造モデルと凍結深等の実測値により,凍結・未凍結および融解・凍結の境界は,高比抵抗域の中心深度ではなく,凍結過程では少し浅く,融解過程では少し深い位置にあることなどが捉えられた。これは比抵抗構造から凍結・融解時の面的かつ時間的な変化の把握等が可能であることを示している。
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