Synthesiology English edition
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4 巻, 3 号
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研究論文
  • ― 界面活性剤を用いた流動抵抗低減によるポンプ動力の低減 ―
    武内 洋
    2012 年 4 巻 3 号 p. 136-143
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/08
    ジャーナル フリー
    近年、二酸化炭素の排出量が民生業務部門でも増加している。この実験ではビルの冷暖房用循環水の搬送動力を低減させることを目的として、循環水に高分子や界面活性剤を混ぜると発現する流動抵抗低減効果、いわゆるToms効果を利用し、その有効性を検証した。この効果については、多くの基礎研究やビルへの適用例もいくつかあるが、複雑な配管路から構成される実際のビルの循環水に界面活性剤をどのように注入するか、注入後管内の流動や伝熱の性能はどのように変化するか、さらにこの効果を長期にわたり維持継続する方法等について明確にした報告がなく、この技術の普及の妨げとなっている。この論文では札幌市役所本庁舎の冷暖房システムを使用して行った実証実験で得られた知見を示し、それを一般化してこの技術の普及につなげたい。
  • ― 構成的研究のための認知的クロノエスノグラフィ法の開発 ―
    赤松 幹之, 北島 宗雄
    2012 年 4 巻 3 号 p. 144-155
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/08
    ジャーナル フリー
    単に開発者のアイデアだけで技術開発を行っていると、人に受容される製品やサービスを実現することは容易ではない。それは、さまざまな個性を持つ利用者が実際にそれを使う状況下で何を考え、何を感じているかを、開発者が正しく知ることが困難だからである。そこで、実際の状況下での人の認知行動を把握する手法である認知的クロノエスノグラフィ法を開発した。この方法は、対象とする人の条件を明確化して選定したエリートモニターを用い、製品やシステムの設計につながる変数であるクリティカルパラメータを事前に検討して、それを統制したうえで実生活場面での行動を記録して、それを基に回顧的インタビューを行うことによって認知行動過程を明らかにする。製品やサービスの設計につながることを指向する構成的な研究プロセスの初期段階に適用する手法である。
  • ― 硝酸イオン選択吸着「材」 ―
    苑田 晃成
    2012 年 4 巻 3 号 p. 156-161
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/08
    ジャーナル フリー
    地下水は古くから清浄な飲料水源として使用されてきたが、近年、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素による汚染のため、飲料水として用いられなくなった井戸も少なくない。緊急時にこれらを活用し、安全な飲料水を確保するため、「機動的浄水システム」の開発を行った。これは、私達の健康リスクとなる物質を除去・無害化するために開発した「硝酸イオン選択吸着剤」と、企業が開発した機能性物質の性能を低下することなく取り扱いが容易な形に成形する「非接触担持成形技術」を組み合わせることによって成し得たものである。「機動的浄水システム」の技術要素である硝酸イオン選択吸着「材」の開発を中心に述べる。
  • ― 夢の実現のための製品開発と社会受容のための標準化 ―
    伊藤 肇
    2012 年 4 巻 3 号 p. 162-171
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/08
    ジャーナル フリー
    自動車用ナビゲーションは、電子技術の急速な発展を背景として、目的地に効率的に行きたいというニーズが自動車開発の企画にのり、搭載する多くの技術、通信や道路データ等支える多くの技術が長年にわたる官学民の協力で実現し、普及してきた。またそれらの技術はITS標準化の名の下に国際的な整合が行われている。なかでもナビゲーションは運転中の視認・操作を伴う車載装置でもあり、安全性、特にヒューマンファクタが重要なアイテムになる。この論文は開発の歴史を紐解き、社会受容が可能になるヒューマンファクタの研究と標準化を紹介する。
  • ― “トリプルC”プロジェクトのねらいと取り組み ―
    佐藤 雄太, 佐々木 健夫, 沢田 英敬, 細川 史生, 富田 健, 金山 俊克, 近藤 行人, 末永 和知
    2012 年 4 巻 3 号 p. 172-182
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/08
    ジャーナル フリー
    近年のソフトマター分野における単分子・単原子レベルの構造観察の需要に応えるためには、かつての分解能向上のみを追求した超高圧化とは一線を画する革新的な電子顕微鏡装置の開発が不可欠である。筆者らは低加速電圧の有用性にいち早く着目し、既存装置では到達し得ない大幅な低加速化と高性能化を同時に実現するため、軽元素物質の観察に特化したまったく新しい電子顕微鏡の開発に取り組んでいる。この論文では、球面収差(Cs)補正、色収差(Cc)補正、カーボン(C)ナノ材料、という三つの“C”に重点を置いた、この“トリプルC”プロジェクトのねらいと成果をまとめるとともに、将来の低加速電子顕微鏡の応用について展望する。
座談会
  • 木村 英紀, 小林 直人, 赤松 幹之
    2012 年 4 巻 3 号 p. 183-188
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/08
    ジャーナル フリー
    科学技術振興機構(JST)の研究開発戦略センター(CRDS)では、システム科学技術推進委員会を設けて、システム科学技術研究として何を推進すべきかを検討してきました。研究領域が細分化に進むのに対して、システムとは統合することであることから、シンセシオロジーが目指しているところと共通しているものがあります。システム科学技術推進委員会を牽引されてこられた木村英紀上席フェローにお話を伺いました。
編集委員会
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