従来食品の吸水の研究は主として等温吸着曲線の解析,NMR,融解熱の測定等により行われて来たが,いずれも収着平衡或はそれに近い状態での研究でその間食品の構造変化,品質劣化等が生ずる場合には適さなかった.本研究は食品の主な構成成分,市販乾物,凍結乾燥食品等各種低水分食品について吸水過程を収着熱,湿潤熱測定により追跡すると共に食品中の水の存在状態について融解熱,パルスNMRにより検討を行った.澱粉,casein, lecithin中の水は含水率0.15g/g-DM迄は成分と強く結合するがそれ以上の水分は自由水と思われる.又市販乾物の多くは浸漬にともない二段階の吸水を示した.次にほぼ同一条件で,種々の方法で求めた澱粉中の結合水量を比較すると,収着熱の屈折点から求めた値は0.15g/g-DM,NMRのPから求めた値は0.2g/g-DMでほぼ等しいが,融解熱から求めた不凍水量は0.3g/g-DMで,これには未凍水ないし束縛水が含まれるものと思われる.
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