氷核活性細菌の菌学的諸性質と氷核活性物質の特徴について検討した.氷核活性細菌として知られている分離菌株KUIN-1,菌株IFO3310,菌株IFO12686,菌株IN-10などに共通した菌学的諸性質の特徴は,グラム陰性菌,桿菌,ベン毛を有し,運動性があり,カタラーゼ:陽性,ゼラチンの液化:陽性,ビタミンの要求性は陰性であった.分離菌株KUIN-1の大量培養の培地には,Koserクエン酸培地よりもTrypticasesoy培地を用いて生育した細胞の方が氷核形成頻度は著しく高くなることがわかった.氷核活性細菌をタンパク質修飾剤,変性剤,レンチル・レクチンなどで処理することによって菌株IFO12686と分離菌株KUIN-1の氷核形成頻度が低下することがわかった.しかし,菌株IFO3310には,タンパク質修飾剤と変性剤の影響は認められず,氷核活性細菌の菌株によって氷核活性物質が異なることが示唆された.また,菌株IFO12686と分離菌株KUIN-1の氷核活性物質には,タンパク質と糖が関与しているζとがわかった.
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