現代社会では,21世紀に入って新自由主義的な改革が広く浸透するとともに,情報化も新たな段階を迎えようとしている.本稿では,現代社会のなかで進行している権力様式の転換と近代的自由の変質をメディア論的な視点から考察する.まず,メディア概念を拡張し,「伝達メディア/受容メディア/表象メディア」に区分したうえで,近代社会が,印刷物や権力といった諸メディアを基盤にして成り立っていたことを確認する.次に,今日のインターネットが単なる伝達メディアではなく,時空的秩序の再編を促す表象メディアでもあること,そして権力をはじめとする受容メディアの作動様式にも影響を及ぼしていることを述べる.そして最後に,このような変化が人間の自由にとってどのような意味を持つのかを考察する.
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