西部造船会々報
第106回西部造船会例会(西部造船会々報 第106号)
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  • 篠田 岳思, 福地 信義, 龍 知宏, 和泉 考作
    p. 000032
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    近年、環境問題が深刻化している。人間の生活や生産活動、さらには人間社会の拡大により、自然環境は大きな環境負荷圧力を受けている。特に海域においては、都市化に伴う埋め立て等の開発による直接的な圧力だけでなく、家庭排水等陸域の環境負荷物質が最終的にたどり着く場所になっているため、非常に大きな負荷がかかっている。環境問題への取り組み方として、人間の生活と環境保全とのバランスを取ることが求められているが、そのためには、海洋環境の価値を把握し、価値損失をミチゲートする代替案の検討が必要である。本研究では、海洋環境価値評価モデルの構築を目的とし、海洋環境が持つ環境価値を測定するために、仮想評価法(CVM)を用い博多湾を対象に調査を行った。そして博多湾が持つ環境価値、人工島建設の環境リスク評価を行い、モデルの適用の可能性を検証した。また、海洋環境改善のためのミチゲーションの有効性の検証を行った。
  • 鷹尾 潤, 福地 信義
    p. 000029
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    船舶火災の出火場所は機関室系が約57%を占め、その出火源としては燃料常用タンクから溢出した油、機関燃料管などからの噴出油などに対する機関排気管の高温暴露部、発電機や電線のショートによる発火などが多くを占める。このように機関室火災では、設備的な要素と油類が事故の素因、誘因、拡大要因をなすことが多く、油の燃焼、特にプール(液面)燃焼に基づく火災拡大現象を十分に把握しておく必要がある。ただ、プール燃焼は油面への熱放射を主体とする伝熱による液面蒸発が支配要因であり、その燃焼と発煙状態は固体可燃物とは機構が異なるために、油火災は固体可燃物による一般的な火災現象とは大きく異なる。機関室火災に対する防火・消火・避難対策のためには、プール燃焼の特性、発煙特性、火災拡大条件および煙流動現象の把握を行い、火災時の機関室内気流予測を行って、火災感知器の取付け位置や避難経路を策定する必要がある。
     本研究では、機関室火災における防火・消火や避難などの火災安全対策の策定の基礎とするため、灯油と軽油を用いたプール燃焼時の煙生成と煙濃度(重量濃度、減光係数、煙量)に関する計測実験を行った。計測実験では、CdSセルによる減光係数の測定、ローボリュームサンプラーによる重量濃度の測定等を行った。実験結果から、1)燃焼量と重量濃度の関係、2)燃焼量と煙量の関係、3)重量濃度と煙量の関係、4)重量濃度と減光係数の関係を調べた。
    これにより、煙感知や避難・消火時の視程などに係わるデータを得て、以下のことが明らかになった。
     1) プール燃焼における煙の重量濃度および煙量は、燃焼量が増加して乱流炎領域に達すると指数的に増加する。
     2)火炎が乱流域近くになると、粒子径の大きい、いわゆる煤が飛躍的に増加する。
     3)煙の重量濃度が増加すると減光係数も大きくなるが、その値はある一定値に収束する。
  • 古林 義弘
    p. 000022
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    温暖化対策としてのCO2の海洋処理の方法は深海貯留と中層溶解等が考えられているが、本研究では深海に隔離貯蔵する場合について述べた。特に海底盆地に上方に海水空間を残した状態で半裁することによって、物質移動拡散係数を小さく押さえ、気液界面からのCO2溶解と、海洋への拡散を制限する方法について解析した。深海でのCO2特有のビヘイビア(水和物生成,海水膨張,溶解熱等)および深海流の海底境界層,海洋乱流等を折り込んだ。実際の深海底の地形は従来行われているような単純な直線構造ではなく、起伏に富んだ複雑な地形を呈しており、これに即した解析が必要である。そこで本研究では境界適合座標形BFCによる基礎方程式の記述と,そのプログラミングを実行し,あらゆる3次元海底形状に対応した。数値計算の離散化はFDMを用い、3次元数式近似した海底形状での具体的な流れ分布,CO2濃度分布,pH分布等を求め評価を行った。
  • 肥後 靖, 芦崎 恵介
    p. 000007
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    海震に対する研究はこれまで主に数値計算にたよっていた.そこで,海震荷重推定のための数値計算プログラムの妥当性を検証するために,模擬的に海震を発生できる水槽を製作した.本研究は,海震実験を始めるための準備として,当該海震水槽の圧縮波による圧力分布を実験的に把握すると共に,数値計算との比較によって海震水槽の圧縮波伝播特性を把握した.この結果,水槽壁,水槽底からの圧縮波の部分透過が存在し,これを考慮した定式化によった数値計算を開発した.また,その他,当該水槽の諸特性を明確にした.
  • 新開 明二, 池田 五苗, 長尾 健, 山口 悟
    p. 000016
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
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    洋上に風力発電を展開することを考え、日本周辺(関東太平洋/南方諸島)の洋上における風況調査を実施し、洋上サイトの可能性の検討と実用化に向けての調査研究を行っている。
  • 船路 進, 古川 芳孝, 貴島 勝郎
    p. 000026
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
     IMO 操縦性基準によると,試運転の実施条件として穏やかな海象条件下で実施することが求められており,風については Beaufort Scale 5 以下,波浪については Sea State 4 以下といった上限が設けられている。しかしながら,このような上限を越えない海象条件下においても,試運転結果に対して外乱の影響が現れることが予想されるが,外乱の修正法については未だ確立された方法がないのが現状である。従って,本研究では,操縦運動に対する外乱影響の評価を行うために,風および波が外乱として作用する状態における旋回運動,Zig-zag 運動のシミュレーション計算を行い,外乱が操縦性能に及ぼす影響について検討を行った。
  • 安川 宏紀, 小瀬 邦治
    p. 000010
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    風波中における低速肥大船のプロペラ逆転停止性能を求める実用的なシミュレーション計算法を提案し,本計算方法を用いて,船長320mの大型タンカー船型(SR221-C)を対象にプロペラ逆転停止性能に及ぼす外乱影響について検討した。その結果,次のことが分かった。追波方向(χ=-30deg_から_30deg)におけるTrack Reachは,外乱の無い場合よりも増加する傾向がある。一方,χ=-30deg_から_30deg以外の波方向では,Track Reachは減少する傾向を持ち,Track Reachが最も減少する波方向は,プロペラ逆転時に右舷側へ偏針する特性を持つ船においては,χ=90deg_から_180degであることが分かった。Track Reachは,有義波高1.25m,風速8.0m/sにおいて最大11%,有義波高2.5m,風速10.7m/sにおいて最大27%も減少し,停止もしくは船速の遅い状態での運動性能であるプロペラ逆転停止運動は外乱の影響を受け易いことが分かった。
  • 慎 燦益, 磯野 卓郎, 山本 啓喬
    p. 000031
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    航海中の船舶が風波浪に遭遇した時、その安全性を考えることは当然のことである。特に漁船は小型であるため相対的にみると激しい風波浪に会う機会が多く、そのような環境の中では特に復原性は重視されなければならない。船舶の風波浪中における安全性を考える上で、復原性は欠かす事のできない重要な事項の一つであるため、基本設計の段階で計算し、安全性の検討・判定に用いている。 復原性の計算方法としては、従来からある_丸1_計算表による方法、_丸2_プラニメータやインテグレータ等を用いる方法、_丸3_正面線図(Body Plan)のオフセットを用いてコンピュータによる計算等があるが、これらのほとんどは各横断面を表す各々の線が滑らかな曲線であるという前提に成り立っている。甲板上の構造物の復原性への寄与等の問題は残されているものの、復原性の計算法は確立されているといっても過言ではない。しかし、張り出し甲板、ナックル部および比較的に大きなバーキール等を有する小型船舶の復原性については一部研究されているものの、一般船舶の復原性計算に用いる計算法で求められている。一般化された復原性曲線を求める方法の中でも、インテグレータを用いる方法は、張り出し甲板、ナックル部やバーキール等がある任意の断面形状であっても、横断面の面積や面積モーメントを求めることはできるが交差曲線を求めるまでには多大な時間と労力を必要とする。一方、オフセット等の入力により、コンピュータを用いて復原性曲線を求める場合は、張り出し甲板、ナックル部およびバーキールの形状影響を正確に計算に取り入れられない問題等がある。小型船舶に関する復原性計算の現状は、必ずしもこのような問題を明らかにした明確な計算方法が示されていない。電算機システムが導入されている造船所では、復原性計算プログラムが完備されており、必要な復原力曲線は、短時間で求めることができるが、小型船舶を建造する造船所では必ずしも復原性計算が満足のいくものになっていない。しかも、安価で計算しようとすると、インテグレータ等を用いたりするので時間がかかりすぎてしまうのが現状である。 本研究は、以上のような現状を打開する方法として、_丸1_断面形状に制限を設けないでどのような形状の断面でも正面線図(Body Plan)さえあれば正確に即入力が可能で、計算ができること、_丸2_正面線図(Body Plan)の入力だけで任意傾斜の復原性計算が可能なこと、_丸3_入力から計算結果を出すまでの時間が従来の計算時間より遥かに短時間で、計算精度が高いこと、を研究目的として実施した。 本研究では、研究目的を達成するための計算アルゴリズムを構築し、それに基づいて十進ベ_-_シックの計算プログラムを開発した。このプログラムを用いると、従来のインテグレータによる計算方法では2日程度かかる復原性計算を、入力用の座標読取り装置を用いて、正面線図(Body Plan)に描かれた各横断面の座標入力から、10種類の傾斜角に対する復原挺の計算結果を出すまでに僅か20分足らずの時間で計算する事ができる。 以上の研究結果から、如何なる形状をした小型船舶の復原性も簡単且つ短時間で計算できることを示した。
  • リー サンミン , 高木  幹雄
    p. 000003
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    Hydrodynamic interaction effects between VLFS and submerged plate are presented in this paper. A composite grid method has been employed to compute the interaction effects of hydrodynamic forces on VLFS with or without submerged plate.The fully nonlinear free surface flow problem, which involves the overturning and breaking waves, is solved using the finite difference method. In order to investigate the interaction effect, the fore part of VLFS has forced to heave sinusoidally with the submerged plate or not. Furthermore, the reflective wave by VLFS, which acts on the submerged plate heaving near a free surface, is considered to estimate the hydrodynamic forces. The added mass and damping forces are shown to be influenced strongly by the interation effects and are presented as a function of oscillation periods. Namely, the added mass on the whole are increased due to the interference effects between VLFS and submerged plate regardless of oscillation periods. On the other hand, the damping forces become larger at short oscillation periods because of impinging wave which came from the reflection by the other structure. The influence of added mass and damping forces means that the response amplitude of VLFS is decreasing. These results reaffirm that the effect of submerged plate on hydroelastic deflection is significant at short oscillation periods. The results obtained by the present numerical simulation are compared with those obtained by the experiments, and it shows a good agrrement.
  • 松尾 宏平, 江頭 俊一, 慎 勝進, 新開 明二
    p. 000025
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    地球観測衛星ERS-2搭載のレーダー高度計による有義波高観測について、特に本研究においては、ある特定の軌道に注目し、それに沿いながら観測するレーダー高度計の有義波高データを詳細に調査し、観測系の持ついくつかの観測・データ特性を解明することを行う。また、このERS-2のレーダー高度計より観測された有義波高のデータを用いて、船舶・海洋構造物の設計の際に利用される長期波浪統計資料の作成について説明する。
  • 濱田 邦裕, MYRESHKA, 奥本 泰久, 冨田 康光, 新宅 英司, 小瀬 邦治, Diawati Lucia
    p. 000012
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
     アジア地区は海上輸送の最も急速な発展と変貌が見られる地域であり,アジア各国の海上輸送の整備と拡充を実現することは国際的に重要な課題である.海上輸送に関わる産業と技術の中心である日本にはこれらの開発を支援することが要請されており,また,この要請に応えることは日本の海事産業や学術が国際的なリーダーとして継続的に発展するための条件ともなっている. このような背景の下,広島大学では日本学術振興会の支援の下,日本・インドネシアを含むアジア地域の造船産業に関する総合的な現地調査を実施し,両国の造船産業の国際優位性,インドネシア造船産業の振興が遅れている原因,造船技術の技術移転の成功要因等について検討した. 本論文では,東南アジア諸国と日本の造船業の国際優位・劣位をアンケート調査に基づいて総合的に議論するとともに,その結果に基づいて,造船技術の技術移転の成功要因について考察する.
  • ハサンバシリ ムルシッド, 小瀬 邦治, 安川 宏紀
    p. 000024
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では、海上輸送におけるハブネットワークの設計について述べたものである。連結されたネットワークを設定し、ネットワークにおけるハブアンドスポークス構造を適切に配置することによってトータルの輸送コストを最小化させる。主な課題は、ハブを選び、ハブに対してハブでない港の適切な配置を決定することである。提案するモデルでは、1つのクラスターにおいてグループ化された港間で、直接的な貨物の流れが許される。また、本モデルは、ネットワークで分布される空コンテナの量を推定する。本提案モデルは、以前に研究されたものよりも、一層のコスト削減の可能性が示されている。
  • 加藤 瞭, 太田 貴大, 池田 亮
    p. 000002
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
     一般に、鋼材の振動減衰を対数減衰率として無次元化すると、振動数に無関係な一定値を示す、いわゆる構造減水的挙動を示すといわれている。 一方、船体振動においては、ばらつきは大きいものの、傾向として顕著な振動数依存性を示す。 しかし、船体振動の減衰については、まだ未解明な点が多く存在するようである。 著者らは、基礎実験として、片持梁の自然減衰挙動を空中および接水状態で実施し、空中振動では、対数減衰率が振動数に無関係に一定値を示すことを確認し、接水振動では、振動数の増加に伴い減少傾向にあることを明らかにした。流体中では、構造減衰と流体減衰が混在しているので,これの分離を試み、流体による減衰成分は、傾向として振動数に関係しない構造減衰と同様な傾向を示すことを確認した。 
  • 安澤 幸隆, 伏見 隆太郎, 藤原 孝紀, 香川 洸二
    p. 000023
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    大型客船などの居住区では、中・高周波振動応答を十分に把握しなければならない。中・高周波振動においては、モーダル密度が高くなり共振回避の防振設計をすることは困難となる。よって、中・高周波振動における防振設計では、応答レベルを推定することが重要になるそこで本研究では、中・高周波振動の応答レベルを推定することについて検討した。振動応答レベルを計算する方法には主にFEM、SEA法及び波動方程式による方法がある。FEMは低周波域においては有効であるが、中・高周波域での精度の良い推定には莫大な要素数が必要となり、計算量、メモリ量、計算時間が莫大となるので事実上困難である。SEA法は考え方がシンプルで高周波域に対して広く用いられるが、高い精度は期待できない。波動方程式による方法とは、4階微分で表される曲げ振動支配方程式を因数分解することにより得られる二つの2階微分方程式のうち、伝播の関する方程式(波動方程式)のみを解いて応答を計算する方法である。本研究では中・高周波振動における応答を波動方程式を用いて計算することの有効性について検討した。また、船舶など複雑な構造への拡張性を検討するために多数梁の組み合わせによる2次元骨組構造の応答を求めるプログラムを作成し波動方程式を利用した高次振動解析が可能であることを示した。
  • 右近 良孝, 藤沢 純一, 大橋 訓英, 日野 孝則
    p. 000015
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    海上技術安全研究所では、ポッド・プロパルサを搭載した新形式船型を研究開発するため、ポッド・プロパルサ用の動力計を製作するとともに、信頼性のある単独性能計測法の開発に取り組んだ。前報では、ポッド・プロパルサの単独性能計測法を主に述べるとともに、得られた計測結果の一部を公表した。
    本論文では、ポッド・プロパルサ船の推進性能評価のベースとなるポッド・プロパルサ単独性能について、動力計を改良して計測を行い、より詳細に計測結果を報告する。次に、計測結果に影響を与える要因(プロペラと動力計との間の隙間やプロペラの取り付け位置など)について、パラメータを変化させて計測を行った。得られた結果について、通常のプロペラ単独試験結果とCFDによる計算結果と比較して考察した。
    特に、ポッド・プロパルサ船の実船馬力を模型試験結果から推定する際には、ポッド・プロパルサの実機性能を予測する必要があり、ポッド・プロパルサ特性に及ぼす粘性影響(尺度影響)やプロペラとポッド・ケーシングとの干渉現象を把握することが不可欠となる。このため、CFDコードによりポッド・プロパルサに働く抵抗を計算し、実験と比較するとともに、実用的ポッド・プロパルサ簡易性能推定法の有効性について調べた。この結果について報告する。
  • 安川 宏紀
    p. 000011
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では,Rubbertらの理論をベースとした厚翼の基礎式に,薄翼近似を部分的に導入して「簡便な厚翼計算法」(SQCM)の基礎式を誘導し,その物理的な意味を明確にすることを目的としている。その結果,SQCMで用いられるキャンバー面における境界条件は,翼の揚力特性を決定するために追加された式であること,また翼表面ソース分布から翼内部のキャンバー面に誘起される項は,揚力特性を求める際に翼厚の影響を考慮するために付加したモデルの1表現と考えることができ,クッタの条件を満足させる上で有効に作用することが分かった。
  • 山崎 隆介, 中武 一明
    p. 000021
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
     簡単な例として水車, ポンプまたは舶用プロペラのような流体機器の翼, 更に一般化して, 一つの適当な形状の物体が水中を移動するとき, その表面または近傍の圧力が低下した場所でキャビテーションが発生し, 圧力が上昇した位置で崩壊する.このようなキャビテーションの発生・消滅は, 機器としての性能悪化, 物体表面におけるエロージョンの発生, 騒音・振動の発生など好ましくない現象の原因となるが, これらの原因を排除するためにも, 逆にキャビテーションが崩壊するときに発生する衝撃圧を利用するためにも, キャビテーションそのものの機構を解明することが必要である.そもそもキャビテーションは力学的には気液二相流の現象であるので, 本論文ではまず気液二相流のいくつかのモデルについて簡単に記し, これらのモデルと現在提案されているキャビテーション理論との対応を試み, 一つの物体まわりに発生するキャビテーションを含む流場の流動解析のためのモデルとして均質流モデルを採用することを述べる.そしてキャビテーションを含む流場の均質流モデルに基づく基礎方程式を提示し, 最後にその近似理論について述べる.
  • 陳 順懐, 安東 潤, 中武 一明
    p. 000019
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    1970年代のDawsonの論文以来、船の造波抵抗の直接計算において、ランキンソース法が重要な役割を果してきた。Dawson法の基本原則は、波流れは二重模型による静水面と自由表面修正からなるというものであり、非線形境界条件の線形化が静水面に課されている。この種の方法が造波抵抗を求める有用な方法として受入れられてきた。しかし線形理論は改良されるべきいくつかの点があり、その後、多くの研究者がDawson法を改良しようとしてきた。しかし、なお低速で(Fn< 0.17)通常の船型の造波抵抗が負になるというような好ましくない結果が得られている。本論文も、ニュートン法をベースにした非線形解を得ようとするものである。船体に対して単一モデルを用い、自由表面影響を考慮するために静水面より上方に吹出し平面を用いる。この方法は、浸水面積の変化と流れの非線形性を考慮することが出来る。数値計算によって、本方法が実験結果により近い値を与え、Fn < 0.17においてもSeries 60(Cb=0.6) 船型の負の造波抵抗を避けることを示す。
  • 陳 順懐, 安東 潤, 中武 一明
    p. 000020
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    船型開発において、船の抵抗は考慮されるべき重要な要因の一つである。CFD技術の発展と共に、模型実験だけでなく、計算によって初期設計の段階で抵抗を求めることが可能となっている。CFDを基にした船型最適化についての多くの論文が最近発表されてきた。それらの論文の中で、最適化はほとんど一つの船速で行われてきたが、このことは他の船速では高い抵抗を与える可能性がある。いくつかの船にとっては、いくつかの船速で抵抗を最適化する方が良いことがある。つまり、船型の最適化に対する多目的系が合理的な選択であることを意味している。ここでは、ランキンソース法を用いて造波抵抗を評価することにし、一例として多目的遺伝的アルゴリズムがWigley船型の造波抵抗を2つの船速で最適化するために用いられる。
  • 林田 滋, 結城 俊洋
    p. 000009
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    ソーラーボート大会のロングレースでは、船の性能のみならず運航方法も重要である。バッテリーの電流とソーラーパネルの発電電流の和がモーターの消費電流である。天候が変化し、すなわち日射量が雲によって時間的に変化する場合、ソーラーパネルの発電量も変化する。そのような状況で、どのような走行を行う方が、もっとも長距離を走るのに適しているか、走行シミュレーションを行って調べた。
  • 肥後 靖, 山田 良, 森川 真一
    p. 000008
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    海洋構造物を設置後,時に波浪による衝撃的な力を受け,これによって,構造物が損傷を受ける可能性があり,その安全性を保つために定期的な保守が必要である.その際,海洋構造物がどの程度の力を受けているかをモニターすることは,保守点検の目安となる.しかしながら,従来の方法での波浪衝撃力モニターは,手間と費用がかかり,簡便な計測法が望まれる.そこで,本研究は,波浪によって構造物が衝撃的な力を受ける際,同時に衝撃的な音を発生することに着目し,音を計測することで,衝撃力を推定する可能性について検討する.研究の第一段階として,水塊を自由落下させ,衝突時に発生する圧力と音を計測することによって,その相関について検証した.その結果,衝撃力と衝撃音には相関があり,これを精密に検討することで,新しいタイプのリモートセンシング技術開発の可能性があることが分かった.
  • カハルディン ジェノド, 北村 充, 濱田 邦裕
    p. 000004
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    構造最適設計においては,最適化の過程で提案された設計案に対する構造評価がボトルネックになる.遺伝的アルゴリズムは局所的最適解に陥る可能性が低いが,他の数理化最適化手法と比較すると,評価する設計案の数が多くなるため,構造評価は厳しい制約になる.このような問題点を解決するために,有限要素解析に基づいて,構造評価用のニューラルネットワーク構築し,ばら積み船の構造最適設計に利用した.特に,ばら積貨物船の横強度に着目し,造船設計便覧の簡易近似計算法をニューラルネットワークの誘導因子とし利用した.
  • 野瀬 幹夫, 松尾 宗幸, 松岡 和彦
    p. 000017
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    前報に引き続き「鏡像の位置の積分経路」および「包含セル」という新しい概念を導入することにより、「縦曲げにおける横断面の反りを考慮した船体縦強度理論の実用化システム」の概念を適用しながら、コンテナA型、コンテナB型、コンテナC型の横断面形状の薄肉変断面梁に対して、「水平曲げにおける横断面の反りを考慮した船体縦強度理論の実用化システム」の開発を行い、本システムが正しく稼働することを確認した。
  • 野瀬 幹夫, 松尾 宗幸, 松岡 和彦
    p. 000018
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    第一報、第二報に引き続き、「鏡像の位置の積分経路」および「包含セル」という新しい概念を導入する事により、3種類の横断面形状(中型DHT型、DH_-_VLLC型、DH_-_ULCC型)に対して、「水平曲げにおける横断面の反りを考慮した船体縦強度理論の実用化システム」の開発を行い、本実用化システムはほとんどの船種(十種類の横断面形状)の対して適用可能となった。 ゆえに、本研究は、波浪中において縦曲げ、水平曲げ、ねじり荷重を受ける横断面の反りを考慮した縦の全体強度理論および実用化システムを構築するための第二段階に達した。
  • 岡畑 豪, 福地 信義
    p. 000028
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
    会議録・要旨集 フリー
    貯蔵,養殖などの海洋資源開発や海中空間利用を目的として,海中に広く展張する比較的柔軟な海中構造物の一つとして薄肉シェル構造が考えられる。このような曲率をもつ構造では,水圧による変形のために曲率が変化して形態抵抗の変化を引き起こし,さらに変形に荷重が追従する非保存系の循環のために,擾乱による動的挙動は不安定状態となる前にカオス挙動となり,その安定性の判断には動的判別法が必要である。このため,薄肉シェルにおける非周期運動のカオス挙動から不安定状態に至るまでの動的挙動に関する現象を把握し,安定性指標を模索することは,種々の非保存力学系に対する統一的な安定性判別法の確立の礎となる可能性がある。
    本研究では,大空間構造の基本的な構造である,水圧型の従動荷重を受ける薄肉シェルを対象として,負荷時の擾乱による動的挙動を解析し,さらに最大リアプノフ指数の安定性指標としての可能性を調べた。
    先ず、水圧型の従動荷重により大変形を起こした薄肉シェルの擾乱により生じる動的挙動を解析するために,部分球形シェルを対象として,変形に追従する埋め込み(粒子)一般座標を用い,水圧型の従動荷重による大変形の場合の平衡方程式を求め,Galerkin法を適用して定式化を行い増分の式を導き,荷重増分法により大変形の様子を数値解析した。
    次に,平衡方程式の微小変動分の式に慣性項と減衰項および擾乱としての脈動荷重を考慮して運動方程式を導き,これにGalerkin法を適用して定式化を行い,導かれた連立微分方程式にRunge-Kutta-Gill法を用いて動的挙動の数値解析を行った。
    次に、水圧型の従動荷重の負荷時における擾乱による薄肉シェルの動的挙動を解析した結果をもとに,その不安定現象の安定限界の近傍で現出するカオス挙動に至る過程を調べた。これには,従動荷重の負荷時における擾乱による薄肉シェルの動的不安定に関して安定領域図を作成し,その共振域とその近傍における動的挙動について求めた応答変位のパワースペクトルおよびポアンカレ断面を分析した。その結果,動的挙動に関し、曲げ共振が主体となる協力現象型および曲げと面内の複雑な連成振動が主体となるセルフ・アセンブル型に分けられることがわかった。
    さらに,カオス解析手法の一つである最大リアプノフ指数を用いて,協力現象型およびセルフ・アセンブル型両方の不安定移行の過程における状態判別を行い,最大リアプノフ指数の安定性指標としての有用性を調べた。その結果、「安定→遷移域→不安定」と状態が移行していく中の「安定→遷移域」の様相を、最大リアプノフ指数の変化を調べることにより捉えることが可能であり、さらに安定の度合いも相対的に判定することができることがわかった。これらより、最大リアプノフ指数の安定性指標としての有効性と、最大リアプノフ指数を主体とする安定性判別法の確立の可能性を示すことができた。
  • アレスト性能推定式の確立
    大谷 潤, 石川 忠, 福井 努, 北田 博重
    p. 000027
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
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    高アレスト鋼板を鋼構造物に適用することにより、構造物の安全性向上が期待されている。そこで表層超細粒鋼板(SUF鋼板)を開発し、既に大型船舶等に実適用いただいている。鋼板のアレスト性能評価法には、一般に大型破壊試験法である標準ESSO試験あるいは二重引張試験が用いられているが、これらの試験法では大きな試験片や大型破壊試験機が必要なため、当該試験法と同等の信頼性を有し、かつより簡便に試験できる簡易評価法の確立が望まれている。そこで、SUF鋼板を対象に、標準ESSO試験結果とNRL落重試験結果との相関関係を検討した。その結果、鋼板の板厚、鋼板内部のNDT温度、鋼板表層部のNDT温度を用いれば、温度勾配型ESSO試験により評価されていたアレスト性能を精度良く推定出来ることを知見し、アレスト性能推定式を提案した。
  • NRL落重試験によるアレスト性能評価基準
    福井 努, 北田 博重, 大谷 潤, 石川 忠
    p. 000030
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
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     高アレスト鋼板としての表層超細粒鋼板(SUF鋼板)のアレスト性能について,NRL落重試験による簡易評価法を種々検討・考察し,またNK船級における高アレスト鋼板の使用状況を併せて調査した。 得られた結論は,以下のとおりである。(1)SUF鋼板のアレスト性能は,NRL落重試験による鋼板表層部のNDT温度あるいはNo-Break温度で評価可能である。(2)NRL落重試験によるアレスト性能評価基準は,標準ESSO試験あるいは二重引張試験の代替試験に対する基準として適用できる。(3)NK船級における高アレスト鋼板の適用船舶は多種にわたり,いずれの船舶においても玄側厚板(Sheer Strake)に当該鋼板を使用している。
  • 矢島 浩, 山本 元道, 廣田 一博, 松岡 和彦, 飯塚 智史, 石田 欽也
    p. 000014
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
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    アルミニウム合金材 JIS A5083P-O材を供試して,軸力圧縮予歪材の引張強度特性を把握した。さらに,JIS A5083P-H321材の帯板試験片による,座屈崩壊後の繰り返し大変形曲げ亀裂発生強度を把握した。得られた知見は以下のとおりである。(1)公称歪で約-50%(真歪で約-65%)までの軸力圧縮歪を与えたA5083P-O材の引張強度特性,すなわち降伏応力(0.2%耐力),引張強さおよび伸びなどを把握した。(2)A5083P-H321材に対しての,座屈崩壊後の,500_-_600cycles以下の繰り返し大変形曲げに対する亀裂発生寿命が評価可能になった。すなわち,初回曲げ圧縮後の試験片長さ方向の公称歪から推定した歪範囲と,長さ0.5mmの微小亀裂発生繰り返し回数との関係式が得られた。
  • 奥本 泰久, 井関 隆太郎
    p. 000001
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/12
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    通常、造船所の内業工場では鋼板の切断に複数のNC切断機を用いている。鋼板はほぼ連続的に個々のコンベアラインに投入され連続的に加工されるが、複数の切断機にはそれぞれ能力に違いがあり、かつ、投入される鋼板にも処理時間に差があるため、各切断機の稼働時間に差が生じ、生産工程にアイドルタイムが生じることがしばしばある。したがって、生産性を向上させるためには、複数の機械にアイドルが生じなく、均等に稼働させることが望ましい。本稿は、どの鋼板をどの機械に投入すればこのアイドルタイムを最小化できるかを、メタヒューリスティックな最適化手法であるタブサーチ法を使って検討したものである。従来の最適化手法では、遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワークの手法が広く使われているが、近年適用され始めたタブサーチ法は未だ応用例が少なく、本稿ではこの手法の有効性を他の手法と比較して詳述する。
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