近年の系外惑星の観測により,大気透過スペクトルに分子の吸収の特徴が見られないような惑星が多数発見された.これにより,系外惑星の大気中にエアロゾルが存在することが示唆された.本稿では,系外惑星大気中に存在するエアロゾルの候補の一つである有機物ヘイズに着目し,筆者らの最近の理論研究により得られた知見を紹介する.また,今後の系外惑星観測への示唆と,有機物ヘイズに関する現状の不定性,最新の室内実験からの示唆についても述べる.
小惑星探査機「はやぶさ2」に搭載された中間赤外カメラTIRによって,C型小惑星Ryuguに対して全球の高解像度サーモグラフィ(熱撮像)が史上初めて実施された.表層温度と日変化から導出される熱慣性から,Ryuguの表面を覆う岩塊や岩片の大部分が,典型的な炭素質コンドライト隕石と比較して非常に高空隙な物質で構成されていることが分かった.この高空隙な性質は,表面重力の小さい始原的小惑星に共通であると考えられる.太陽系初期の微惑星も同様に高空隙で低強度の物質で構成されていたと考えられ,惑星形成時の力学進化過程の考察に影響を与える可能性を提起する重要な発見である.
第12回月惑星探査データ解析実習会の報告記事です.今回のテーマは『機械学習による領域分割』で,前回好評だった『機械学習による画像の自動分類』に続くものでした.新型コロナウイルス感染症対策として,ZoomとSlackを併用した初めての多地点オンライン実習会となったことが特筆されます.嵩講師から「月地質図概論と月惑星データへの機械学習の応用」,出村講師から「機械学習導入の考え方」,園家講師と松尾TAより「Deep Learningで画像識別」という題目で講義ならびに説明が行われました.受講生の内訳は7機関(宮城教育大,会津大,足利大,東京大,JAXA/ISAS,名古屋大,大阪大)16名、講師世話人を含む当日参加者数は22名で,一部の会津大生は講師と同じ講義室で参加しました.本実習会は,日本惑星科学会と神戸大CPSのご支援を頂きました.
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