生命の起源に関して,微小球構造,ベシクルの寄与や代謝を重視する説がある.最初の生命はRNA複製リボザイムをもっていたというRNAワールド説が,遺伝の仕組みが誕生する過程として提案されている.現存する生物遺伝子の解析から全生物の共通祖先は化学合成能をもった超好熱菌であった可能性が高い.真核生物はアスガルド古細菌にアルファプロテオバクテリアが細胞内共生してミトコンドリアとなり誕生した.光合成系IとIIの二つをもつシアノバクテリア誕生のモデルが提案されている.シアノバクテリアが紅藻祖先へ共生することで葉緑体が誕生し,紅藻は緑藻と分岐した.16億年前頃に紅藻と緑藻は他の単細胞真核生物に二次共生した.10億年前には単細胞真核生物の多細胞化が独立して複数回起きた.生命は,遺伝子の変化,形態形成遺伝子の変化によってダーウィン進化してきた.顕生代には何回かの大量絶滅とそれに続く適応放散が起きた.生命の定義や生命構成元素の可能性に関しても紹介する.
火星衛星探査計画MMX (Martian Moons eXploration) の探査機開発が,来年の打ち上げに向け佳境に入っています.今号から,MMX計画について紹介する連載を開始することにしました.色々な切り口から,MMXの魅力,奥行き,面白さを,お届けしたいと思います.第一弾の今回は,MMXの目的地である火星の月と,MMX計画の狙いと概要について,紹介します.
木星系氷衛星探査計画JUpiter ICy moons Explorer—JUICEとは,欧州宇宙機関(ESA)による初のLクラスミッションであり,日本もジュニアパートナーとして参加する.搭載された10の観測機器のうち4つの開発に日本も携わり,コミュニティとして初めて太陽系外惑星探査に乗り出す.去る2023年4月14日,JUICE探査機がアリアン5ロケットで打ちあがり,現在まで順調に航行・運用を続けている.本稿では,これに至るまでの道のりを中心に,2030年代に盛り上がりを見せるであろう外惑星大型探査における日本の活路を含めて記す.
小惑星リュウグウの物質が2020年12月に探査機はやぶさ2によって地球に持ち帰られた.その後,1年間の初期分析期間を経て,様々な科学的成果が得られている.著者は初期分析の一つである揮発性成分分析に携わった.再突入カプセル回収時のサンプルコンテナのガス採取・分析,リュウグウ固体試料の揮発性成分分析により,リュウグウ試料の経験した出来事の物理化学情報や年代学的情報が得られた.本稿では揮発性成分分析チームの活動について紹介する.
あかつきは現役の金星ミッションですから「観測計画の立案,日々の運用,データ取得とその解析・研究」が私たちの本務です.それとともに,最前線の研究を知るため,そして情報を交換し合い刺激をもらうために,さまざまな学会やワークショップへの参加は欠かせません.本稿ではそうした海外ワークショップへ参加しての見聞記をお伝えします.
2023年3月24日,月探査産学連携のプラットフォーム構築に向けたミニシンポジウムが開催された.このシンポジウムの目的は,今後の月探査・月面開発で連携すべき科学界と産業界が,これまでの個人レベルの点と点の連結から,コミュニティ同士での面的なつながりへと発展する,その連携基盤を作ろうというものである.ミニシンポジウムでは,産業側から4件,科学側から4件の発表があった.本稿では,これまでの月探査・月面開発に向けた連携の取り組みとミニシンポジウムの内容についてまとめる.
◇日本惑星科学会第157回運営委員会議事録
◇日本惑星科学会賛助会員名簿
◇日本惑星科学会主催・共催・協賛・後援の研究会情報
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