(要旨) 星間分子雲から星・惑星系が形成される過程において,ガスや氷の分子組成は系の物理的進化を 反映しつつ非平衡に進化する.その詳細な理解は我々の住む地球や生命の起源などの根源的な問いに迫る上で重要である.本稿では分子雲で水が生成されてから原始惑星系円盤に輸送されるまでの過程や水素及び窒素同位体分別過程について,筆者自身の関わった研究を中心に紹介する.
あかつきIR2による金星夜面データを「測光」仕事に使うことを妨げる問題点,それを解決するために開発した手法,そして金星大気中の静穏領域CALMの発見について紹介します.内容としては,科学雑誌Icarus に発表した論文[1] のエッセンスで,それをストーリー仕立てで語ります.
小惑星探査機「はやぶさ2」は,2020年12月に小惑星リュウグウのサンプルを地球に届けた後,次の旅へ向かった.この「はやぶさ2」が立ち上がったのは,ちょうど10年前,東日本大震災直後の2011年5月であった.プロジェクト化に向けた打合せや審査会を余震や計画停電などの中で必死に行ったことが思い出される.前例がないくらいの短期間で探査機を開発し,打ち上げから一連の小惑星近傍運用を終え,無事に地球帰還を果たせたことは当事者として非常に感慨深い.本稿では,カプセル回収班のとりまとめを拝命した筆者の視点を交えつつ,その最終フェーズである地球帰還とカプセル回収(日本への輸送を含む)について概説する.
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